ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国『ルートカナル』事情

2017年04月20日 | 米国○○事情
ソメイヨシノが散り、ぽんちゃん桜が散り、どの家の庭にも一本は植わっている日本ハナミズキの花が、ひらりひらりと色づいてくると、
牡丹桜が一斉に、満開を迎える。





通りを散歩するだけで、春の花見が存分に楽しめるだなんて、こちらに引っ越してくるまで全く想像もしていなかった。
知らないことだらけで生きていたんだなあと思う。


さて今日は、ドキドキしながら待っていた、ルートカナルを受けた。
日本では、根幹治療と言われているものだと思う。
右側の上、親知らずの隣の歯が、治療を受けることになった歯だ。
ずっと長い間、何度も強い痛みに襲われたけど、しばらく我慢しているとなんとなく消えていく。
痛みは右側の上だったり下だったり両方だったり、だからいったいどの歯が悪いのか、自分でもわからなくなっていた。

治療の1週間前から、抗生物質を8時間おきに飲まなければならなかったのだが、そういう部類のものを飲み慣れていないからか、体のあちこちに発疹が出た。
前日に夫の鍼治療を受け、気分はすっかりリラックしたものの、支払う金額を考えると、ドド〜ンと落ち込んでしまう。
1550ドル…。
いくら素晴らしい腕のお医者だからって、どうしてこんなにも高いのだろう…。

診察室に入ったものの、つまずいたり咳き込んだり、「緊張してる?」と看護師さんに聞かれて、「めっちゃしてます」と答えたら笑われた。
「ここに来る人はみんなそう。でも、心配しなくても大丈夫だから」と言われても…やっぱり怖い。

先生が入ってきた。
いよいよまな板の鯉だ。もう逃げられない。
まず、これまでの歯の治療状況を調べる。
「この4本のインプラントは特に、とても良い仕事が為されてますね」と、しきりに褒める先生。
上の前歯4本、夫がいつも「セブン、セブン、セブ〜ン♪」とウルトラマンセブンの歌を歌ってからかう、インプラント4姉妹。
「どこでやったの?」と聞かれたので、少しだけ詳しく話をした。

ここにも何度か書いたけど、このインプラントは、わたしが頼んでしてもらったものではない。
2本の前歯の間にできた、ほんとにちっちゃな虫歯の赤ちゃんを削ってもらおうと、評判が良い歯科医院に行ったのは、今から26年前のことだった。
白髪頭の、品の良い老年の歯科医は、「よろしくお願いします」と治療椅子に座ったわたしに、
「前歯の虫歯は直してもまたできるから、思い切ってしっかり治療してしまいましょう」と言った。
わたしは、「『思い切ってしっかり』というのは、どのような治療なのですか?」とも聞かず、すっかりお任せにしてしまった。
麻酔が施され、いきなり前歯の4本が、次々に削られていった。
どうして全然虫歯がない歯を削るんですか?
そう聞きたかったけど、凄まじいドリルの音と、歯科医のマスクに飛び散る血(肉)を見ているうちに、気が遠くなってしまった。
時間にして3時間。
「さあ、やっとこれで仕上げに入れます」と、嬉しそうな声で言いながら、その医師はわたしに手鏡を渡した。
その鏡の中に映った、ネズミの歯のように小さく尖った、血だらけの4本の前歯を見た時の衝撃を、今でもはっきりと覚えている。
なんてことを…。
それからはもう、意識が朦朧としてしまって、金属棒をガンガンと打ち込まれている時は、これは何かのバチなのか?などと思ったりした。

でも今日、ルートカナルの担当医師に「良い仕事だ」と言われ、ずっと忘れてしまっていた彼の言葉が蘇ってきた。
わたしはその時、前夫との協議離婚の真っ只中で、自分としては、4月末日に家を出ようと決心していた。
ずるいとは思ったけれど、無一文で家を出るつもりだったので、虫歯の治療を済ませておこうと歯科医院に出向いたのだった。
だから歯科医には、「事情があって何度も来られないので、今日一日限りでお願いします」と前もって伝えてあった。
それを聞いた彼は、
「じゃあ、全てを今日中にやってしまいます。
だから、責任を持って、2度とここに来なくても良いように、きちんとするから安心してください」
と言ったのだった。
7万円×4本で28万円。
前夫からは、そのことで何度も非難された。
当たり前だ、立場が逆なら、わたしだって文句を言う。
でも、そんなつもりなど全く無かったんだからね。
結局最後まで、信じてもらえなかったけど…。

その26歳の4本のフェイク前歯は、60歳の他の本物歯に比べると、色白でデカい。
そして、疲れがたまると、4本の歯ぐきの辺りがジーンとしびれたりする。
だからずっとあの歯医者には、心の中で文句を言ってきたのだけども、今日からはちょっと、でも良い仕事をしてくれてありがとう、と感謝しようと思う。

今日は初めて、こんなゴムカバーをつけてもらった。
よそ様の歯の写真だけど、参考のためお借りした。(わたしはタオルの代わりにゴーグルを付けた)


見た目は凄まじいけど、このカバーのおかげで、治療中に出る破片や血などが、喉元に飛んで来なくて快適だった。
あと一つ、麻酔の注射がはじめの1本目から、全く痛くなかった…というか、まるで何も感じなかった。なぜだろう…。

これまたよそ様の歯のレントゲン写真だが、3本の根幹を入れてもらったわたしのものとよく似てるので。


そして2週間後にまた、仕上げのクラウン治療が始まる。
これはスペシャリストではなく、普通の歯科医院でやってもらえる。
けれども、これまたすごく高くて12万円。
もうこれは、月々の支払いが少々高くても、歯の保険に入るっきゃないと思う。
歯の保険って、入るだけバカらしいよって言う人もちらほらいるけど、実費払いではとてもじゃないけど暮らしていけない。
これからまだまだ、詰め物の下で静かに深刻になっていく虫歯が、次はおいらだ!とばかりに順番を待っているんだから。

今日は10℃をちょっと超えただけの、肌寒い日。
わたしの財布は、零下10℃だな…。


さて、気分直しに、
去年の8月の末にのんちゃんちで、みんなでワイワイにぎやかに作ったお味噌の、早くも二つ目の容器に手を付け始めた。
これが無くなったらえらいこっちゃ!
これを食べ切ってしまう前に、次のができているようにしないと、味噌汁抜きで当分過ごさなければならなくなってしまう。
朝のコーヒーと夜のワインの代わりに、この手前味噌汁を飲み出してからというもの、美味しくて嬉しくて、もうコレ(具は刻みネギ+たまにアオサ)抜きの食事なんて考えられない!

やっぱりうっすらと膜が張っていた…ちょいとグロテスク。


心配してたカビは膜の中だけで、ペラリとめくるといい感じの味噌が現れた!


今回は、何回も、タマリのような液体がにじみ出てきていたので、大丈夫だろうかと心配していたのだけど、
オーガニックの玄米麹が良かったのか、はたまたオーガニックのヒマラヤ塩が良かったのか、それともみんなの笑いと愛情がこもってたからか、とっても美味しい味噌が出来上がった。

手前味噌、本当にオススメですぞ!!
コメント (2)
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