Tが友人S君の車に便乗して家に戻ってきたのは先週の水曜日の夜12時。
御年19才の大御所フェアレディが奇妙なストライキを始めてしまったので、急きょ、アパートの同居人S君がNYに遊びに行くってんで乗せてもらったようです。
そしていつものごとく、予定をはっきり伝えてこないT。今回は、急にキャンセルになった東京でのジョブフェアのことなどもあって、もっとはっきりしません。
おぼろげながら、風の便りのように、ふとした拍子にボソボソっと聞こえてくる、しかも本人ではなく、旦那やKやS君の独り言をより集めて情報を得るわたし……。
どうして本人に直接聞かないのって?
だって……本人に聞いても、その本人が分かってなかったり決めてなかったりするんですもん……ブツブツ……。
んで、今回はどうも、かなり短期の滞在で、インターネットで受けるつもりだった大学の講義をやめて、普通にクラスに通うため、また大学に戻るらしい。
んで、別の、今現在のところは中止になっていないジョブフェアに行くために、7月のはじめに東京に行くらしい、なんてことが徐々に分かってきました。
講義は祝日の25日の翌日から始まります。たったの6日しか居られへんやん……でもまあ仕方がありません。
彼こそが日本のヒステリックな行動に振り回されている当人で、本当は五週間、ここでゆっくり過ごし、6月の末からのジョブフェアに挑むはずだったんですから。
帰省した翌日の木曜日は朝からふたりでマンハッタンに行き、タップダンスがうまくてNYの有名なダンスシアターから引き抜かれたというS君の友人と一日中遊び、
昨日の金曜日、S君は再びマンハッタンにストンプのショーを観に行き、Tはいつも髪をカットしてもらっている日本人美容師さんのお店に行く予定になっていました。
旦那の仕事が軽い日だったので、せっかくみんなもいることだし、チキンと野菜のバーベキューでもしようかということになり、せっせと用意し出したところ、
Tあ~、Sは今夜はまた遅いかも~。僕はいるけどさ~。あ、でも帰ってくるの7時半過ぎるかも。そりゃそうと今日って何曜日?えぇっ?!金曜日っ?!。
Kえ?僕はこれからですね、友達んちにちょっと……あ、夕飯食いには戻って参ります。んで、食ってからクィーンズに行って2、3日お泊まり~なんちゃって。
君達ねえ……。
いえね、別にね、バーベキューは我々がしたくてやってるわけで、だからいいんですけどね。
旦那は庭に出てせっせと火を起こし、わたしは鶏肉を醤油&みりん&ニンニクタレにつけ込み、野菜をザクザクと切り、皆が揃う時間に合わせて準備しました。
8時前には全員が揃い、ビールとワインで乾杯。やっぱ外でいただく夕餉はうまい!もしかしたら、家族揃ってこの庭で食べるのはこれで最後かもね。
お腹がいっぱいになりましたが、揃いついでに、かの有名な『ホースティン』に行って、アイスクリームを食べることにしました。
レストラン界隈は、表で食べるお客さんで大にぎわい。まさに夏が来た!という感じです。
Kはストロベリーアイスクリーム&ブラウニーサンデー、Tはミントチョコ、旦那はコーヒーアイスクリーム、わたしはメイプルウォールナッツ、
周りのテーブルの巨大なチョコレートサンデーやLサイズのアイスクリームの三段重ねなどを横目で見ては、やっぱこの国はおかしい……と蘊蓄たれたれ食べる我ら。
アメリカン胃拡張激賞レストランは、これからも続きます。
さて、家に戻り、台所を片付けながら、「明日の土曜日はミツワデーやから、あんたも行きたかったら一緒にどう?」とTに聞くと、
「おぅ!あそこで買いたいもんあるから行く行く!あ、多分Sも絶対行きたいやろから、一緒に行く」
よし、じゃあ、いろいろ買って、明日はかあちゃんが腕を振るって美味しいもんを食べさせたるけんね~。
メニューをあれこれ考えながらパソコンを検索していると、S君がマンハッタンから戻ってきました。
「おかえり。あのさ、明日ミツワにおかんが行くけど、一緒に行く?」
「え?明日僕たち帰るんだよ」
「げげっ!明日やったんかぁ!」
いったいどないしたら、こんなにすっとぼけた男ができるんでしょか?
