「財務省のシステムは、即座にデータが抹消される仕様になってございます」
誰だって嘘だとわかる、子どもでも笑ってしまうような与太話を、延々と答弁してきた佐川理財局長。
それに対し、
「嘘はやめてください」「ちゃんと誠実に答えてください」としか言えないままの野党。
モヤモヤイライラしながら日々が過ぎていくだけで、物事が解決するどころか、有耶無耶なままフェイドアウトしそうな気配が…。
そんな中、重要な、しかも他のどの部署でもない、財務省自身が作成した資料を、菅野氏が公開してくださいました。
詳しい記事の内容は、下記の紫色のタイトルをクリックして読んでください。
佐川理財局長の答弁を完全に崩壊させる新資料が発覚!
【HARBOR BUSINESS Online】2017年4月17日
https://hbol.jp/136814
以下↓に、最初と最後の部分だけ、引用させていただきます。
2月中旬の森友問題発覚以降、誰よりも「名を上げた」人物といえば、財務省の佐川宣寿理財局長ではあるまいか。
もっとも、「名を上げた」と言っても、「知名度」が上がっただけの話であり、
そしてその「知名度」も、「優秀な官僚」としてのそれではなく、「嘘つき男」としての不名誉なそれであるが。
国会で、「関係する書類は全て捨てた」だの、「当時の担当者は目下、病気療養中」だのと、見え透いた嘘をつき続け、答弁が終わるたびに、あのドヤ顔で議場を睥睨する。
あの姿の滑稽さに気づいていないのは、おそらく本人、及び(彼のパワハラによって完全に萎縮してしまっているという“財務省関係者談”)、理財局の面々ぐらいのものだろう。
(中略)ーーーーーーー ーーーーーーー ーーーーーーー
『やはり、今回新たに発掘された、「今後の手続きについて」なる資料を、佐川理財局長に突きつける必要があるだろう。
この資料を作成したのは、大阪府私学審議会でも、私学課でも、森友学園でもない。
あくまでも、財務省近畿財務局だ。
紛れもなく、財務省の資料だ。
財務省が、平成26年年末の段階で、土地の定借契約のあり様から売買契約に至るまでの筋道を、完全に示しているではないか。
もう「他人の資料を根拠に指摘されても答えようがない」方式の言い逃れはできまい。
これで完全に、佐川理財局長の嘘は、立証されるのではないだろうか。
ちなみに……。
今、筆者の手元には、段ボール4箱ほどの資料の束がある。
この書類は、この書類の山から見つけた一つにすぎない。
他に資料はまだまだあるだろう。
もう少し丹念に、この資料の束を掘り返してみるとする。
佐川局長は、期待して待っていてほしい』
******* ******* ******* *******
森友学園問題を、決してフェイドアウトになどしてはなりません。
歴代一の戦争好きで外交下手、さらには「女子どもは黙って従え」教団に深く心酔しているような輩が閣僚である政権に、これ以上好き放題させるわけにはいかないからです。
******* ******* ******* *******
そうしてもう一つ、情報公開や公文書管理の法制に長年関わってきた、弁護士の三宅弘氏が、
財務省の答弁を「明確な法律違反だ」と断じ、「記録は今からでも作れる」と明言されたという記事を、同じく【日刊ゲンダイ】が書いてくれました。
三宅弘弁護士 財務省の森友交渉記録は「今からでも作れる」
【日刊ゲンダイ】2017年4月17日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203451/1
森友学園の国有地格安払い下げを巡る問題は、一向に疑惑が晴れない。
どうして、8億円ものディスカウントが行われたのか。
それが分かれば、真相究明の可能性があるのに、財務省は「交渉記録は廃棄した」と言い張る。
どうにも腑に落ちないのだが、情報公開や公文書管理の法制に長年関わってきた、弁護士の三宅弘氏は、
財務省の答弁を「明確な法律違反だ」と断じ、「記録は今からでも作れる」と明言する。
どういうことなのか。
■ 明確な法律違反、最低5年は保存が必要
――森友学園の問題では、財務省が、「交渉記録を廃棄した」と答弁していることが、疑惑を深める要因になっています。
本当に記録はないと思いますか?
