旦那の両親が、誕生日の祝いに、お腹にお寿司と天ぷらを、心にオペラをご馳走してくれました。
「どこでもいいから、今回は誕生日だし、特別にアップスケールのお店を予約していいよ」と父から言ってもらい、
ほんじゃ~とばかりに『NOBU』なんかどうでっしゃろ?と息子である旦那に聞くと、
「あんなあ、なんぼアップスケールやからって、頼んでええとことあかんとこがあることぐらいわかるっしょ?」と、思いっきり呆れられ……(どんな嫁?)、
ほなまあ、我々にとってのアップスケール(お寿司のセットが20ドルってのが30ドルぐらいになるところ)を狙って探しました。
お店の名前は『寿司田』49ストリートの6アベニューと5アベニューの間の、こんなたっかいビルの一階にあります。
近くには、クリスマスの時期になると必ず家族連れでにぎわう、ラジオシティの劇場がありました。
あ~だこ~だと言いながら料理を注文し終えた頃、『NOBU』『MASA』に父が何回行ったことがあるのか、という話になり、案の定何回か行ったという答が返ってきて、「だからまうみも『NOBU』って言ってくるかと思ってた」と父……。
ピンポ~ン!大当たり!
けどな、あなたの息子がね、そんなド厚かましいって止めてんやん!と心の中で叫んでると、
「いや、実は、まうみは思いっきりそのつもりやってんけど、ボクが止めた」と自慢気な旦那。
「まあそりゃ、実際の話、ここだと私の方も助かるけどね」と父。
はい、すんません、反省します。
ところがところが、料理を注文するという時になって、ビールに冷酒、ほんでもって四段階の上から二番目の寿司を頼んだんは誰やねんっ!
おい、そこの息子っ!今日は誰の誕生日やねんっ!
わたしが旦那を一年かけて説得して、やっとこさ一緒になるところにまでこぎ着けた時、旦那の両親は54才なのでした。
とうとうわたしがその年になったんだなあ~と、時の流れをしみじみと感じながら飲む冷酒『男山』は、また格別の味がしました。
メトロポリタン劇場までの途中に、父がマンハッタンに来るとよく行く、ザ・タイム・ワーナー・センターというビルの中のホール・フーズをちょいと見学。
エスカレーターを降りて行くと、入り口があります。
歩きながら撮ったのでピンぼけですが、『ようこそ』と日本語で書かれていました。
おんなじホール・フーズでも、我々が行く町のちっちゃなのとはかなり雰囲気がちゃいました。多分値段もちゃうやろなあ~。
久しぶりだわ~メトちゃん!
今日のお席は、もしうちが自腹を切って行くとしたら、家族4人の合計でも絶対に払いたくない金額が、たった1人分のチケットにくっきり打ち込まれていました。
父よ、ほんっとにありがとうございます!
今夜のオペラは『カプリッチオ』。
R・シュトラウスの最晩年、78歳の頃(1942年)に作曲された最後のオペラです。
彼が、自身の芸術的な『遺書』と評した作品なのだそうです。
オペラというよりは、ああだこうだと論議する大人達の言葉に、メロディとハーモニーがつけられた、みたいな感じ。
そして、舞台上の6人の大人達が論議するテーマは、オペラにおいて、音楽と詩のどちらが優先されるべきか、というもの。
甲乙つけがたい、どちらもそれぞれに魅力があり、大切で、かけがえのないものですが、
ひとりの美しい未亡人に恋をする、音楽(音楽家)と詩(詩人)のふたりの青年が、「僕たちのうちからひとりを選んでくれなきゃ困る」と、熱烈に求愛していることと絡めて、さあどっち?という話を延々と繰り広げていくのです。
だから言葉が多いったらありません。
ずっと出ずっぱりのソプラノ歌手ルネ・フレミングさん、シンプルなアリアも無いし、オケの音楽もとても繊細に、かつ大胆に、複数のメロディやリズムを織り込みながらいろんな方向にどんどん流れていくし、
おまけに出演者が各々好きなように歌ったり演技したり、これまたあちらこちらで同時に違う演技が進んでいったりして、
なので、よくもまあ覚えられたものだと、そんなしょーもないことで感心すんな!って叱られそうなんですが、感心しながら聞いていました。
そんなわけで、休憩なし、全曲約2時間20分の作品だったのですが、全く退屈しませんでした。
オケの扱いも大編成の割には室内楽風でかなり地味。でも、後半に進むに従って、じわじわと響きを深めていき、気がつくとぐいぐい引き込まれていました。
そして劇自体の意味合いも。途中あちこちにコミカルな要素をキラキラと光らせながら、気がつくと自分も、オペラによるオペラ論の輪の中にすっかり入っているのでした。
でも、基本的に地味なのは苦手なアメリカン。なので、メトでも長らく上演されず、初演は何と1998年だったそうです!
