株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

本質的な解決ができない

2009-02-28 13:52:48 | 折々の随想
先日、日経ビジネスオンラインの記事のヘッドラインを見て気になった、リコー遠藤副社長の「本質的な解決ができない(下)」というコラムを読んで、随分と思い当たることがありました。

中でも、「頭のいい部下ほど本質的な活動をしない」との下りは、世の管理者は心得ていた方が良さそうです。筆者の30数年間の会社生活でも、まさにこのことは沢山思い当たります。

遠藤氏も言っているように、「頭のいい人」とは、「目端が利く人」であり「褒めてもらおう」という意欲が高い人です。自分のスキルを磨く意欲があり、向上心は高く、問題が発生した時の処置の手際がよく、頼もしい人材に見えることが多い人です。

こういう人材に高い評点を無条件に与える管理者が多ければ多いほど、その会社は脆いと言う程度に考えておいた方が良さそうです。

何故なら、こういった人は、目端が利き褒めてもらいたいのは、ひとえに自分が高い評価を受け、ポストが上がり給料が上がることを、その会社での仕事の最終目標にしている人だからです。

故に、時間がかかり成果がすぐには出ないしんどい仕事をあえてやろうとはしません。つまり、本質的な問題解決は、会社であれどこであれ、しんどくて時間がかかるものですが、これを先験的に嫌っている人ばかりになると、会社というものは気がついたら大きな陥穽に落ち込み、昨今のような景気悪化になると、業績の悪化が雪崩を打って進行するものなのですね。

今日のソニーのストリンガー氏の社長兼務の新聞記事を見て、やはりソニーは駄目だったかとの意を強く持ちました。

というのも、これは業界の人のみならず、ソニーユーザーの間では何年も前から公然と囁かれていたことですが、ソニー製品の品質に対する信頼感が以前から随分と落ちていたのです。パソコン然り、携帯電話しかり、電池しかり。

ソニーは日本の企業には珍しく欧米的な合理的な経営をしているため、「頭のよい人」や「目端の利く人」が沢山いることでしょう。そういう人が管理者や経営層になっていけば行くほど、段々と足腰が弱くなり、品質問題のような地道な努力の積み重ねが必要な仕事ほど、疎かになってしまうのが世の常というものです。

筆者は、これは偏見かも知れませんが、松下製品というのは過去に炊飯器を1台買っただけで、どちらかというと嫌っておりました。しかし、松下という会社はソニーのようにスマートなイメージはありませんが、その分愚直なところがあります。

それを痛感したのは、随分昔の暖房機が原因で二酸化炭素中毒か何かを起こすということで、その該当機種の製品の回収に、一時期、一切のコマーシャルに代えて、必死で当該製品を保有する人々にテレビコマーシャルで呼びかけるのみならず、全世帯に郵便はがきを送るまでして、最後の1台まで探そうとした、その企業姿勢を見た時でした。

それを見て筆者も、潜在意識にあった松下への負の見方を変えたようです。

そして2年前にエアコンを買い替える時、ついに、それまでは嫌っていたあの松下製にしたのです。

今回の世界同時不況でパナソニックも当然に大きな影響を受けておりますが、同じ赤字でも内容がソニーとは随分と異なるようですね。

筆者が元いた会社も、グローバルにビジネスを展開しており、ソニーに負けず劣らず「頭のよい人」や「目端の利く人」が目立つ会社でした。そのためか、90年代初頭には、その巨象と称された会社が存亡の危機に陥ったことがあります。

しかし、この会社は幸か不幸か、各国の法律と経理処理だけは何があっても絶対厳守するという守りの哲学と、ちょっと変わった人間の意見を尊重するという、創業者由来の古き良き風土が未だ残っておりました。これがその時の窮地を救ったと思います。

だから、ちょっと変わった人間の1種である筆者のような凡才でも入社できたと思っております。何しろ、筆者は就職活動に無頓着で、4年の秋口になって受けた小さな日本のメーカーから内定取り消しを受けたほどの不良学生でしたが、そのノンセクト・ラジカルの成績&素行不良学生を受け入れたのがその会社でした。

株の世界でも、何とか継続的に勝つための「本質的な解決」をするため、日夜時間を使っておりますが、こればかりは、リコーの遠藤氏が言うように、「何で勝てないのか」の現象がきちんと掴めないため、原因を特定できず四苦八苦しております。

こりゃ、変な世界に引退後に足を突っ込んでしまったのかも???
コメント (1)
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市場概況(2.27.09)

2009-02-28 06:58:59 | 市場概況
テクニカル用語の簡単解説  赤字部は28日朝の更新

2月27日(金)の市場概況です。

◆日経先物:7560円(+130円)、OSC51%(+5%)2月19日の30%から切り返し中。
◆日経平均:7568円(+110円)、OSC49%(+5%)2月18日の25%から切り返し中。
◆日経平均指数値倍率:132(-2)数字が減るほど上昇傾向を示します。
◆TOPIX:756.71(+14.2) OSC53%(+7%)2月24日から切り返し中。
◆マザーズ指数:297.21(+0.22)、OSC35%(-3%)2月23日の26%から切り返し中。
◆ヘラクレス指数:448.32(-5.82)OSC45%(-2%)2月20日の31%に収斂中。
◆国債先物:139.5円(-14銭)OSC44%(+3%)2月25日の31%にからまだ切り返し途上。
◆ドル・円:97.62円(86銭の円高)OSC72%(-4%)26日の76%から下落に転じる。円高へ一時的な回帰か。更新
◆日経先物イーブニングセッション:7520円(大証終値比-40円)
◆シカゴCME日経先物:7365円(円建て)大証終値比195円安。午前8時15分現在。更新
◆NYダウ:7063ドル(-119ドル)OSC35%(-3%)10月15日に並ぶ。まさにじり安。更新