三宅弘氏:
いえ、極めて怪しいと思っています。
記録は、個人のメモとして残っているはずです。
なぜそう言えるかというと、3・11(東日本大震災)後に、政府の災害対策本部と原子力災害対策本部が、約1年間議事録を作っていなかったことが、大問題になりました。
結局、個人のメモをベースに、議事録を作成したのですが、私はその検証業務に関わったのです。
財務省の交渉記録は、個人のメモを集めれば、今からでも作れます。
「報告書として出せ」と指示するのが、本来の政府のあるべき姿だと思います。
――安倍首相がらみの案件なので、官邸は動きませんよね。
それで財務省も、交渉記録の文書が「ない」と言い張っている。
三宅弘氏:
まさに忖度でしょう。
交渉の中身が分かると、危ういことがいろいろ出てくるのではないかという計らいで、
財務省行政文書管理規則で、保存期間「1年未満」の文書だと決めつけて、廃棄したということでしょうか。
あとは知らぬ存ぜぬです。
しかし、この財務省の解釈に、誰も異論を唱えないところに、一番の問題がある。
――「1年未満」という財務省の解釈は、間違っている?
三宅弘氏:
そうです。
私は、公文書管理法の制定過程に関わっているのですが、
4条に「当該行政機関における経緯も含めた、意思決定に至る過程の文書を残す」という条項が入ったんです。
この趣旨にのっとれば、8億円もの値下げという売買契約の経緯を、財務省と国土交通省は、記録として残さなければならない。
1年未満の文書だから廃棄できる、というような解釈には、決してなりません。
――法律を守っていれば、保存されていないとおかしい、ということですね。
三宅弘氏:
公文書管理法10条1項に基づく「行政文書の管理に関するガイドライン」の別表を、再度読み直してみたのです。
そうしたら、「15. 予算及び決算に関する事項」に、
「歳入、及び歳出の決算報告書に関する、決算書の作製その他決算に関する重要な経緯」の中で、
会計検査院に提出すべき計算書、及び証拠書類というのは、保存年限5年とされているのです。
契約書に添付された資料などは、最長の30年保存という解釈もありうる。
つまり、最低でも、5年は保存しなければいけない文書なのです。
理財局長はクビが飛んでもおかしくない
――財務省行政文書管理規則では、国の「行政文書ガイドライン」に従って、文書の保存期間を1年、3年、10年、30年と決めている。
土地売買交渉の経緯は、そのいずれにも当てはまらないということで、「1年未満」とされた。
三宅弘氏:
「行政文書ガイドライン」の別表第1備考五というのがあって、財務省の行政文書管理規則にも、同じ文言が入っているのですが、
「本表が適用されない行政文書については、文書管理者は、本表の規定を参酌し、当該文書管理者が所掌する事務、及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする」と義務づけられている。
これを根拠として、仮に財務省が、一般に売買契約の交渉過程を、「1年未満」という取り扱いにしていたとしても、
今回のケースは、8億円もの大幅値下げをしているため、会計検査院がチェックする文書になることは明らかです。
やはり、前述のように、最低5年は保存が必要で、1年未満にしてはいけないと、判断しなければならなかった。
実際に、安倍首相も、国会で「会計検査院がしっかり審査すべきだ」と発言していますしね。
――財務省は恣意的に、「1年未満」と解釈した可能性がありますね。
三宅弘氏:
財務省は、ガイドラインの別表に入らない文書だと、決めつけたわけです。
しかし、備考欄に、重要度に応じて対応しなければならないと書いてある。
もちろん、1年未満の文書についてもです。
最初から、文書を残そうという腹がないから、とにかく1年未満のものは全部消せる、と解釈している。
明らかに意図的な解釈でおかしい。
こんな解釈がまかり通ったら、日本の公文書管理は、メチャクチャになってしまいます。
――財務省のやっていることは、法律違反ですね。
三宅弘氏:
交渉記録の廃棄を、もし故意にやっていたら、刑法の公用文書等毀棄罪に該当します。
故意ではないとしても、保存義務について、裁量権を乱用しているということで、明らかに公文書管理法違反です。
国有財産の処分は、税金の使い道という広い意味でいえば、「国民共有の知的資源」に対して、我々国民に知る権利がある。
それに対して、説明責任を果たすというのが、公務員のあるべき姿です。
国会で「1年未満の文書ですからありません」とシャーシャーと言ってのけるのは、驕りですよ。
謙虚さが足りません。
対応を誤ると、理財局長は、クビが飛んでもおかしくないような、最重要の問題です。
――「文書はない」で終わらせては絶対にいけない、ということですね。
三宅弘氏:
財務省が「ない」と言っていることについて、安倍首相が、国会で、「ないことを証明するのは悪魔の証明だ」と言っていましたが、
自分たちの法律上の保存義務違反を棚に上げて、あんな場面で「悪魔の証明」を使うのは、いかがなものか。
そもそも、この公文書管理法は、麻生首相(現財務大臣)の時に作った法律ですよ。
皆さん、国会で笑っているしねえ。
――公文書管理法は2009年の施行。麻生さんの前の、福田康夫元首相が熱心だった。
三宅弘氏:
福田さんが、なんとしても成立させるんだって頑張って、くだんの4条(意思形成過程を残す)が入ったのです。
これはすごく大事で、集団的自衛権の行使を認める閣議決定時に、内閣法制局が「意見なし」とした件で、その経緯に関わる意思決定文書を、法制局長官は「ない」とした。
しかし、情報公開・個人情報保護審査会は、次長レベルで上がってきた想定問答を、「意思決定の経緯を残すもの」だとして、公文書だと答申したのです。
こうした経過を知っていれば、首相は、「悪魔の証明」なんて言えないはずです。
■ メールも転送すれば“公文書”
――そうなると、「意思決定の過程」を公文書とする際に、「個人のメモ」の範囲が、重要になってきます。
メールはどこまで含まれるのか。
どう考えますか?