今回は初演以来の上演で、本日でやっとこさまだ両手で数えられるぐらいです。
このオペラの中心となる伯爵夫人役、メト初演時はキリ・テ・カナワが演じましたが、今回はルネ・フレミング。
父は彼女にぞっこんなのです。まあ、彼女に惚れないオペラ好きさんはいないでしょうが……。
今回の、しゃべりまくっているような曲想が、彼女に合っているかどうかは、オペラに詳しくないわたしにはわからないけれど、特に最後の聞かせどころのモノローグの、ピアニッシモのハイトーンは鳥肌ものでした。
カーテンコールで「ブラボー!」の合唱を受けるフレミングさん。
ごつんごつんと、大きな贈り物を両親からいただいて、心もお腹もすっかり満腹。
拓人は仕事場からチャットで、夜には電話でお祝いを言ってくれました。
明後日の日曜日に、行きつけの焼き肉屋さんでおごってくれるのだそうです。かたじけない!
旦那は朝早くからパン屋さんに行き、わたしの一番のお気に入りのレーズン&ウォールナッツパンの焼きたてと花、そしてアーモンドチョコをふたつ(←誕生日出血大サービス!)を買ってきてくれました。
恭平は……「あ、今日は誕生日でした……っけね……でしたね……ははは……」げんこつかましたりました。
今年も元気に無事に、54回目の誕生日を迎えることができました。
家族と友と天に感謝!
「どこでもいいから、今回は誕生日だし、特別にアップスケールのお店を予約していいよ」と父から言ってもらい、
ほんじゃ~とばかりに『NOBU』なんかどうでっしゃろ?と息子である旦那に聞くと、
「あんなあ、なんぼアップスケールやからって、頼んでええとことあかんとこがあることぐらいわかるっしょ?」と、思いっきり呆れられ……(どんな嫁?)、
ほなまあ、我々にとってのアップスケール(お寿司のセットが20ドルってのが30ドルぐらいになるところ)を狙って探しました。
お店の名前は『寿司田』49ストリートの6アベニューと5アベニューの間の、こんなたっかいビルの一階にあります。
近くには、クリスマスの時期になると必ず家族連れでにぎわう、ラジオシティの劇場がありました。
あ~だこ~だと言いながら料理を注文し終えた頃、『NOBU』『MASA』に父が何回行ったことがあるのか、という話になり、案の定何回か行ったという答が返ってきて、「だからまうみも『NOBU』って言ってくるかと思ってた」と父……。
ピンポ~ン!大当たり!
けどな、あなたの息子がね、そんなド厚かましいって止めてんやん!と心の中で叫んでると、
「いや、実は、まうみは思いっきりそのつもりやってんけど、ボクが止めた」と自慢気な旦那。
「まあそりゃ、実際の話、ここだと私の方も助かるけどね」と父。
はい、すんません、反省します。
ところがところが、料理を注文するという時になって、ビールに冷酒、ほんでもって四段階の上から二番目の寿司を頼んだんは誰やねんっ!
おい、そこの息子っ!今日は誰の誕生日やねんっ!
