去年の12月12日に、日本で放映されていた番組です。
今朝の学びの時間に偶然見つけて、観ました。
「都市や都市周辺のゴミの方が、よっぽど汚染が深刻なのに」という、がれきの広域処理について書いた記事にコメントしてくださった方の言葉を思い出しました。
この『都市濃縮』について、知ったような気でいましたが、自分の認識度の低さを反省するためにも、文字起こしをしてみました。
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クローズアップ現代 2011/12/12
知られざる放射能『都市濃縮』
松戸市の人工河川、柏市の南部クリーンセンター、首都圏の焼却灰が次々に返却された
原発事故で、各地に広がった放射性物質。
福島から遠く離れた、首都圏のごみ焼却場で、新たな脅威を引き起こしています。
ごみに含まれる放射性物質が、最新の焼却施設によって灰に濃縮され、高い放射線量が検出されているのです。
埋め立てることすらできない焼却灰が、増え続けています。
「もういっぱいいっぱいの状態です」
首都圏のベッドタウンでも、異変が起きています。
雨水を、効率よく集めるために造られた人工の河川で、高い放射線量が検出されています。
今、都市特有の、放射性物質の濃縮が起きているのです。
「研究者の中でも、なかなか想像がつかなかった事態が、今まさに、現在進行形で起きていると」
原発事故から9か月を経て、都市が突きつけた新たな課題。
放射能とどう向き合えばいいのか考えます。
司会者:
「こんばんは。クローズアップ現代です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された、膨大な放射性物質。
身近な場所に降り注いだ、放射性物質を取り除こうと、様々な方法で除染が行われていますが、
事故から9ヵ月が経った今、当初放射線量が高くなかった場所から、高濃度の放射性セシウムが検出され、住民や自治体が戸惑う事態が起きています。
その放射線量は、国が避難の目安としている値に迫るほどになっています。
(地図を指して)
これは、原発事故で放出された、放射性物質の広がりを示す地図です。
原発から100キロ以上離れた、茨城県南部、そして千葉県など、首都圏のベッドタウンにも、降り注いだことがうかがわれます。
アスファルトやコンクリートで覆われ、都市化したベッドタウン。
ここで、効率の良い都市機能があるが故に、放射性物質が濃縮される、いわば『都市濃縮』が起き、新たな危険な場所が生み出されています。
具体的に、高い線量が計測されている場所が、まず、降った雨を、効率的に集め、短時間で排水するために造られた、人工河川の周辺、
もう一カ所、膨大なゴミを、超高温で燃やすことで、ゴミの量を大幅に減らすことができる、ゴミ焼却場です。
いずれの場所でも、検出されるようになった高濃度の放射性物質を、いかに除染していくのか、
あるいはどう処理するのか、大変難しい課題を、わたし達に突きつけています。
身近にある放射性物質と、どう向き合うべきかを考えさせられる『都市濃縮』。
まずは、茨城県守谷市の人工河川で何が起きているのか、その現状を御覧ください」
福島第一原発からおよそ180キロ。
人口6万人余りの新興都市、茨城県の守谷市です。
市民の依頼を受け、放射性物質の測定を行っている、東京大学助教の小豆川勝見さんです。
これまでのホットスポットより、高い放射線量が検出されたと聞き、駆けつけました。
住宅地に隣接するこの公園。
国が除染の目安としている値の、6倍近い放射線量が検出されました。
「1.3マイクロシーベルトぐらいですので」
守谷市が、定期的に行っている測定結果によると、市内のほとんどの場所では、放射線量が下がり続けています。
しかし10月、この公園を測定すると、広い範囲で、除染の目安を上回る高い値が検出されたのです。
小豆川さんは、土壌を採取し調査。
1キログラム当たり、2万6000ベクレルという、高い放射性セシウムが検出されました。