三宅弘氏:
情報公開法では、「組織として共有しているもの」は、公開の対象です。
「決裁供覧」の印を押すだけじゃなく、会議でみんなに配ったら、「組織共用」なんです。
公文書管理法を作る際には、紙だけでなく、電子データも対象になった。
当時、米国では、オバマ大統領のツイッターも、情報公開の対象だという運用をしていて、
日本でも、鳩山首相がツイッターを始めて、ツイッターデータも公文書管理法の対象になった。
今は、何でもパソコンでデータを打つ。
それをメールで転送すれば、「組織共用」になります。
ですから、森友の問題でも、「私的メモだから」という言い訳は、通用しません。
メールのやりとりも、組織共用であるという運用を、はっきりと一般化する必要がある、と思います。
――今の時代、公務員のメールは、全て公文書であると考えるべきだ、ということですね。
「私的メモ」などほとんどない。
三宅弘氏:
役人は、今でも「紙の決裁文書だけ残せばいい」という発想で、それ以外のデータを消そうとする。
その最たるものが、防衛省です。
防衛省は、とにかく出版物にしたり、紙にしたりしたら、直ちに電子データを消すというルール。
だから、「日報」問題で、情報公開請求に対して、「文書不存在」と回答した。
しかし、こんな前近代的な発想で文書管理していたら、即座にデータを集めて、何かインテリジェンスをやらなければならない場面で、全く対応できないじゃないですか。
防衛が成り立たなくなってしまう。
国として問題です。
(聞き手=本紙・小塚かおる)
▽三宅宏(みやけ・ひろし)
1953年、福井県生まれ。
1978年、東大法卒。
1983年、弁護士登録。
1993年、筑波大修士課程経営・政策科学研究科修了(法学修士)。
BPO放送人権委員会委員長、総務省・行政機関等個人情報保護法制研究会委員、情報公開クリアリングハウス理事、日弁連副会長などを歴任。
独協大特任教授。
******* ******* ******* *******
*おまけ*
LITERAの記事から引用します。
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-384503/
森友学園問題で、「すべての記録書類を廃棄した」と言い張るなど、人を食った答弁を繰り返している佐川局長だが、さすがにこれは聞き捨てならない。
大事な文書が消えてしまわないよう、パソコンの自動バックアップシステムがあるのは分かるが、
短時間で、データが自動的に消去されるシステムなんて、聞いたことがない。
いつから導入され、どのくらいの予算がついたのか。
そのシステムは、どこの会社が開発したのか。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう言う。
「文書が自動的に消去されるシステムをつくることは、理論的には可能ですが、手間がかかる上に、メンテナンスも大変で、割に合わない。
ソフトウエアを開発するメリットも、導入する意義もないように思います。
さらには、復元不可能なシステムとなると、情報公開請求があった時に、黒塗りの文書さえ出せないということですから、
そんないい加減なシステムを、行政機関が採用するとは思えません。
むしろ、役所としては、サーバーのデータが飛んでも復元できるように、定期バックアップを取っておくのが普通でしょう。
佐川局長の答弁は、民間のIT知識のレベルをナメきって、適当な答弁でゴマカそうとしているように感じます。
意図的に消さない限り、データは、何らかの形で残っているはずです」
誰だって嘘だとわかる、子どもでも笑ってしまうような与太話を、延々と答弁してきた佐川理財局長。
それに対し、
「嘘はやめてください」「ちゃんと誠実に答えてください」としか言えないままの野党。
モヤモヤイライラしながら日々が過ぎていくだけで、物事が解決するどころか、有耶無耶なままフェイドアウトしそうな気配が…。
そんな中、重要な、しかも他のどの部署でもない、財務省自身が作成した資料を、菅野氏が公開してくださいました。
詳しい記事の内容は、下記の紫色のタイトルをクリックして読んでください。
佐川理財局長の答弁を完全に崩壊させる新資料が発覚!
