野田総理会見の裏側 6/8たね蒔きジャーナル(内容書き出し)
2012年06月08日【金】Radio News たね蒔きジャーナル
水野晶子のどないなってるねん
水野:
さ、今日ほどこの、「どないなってるねん」という言葉が、意味を持つ中身のコーナーは、なかなかないかもしれません。
今日のテーマは、「速報!大飯原発再稼働で野田首相が会見」
国民生活を守る。
それがこの、国論を二分している問題に対して、私がよって立つ、唯一絶対の、判断の基軸であります。
それは、国として果たさなければならない、最大の責務である、と信じています。
次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は、決して起こさない、という事であります。
福島を襲ったような、地震津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は、整っています。
これまでに得られた知見を、最大限に生かし、もし万が一、全ての電源が失われるような事態に於いても、炉心損傷に至らないことが、確認をされています。
安全は「絶対じゃない」けど「確認している」
水野:
近藤さん、いかがでしたか?
近藤:
いや、もうそんな……、国民がどうのこうの言われても、もっとはっきり言うと、
経済の世界からの要請でしょ?
水野:
そんな事、冒頭から言うたら話しになりませんやんか、近藤さん。
国民生活を守るためなんです。
近藤:
だから、国民の生活第一っていうたら、なんか選挙のスローガンだよね。
水野:
「子どもたちのために、事故は起こさない」
近藤:
それはおかしい。
水野:
普通、「子どもたちのために」、ちょっとエネルギー政策を考えようか、って言うと思ったら違いますね。
「子どもたちのために」、事故は起こさない。
でも同時に、こうもおっしゃったんです。
「一方で、安全基準に、絶対はない」、ともおっしゃったんですよね。
絶対はないんだけど、だけど、
「万が一、全ての電源が失われても、メルトダウンしないと確認」されているんだそうです。
誰が、どんなふうに、確認したんでしょうね?
そこの説明はなかったですなぁ。
「生活」と「命」
近藤:
絶対っていう事で、もう一つ興味深かったのは、
「国民の生活を守る、二分している問題で私が決めたっていうのは唯一絶対の判断である」って言ってた。
水野:
「唯一絶対の判断。判断の基軸」
近藤:
「国民の生活を守る」っていうより、
僕は
「国民の生命を守る」ちゅう言葉に置き換えたらどうなるんかと思ったね。
水野:
国民の生命を守る。
ま、生活は、生命があってですからね。
近藤:
だけど、生命って言った時には、内心忸怩たるものを感じるだろうね。ここの論理は。
水野:
だから「生活」なんだ。言葉は大切ですねぇー。
国民の「生命」を守るじゃなくて、国民の「生活」を守る。
この言葉の違いは大きいですね。
近藤:
大きいんですよ。
近藤:
やっぱり、経済っていうのは、経国済民から経済って言葉が生まれたっていうでしょ。
民を救うっていう意味が、本来は、経済にはある訳ですよ。
だから、「国民の生活を守る=経済だ」っていう論法も、もちろん成り立つんですけれども、
やっぱり、原発の問題っていうのは、そんなに単純な話じゃないんだよね。
要するに、僕は、
人類、地球の規模のかかっているテーマだと思うんです。
だから、
国民の生活を守るっていうレベルの言葉に置き換えちゃったら、それは卑怯ですよ。
野田はイヤイヤ会見した
水野:
はい。でも、しっかり置き換えていらっしゃったと思いますが、
さあ、そこで、永田町で取材をしております、東京報道の、神崎智大記者に聞こうと思います。
神崎さ~ん、
今日、6時から行われましたけれど、なんで野田総理は、今日会見をしたんですか?