東京大学 環境分析化学研究室 小豆川勝見助教:
「
福島第一原子力発電所の、半径20キロ以内の警戒区域の中にあるような値が、ところどころで確認されるというのがやっぱり衝撃的で、どうしてこの値が出たのか分からない」
都市に、放射性物質を集めるメカニズムがあるのではないか。
小豆川さんは、町を覆う、アスファルトに注目しました。
「0.3マイクロシーベルトパーアワーぐらいですね」
同じ場所で、僅かに残った土と比較すると、アスファルトの放射線量は、3分の1でした。
「
アスファルトというものは、非常に水はけがよいので、線量のもととなる放射性物質が、非常に移動しやすい、ということが分かります」
小豆川さんは、土の多い農村部では、放射性物質が吸着し、移動しにくいのに対し、
アスファルトで舗装された都市では、放射性物質が、雨水と共に動きやすいといいます。
守谷市が都市化されたのは、80年代の終わりからでした。
大規模な宅地造成が行われ、町には、アスファルトの道路が整備されました。
雨水の排水性を高めるために、7年前には、人工の河川も造られました。
小豆川さんは、町の中心部を流れる、この人工の河川に注目しました。
川は、網の目のように張り巡らされた排水路とつながり、およそ200ヘクタールの範囲の雨水を集めます。
そして、高い放射線量が測定された公園に、流れ込んでいました。
川に近づくと、高い放射線量が検出されます。
「高いですね、ここは」
国の定めた避難の目安となる、1時間当たり、3.8マイクロシーベルトに迫る値です。
小豆川さんは、
町に降った放射性物質が、川に集まっていると考えました。
原発から飛散した放射性物質は、アスファルトに降り注ぎました。
その一部は、雨で洗い流され、排水路を通って、川に流れ込みます。
町じゅうの放射性物質が、一本の川に集められ、公園に蓄積していきました。
小豆川さんの調査では、町に降り注いだ放射性物質は、公園で34倍にまで濃縮されていたことが分かりました。
市内には、放射性物質がまだ残っており、今後この川に、さらに流れ込む可能性があると指摘しています。
汚染はすでに、川や公園の広い範囲に及び、除染は容易ではありません。
「
このように、非常に広い面積の所が、一様に汚染されているというようなことが確認されるとなると、
また、除染の考え方を、考え直さなければいけないんじゃないかなと、いうふうに思いますね」
市民の身近な場所で起きていた、放射性物質の濃縮。
守谷市では、高い放射線量が検出された場所を、立ち入り禁止にしています。
守谷市 会田真一市長:
「早く、あの、除染をしたいと思うんですけれども、
(放射性物質を)取ればいいのか、取ったものをどこに、どうしていいかわからないというのが、ま、本音なんだけれども、
でも、なんとかしなきゃなんない」
司会者:
「今夜は、都市工学がご専門で、都市の環境汚染や廃棄物処理について大変お詳しい、東京大学大学院教授、森口祐一さんにお越しいただきました。
ま、市内のほとんどの所で、放射線量が下がっている。
しかし、一方で、効率的に排水できる施設、で、人々の憩いの場でもあった人工河川では、警戒区域に近いような値が出てしまった。
この事態を、どう御覧になってますか」
森口教授:
「都市で出る生活排水は、下水処理場に流して、そして雨水は河川や海へと、別々に集めて流す、そういう都市づくりを進めてきたわけですね。
人々からちょっと水が離れすぎてしまった。
それでやっぱり、水とのふれあいの場を作ろうということで、こういう親水公園作ってきたんですけど、
たまたまここの場合は、いろんな条件が重なってしまって、そこで濃縮が起きてしまった。
ただ、これはやっぱり、東日本、ほかの場所でも、起きる可能性のある問題だと受け止めています」
司会者:
「どういう条件が重なると起きやすいんですか?」
森口教授:
「水が勢いよく放射性物質を下流のほうへ流してくれれば、底にたまることはないんですけれども、ここの場合には、水量が少ない、そしてまた放射性物質が付きやすいような岩とか、底の土、泥ですね、こういったものがある中で、そこに蓄積してしまったということだと思います」
