ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ある、ひとりのおばはんの熱い思い

2012年06月24日 | 日本とわたし
まだまとまってないけど、ちょっとずつ言葉になってきたことを、ここに書き留めておきます。

今、日本が直面しているたくさんの問題。
去年の大地震と津波による被害と、原発事故による放射能汚染。
処理が進まん震災瓦礫。
崩壊したら、日本のほぼ半分、そして北半球に、極めて深刻な放射能汚染が広がると予想されてる、東京電力福島第一原発4号機。
通常、そんなとこに人が居たらあかんぐらいに高い放射線量がある町や村で、今だに暮らし続けてる人達。
幼稚園や学校に通てる子どもらは、汚染された食材の給食を食べ、汚染された校庭の空気を吸い込みながら、体育やクラブ活動を続けさせられてる。
そこに加えて、消費税を上げるやの、電気代を上げるやの、原子力憲法(基本法)をこそこそと変えて、軍事利用も可能にした。
放射能に汚染された瓦礫を、これまたこそこそと全国にばらまいて燃やさせ、いよいよ高濃度放射能汚染物と化した灰を埋めさせて、
外から内から(汚染食物をこそこそと混ぜて販売する)、国民の体を放射能漬けにしようとしてる。
ほんで再稼働……。
停止中の原発に、こそこそと核燃料を運び込み、装填し、ウランの発注も済ませてる。

まだまだある。
きりがないほどある。
狂ってるとしか言い様がないほど、こそこそと、毎日なにがしかの悪企みが実行されてしもてる。

こんなん、わたしみたいな、ただの市井の人間が、どんだけ頑張っても、太刀打ちできひん。

どうしたらええんやろ。
なんか、手はないんやろか。
頭を抱えてずっと考えても、これええかも!と思ては問題が見つかり、また、ええこと考えた!と思ては壁にぶつかり、
ひとりで悶々とし続けてきたこの16ヵ月。

先週の金曜日、それから一昨日の金曜日、
とうとう、一筋の光が見えてきた。

『再稼働反対』

家の外に出て、わざわざ電車に乗って出かけてって、「再稼働反対!」の声を、拳とともに上げる人が、何万人にもの数になった。

「そんなことをしてる間に、あれも、これも、決まったり実施されたりしてしもてるのに、そんなひとつのことだけにかもてる場合とちゃうやないの?」
そう言う人がいる。
「もうあかんて……」と、あきらめてる人がいる。
自分だけあきらめるのが寂しいのか、それをわざわざツィッターでつぶやいて、あきらめ菌で汚染しようとしてる人もいる。

わたしも、ふとそんな思いに囚われる時がある。
けど、その、ほんの一分後には、ゼロになに掛けたってゼロや。その言葉が思い浮かんでくる。
まずは原発再稼働の決定を撤回させる。
そこに焦点を絞って、徹底的にやる。
とことんやる。
撤回させるまでやる。

そうやってる間に、つながりで阻止できるもんが出てくるかもしれん。
なんも出んかもしれん。
けども、とにかく、思いを薄めず、ピンポイントで衝く。
システムに穴が開くまでとことん衝く。

再稼働に穴が開いたら、即効、次の大きな問題の穴開けにかかる。

その頃には絶対に、日本人の大得意な、キメの細かい、その地域特有の、おもろいアイディアに満ち満ちた穴開け集団が出来上がってるばす。

できたらその集団は、私利私欲の無い、主義主張の入り乱れた老若男女で構成されてて、
目標さえ同じなら、かなり認めとうないこと言う人でも、その人の得意とすることを活かすチャンスを互いに与え合いながら、
がむしゃらに、壁に向こうていけるような、なんでも屋クラブみたいなんがええなと思う。

若者よ、実年よ、熟年よ、ちっちゃい子達、動物や森、日本という国を、今まで無茶苦茶してきよった悪人から守ったろな!