後場はどちらかというとジリ上げ傾向を辿り、2時過ぎからは週末要因もあり売り攻勢に晒されるも、その後は15時前からは先物が元に戻す展開でした。

新興市場を除いては、各市場ともにOSCを上げてのプラス終了であり、些か円高に振れているとは言え、来週の相場に期待を抱かせる内容です。

持ち越しは、買い条件を満たしていた3349コスモス薬品のみ。1360円での仕込みでした。

6744能美は引けに買おうと思って待ちかまえておりましたが、少し下で待ち受け過ぎたようです。これは来週の楽しみにしたいと思います。

3107ダイワボウが後場に急騰しておりました。豊橋市で鳥インフルエンザが発生したようです。気がついたら235円あたりでした。つい、225円で買いそうになりましたが、思いとどまりました。

こうした買いは、勝っても負けても、後々の肥やしにならないためです。ニュースに反応して買って勝てるなら苦労はありません。結局は、そのニュースに反応した方々の共食いになるのがオチです。

案の定、その後216円あたりまで押されておりますので、もし買っていたなら途中で損切りしたことでしょう。また、テクニカルにも買えるような状態ではありませんでした。

後場は、いつもにも増して難解な相場でしたね。

来週は、このまま切り返すのかそれとも再度押されてしまうのか正念場を迎えます。

円安がテクニカルには一服しそうですので、チョイと気にはなりますが、主力市場はそれなりにいい形での終了ですので、一旦ここからは反発に転じると見ました。

今晩のNY市場での経済指標の発表は、アメリカの4QのGDPの改定値と、シカゴ購買部とミシガン大学の景気指数がありますが、この程度の指標の悪化は既に市場は折り込み済みと考えられます。

-------28日朝のコメント-------

NYダウは反転のきっかけを全く掴めません。かといって、大きく売り込む材料にも欠け、まさに真綿で締め付けられるようなじり安です。7000ドル割れ寸前です。GDPの年率-6.2%という予想を1%近く下回る結果は、どうしようない事実です。

シティGは、財務省が保有する優先株を普通株に最大250億ドル転換するとの発表で大幅安。現経営陣の大半が退任することになるようです。これで国が筆頭株主に。

しかし、このことは国有化に限りなく近いことになるのではないでしょうか?国が持つ普通株式の割合がまだ低くとも、実質的に経営者を退かせて、大株主としての立場から経営の実態把握に踏み込むことになるからです。

市場が抱いている懸念は、国有化すれば既存株主が持つシティの株の価値がなくなるということに加えて、果たして、金融の素人集団が乗り込んできて、これだけ複雑な銀行経営がうまくやれるだろうか?ということだと思います。

今の日本郵政を見ればそのことは容易に想像がつくでしょう。未だに、民間への融資はほとんど出来ていない筈です。審査能力がないためです。貸出1つとっても長年のノウハウやデータの蓄積がものを言う世界は、金融業界も製造業界も変わりはありません。

新商品の開発で考えてみましょうか。霞ヶ関の単に法律の抜け穴探しに長けただけのお役人が、果たしてトヨタで新車開発を率いることができるでしょうか?銀行業界も同じです。

つまり、国有化とは企業の官庁化を意味すると考えれば、何故市場が嫌がるかの理由もはっきりします。

その国有化は必要ないと先日バーナンキ議長は言った。しかし、実質的にシティは経営者が退陣させられ、普通株主としての財務省の影響力は増した。この流れの延長線にあるものは実質的な国有化と同じではないだろうか?といった疑念がくすぶっているのではないかと思います。

これが行き着くと、市場は財務省やFRBの言うことは、どうも誤魔化しが多い、信用できないといっった具合に傾いていくのもやむを得ません。ポールソンが当初7000億ドルを銀行の不良資産買い取りに使うといいながら、実際には銀行への資本注入に半分使ってしまったとおなじ胡散臭さに市場は敏感です。

そして、今の政権にこのままでは金融恐慌や経済破綻の処理が出来ないのではないかとの疑念が生じた時、いわば国に対する信認が崩れ、そして市場はとどめない下落に向かって突き進む、といった事態にならないとも限りません。

結局、昨年秋以来の今回の事態は、当局の一貫性のなさがかなり影響している訳ですが、それを新政権で一掃できると考えていた市場の期待がここにきて揺らぐようだと、その信認を取り戻すのは、すぐにオバマ大統領を変えることができないだけに、ブッシュ政権末期よりたちの悪いことになりそうです。

CHANGEを叫び何もCHANGE出来なかった大統領を抱くアメリカ、そして世界の失望の代償はこれは大きい。

ここでいうCHANGEとは、何も景気浮揚対策の金額が共和党の反対で縮小を余儀なくされたなどということではなく、国の政策に対する信認を根本的に取り戻すための、いわば人々の精神の奥深いところに訴え、(るだけでなく)実行するCHANGEのことです。

これでGMを、「管理された破綻」などと誤魔化しながら破綻させれば、もうオバマ大統領の言うことは誰も信用しなくなりそうです。
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