まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第30番「如意輪寺」~近畿三十六不動めぐり・21(青の交響曲で吉野へ)

2018年09月15日 | 近畿三十六不動
近畿三十六不動めぐりの初めのほうで、天川村にある龍泉寺を訪ねた。大峯山の麓にあり、大峯山をめぐる修験道の人たちの出発地のような寺である。その同じ吉野郡ではもう一つ、如意輪寺が近畿三十六不動の札所の一つになっている。如意輪寺といえば南北朝の争いの中でも登場するところで、境内に隣り合う形で後醍醐天皇陵もあるところだ。ここも不動明王と関係があるというわけか。

ということで今回は私の地元の近鉄南大阪線から伸びる近鉄吉野線での吉野行きである。ここは普段乗る機会がない特急で行くことにする。そして南大阪線・吉野線となれば、観光特急「青の交響曲」に乗ってみたい。事前に9月15~17日の連休のどこかで空席がないか検索すると、15日の大阪阿部野橋10時10分発の便に空席があった。桜の時季でもない限り、「青の交響曲」以外の南大阪線・吉野線の特急が満席になることはほぼないから、帰りはそのタイミングで出る特急に乗ることにする。

藤井寺からいったん大阪阿部野橋に出る。すでにホームには青色の車体が停車しており、発車準備をしている。観光特急ではあるが、元は通勤型の一般車両を改造したものである。「青の交響曲」に乗るのはこれが2回目で、前回初めて乗った時は「通勤型の改造」というのに少しもどかしいものを感じたのだが、改めて見ると親しみやすさはあるのかなと思う。JRだって、キハ40やキハ47といった「ローカル線用車両」が小じゃれた観光列車に改造されて、鉄道ファンだけではなく一般の旅行者にも楽しみを与えている。

ドアが開き車内に入る。今回1人席を割り当てられているのだが、せっかくなのでまずは2号車のラウンジカーに陣取る。発車前から他の席にも乗客がやって来るが、ラウンジカーの販売は列車が発車してからということでしばらく待つ。

10時10分に発車。今回車内で味わうのは、吉野の地酒の利き酒セット。これから寺参りなのだが少し先のことだし、まずは吉野への旅情を高めようというこじつけである。お猪口が3つ並んだのは猩々、やたがらす、蔵王桜というもので、いずれも飲みやすい。日常通勤で使っている路線の外の景色を眺めながら一献というのは非日常的な感じがする。他の客もスイーツのセットやら、スパークリングなど注文している。こうしたスイーツが評判だからか、女性客の率が多いのもこの列車の特徴と言える。

座席に戻る。ラウンジカーのメニューは座席に持ち込んでもよいので、2人、4人向い合せのテーブルなどではめいめいが購入したものが広げられ、お互いにそれを少しずつシェアする光景も見られる。

列車は奈良県に入り、二上山、葛城山などの山々も見える。当初は15日は雨の予報だったがここまでは何とか持っている。今回は山の中を行くのでできれば雨は降ってほしくない。

橿原神宮前からは単線の吉野線に入る。車窓もぐっと山の風情となり、ローカル色も強くなった。停車駅も増え、そのタイミングで対向する特急や急行と行き違う。下市口で下車する人も結構いるのは、バスに乗り継いで天川村、洞川方面に向かうのだろうか。

吉野川(紀ノ川)を渡る。阿部野橋から吉野まで1時間16分だが、これは他の特急列車のダイヤと変わらない。観光特急とは言いながらも列車に乗り続けるだけではなく、列車を降りたその先を楽しんでもらう役割もあるので、特別に遅く走ったり、長時間停車をすることもなく通常運転である。

吉野に到着。これ以上進めない、どん詰まりの駅である。ここまで来ても天気は何とか持っている。

これから吉野山に入って行くが、そのアクセスとなる吉野山ロープウェイは運休である。2017年4月にゴンドラが駅施設に接触する事故が発生してしまい、その復旧工事のためである。当初は接触したところを修繕すれば運転再開という見込みだったが、その時の調査でワイヤーロープやゴンドラの走行輪の摩耗などが見つかったために工事期間が延び、2018年の桜のシーズンは代行バスでの対応となった。近鉄の駅では2018年夏頃の運転再開を見込むという断り書きのポスターが出ていたが、その時期も過ぎ、このところは再開時期の表記もなくなった。何でも資金難で工事が続かなくなったのだという。また吉野山まで代行バスも出ていたが、そのバスも連休明けの9月18日から10月中旬までは運転を見合わせるとある。ということで、せっかく「青の交響曲」で吉野まで来たのはいいが、その後はタクシーにでも乗るか歩いて上がるしかないわけだ。

今回訪ねた時は代行バスが発車を待っていたが、そのまま歩いて上がる。閉鎖されたロープウェーの吉野駅の横を過ぎ、舗装の七曲坂と未舗装、階段の近道を組み合わせて上る。金剛杖は持っていないが、四国八十八所めぐりではよくあるパターンの上り道である。15分ほどで山上のメインストリートに出た。

時刻は12時前。先に食事にしてもいいのだが、せっかく来たのだからまずは吉野山の中心である金峯山寺(蔵王堂)にお参りすることにしよう・・・。
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