いきなりやけど、大好きな人、田中洌さんのブログ『ルンペン放浪記』の記事をみっつ、紹介します。

めぐりめぐって、金曜日。
2012年06月22日

3年前の夏、犬といっしょに川に飛びこんで大はしゃぎしたというのに!

あらゆるごまかしと嘘八百、でっちあげの逮捕、失業の恐怖、村八分の奨励、着飾った悪臭ぷんぷん、いつまでも続く閉塞感――を、
石も投げず、銃もとらず、腹に爆弾を抱えて飛びこむこともせず、ただあっかんべをかましに投票場に足を運んだけで――
たったそれだけで、穀潰しどもを木っ端微塵にしたと、とち狂い、血は沸き、肉は踊ったというのに!

それがどうだ?

またぞろ、何万回も拝まされたくそ忌々しい茶番、掛けあい漫才――
白を黒といい、黒を白といって目鼻を整え、さらに絞め殺そうというお馴染みのあばた面だ。
遠慮も糞もあったものじゃない厚顔無恥の跳梁跋扈だ。

どいた、どいた!
ひかえぃ!


そこのけそこのけ、お馬が通る。
おまえたちのおとうもおかあも、しぶしぶあきらめたんだ。
おまえらもあきらめろ。

文句があるなら黙ってこそこそ叫べ。
さもないと、福島の二の舞なんてもんじゃないぞ。

国中の原発をフル稼働させておいて、ドカドカドーンのドミノ倒しだぞ。
わかったか!

わしらがすべてで、おまえらはゼロさ。


●何をするにもどこに行くにも、わしらは命がけだからな。
わしらはな、おまえらとは生まれも育ちもちがうんだ。
ラジオ体操のかわりにちょっと郊外へ行って、できるだけ短い時間に――15秒か、それとも16秒で、根こそぎ村落ごと焼き払い、
それからブレイク・ファーストにとりかかって、バターつきトーストを囓りながらコーヒーを楽むわけさ。

白い蛇のような鰻、毒虫のごとき蟹、霧につつまれた女たち、穴だらけの鍋底……。
しもじもには、とうてい想像もできないあらゆる恐怖につきまとわれて、死から死への綱渡りをやっているわけさ。
安心・安全なんてどこにもないぜ。
そんなものは空想家のたわごとさ。●


「何でも金で買える。名誉も勇気も金で買える。だれだって買収できるし、なんだってめんどうなことは金でかたがつく」と、
皮肉ったドストエフスキーがこのていたらくをご覧あそばしたら、たぶん泡を吹くな。

自然だけは逆立ちしたって金で買えないというのに、やつらときたひにゃ、性懲りもなく、せっせとコンクリートに種をまき、
これでもかこれでもかとぶっ壊しに血道をあげ、やりたい放題のデタラメに、全国一斉デモをかまそうと、断食をぶち込もうとびくともしやしない。

骨のあるやつらは厳正独居拘禁で背骨をへし折られ、そうでないやつらは、祭りあげられあっちしたりこっちしたりしているうちにういういしさを失い、
いくら声明を、署名を、要望をぶち込んでも糠に釘、
ジリジリ崖っぷちに追いつめられて、被爆者も生活保護もスカイツリー・ホームレスもみんな、枕を並べてこてんぱんだ。

障害者もよいよいも、ちびっ子も全員右へならえ。
被曝労働も、除染派遣も、だれもかれもがひーひー締めあげられて、白痴人(こけ)みたいにふらつけ――というわけだ。

どうすりゃいいんだ?

今では九州から四国、福井、福島、北海道、沖縄、ドイツ、ニューヨークといたるところで、毎日のごとくデモが湧きあがっているというのに!

2年ほど前、とりあえずすっ飛んでいったときとはちがって、まさに百花繚乱の花ざかりというのに!
とても梯子できる騒ぎじゃない。

電気・ガス・水道も食いものも寝起きも、何からなにまでおっかないうのに、交通費も目ん玉が飛び出るほどだ!