【HARBOR BUSINESS Online】2017年4月17日
https://hbol.jp/136814
以下↓に、最初と最後の部分だけ、引用させていただきます。
2月中旬の森友問題発覚以降、誰よりも「名を上げた」人物といえば、財務省の佐川宣寿理財局長ではあるまいか。
もっとも、「名を上げた」と言っても、「知名度」が上がっただけの話であり、
そしてその「知名度」も、「優秀な官僚」としてのそれではなく、「嘘つき男」としての不名誉なそれであるが。
国会で、「関係する書類は全て捨てた」だの、「当時の担当者は目下、病気療養中」だのと、見え透いた嘘をつき続け、答弁が終わるたびに、あのドヤ顔で議場を睥睨する。
あの姿の滑稽さに気づいていないのは、おそらく本人、及び(彼のパワハラによって完全に萎縮してしまっているという“財務省関係者談”)、理財局の面々ぐらいのものだろう。
(中略)ーーーーーーー ーーーーーーー ーーーーーーー
『やはり、今回新たに発掘された、「今後の手続きについて」なる資料を、佐川理財局長に突きつける必要があるだろう。
この資料を作成したのは、大阪府私学審議会でも、私学課でも、森友学園でもない。
あくまでも、財務省近畿財務局だ。
紛れもなく、財務省の資料だ。
財務省が、平成26年年末の段階で、土地の定借契約のあり様から売買契約に至るまでの筋道を、完全に示しているではないか。
もう「他人の資料を根拠に指摘されても答えようがない」方式の言い逃れはできまい。
これで完全に、佐川理財局長の嘘は、立証されるのではないだろうか。
ちなみに……。
今、筆者の手元には、段ボール4箱ほどの資料の束がある。
この書類は、この書類の山から見つけた一つにすぎない。
他に資料はまだまだあるだろう。
もう少し丹念に、この資料の束を掘り返してみるとする。
佐川局長は、期待して待っていてほしい』
******* ******* ******* *******
森友学園問題を、決してフェイドアウトになどしてはなりません。
歴代一の戦争好きで外交下手、さらには「女子どもは黙って従え」教団に深く心酔しているような輩が閣僚である政権に、これ以上好き放題させるわけにはいかないからです。
******* ******* ******* *******
そうしてもう一つ、情報公開や公文書管理の法制に長年関わってきた、弁護士の三宅弘氏が、
財務省の答弁を「明確な法律違反だ」と断じ、「記録は今からでも作れる」と明言されたという記事を、同じく【日刊ゲンダイ】が書いてくれました。
三宅弘弁護士 財務省の森友交渉記録は「今からでも作れる」
【日刊ゲンダイ】2017年4月17日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203451/1
森友学園の国有地格安払い下げを巡る問題は、一向に疑惑が晴れない。
どうして、8億円ものディスカウントが行われたのか。
それが分かれば、真相究明の可能性があるのに、財務省は「交渉記録は廃棄した」と言い張る。
どうにも腑に落ちないのだが、情報公開や公文書管理の法制に長年関わってきた、弁護士の三宅弘氏は、
財務省の答弁を「明確な法律違反だ」と断じ、「記録は今からでも作れる」と明言する。
どういうことなのか。
■ 明確な法律違反、最低5年は保存が必要
――森友学園の問題では、財務省が、「交渉記録を廃棄した」と答弁していることが、疑惑を深める要因になっています。
本当に記録はないと思いますか?