神崎:
もともと
今日の会見は、福井県の西川知事が「やって下さい」というふうに、強く求めていたものなんですね。
これは、
「大飯原発を、再稼働させるに当たっては、野田総理の方から、直接国民に訴えるべきだ」
ということだったんですけれども、
福井県としては、「福井の都合で再稼働した」、というように見られることが嫌だった、という事なんですよね。
水野:
誰が責任とるねん。っていうことですよね。
神崎:
あくまで、「国が言うから」、ということを強調したかった。
ただ、これに対して、野田さん側は、「それは前から言っていますから」という事で、嫌がってて、
水野:
あ、記者会見本当は嫌がってたんですか。
神崎:
そうですね、かなり、今日の記者会見は、嫌々やった会見っていうのが、そのようです。
で、もうかなりちょっと、福井県と国との間が、かなりぎくしゃくした、と聞いていますんで、
ただ、政府としては、福井県知事がNOと言えば、再稼働できないので、最後は折れたと言いますか、
ある意味、
国と福井県が、犯人役を押し付け合ったような、そんな結果、このタイミングになったと言えるんじゃないかと。
水野:
確かに、この、犯人役を押し付け合うという、
ま、野田さんが、非常に、福井県に対して気を使って、しゃべっているくだりがあるんですよね。
立地自治体に「敬意と感謝」
私たちは、大都市における、豊かで人間らしい暮らしを、電力供給地に頼って、実現をしてきました。
関西を支えてきたのが、福井県であり、おおい町であります。
これら立地自治体は、これまで40年以上にわたり、原子力発電と向き合い、電力消費地に、電力供給を続けてこられました。
私たちは、立地自治体への、敬意と感謝の念を、新たにしなければなりません。
水野:
こんどうさ~ん、
近藤:
これは、しかし、水野さん、
この発言は、いろいろ問題多いぞ。
僕が、この原稿見せられたら、デスクだったら、これは通さんな。
「立地自治体に、敬意と感謝の念を新たにする」っていったって、
福島で、現実に、ああいう事故が起きていることを、重ねて考えたらね、こういう、「敬意と感謝」なんていう言葉は、やっぱり、言うのがおかしいですよ。
水野:
まあ、口だけですわな
近藤:
えぇ?
水野:
本当に、「敬意と感謝」だったら、
わたしは、いざという時に、一番危険にさらされる確率が高いのが、地元の方々でしょ、
その方達に対して、じゃあ、「新しい未来をつくり出す」というのが、「敬意と感謝」だと思いますけど、
まぁ……ね……「敬意と感謝」、だからこのまま行くんです。
近藤:
これはやっぱりなんか、こう、やっぱり、
事故そのものを、どう捉えているのかっていう視点が、ここにはないですから、
そこんところを、もっと考えて入れたら、こんな文章にはならんだろうって言いたいですね。
「人間らしい暮らし」
水野:
私、非常にビックリしたのは、「人間らしい暮らし」とかね、「豊かで人間らしい暮らし」っていうのはこの中にも今登場しましたが、
他のところにも、何度となく出てくるんですよ、「豊かで、人間らしい暮らしを守るために、再稼働なんだ」と。
近藤:
これはだから、「豊かで人間らしい」っていう言葉が、彼は良いと思っているんだろうけど、
国民の、ある一定レベルの人間っていうのは、
「豊かで人間らしい」っていうのは、本当はどういう事なんだろう?って言う事を考えるきっかけに、福島原発に向かい合おうとしている訳ですよね。
水野:
みんなそれぞれがね。
近藤:
そういう時に、「豊かで人間らしいのは、原発があるからだ」っていう論理を持って来られたらね、
おい、ちょっと待ってくれよ、事故が起こったらどう思うんだ?って言う事を、僕は、その記者に問うわね。
だから、こういう文章はおかしいだろ?って言うふうになるよね。
水野:
リスナーから、
「野田総理に、知恵も心も、何も感じない、冷え冷えとした、氷のような会見でした」
近藤:
そんなんですよ。
やっぱり、越後屋の番頭レベルなんですよね、これはね。
水野:
越後屋のね、ご主人じゃなく、番頭さんっていうね、
ま、ソロバン全てっていうことですか?
近藤:
周りがやっぱり、こういう文章を作るんだろう、と思うんだけどね
水野:
官僚が作るんでしょうね。
近藤:
ん……それで、野田さんが、校正を入れるんだろうと思うんだけど、
これでやり過ごせる、と思っている感覚が、僕はちょっと怖いな。
野田の孤独
水野:
その感覚、永田町では、どうなんですかね、
神崎さ~ん、どんな感じなんですか?