司会者:
「都市で、意外な所に濃縮が起きてしまう……。
他で、都市故の、構造的なところから、同じようなことが起きやすい場所っていうのは、例えばどういう所があるんでしょうか?」
森口教授:
「
雨が広い面積に降って、そして屋根ですとか、コンクリートに覆われた場所ですとか、
雨が広い面積に降って、そしてそれが1か所に集まってしまう、そういう場所で、やはり同じような問題が起きる可能性があります。
実は、首都圏のある場所で、広い工場の屋根に降ったもの、それが1か所に集まって、そこの土に集まってしまう。
そこで放射線、非常に高い放射線量が観測された、そういう事例がすでに起きています」
司会者:
「まあ、そういった所ではほんとに、除染待った無し、ということになりますけれども、
例えば、その人工河川のような、守谷市のようなケースでは、これからどう対処したらいいんでしょうか?」
森口教授:
「守谷市のあの人工河川の場合、これ、
かなり大きな規模の所ですので、なかなか雨どいの下の除染なんかのように簡単にはいきません。
新しい法律の下で、これから自治体が除染計画を作って、国の支援のもとに除染を進めていく、そういう枠組みがスタートしますので、
専門家の助言なんかを入れながら、まず、その自治体がしっかりと除染計画を作っていく、それを進めていく。
これからそれがいよいよスタートする、そういう時期に来ています」
司会者:
「さあこの、
都市濃縮が起きて、非常に難しい問題を自治体に突きつけているもうひとつの場所が、ゴミ焼却場です。
で、国は、一般ゴミを焼却した際に出る灰につきまして、1kgあたり8000ベクレル以下の場合は、そのまま埋め立て処分しても問題は無いとしています。
がしかし今、8000ベクレルを超える範囲が、都市濃縮によって生まれていまして、
最悪の場合、ゴミ収集がそのまま止まってしまいかねない、非常に深刻な事態が起きています」
東京のベッドタウン、およそ40万人が暮らす、千葉県柏市です。
毎日出るごみの中にも、放射性物質の都市濃縮を引き起こすものがあります。
落ち葉や草木などです。
付着している放射性物質は、ごく僅かです。
しかし、それが集まる焼却場では、思いもかけぬ事態が起きていました。
原発事故のあと、作業員たちは、防護服を身につけなければならなくなったのです。
作業員たちが向かった先にあるのは……ごみを燃やしたあとの焼却灰です。
実はこの中には、高濃度の放射性物質が含まれているのです。
これまでに最高で、1キログラム当たり、7万800ベクレルが検出されました。
国が埋め立ての目安としている8000ベクレルを、大幅に上回っています。
ドラム缶の表面の放射線量は、1時間当たり、4マイクロシーベルト。
国の、避難の目安となる値を超えるレベルです。
このため、焼却場の中で、厳重に保管を続けています。
なぜ高濃度の放射性物質が検出されるのか。
原因は、ごみを超高温で燃やす過程で起きる、放射性物質の濃縮です。
ごみはまず、900度で燃やされ、その量は10分の1に減ります。
さらに、その灰を、1200度の超高温で溶かすことで、ごみは元の量の100分の1にまで減少。
しかし、放射性物質は減りません。
ごみの量を極限まで減らす高性能の焼却施設は、結果として、放射性物質を濃縮してしまうのです。
日本の人口の、およそ3分の1が集中する首都圏。
長年、大量のごみをどう処理するかが、課題となってきました。
その解決策として、都市では、
最新の技術でごみを減らす、焼却施設の建設を進めてきました。
原発事故はそれを、『都市濃縮』の場に変えてしまったのです。
現在、柏市の焼却場で保管されている灰は、ドラム缶で、811本に達しています。
作業スペースや通路などに保管してきましたが、年内にもいっぱいになる見通しです。
柏市南部クリーンセンタ・相笠文春副主幹:
「