今朝早く起きて、Tが洗濯しようと持ち帰ったまま未洗いの山をせっせと洗濯し、冷蔵庫の中の物で作れる唯一のおかず、いつものひじきの煮物を作りました。
わたしって甘いなあ……と思いつつ、ドライブのお伴のおにぎりを握りながら、もっといろいろ作って食べさせてあげたかったとくよくよ思うわたし。
今日はお昼からミツワに行き、好きなもん食べてええからとお金を渡すと、ふたりが選んだのはラーメン。かわいらしいもんです。
食べ終わって再び、好きなもんカゴに入れてええから、買ったげるから!と豪語すると、「ママァ~」と叫んだのはS君……どいつもこいつも……。
しばらく店の中を回ったTのカゴの中には、ベビースターラーメンの小袋5パックと缶コーヒーがちんまり入っておりました。もうちょっとええもん買えよぉ~。
母は無理矢理、味付け海苔やら納豆やらを押しつけ、ご飯ちゃんと炊いて食べなあかんで~とプチ説教をたれたのでありました。
ミツワでお別れ。名残惜しい気持ちをぐっと隠し見送る母に、明るくさよならを言う息子TとS君。窓越しに握手して別れました。
往復1500キロメートルもの距離を運転してきて、たったの3日泊まるだけだったんだね君達……。
そろそろ着いたかなあ……と思っていたら、ついさっき電話がかかってきました。
「おかあさん、あのさあ、エンジンランプがついててさ、なんかオイルみたいなんが漏れてるねんけど、これってヤバい?」
「どっからかけてるん?」
「あ、あともう1時間半ぐらいで着く場所にあるマクドの駐車場」
「……そんなん聞かれてもわたしにゃ分からん」
旦那曰く、エンジンが爆発して燃える、みたいなことにはならへんと思うけど、エンジン自体がかなりヤバいっぽいから、そっちの方が大変ちゃう?だそうで、
もぉ~!どないする~ん!
そしてまたさっき電話がかかってきました。
「オイルの位置がかなり低かったからオイル足して走ってみる」そうな。
大丈夫かなあ……心配そうな顔したわたしを見て旦那が言いました。
「なに心配してんの?あいつらの方がよっぽどまうみより車には詳しいねんから。もし止まってしもたらモーテルに泊まったらええんやし。そりゃ面倒くさいけど、もうふたりとも大人なんやから、まうみから離れて生きてるんやから。じゃ、ボクはもう寝るよん。おやすみぃ~」
まったく……どいつもこいつも……息子ってのはほんとに……
追伸
今、0時45分です。ついさきほど、無事に着いたと、Tから電話がかかってきました。これでわたしも安心して眠れます。おやすみなさい。
御年19才の大御所フェアレディが奇妙なストライキを始めてしまったので、急きょ、アパートの同居人S君がNYに遊びに行くってんで乗せてもらったようです。
そしていつものごとく、予定をはっきり伝えてこないT。今回は、急にキャンセルになった東京でのジョブフェアのことなどもあって、もっとはっきりしません。
おぼろげながら、風の便りのように、ふとした拍子にボソボソっと聞こえてくる、しかも本人ではなく、旦那やKやS君の独り言をより集めて情報を得るわたし……。
どうして本人に直接聞かないのって?
だって……本人に聞いても、その本人が分かってなかったり決めてなかったりするんですもん……ブツブツ……。
んで、今回はどうも、かなり短期の滞在で、インターネットで受けるつもりだった大学の講義をやめて、普通にクラスに通うため、また大学に戻るらしい。
んで、別の、今現在のところは中止になっていないジョブフェアに行くために、7月のはじめに東京に行くらしい、なんてことが徐々に分かってきました。
講義は祝日の25日の翌日から始まります。たったの6日しか居られへんやん……でもまあ仕方がありません。
彼こそが日本のヒステリックな行動に振り回されている当人で、本当は五週間、ここでゆっくり過ごし、6月の末からのジョブフェアに挑むはずだったんですから。
帰省した翌日の木曜日は朝からふたりでマンハッタンに行き、タップダンスがうまくてNYの有名なダンスシアターから引き抜かれたというS君の友人と一日中遊び、
昨日の金曜日、S君は再びマンハッタンにストンプのショーを観に行き、Tはいつも髪をカットしてもらっている日本人美容師さんのお店に行く予定になっていました。
旦那の仕事が軽い日だったので、せっかくみんなもいることだし、チキンと野菜のバーベキューでもしようかということになり、せっせと用意し出したところ、
Tあ~、Sは今夜はまた遅いかも~。僕はいるけどさ~。あ、でも帰ってくるの7時半過ぎるかも。そりゃそうと今日って何曜日?えぇっ?!金曜日っ?!。