神崎:
やっぱり、
民主党の中でも、「野田さんどうやねん」という声は、日増しに大きくなってきているように感じます。
まさに、消費税の事も、今やっているんですけれども、いわゆる、小沢グループの方々は反対ですよね、そもそも。
で、そうじゃなくて、中間派「どっちでもない」って言っていた人達も、どんどん、野田さんから離れていこう、という動きがありますし、
もう最近は、もともと賛成と言っていた、たとえば、前原さんとか、そういう方々も、ちょっと、野田さんと距離を置き始めているんじゃないかなと思われる。
水野:
え゛---っ!前原さんでさえがですか?
神崎:
そうですね。
だから、野田さんは、「政治生命をかける」っていうんですけれども、
最近では、口の悪い人は、「このまま孤独死するんじゃないか」と。
水野:
そんな、孤独……。
神崎:
そうなんです。
水野:
「孤独死するんじゃないか」って言われる位に孤独、もうみんな去っていった……。
神崎:
そうですね。
野田さんは、
ハッ!と気づいたら、隣には岡田さんと、仙谷さんしか残らなかったんじゃないかみたいな、そういうことを言う人もいますね。
どんどん離れていき始めている、というのを感じます。
仙谷の存在
水野:
アラ……はぁ~……、近藤さん、岡田さんと仙谷さんっていうのも、時代劇のドラマやったら、ええ役当てがえるような方ですよね、顔は。
近藤:
僕は、仙谷さんが、結構大きいと思うんですよ。
仙谷さんはね、大飯原発の3.4号機というのは、比較的新しい新兵器だからね、福島原発とは、別個に考えた方がいい、
という趣旨のことをね、そういうところから、あの方はスタートしていますよね。
そうすると、政治というのは、君たちが思っているように、そういうものじゃなくて、
やっぱりこう、なんていうんですか、いろんな仕組みの中で、考えなくちゃいけないんだよ、
日本のエネルギーを、全部変えちゃったら、生活はどうなるんだって。
これは、
仙谷さんが言っているようなニュアンスのことが、やっぱり、野田会見で出てるよね。
だから、
仙谷さんの存在っていうのは、結構大きいんだなっていうのは、この文面読めば分かります。
それと僕は、もう一つね、神崎さん、僕が気になっているのはね、これ、やっぱりアメリカだよね。
今度の問題に対して、アメリカが、どういう意向を野田政権に伝えるか、っていうことが、僕は、案外大きいんだって思うんですよ。
アメリカは、「原発から引け」、とは言わんでしょう。
おそらく、「もっと日本相手に儲けたろ」くらいに思っているでしょ。
だから、そこのところも、野田政権は、ここのところ色々ね、G8だなんだってやっているから、いろんな声が入っていると思います。
水野:
はぁ……野田さんを、孤独死から救うのは、いったい誰でしょう?
神崎:
そうですね……もう、味方がほとんどいないんじゃないか、と思われる状況なので、
消費税についても、ちょっとこれは、かなり、成立する見込みは、相当薄くなったんじゃないかな、というふうに感じます。
水野:
そんな孤独な状況に対して、野田さんご自身は、
「だれもおらんようになって、どうしよう」という危機感は、どれぐらい抱いていらっしゃるんですか?
神崎:
まさに、この原発の話なんか、そうなんですけれども、
民主党の、個々の議員に聞くと、批判が強いということは、良く分かっていらっしゃる方も多いんですよね。
ところが、肝心野田さんになると、
この方は本当に、「何を考えているのかわからん」というか、その、言葉は、すごくきれいなんですよ。
「豊かで人間らしい暮らし」とかですね、綺麗な言葉使いでおっしゃるんですけれど、
逆に、その気持ちが、全く感じられないというか、「ホンマにそう思ってます?」みたいな事を、常に感じるんですよね。
だから、批判も、どこまでちゃんと認識しているのか?っていうのが、全く分からないですね。
違和感のある記者の質問内容
水野:
私は正直言って、今日の会見で、
もし私が、会見に出ていたら、記者として、いっぱい「質問したいわ」という、突っ込みどころが満載だったんですけれど、
実際、会見って、そんな感じじゃなかったでしょ?