もういっぱいいっぱいの状態です。保管先が無いということであれば、ごみ焼却は止まる」
柏市の焼却場では、1日およそ、1トンの灰が排出されます。
保管場所がいっぱいになれば、ごみの焼却ができなくなります。
そうなると、ごみの収集まで、止めざるをえないのです。
こうした状況に、住民たちは、不安を募らせています。
この日、市は、住民向けの説明会を開きました。
市民:
「台所から生ゴミが出なくなるとかですね、年末の大掃除もできなくなるなんてことにならないように、市として責任をきちっと取ってもらいたい」
市民:
「下手すると(焼却灰が)置きっ放しになる可能性があるわけです」
柏市・廃棄物政策課長:
「
行き先が無い、市外に出せない、どうしても行く場所が無い」
柏市は、国や東京電力に対して、灰の保管場所を確保するよう求めてきましたが、具体的な回答はありません。
さらに、灰の置き場に悩む自治体にとって、追い打ちをかける事態が起きています。
放射性物質を含んだ焼却灰が、今各地から、次々と運び込まれているのです。
灰はもともと、首都圏の焼却場から出たものでした。
首都圏では、自前の埋め立て処分場を持っていない自治体も多く、灰の処分を、ほかの地域に頼ってきました。
ところが、原発事故のあと、秋田県で、それを揺るがす問題が起きました。
流山市・井崎義治市長:
「心からおわび申し上げます」秋田県庁7月
千葉県流山市が送った灰から、埋め立てできる目安の、3.5倍の、2万8100ベクレルの放射性物質が、検出されたのです。
井崎市長:
「今まで、被害者の立場で、どう市民に安心を与えるか、ということで苦慮してきましたけれども、
今回、加害者になったということで、ほんとにあの、申し訳なく思っております」
首都圏から送られた灰の多くは、国の目安を下回っていました。
しかし、不信感を募らせた地元の住民からは、放射性物質を少しでも含む灰は受け入れられないという、反発の声が上がっています。
市民:
「(うちの街は)ゴミ捨て場じゃないんですよ。もうここでは我慢なりません。放射能だけは許せません」
埋め立てずに保管してきた焼却灰225トンは、今月中にすべて、首都圏に送り返されます。
国は、放射性物質を含んだ焼却灰の処分方法を、各自治体に示しています。
国の目安の8000ベクレルを超えていても、10万ベクレル以下であれば、セメントで固めて埋め立てができる、というものです。
しかし、専門の技術や施設が必要なため、この方法で処理を行った自治体は、一つもありません。
環境省・災害廃棄物対策特別本部・高澤哲也計画官:
「国が(灰を)引き取ってどこかすぐに、最適な保管場所や処分場に入れられるということは、現実的になかなか難しいところでございますので、
自治体に保管をお願いしていかざるを得ない状況でございます」
焼却灰の保管場所が、年内でいっぱいになる、千葉県柏市。
今、放射性物質が付着していると見られる、落ち葉や草木を分別して回収。
ほとんどを、燃やさずに保管しています。
高濃度の放射性物質を含む灰を、少しでも減らし、ごみ収集が止まるという事態を、避けようとしています。
柏市廃棄物政策課・國井潔課長:
「
どこまで自治体がやればいいんだ。
結局は、枠組みは作られたけど、実務は全部自治体がやりなさい、という状況が起こるとしたら、
それはほんとに、我々にとっては、大きな負担になると思います」
司会者:
「首都圏各地の焼却場で、処理できずに保管されている焼却灰は、先月までに少なくとも、5150トンにのぼっています。
森口さん、ほんとにこれからは、ゴミがたくさん出てくるシーズンですし、そして落ち葉の季節でもあると。
少なくとも、高濃度の焼却灰を出さないためにも、わたし達ができることは、しっかりと植木などのゴミっていうものを分別することですか?」
森口教授:
「(植木などのごみを)分別したほうがいいかどうかすら、実はなかなか難しいところがあるんですね。
ただやっぱり、ごみの収集が止まってしまうということを、最悪の事態をストップするためには、
まず