わたしが旦那を一年かけて説得して、やっとこさ一緒になるところにまでこぎ着けた時、旦那の両親は54才なのでした。
とうとうわたしがその年になったんだなあ~と、時の流れをしみじみと感じながら飲む冷酒『男山』は、また格別の味がしました。
メトロポリタン劇場までの途中に、父がマンハッタンに来るとよく行く、ザ・タイム・ワーナー・センターというビルの中のホール・フーズをちょいと見学。
エスカレーターを降りて行くと、入り口があります。
歩きながら撮ったのでピンぼけですが、『ようこそ』と日本語で書かれていました。
おんなじホール・フーズでも、我々が行く町のちっちゃなのとはかなり雰囲気がちゃいました。多分値段もちゃうやろなあ~。
久しぶりだわ~メトちゃん!
今日のお席は、もしうちが自腹を切って行くとしたら、家族4人の合計でも絶対に払いたくない金額が、たった1人分のチケットにくっきり打ち込まれていました。
父よ、ほんっとにありがとうございます!
今夜のオペラは『カプリッチオ』。
R・シュトラウスの最晩年、78歳の頃(1942年)に作曲された最後のオペラです。
彼が、自身の芸術的な『遺書』と評した作品なのだそうです。
オペラというよりは、ああだこうだと論議する大人達の言葉に、メロディとハーモニーがつけられた、みたいな感じ。
そして、舞台上の6人の大人達が論議するテーマは、オペラにおいて、音楽と詩のどちらが優先されるべきか、というもの。
甲乙つけがたい、どちらもそれぞれに魅力があり、大切で、かけがえのないものですが、
ひとりの美しい未亡人に恋をする、音楽(音楽家)と詩(詩人)のふたりの青年が、「僕たちのうちからひとりを選んでくれなきゃ困る」と、熱烈に求愛していることと絡めて、さあどっち?という話を延々と繰り広げていくのです。
だから言葉が多いったらありません。
ずっと出ずっぱりのソプラノ歌手ルネ・フレミングさん、シンプルなアリアも無いし、オケの音楽もとても繊細に、かつ大胆に、複数のメロディやリズムを織り込みながらいろんな方向にどんどん流れていくし、
おまけに出演者が各々好きなように歌ったり演技したり、これまたあちらこちらで同時に違う演技が進んでいったりして、
なので、よくもまあ覚えられたものだと、そんなしょーもないことで感心すんな!って叱られそうなんですが、感心しながら聞いていました。
そんなわけで、休憩なし、全曲約2時間20分の作品だったのですが、全く退屈しませんでした。
オケの扱いも大編成の割には室内楽風でかなり地味。でも、後半に進むに従って、じわじわと響きを深めていき、気がつくとぐいぐい引き込まれていました。
そして劇自体の意味合いも。途中あちこちにコミカルな要素をキラキラと光らせながら、気がつくと自分も、オペラによるオペラ論の輪の中にすっかり入っているのでした。
でも、基本的に地味なのは苦手なアメリカン。なので、メトでも長らく上演されず、初演は何と1998年だったそうです!
今回は初演以来の上演で、本日でやっとこさまだ両手で数えられるぐらいです。
このオペラの中心となる伯爵夫人役、メト初演時はキリ・テ・カナワが演じましたが、今回はルネ・フレミング。
父は彼女にぞっこんなのです。まあ、彼女に惚れないオペラ好きさんはいないでしょうが……。
今回の、しゃべりまくっているような曲想が、彼女に合っているかどうかは、オペラに詳しくないわたしにはわからないけれど、特に最後の聞かせどころのモノローグの、ピアニッシモのハイトーンは鳥肌ものでした。
カーテンコールで「ブラボー!」の合唱を受けるフレミングさん。
ごつんごつんと、大きな贈り物を両親からいただいて、心もお腹もすっかり満腹。
拓人は仕事場からチャットで、夜には電話でお祝いを言ってくれました。
明後日の日曜日に、行きつけの焼き肉屋さんでおごってくれるのだそうです。かたじけない!
旦那は朝早くからパン屋さんに行き、わたしの一番のお気に入りのレーズン&ウォールナッツパンの焼きたてと花、そしてアーモンドチョコをふたつ(←誕生日出血大サービス!)を買ってきてくれました。
恭平は……「あ、今日は誕生日でした……っけね……でしたね……ははは……」げんこつかましたりました。
今年も元気に無事に、54回目の誕生日を迎えることができました。
家族と友と天に感謝!