神崎:
そうなんです、実は、
今日の会見は、わずか20分で、終わってしまったんですね。
水野:
普通は、もっとやりますかね?
神崎:
短くても、最低30分は、普段はやりますので、
やっぱりその、嫌々やった、というのが表に出ていた、と思うんですけれども、
近藤:
神崎さん、僕、
違和感がすごくあったのは、消費税の質問が出たでしょ?
水野:
2番目に出ましたよ、記者から。
近藤:
2社ばかりあったのかな、その、ま、細かくは言いませんけれど、つまり、そういう質問も、受け入れたうえでの会見だよね?
神崎:
つまり、この、
総理の会見というのは、官邸の広報官と言う人が、記者を指名して、質問をさせる訳なんですね。
選べるわけなんですよ、官邸側が。
水野:
記者を選べる
神崎:
はい。
で、近藤さんは、ちょっと濁しはりましたけれども、
消費税の質問というのは、最初は、幹事社の読売新聞が質問して、それは、もちろん原発のことなんですけれども、
ま、2人目が、
日本テレビの記者さんなんですが、いきなり、消費税の質問になったんですね。
つまり、まだ全然聞き足りない状況なのに、パッ!っとこう、質問を変えたんですよ。
水野:
あれは、違和感ありましたね。
神崎:
そうですよね、それで、ま……あんまりこう、他社の事を、疑ったりするのもアレなんですけれど、
つまり、選べるわけですから、質問する人を。
当然、この会社は、どういう論調で、普段記事を書いててみたいな事も、把握している訳ですよね。
なので、もちろんそういう、
「厳しい質問が出ないように」という事を、やろうと思えばできるという事。
水野:
他の社の記者たちも、質問しようとしていたんですか?
神崎:
もちろんそうです。
ただ、良く聞いていただけばわかるんですが、広報官の人は、名前で呼ぶんです。
つまり、「日本テレビの方」と言うんではなくて、「なんとかさん」って呼ぶ訳ですね。
要は、
普段から、仲好くしている顔と、名前を覚えている人しか、そもそも指名しない、というシステムになっているんですね。
なので、当然、そういう調整と言いますか、その、嫌な質問が出ないようにということは、やろうと思えばできると。
こういう状況になっています。
水野:
なるほど、はい、神崎さん、どうも御苦労さまでした。
じゃあ、もう1カット、野田さんの言葉を聞いていただきましょうかね。
計画停電→原発事故
仮に、計画停電を余儀なくされ、突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人も出ます。
仕事が、成り立たなくなってしまう人もいます。
働く場が、なくなってしまう人もいます。
福島で避難を余儀なくされているみなさん、福島に生きる子どもたち、そして不安を感じる母親のみなさん、
東電福島原発の事故の記憶が残る中で、多くのみなさんが、原発の再起動に、複雑な気持ちを持たれていることは、良く、良く理解できます。
しかし、私は、国政を預かる者として、人々の日常の暮らしを守る、という責務を、放棄することはできません。
水野:
ま、弱者が一番困るんだ、という内容でしょうね。
近藤:
これはもう、文章になってないわ。
水野:
文章になってない……デスクやったらもう、赤ペンだらけですか?
近藤:
だめですね、
だって、
再稼働して、事故が起きればっていう事を、頭に持ってきたら、全部繋がっていきますよ。
事故が起きれば、命の危険にさらされる人もでます。
仕事も、成り立たなくなります。
働く場所が、無くなってしまいます。
だから、そっちの話の文脈は、全部スポイルして、計画停電だけでここまで言うっていうのは、
あなた、それは、話をどこかですり変えていますよって、だれしもが思うでしょ?聞いていて。
水野:
リスナーから一句、
よく「命をかける」っておっしゃいますよね、総理は。そこで
「
野田総理 いのちかけます 国民の」と。
誰の命か?って、そっちですか。
以上、文字起こしをしてくださったkiikoさんに感謝!!