焼却灰のレベルを、最終処分できるレベルまで下げたい、 保管しなきゃいけないものを減らしたい。
管理しやすくするためには、放射性物質が付着しやすい落ち葉とか草木、こういうものと、それ以外のより安全なごみ、
これを分けていただくということは、これは一つの解決策、当座の解決策にはなると思います」
司会者:
「しかしその、枯れ葉などをそのまま放っておくと、これも危険が伴ってくるわけですよね」
森口教授:
「今、分別収集をして、ある場所にまとめて保管しておられるんですけど、
これもあまり大量になってしまうと、自然発火するような危険もあるわけですね。
かといって集めないと、結局、身の回りから放射性物質の付いたものが、なかなかなくなってくれない。
しかも、これから、除染を本格的に進めていくっていうことになると、やはり身の回りから、それは集めてほしい。
これがやはり、市民の願いだと思うんですね。
ですから、それをなるべく安全に管理するような、そういう解決策を、これからやはり、しっかり見いだしていかなければいけないと思います」
司会者:
「
国は、高レベルの焼却灰はセメントで固めて、そして埋め立て処分すると、いうふうなシナリオを出してますけども、
いずれにしましても、最終的に、どこに置くのかっていう問題がつきまといますね」
森口教授:
「まず、
今の施設ではセメントで固めるっていう施設、まだないんですね。
それをまず作らなきゃいけない。
そして最終的には、それは最終処分をしなければいけない、ということです。
最終処分場を、自分の自治体の中に持っている所もあれば、先ほどのVTRにあったように、自分の所にない所もあります。
ですからその、最終処分探し、これは大変重い課題だと思います」
司会者:
「どういうふうにして、その語意(?)形成を進めていったらいいとお考えですか?」
森口教授:
「
まずその前に、除染を進めるに当たっても、まず市民との対話、市民を巻き込んで、ちゃんと計画を作っていく、ということが必要なんですね。
なかなかやはり、ほかの自治体で受け入れていただけないとすれば、やはり自分の自治体の中で、場所を探していかなきゃいけない。
これは、行政が一方的に決めて、受け入れてください、ということには、やっぱりならないわけですね。
ですから、どうすると、自分たちの町がきれいになるのか、放射線への被ばくのリスクを、どうすれば下げていけるのか、
これはやはり、住民の方々と、丁寧に対話しながら、計画を作って、そしてそれを実行していく。
そのことが、時間がかかるようですけれども、そのプロセスが、大変大切だと思います」
司会者:
「
国も、保管場所を見つけられない。
自治体も見つけられない。
リスクがある所に集中してしまっている事態が起きているわけですけれども、
こうやって『都市濃縮』という、人工河川で起きていることや、焼却場で起きていることを通して、
いったいどういう問題が、わたし達に投げ掛けられているとお考えでしょうか?」
森口教授:
「
やはり今、私たちは、まず身の回りから、放射能、放射性物質を、なんとか遠ざけたいと思っています。
しかし、遠ざけるとしても、実は除染をして水に流してしまったら、それはやっぱり、川や海を汚してしまう可能性がある。
実は、都市以外にも、例えば森林にも、放射性物質が降ってます。
そういった所から、川や海にも流れています。
ですから、そういう生活環境、自然環境も含めて、どうやって環境を修復、回復していくのか、
それについて、長い時間をかけて、考えていかなきゃいけないと思います」
以上、文字起こし終わり。
これは半年前の実情です。
半年が経過した今、松戸市の人口河川の汚染や、柏市のゴミ焼却場の焼却灰の状況がどうなっているのか。
そして、日本全体が抱え込んだ放射能の汚染が、実際のところ、本当はどうなのか、
こうやって、ポツリポツリと、外に出てくるデータや、各地域で地道に活動されている方々によるネットでの公表を読み取りながら知る以外、
