ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

怪しいお祝い

2009年05月10日 | 家族とわたし
奇々怪々な文字が、インスタントメッセージで送られてきました。息子Tからでした。
「Imi fumei(意味不明)!」と書くと、「A! Haha no hi arigatou tte nihongo de kaita(あ、母の日ありがとうって日本語で書いた)」……

携帯に見た事のない知らない番号から電話がかかってきました。
訝しく思いながらもとりあえず出ると息子Kでした。「あ、オレです、今日は母の日ってことで、ちょっと電話かけとこかと思いまして、どうも」……

ふたりとも、忘れずにいてくれてありがとう。けど……怪しすぎてもうちょっとで無視するとこやったやんか。



今日は二週間に一度の、日本食材の仕入れ日でした。例のごとく、ミツワ→トレーダージョーズ→コリアンマーケットの3店に行きました。
最後のコリアンマーケットの出口付近で、この一輪のカーネーションをいただきました。

日本の母とアメリカの母に、スカイプと電話で感謝の気持ちを伝えました。
家の前庭では、ジム&ドグ兄弟が、昨日の続きの作業に没頭していました。
家の裏の秘密の花園で、きれいに晴れた5月の夕暮れ時を楽しんでいると、リズがやってきました。
「この家から、花でも木でも、持って行きたいのがあったら持ってってね」
「ありがとうリズ」
「百合もチューリップも、あ、この木は枝を折って土にブチュッと差し込んだら根付くよ」と言って、庭の周りを囲むようにして生えている木を指差す彼女。

とりあえず、小さな花壇に植えたスズランや百合やあじさいはそのまま残しておこうと思っています。ただ……、
「あのねえリズ、まうみが一番持って行きたいのはなにか知ってる?もみじだよ、この家の周りをぐるりと囲んでる日本もみじ」
なにを言い出すか、この男!そんな無茶なお願いしようなんて思てないのに!

わたしは慌てて椅子から立り上がり、リズの腕を掴んで花壇の隅に行きました。
そこには、三年間、わたしなりに大切に育てたもみじの小さな木があるのです。
それは、三年前にリズからもらった、老木もみじの根元から生まれた赤ちゃんもみじなのでした。
「これは持ってっていい?」とわたし。
「え?もっちろん!あ、それだったらもっとおっきなのがあるわ、ちょっとちょっと」と、今度はわたしがリズに引っ張られる番。
家の右側の、葉の大きな方の日本もみじの若者が三本、でもこんな立派なのをいただくなんて……ちょっと気がひけるなあ……。
「この子達は、ここに生えるべきではないんだから。もみじが大好きなまうみに愛でてもらえる方がきっと幸せだしね」
あ~も~夢みたいです!
でも、下手に引っこ抜いて根を傷つけたりしたら大変です。わたしの胸の辺りまで背が伸びているのだから、きっと根もしっかり張っているでしょう。
どうしたらいいのかなあ……専門の人にお願いした方がいいのかなあ……。
旦那はネットでいろいろ調べて自分達ですると言っています。さて、うまくいきますかどうか。


母の日に、プレゼントなんてなんにもいりません。健康に、無事に、生きてくれてさえいれば、それがなによりの贈り物です。
こんな生きにくい世の中で、一日一日を無事に終えていくことの奇跡と幸運は、本当にどんなに感謝してもし足らないものだと思います。
息子たちよ、わたしが引き継いだもみじの木が、どんどん育って枝を伸ばしていく様を、わたしの後もずっと見守っていけるよう、
体と心を大切に、感謝の気持ちを忘れずに、これからもうんと長生きして、頑固でもいちびりでもおとぼけでもなんでもいいから、ふたり揃って爺さんになってね。
コメント (8)
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