三宅弘氏:
いえ、極めて怪しいと思っています。
記録は、個人のメモとして残っているはずです。
なぜそう言えるかというと、3・11(東日本大震災)後に、政府の災害対策本部と原子力災害対策本部が、約1年間議事録を作っていなかったことが、大問題になりました。
結局、個人のメモをベースに、議事録を作成したのですが、私はその検証業務に関わったのです。
財務省の交渉記録は、個人のメモを集めれば、今からでも作れます。
「報告書として出せ」と指示するのが、本来の政府のあるべき姿だと思います。
――安倍首相がらみの案件なので、官邸は動きませんよね。
それで財務省も、交渉記録の文書が「ない」と言い張っている。
三宅弘氏:
まさに忖度でしょう。
交渉の中身が分かると、危ういことがいろいろ出てくるのではないかという計らいで、
財務省行政文書管理規則で、保存期間「1年未満」の文書だと決めつけて、廃棄したということでしょうか。
あとは知らぬ存ぜぬです。
しかし、この財務省の解釈に、誰も異論を唱えないところに、一番の問題がある。
――「1年未満」という財務省の解釈は、間違っている?
三宅弘氏:
そうです。
私は、公文書管理法の制定過程に関わっているのですが、
4条に「当該行政機関における経緯も含めた、意思決定に至る過程の文書を残す」という条項が入ったんです。
この趣旨にのっとれば、8億円もの値下げという売買契約の経緯を、財務省と国土交通省は、記録として残さなければならない。
1年未満の文書だから廃棄できる、というような解釈には、決してなりません。
――法律を守っていれば、保存されていないとおかしい、ということですね。
三宅弘氏:
公文書管理法10条1項に基づく「行政文書の管理に関するガイドライン」の別表を、再度読み直してみたのです。
そうしたら、「15. 予算及び決算に関する事項」に、
「歳入、及び歳出の決算報告書に関する、決算書の作製その他決算に関する重要な経緯」の中で、
会計検査院に提出すべき計算書、及び証拠書類というのは、保存年限5年とされているのです。
契約書に添付された資料などは、最長の30年保存という解釈もありうる。
つまり、最低でも、5年は保存しなければいけない文書なのです。
理財局長はクビが飛んでもおかしくない
――財務省行政文書管理規則では、国の「行政文書ガイドライン」に従って、文書の保存期間を1年、3年、10年、30年と決めている。
土地売買交渉の経緯は、そのいずれにも当てはまらないということで、「1年未満」とされた。
三宅弘氏:
「行政文書ガイドライン」の別表第1備考五というのがあって、財務省の行政文書管理規則にも、同じ文言が入っているのですが、
「本表が適用されない行政文書については、文書管理者は、本表の規定を参酌し、当該文書管理者が所掌する事務、及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする」と義務づけられている。
これを根拠として、仮に財務省が、一般に売買契約の交渉過程を、「1年未満」という取り扱いにしていたとしても、
今回のケースは、8億円もの大幅値下げをしているため、会計検査院がチェックする文書になることは明らかです。
やはり、前述のように、最低5年は保存が必要で、1年未満にしてはいけないと、判断しなければならなかった。
実際に、安倍首相も、国会で「会計検査院がしっかり審査すべきだ」と発言していますしね。
――財務省は恣意的に、「1年未満」と解釈した可能性がありますね。
三宅弘氏:
財務省は、ガイドラインの別表に入らない文書だと、決めつけたわけです。
しかし、備考欄に、重要度に応じて対応しなければならないと書いてある。
もちろん、1年未満の文書についてもです。
最初から、文書を残そうという腹がないから、とにかく1年未満のものは全部消せる、と解釈している。
明らかに意図的な解釈でおかしい。
こんな解釈がまかり通ったら、日本の公文書管理は、メチャクチャになってしまいます。
――財務省のやっていることは、法律違反ですね。
三宅弘氏:
交渉記録の廃棄を、もし故意にやっていたら、刑法の公用文書等毀棄罪に該当します。
故意ではないとしても、保存義務について、裁量権を乱用しているということで、明らかに公文書管理法違反です。
国有財産の処分は、税金の使い道という広い意味でいえば、「国民共有の知的資源」に対して、我々国民に知る権利がある。
それに対して、説明責任を果たすというのが、公務員のあるべき姿です。
国会で「1年未満の文書ですからありません」とシャーシャーと言ってのけるのは、驕りですよ。
謙虚さが足りません。
対応を誤ると、理財局長は、クビが飛んでもおかしくないような、最重要の問題です。
――「文書はない」で終わらせては絶対にいけない、ということですね。
三宅弘氏:
財務省が「ない」と言っていることについて、安倍首相が、国会で、「ないことを証明するのは悪魔の証明だ」と言っていましたが、
自分たちの法律上の保存義務違反を棚に上げて、あんな場面で「悪魔の証明」を使うのは、いかがなものか。
そもそも、この公文書管理法は、麻生首相(現財務大臣)の時に作った法律ですよ。
皆さん、国会で笑っているしねえ。
――公文書管理法は2009年の施行。麻生さんの前の、福田康夫元首相が熱心だった。
三宅弘氏:
福田さんが、なんとしても成立させるんだって頑張って、くだんの4条(意思形成過程を残す)が入ったのです。
これはすごく大事で、集団的自衛権の行使を認める閣議決定時に、内閣法制局が「意見なし」とした件で、その経緯に関わる意思決定文書を、法制局長官は「ない」とした。
しかし、情報公開・個人情報保護審査会は、次長レベルで上がってきた想定問答を、「意思決定の経緯を残すもの」だとして、公文書だと答申したのです。
こうした経過を知っていれば、首相は、「悪魔の証明」なんて言えないはずです。
■ メールも転送すれば“公文書”
――そうなると、「意思決定の過程」を公文書とする際に、「個人のメモ」の範囲が、重要になってきます。
メールはどこまで含まれるのか。
どう考えますか?