国がきちんと、マスコミや自治体を通して、国民に知らそうとしないので、どうしようもありません。
国は、事故以前、いや多分、事故以前も、なんとか国民を守ろうなんて思っていなかった。
避難にせよ、除染にせよ、がれき処理にせよ、事故処理にせよ、
まずは、でたらめで極めて危険な行為として、放射能汚染の数値変更をしました。
日本だけに存在する、放射能汚染にとっては天国のようなユルユルの数値によって、
放射能は環境の至るところ、あらゆる食物に、堂々と混ざり込んでしまいました。
さらに、避難できないまま閉じ込められた地域の子供達は、今後4年間、放射能の除染方法と効果についての研究材料として、
その、大切な命を、検体として使われることが決まっています。
いろんな、人道上、倫理上、許されないようなことを次々と、しかも迅速に決めるくせに、
本当に今必要なこと、必要な施設、必要な法律を作ろうとはせず、放り出したままトボケています。
確かに、別に、銃で撃つわけでも、戦車で破壊するわけでもないので、見た目はそれほど酷くはありません。
けれども、今、日本の政府がやっていることは、ゆるやかな『国民殺し』の他のなにものでもないのです。
裁判所も検察もマスコミも警察も巻き込んでの、大量虐殺。
この放射能は、いったいなぜ、こんなにも大量に、日本の領土のみならず、世界にまき散らされてしまったのか。
怒りの矛先を、今一度、きちんと定めなければいけないと思います。
毎日毎日、唖然とさせられることが続き、ついついそのことを見失いがちになってしまう。
そして、そういう毎日が続いていくと、心身ともにへとへとになり、自分の暮らしに影響し出したりもして、
こんなことはずっと続けていられない、という心境になり、ひとり、またひとりと、行動する者が離脱していく。
それを、一番待ち望んでいるのは誰か?
市民活動というのは、地道で、効果や成果を得ることが難しい、草の根運動です。
この活動を、日常のことのようにし続けていくことは、本当に大変なことだと思います。
だから、いろんな人達が挫折していき、大きな波にのまれ、今のような、とんでもない原発などに代表されるシステムができてしまいました。
こんなに酷い放射能汚染を抱えてしまった日本に暮らしながら、システムに立ち向かうなんて、市民ひとりにとっては過酷です。
だからひとりでしない。みんなでやる。
しかも、みんなでひとつのことをしないで、分けてやる。
わたしは今まで、こう訴えてきました。
自分でやれることでいい。小さなことでもいい。なんでもいいから、やれることをやっていきませんか。
今でもそれは、間違っていないと思うけれど、ひとりひとりが個別にやっていてはもう間に合わない、と思うようになりました。
ひとりひとりが得意なこと、無理なくできることをするのだけれど、まずは皆で寄り合えないか?
インターネットを駆使して、そういう思いを持つ人達が、日本中、世界中から寄り合って、そこで作業の手配をしたり、計画を練ったりする。
その作業の種類は多岐に渡っていて、なんでもアリな感じ。
そのために要る費用をどうやって集めるかも話し合う。
デモをやりたい。
放射能汚染の訴訟をやりたい。
除染をやりたい。
子供を疎開させたい。
焼却灰の解決に取り組みたい。
被災地の家族の居住地を見つけたい。
農業や漁業に携わってきた方々の、新しい作業場所を見つけたい。
原発を推進してきた人間を刑務所に入れたい。
原発推進に関わった政治家を訴えたい。
原発推進に協力した学者を訴えたい。
送電線の分離を実現したい。
原発に関わるおかしな法律を廃止に持ち込みたい。
電力会社の独占を廃止したい。
もっともっとあるでしょう。
なにがやりたいか、それにはどうしたらいいか。
市民の一番の力は数です。
すでに組織として成立している所とも連携したりして、日本の端から端まで、市民の手と手がつながること。
そして、その輪で、日本を巣食ってしまっている巨悪なシステムを囲い込み、やっつけていく。
このビデオを観て、じわじわとわいてきた闘争心を、ポツポツとつぶやいてみました。