ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

たかが水、されど水

2011年04月21日 | ひとりごと
京都ジャーナルに投稿された、我らが友人、ステュアートのエッセイ

彼は大津市在住の、京都の大学教授。
日本暮らしはもう長く、もちろん日本語もペラペラ。わたしのようにガサツでない美人の日本人女性のエッちゃんと、今も仲良く琵琶湖の南湖畔の近くで暮らしている。

彼も、多くの人達同様、今回の震災と津波、それから原発事故のトリプル災難に襲われた東北地方の方々のために心を痛め、鬱々とした毎日を送っていたのだろう。
ええいっとばかりに、こんなエッセイを書いてくれた。
先日の朝、トーストをかじっているわたしに、旦那がそれをパソコンで検索して読ませてくれた。
久しぶりに、大きな声で笑った。
このジョークは、残念ながら、同じような状況を経験した者でないと、そこまで可笑しくはないかもしれない。
でももし、
夫がアメリカ人で、日本にある程度長く住み、その間に言語や文化の理解に励み、日本語に堪能であり、
そして妻は日本人で、夫はアメリカ人であるけれど、日本語をちゃんと理解し、普通の会話なら平気でできると安心しているカップルならば、
このジョークが可笑しいだけのみならず、あるあるぅ~!と膝を叩いて大喜びしたくなるはず。


では、わたしのハチャメチャ翻訳と一緒にお楽しみください。

Etsuko comes home from work on a bone-chilling winter's evening to find me cooking a nice Italian dinner. “The bath is ready!" I tell her. "Why not hop in before we eat?" She does, and a moment later she screams loudly in distress.
骨の髄までしみるほどの、冬のある寒い夜のことだった。
僕がうまいイタリアンの夕食を作っている時に、妻のエツコは家に帰ってきた。
「お風呂、沸いてるよ!」
僕は彼女にそう言った。
「ご飯の前にあったかい風呂に浸かりなよ」
体が冷えきっていた彼女はもちろんそうした。
そしてそのすぐ後に、彼女は大声で悲愴な叫び声を上げた。

“What's wrong?!” I call out.
「どうしたんだ?!」僕も叫んだ。

“It's WATER!!!" she replies in English.
「お水じゃないのこれっ!!!」と、彼女は英語で答えた。

I am puzzled.
僕は混乱した。

“What did you expect," I ask her, "milk?!”
そしてこう言ってやった。
「いったいなにを期待してんだ?は?ミルク風呂か?!」

But then I realize that I have forgotten to turn on the gas and heat the water in the bath; she is freezing!
が、しかし、僕はその時ハタと思い出したんだ。風呂のガスをつけるのを忘れてたことを。
風呂の水はまだ冷たいままだってことを。
彼女は凍えているに違いない!

A moment later Etsuko stands in our tiny kitchen swaddled in a bath towel and robe, shivering and muttering mild obscenities. And her numbskull American husband has the nerve to say, “Why did you say, 'It's water'?"
少しして、バスタオルとバスローブをぐるぐる巻きにした彼女は、我が家の小さな台所にやってきて、ブルブル震えながら、程よく過激な呪の言葉をブツブツつぶやいていた。
そして彼女のとんまなアメリカンの夫は、まるで事態を把握しないまま、憮然としてこう言った。
「どうして『It's water』なんて言ったわけ」

“Cold water is OMIZU," she barks, “and hot water is OYU! I thought you'd understand. Sorry, but the chill was a shock. You try getting into that bath!"
「冷たい水はオミズだからよ!」
ついにぶち切れた彼女は怒鳴った。
「そしてね、熱い水はオユって言うのよ!あなたならそんなことわかってると思った。こんなふうに怒鳴って悪いけど、あの冷たさがどんなにショックだったか……あなたも入ってくるといいわ!」

And now the dimwit husband says, having the decency at least to give her a mug of hot chamomile tea, “Are you telling me that in Japanese you actually consider cold water and hot water to be different things? Not just different versions of the same thing?!”
そこでさらに、脳みその血のめぐりが悪い夫は言ったもんだ。
あったかいカモミール茶が入ったマグを手渡すだけの礼儀はわきまえていたけれど……。
「それってもしかして、まさかとは思うけど、日本語で冷たい水と熱い水は違うって考えてるわけ?ただ同じもんを違うふうに言ってるんじゃなくて?!」

Etsuko nods as she sips. “They are different things, especially in an ofuro (Japanese-style bath)."
エツコはお茶をすすりながらうなずいた。
「そうよ、お水とお湯は全く違うものなのよ。特にお風呂の時はね!」