鶏ガラスープにパンの耳を主食に、ときおりせしめる野ぜりに野菜クズにくるみにギンナンでやりくりしても、とてもじゃないが追っつくか!

お手上げだ。
ちくしょう!


そういう折りしも折り、ツィターで呼びかけられた金曜・オキュパイが目にとまっていた。
毎週一回だ。

それなら440円のマルボロを250円の若葉に変えて、貯まった1130円を交通費にすれば何とかなりそうだ。
それに、それまで無理やり誘ったホームレスたちも、そのツィター・デモばかしはちゃんとキャッチしていたらしく、向こうから「行こ、行こ」と声をかけてきた。



●あたし、とうとう降参したんだわと、あのとき泣いたわ。
降参しなきや凍え死んでいたけど、シャワーにも毛布にもカップ麺にも、それにときどき隠れてチンチンジャラジャラにもありつけるの。
なんでもっと早くホームレスの足をあらわなかったんかとふしぎだったの。
それが、ふた月もすると、生活保護なんて針の筵もいいとこ、糞のかたまりだと思い知らされたの。
おかみも民生もボラも、ほんとひでえもんさ。
あたしね。なにも贅沢したいんじゃないわ。
まじめに働いて、少し食べ、少し寝て、こっそりくたばって行ければそれでじゅうぶんしあわせなの。
それがなにさ!
もういや。金貰い(毎月5日の支給日)に行くたびに、税金泥棒の虫けら扱いだからね。
踏み潰すぞ、踏み潰すぞ……と、そればっかしさ。
原発のことはさっぱり分からないけど、降参しても降参しなくても踏み潰されるんなら、
往来で「いい加減にさらせ!あたしゃ、いいなり通りのお人形さんじゃないわ!」と、心臓が外れるくらい吠えてみたいの●



ついに、革命が来た。
2012年06月23日

ひとたちは来た。

どこからともなく、ひとりまたひとりと、次から次へとやって来て、歩道を埋めていく。

そこにはヒーローはいない。

ヒロインも。

この1年、試行錯誤もあった。

いろいろあった。

醜いこともあり、美しいこともあり、どうしていいか糞詰まりの状態でジリジリしているとき、
ひとたちは、自然な渇望から、とうとうこういう方法(スタンディング・アピールというらしい)を見つけだしたのだ。

 


報道管制はガチガチだ。

しかし、わたしたちにはネットがある。

金曜日には官邸へ。

ひどいものをひどいというひとたち、間違っていることを間違っているというひとたちとともに声をあげ、気持ちを分かちあおう。

ひとりひとりこそが、何よりも貴重なひとりひとりなのだ。


逮捕され飛行機で持ち去られながら「再稼動反対」と叫びつづけるにーちゃん。




無題。
Theme: 語り 2012年06月24日

そのとき、わたしは次々に集まってくる人たちのあまりな美しさを、ただ食い入るように見ていた。

ほとんどすべてが、家の倅や娘よりずっと若いにーちゃんやねーちゃん、それに赤ちゃんを抱いたヤング・ママたちではないか。




彼らは立ち止まり、ちいさなかわいいプラカードをしっかり掲げた。

彼らはおのが青春をそうやって生きているのだ。
ぼくらの青春はひどく貧しかったけれど、そして、彼らの青春もきっと貧しいのだろうが、
しかしこの世を変えようという決意とともに静かに、しかし不屈の情熱を内に秘めてくっきりしていた。

そのすがたは美しい。

けなげで、永遠に変わらない倫理をそれとなく現していた。

ああ!

何とすてきな若者たちだことか。


次世代の息吹が頑として存在するのだ。

うらやましいったらありゃしない。

わたしも動けるかぎりしんがりにつく。

しかし、そこからあとは、あなたがた青年たちがやるがいい。

老いぼれは老いぼれなりに、あなたがたに惜しみなく声援をおくりたい。
それで満足だ。
どん底をのたくりながら生きてきた甲斐もあったというものだ。
コメント
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