Kえ?僕はこれからですね、友達んちにちょっと……あ、夕飯食いには戻って参ります。んで、食ってからクィーンズに行って2、3日お泊まり~なんちゃって。
君達ねえ……。
いえね、別にね、バーベキューは我々がしたくてやってるわけで、だからいいんですけどね。
旦那は庭に出てせっせと火を起こし、わたしは鶏肉を醤油&みりん&ニンニクタレにつけ込み、野菜をザクザクと切り、皆が揃う時間に合わせて準備しました。
8時前には全員が揃い、ビールとワインで乾杯。やっぱ外でいただく夕餉はうまい!もしかしたら、家族揃ってこの庭で食べるのはこれで最後かもね。
お腹がいっぱいになりましたが、揃いついでに、かの有名な『ホースティン』に行って、アイスクリームを食べることにしました。
レストラン界隈は、表で食べるお客さんで大にぎわい。まさに夏が来た!という感じです。
Kはストロベリーアイスクリーム&ブラウニーサンデー、Tはミントチョコ、旦那はコーヒーアイスクリーム、わたしはメイプルウォールナッツ、
周りのテーブルの巨大なチョコレートサンデーやLサイズのアイスクリームの三段重ねなどを横目で見ては、やっぱこの国はおかしい……と蘊蓄たれたれ食べる我ら。
アメリカン胃拡張激賞レストランは、これからも続きます。
さて、家に戻り、台所を片付けながら、「明日の土曜日はミツワデーやから、あんたも行きたかったら一緒にどう?」とTに聞くと、
「おぅ!あそこで買いたいもんあるから行く行く!あ、多分Sも絶対行きたいやろから、一緒に行く」
よし、じゃあ、いろいろ買って、明日はかあちゃんが腕を振るって美味しいもんを食べさせたるけんね~。
メニューをあれこれ考えながらパソコンを検索していると、S君がマンハッタンから戻ってきました。
「おかえり。あのさ、明日ミツワにおかんが行くけど、一緒に行く?」
「え?明日僕たち帰るんだよ」
「げげっ!明日やったんかぁ!」
いったいどないしたら、こんなにすっとぼけた男ができるんでしょか?
今朝早く起きて、Tが洗濯しようと持ち帰ったまま未洗いの山をせっせと洗濯し、冷蔵庫の中の物で作れる唯一のおかず、いつものひじきの煮物を作りました。
わたしって甘いなあ……と思いつつ、ドライブのお伴のおにぎりを握りながら、もっといろいろ作って食べさせてあげたかったとくよくよ思うわたし。
今日はお昼からミツワに行き、好きなもん食べてええからとお金を渡すと、ふたりが選んだのはラーメン。かわいらしいもんです。
食べ終わって再び、好きなもんカゴに入れてええから、買ったげるから!と豪語すると、「ママァ~」と叫んだのはS君……どいつもこいつも……。
しばらく店の中を回ったTのカゴの中には、ベビースターラーメンの小袋5パックと缶コーヒーがちんまり入っておりました。もうちょっとええもん買えよぉ~。
母は無理矢理、味付け海苔やら納豆やらを押しつけ、ご飯ちゃんと炊いて食べなあかんで~とプチ説教をたれたのでありました。
ミツワでお別れ。名残惜しい気持ちをぐっと隠し見送る母に、明るくさよならを言う息子TとS君。窓越しに握手して別れました。
往復1500キロメートルもの距離を運転してきて、たったの3日泊まるだけだったんだね君達……。
そろそろ着いたかなあ……と思っていたら、ついさっき電話がかかってきました。
「おかあさん、あのさあ、エンジンランプがついててさ、なんかオイルみたいなんが漏れてるねんけど、これってヤバい?」
「どっからかけてるん?」
「あ、あともう1時間半ぐらいで着く場所にあるマクドの駐車場」
「……そんなん聞かれてもわたしにゃ分からん」
旦那曰く、エンジンが爆発して燃える、みたいなことにはならへんと思うけど、エンジン自体がかなりヤバいっぽいから、そっちの方が大変ちゃう?だそうで、
もぉ~!どないする~ん!
そしてまたさっき電話がかかってきました。
「オイルの位置がかなり低かったからオイル足して走ってみる」そうな。
大丈夫かなあ……心配そうな顔したわたしを見て旦那が言いました。
「なに心配してんの?あいつらの方がよっぽどまうみより車には詳しいねんから。もし止まってしもたらモーテルに泊まったらええんやし。そりゃ面倒くさいけど、もうふたりとも大人なんやから、まうみから離れて生きてるんやから。じゃ、ボクはもう寝るよん。おやすみぃ~」
まったく……どいつもこいつも……息子ってのはほんとに……
追伸
今、0時45分です。ついさきほど、無事に着いたと、Tから電話がかかってきました。これでわたしも安心して眠れます。おやすみなさい。