“But they are both H2O!!" I counter. "That's just ridiculous!"
「でも、お水もお湯も、どっちもH2Oじゃないか!!」僕は言い返してやった。「バカバカしいにもほどがある!」

To which she says, “Did you really graduate from UC Berkeley? What about ICE? What about STEAM? Aren't they both H20 too? You don't call them ROCK water or GAS water, do you?"
すると彼女はこうきたもんだ。
「あなた、本当にあの、名門校UC Berkeleyの卒業生? じゃあ聞きますけどね、氷はどうなの? 蒸気は? どっちもH2Oじゃなかったかしら? ほんでもって、あなた方はそれらのことを、水とか、ガス水とか言わないでしょ?」

And it dawns on me at long last that, in this instance at least, Japanese offers greater precision and specificity than English does, even though Japanese is generally known to be more ambiguous.
そこまできてとうとうわかったことは(少なくともこの件において)、日本語は英語より、より正確で詳細な表現ができる言語であるということだった。たとえ、曖昧さにおいては王様級として知られている日本人であったとしてもだ。

It further occurs to me that I will have a lot to learn as an English teacher in the years to come…
この一件で僕は、この国で英語を教える教師として、この先まだまだたくさんの学ぶべきことがあることを思い知ったのだった。

Quietly, I add a bit of sage to the spaghetti sauce and shake my head in wonder at how much I must not know yet about this beguiling country I presume to call my new home.
これ以上彼女を刺激しないよう、静かに僕は、スパゲティソースにセージをほんの少し加え、おそらく自分にとって新しい故郷になると思われるこの魅力的な国について、まだ知らないでいることがいったい全体どれだけあるのか、そのことに思いを馳せながら、やれやれと頭を横に振った。

庭の春

2011年04月21日 | ひとりごと
黄色は見ているだけで元気をもらえる。


今年のたんぽぽは、いつもより輝いている。


毎年、こんなとこに隠れてたん?とびっくりさせてくれるヒヤシンス。


今年はやっと決心がついて買ったブルーベリーの木。1500円弱なり。元がとれるかしらん?


桜が終わる頃に満開になる梨の花。


戸惑いと怒りと悲しみが渦巻くわたしに、春はなにも言わず、ただ、柔らかく微笑みかけている。

刑事訴訟を起こそう!

2011年04月21日 | 日本とわたし
「国と東電は、避難範囲をこれ以上広げたくない。ましてや『距離よりも風(放射線の拡散で重要なのは、距離ではなく、風向きと地形』という説も絶対採用したくない。
なぜなら、避難範囲を10km広げることで、補償金額は莫大に跳ね上がるからです」

これまでに放出された放射性物質はヨウ素131とセシウム137などで、その量は3月23日の時点で約10万テラ・ベクレル(テラは1兆ベクレル)。
レベル7の基準となる数万テラ・ベクレルをはるかに超えていた。

いま会見などに出てきたり、対処法を検討しているのは、いずれも原発を推進し、大地震・大津波の危険を切り捨ててきた連中だ。
この期に及んでまだ事態を小さく見せようとこざかしい嘘を重ねるのは目に見えている。
こんな顔ぶれがまだ対応に当たっていること事態がおかしくないか。まず全員更迭して、以前から原発の危険を指摘してきた人材で態勢を立て直すのが急務のはず。
その後は刑事訴追などを検討すべきである。

↑以上、あちこちの記事から抜粋しました。


この機会に、大きな整理をすることができたら、日本はきっとまた、甦ることができると思う。
政治も企業も、人材の良し悪し、善悪で、まったく違うものに生まれ変われるのだから。

RUN!!

2011年04月21日 | 日本とわたし
『チェルノブイリ伝説』という、原発事故後の子供達の写真集を紹介してくださった、akinakanoさんの記事を紹介します。

チェルノブイリと福島は全く違う。同じにして考えるのはおかしい。
そんなふうに言って激昂している人達がいます。
確かに、事故そのものの起こり方は全く違います。
けれども、空気や水、土地や海水の汚染、ということについては、チェルノブイリと同格、あるいはそれ以上のものが起こり得る可能性がある、という判定なのだと解釈するのが妥当なんではないでしょうか。

突然にドカンといったチェルノブイリ、じわじわとしみ込み続ける福島。
どちらにしても、細胞分裂の活発な子供達の親御さん、あるいは保護者の方々、そして妊婦の人達、
この記事の中の写真集の中で、苦しむ子供達の姿を、目をそらさずに見てください。
そして、逃げて!逃げてください!