まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良13番「法隆寺」~神仏霊場巡拝の道めぐり・129(聖徳太子・・・)

2025年03月05日 | 神仏霊場巡拝の道

2月22日、神仏霊場巡拝の道は午後になり、この日2ヶ所目となる法隆寺に向かう。王寺からJR大和路線で1駅、王寺に向かってもよいのだが、駅からはそれなりに歩く。先ほど信貴山朝護孫子寺に行く同じ乗り場から法隆寺方面へのバスが出ており、これまで乗ったことがないバスルートで行ってみよう。

国道25号線に合流し、王寺駅から20分弱で法隆寺前に到着。ここから、松並木の参道を歩く。

法隆寺に来るのはいつ以来だろうか・・というくらい久しぶりである。子どもの時は遠足で来たり、家族で来たりはしたが、逆に大人になってからはいつ来たかな?というものである。少なくとも、このブログで取り上げている関西の札所めぐりで登場するのは初めてである。

法隆寺といえば・・歴史の教科書では必ず取り上げられるところであり(あ、でも最近の歴史の教科書では「聖徳太子」という言葉は出てこないから、法隆寺もどうなのだろうか)、今さら解説することもないだろうが、これまでの観音霊場や薬師霊場、不動尊霊場では全く登場しなかった寺院である。聖徳太子が創建したと伝わる寺院はいくつもあるが、その中の一つである四天王寺がいくつもの札所めぐりのスポットとなっているのとは対照的である。境内の雰囲気も対照的だ。

南大門をくぐると西院伽藍のそうそうたる建物が出迎える。外国人観光客の姿も目にするが、京都や奈良の中心部のようにインバウンドの連中が我が物顔に幅を利かせるというのとは一線を画しているように思う。

そこに、平山郁夫が揮毫した「日本最初 世界文化遺産」の石碑である。法隆寺が日本初の世界文化遺産として姫路城とともに登録されたのは1993年。世界最古級の木造建造物であること、また仏教文化を現代に伝えていることが評価されてのことである。当然そこには日本に仏教を定着させようとした聖徳太子の思いも受け継がれている。

まずは伽藍を拝観しよう。法隆寺の拝観料だが、西院伽藍、大宝蔵院、そして夢殿がある東院伽藍の共通で1500円。共通といっても例えば西院伽藍だけなら1000円・・というものではなく、セット券のみである。

・・・なお、私が訪ねた2月22日はこの料金だったが、翌週の3月1日から2000円と一気に値上げとなった。確かに広大な境内の維持には必要なのかもしれないが、さすがに一寺院の拝観に2000円という事態に対して、参詣に二の足を踏む人もいるのではないかと心配する・・。

拝観料が気になるとはいえ、やはり伽藍の中に入り、五重塔をはじめとした建物を見るとうなるばかりである。法隆寺は聖徳太子が創建したとされるが、その後火災により焼失。現在の伽藍はその後の再建である。それでも、往年の様式を伝えていることには変わりない。五重塔の最下層の扉からは、心柱を囲む形で釈迦の説話の場面を表現した塑像を観ることができる。

五重塔の東に建つ金堂へ。釈迦三尊像を祀る法隆寺最古の建物で、実質ここが本堂といえる。

奥の大講堂に向かう。大講堂の前から振り返ると、五重塔、中門、金堂というこちらもそうそうたる景色が広がる。大講堂には薬師三尊像が祀られている。

しばらく大講堂にいたが、外に出ると何と雪が舞っていた。この日(2月22日)は関西の天気も不安定との予報だったが、まさか雪になるとは・・。

伽藍を後にして、隣接する聖霊院へ。こちらは後の聖徳太子信仰の高まりにより鎌倉時代の建立だが、国宝に指定されている。聖徳太子を中心に、山背大兄王や高句麗の恵慈法師などが祀られている。聖徳太子関連の行事や法要はここ聖霊院で行われるのだという。

法隆寺の朱印はここ聖霊院での受付である。墨書は「以和為貴」。聖徳太子が定めた「憲法十七条」の第一条に記された文字である。和を以て貴しと為す・・・現在のような混沌とした、不安な世情を鑑みても、改めてこの言葉が持つ意味も大きいのではないかと思う。

先ほど訪ねた信貴山朝護孫子寺もそうだったが、聖徳太子も関係した歴史がある寺院は全国のあちらこちらにある。確かに後の世における聖徳太子信仰によるところも大きいのだろう、ただ一方、近年に「聖徳太子は実在しなかった」という説が幅を利かせ、現在の学校では「聖徳太子」という人物については教えないのだという。

歴史の教科書はその時代によって都合よく書き換えられるのだが、聖徳太子もその渦中の一人といえるだろう。昭和には数種類の紙幣の肖像画にも選ばれた聖徳太子だが、令和の現在では「厩戸王」という、その辺のおっさんの一人の扱いでしかないそうだ。

なぜ、そうなるかな・・・。ようわからん。

法隆寺はこの先、大宝蔵院、夢殿を含む東院伽藍があるが、次に訪ねた中宮寺と合わせてまとめることにする・・・。

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