三宅弘氏:
情報公開法では、「組織として共有しているもの」は、公開の対象です。
「決裁供覧」の印を押すだけじゃなく、会議でみんなに配ったら、「組織共用」なんです。
公文書管理法を作る際には、紙だけでなく、電子データも対象になった。
当時、米国では、オバマ大統領のツイッターも、情報公開の対象だという運用をしていて、
日本でも、鳩山首相がツイッターを始めて、ツイッターデータも公文書管理法の対象になった。
今は、何でもパソコンでデータを打つ。
それをメールで転送すれば、「組織共用」になります。
ですから、森友の問題でも、「私的メモだから」という言い訳は、通用しません。
メールのやりとりも、組織共用であるという運用を、はっきりと一般化する必要がある、と思います。
――今の時代、公務員のメールは、全て公文書であると考えるべきだ、ということですね。
「私的メモ」などほとんどない。
三宅弘氏:
役人は、今でも「紙の決裁文書だけ残せばいい」という発想で、それ以外のデータを消そうとする。
その最たるものが、防衛省です。
防衛省は、とにかく出版物にしたり、紙にしたりしたら、直ちに電子データを消すというルール。
だから、「日報」問題で、情報公開請求に対して、「文書不存在」と回答した。
しかし、こんな前近代的な発想で文書管理していたら、即座にデータを集めて、何かインテリジェンスをやらなければならない場面で、全く対応できないじゃないですか。
防衛が成り立たなくなってしまう。
国として問題です。
(聞き手=本紙・小塚かおる)
▽三宅宏(みやけ・ひろし)
1953年、福井県生まれ。
1978年、東大法卒。
1983年、弁護士登録。
1993年、筑波大修士課程経営・政策科学研究科修了(法学修士)。
BPO放送人権委員会委員長、総務省・行政機関等個人情報保護法制研究会委員、情報公開クリアリングハウス理事、日弁連副会長などを歴任。
独協大特任教授。
******* ******* ******* *******
*おまけ*
LITERAの記事から引用します。
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-384503/
森友学園問題で、「すべての記録書類を廃棄した」と言い張るなど、人を食った答弁を繰り返している佐川局長だが、さすがにこれは聞き捨てならない。
大事な文書が消えてしまわないよう、パソコンの自動バックアップシステムがあるのは分かるが、
短時間で、データが自動的に消去されるシステムなんて、聞いたことがない。
いつから導入され、どのくらいの予算がついたのか。
そのシステムは、どこの会社が開発したのか。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう言う。
「文書が自動的に消去されるシステムをつくることは、理論的には可能ですが、手間がかかる上に、メンテナンスも大変で、割に合わない。
ソフトウエアを開発するメリットも、導入する意義もないように思います。
さらには、復元不可能なシステムとなると、情報公開請求があった時に、黒塗りの文書さえ出せないということですから、
そんないい加減なシステムを、行政機関が採用するとは思えません。
むしろ、役所としては、サーバーのデータが飛んでも復元できるように、定期バックアップを取っておくのが普通でしょう。
佐川局長の答弁は、民間のIT知識のレベルをナメきって、適当な答弁でゴマカそうとしているように感じます。
意図的に消さない限り、データは、何らかの形で残っているはずです」