引き続き、粘土の種類と特徴について、述べたいと思います。
3) 備前の土
備前とは、岡山県の旧国名です。
備前土(本備前)、備前火襷(ひだすき)土、白備前土、黒備前土等の種類が、有ります。
① 備前土 焼成温度目安: 1.150~1200℃
備前市伊部周辺の、田土(田圃の下から、掘り出した粘土)で、肌理が細かく、備前土の仲で、
最上の土と、言われています。 大変貴重な土で、手に入り難い物です。
(一般に、市販されている、備前土と呼ばれる物は、ブレンドされた、合成備前が、多いです。)
耐火温度は低く、1200℃以下で焼成します。
(高い温度では、焼成できません。作品が壊れます。)
② 火襷粘土(備前1号)
作品に、くっつき防止用に、藁(わら)を巻いて焼成すると、白い肌に、緋色が出ます。
これを火襷と、呼んでいます。 この火襷が、発色し易く、調合した土です。
③ 備前黒土
岡山県邑久郡長船町磯上周辺の黒土です。
・ 備前焼に付いて
備前焼は、大変人気のある、高価な焼き物です。
酒器、食器、茶道の道具類(水指、器)、民芸品(置物、細工物)等の作品が有ります。
) 備前焼の特徴
a) 最大の特徴は、無釉(作品に、釉薬を掛けない)の事です。
本来の備前の土は、収縮率が大きく、釉薬を掛けると、釉が剥がれ落ちる為、
釉が掛けられないのです。縮み率は、20%弱との事です。
(素地と釉の収縮率が、一致している場合、釉は綺麗に掛かります。釉の方が、縮みが大きいと、
釉に「ひび」即ち、「貫入」が入ります。
逆に素地の方が大きく縮む場合には、釉が素地と、密着せず、剥がれ落ちます。)
但し、現在では、縮み率が12~13%に調整された、備前の土も市販されています。
b) 薪で焼成する。
登り窯や、あな窯などで、薪(赤松)を使って、焼成します。
薪の灰が、作品に降り注ぎ、備前特有の色(模様、景色)に、発色します。
c) 作品を重ねたり、倒したりして、焼成出来る。
釉薬を掛けない為、重ね合わせたり、横に寝かせる事も、可能です。
その為、施釉した作品には、見られない、模様を出すことが、可能です。
d) 備前の土は悪い土です。
常識的には、備前の土は、最悪の土です。
即ち、耐火温度が低い、急な温度上昇が出来ない。
(急な昇温では、土の中の気泡が抜け切らず、表面が膨れてきます。)
それ故、焼成時間が長く、3~4日以上必要です。
(それ故、手間隙が掛かり、作品も、高価に成ります。数万円~数百万円の価格です。)
薪窯でなければ、良い色に発色しない。(燃料費、人件費も高くなる。)
焼き締りが大きい。(その為、無釉でも、水漏れしない、強固に焼き上がる利点が有ります。)
そして必ずしも、作り易い土では有りません。
以上の様に、常識的には、悪い土ですが、手間隙を掛けて、素晴らしい作品に、生まれ替わる事が
出来ます。
) 備前焼の模様
赤松の灰が、作品に降り注ぎ、高温で熔け、土と一体になり、他の焼き物には見られない、
特徴的な模様が、現れます。
備前焼きの特徴の模様には、以下の物が、有ります。
a) 胡麻(青、黄ごま)
高温で熔け、自然の灰釉に成ったものを、胡麻といいます。
窯の発達により、窯中の湿度が変化し、胡麻の色も変化したと、言われていて、
色の違いが、時代の物指しとなっています。
・ 青胡麻: 平安~安土桃山時代の暗緑色。
・ 黄胡麻: 江戸期は、黄色。
・ 江戸末期以降は、茶色、現在では、人工的に、発色させているそうです。
b) サンギリ
薪の灰に埋もれ、火が直接当らず、赤くなるべき肌が、還元焼成で、暗灰色に成った物です。
大正時代以降、炭を使い、人工的に作れる様に成りました。
c) 牡丹餅(ぼたもち)
大きな器の中に、小さな物を重ねて置き、焼成すると、そこだけ、炎や灰が掛からず、
赤い焼き肌と成る現象です。
d) 榎肌(えのきはだ)
火力が弱く、灰が熔け切らず、榎の木肌の様に、黒や灰色の粒状に、焼き上がった物です。
e) 青備前
備前焼は、酸化焼成するのが、普通ですが、炎や、窯詰めの関係で、還元焼成に成った場合、
青味掛かった、暗灰色に成った物です。
細工物では、意図的に還元にし、発色する場合もあります。
f) かせ胡麻
小粒の灰が、熔けないで、作品に付着した物で、不完全な胡麻が現れています。
茶道の分野で、古くから、珍重されていると、言われています。
粘土の種類 備前土
3) 備前の土
備前とは、岡山県の旧国名です。
備前土(本備前)、備前火襷(ひだすき)土、白備前土、黒備前土等の種類が、有ります。
① 備前土 焼成温度目安: 1.150~1200℃
備前市伊部周辺の、田土(田圃の下から、掘り出した粘土)で、肌理が細かく、備前土の仲で、
最上の土と、言われています。 大変貴重な土で、手に入り難い物です。
(一般に、市販されている、備前土と呼ばれる物は、ブレンドされた、合成備前が、多いです。)
耐火温度は低く、1200℃以下で焼成します。
(高い温度では、焼成できません。作品が壊れます。)
② 火襷粘土(備前1号)
作品に、くっつき防止用に、藁(わら)を巻いて焼成すると、白い肌に、緋色が出ます。
これを火襷と、呼んでいます。 この火襷が、発色し易く、調合した土です。
③ 備前黒土
岡山県邑久郡長船町磯上周辺の黒土です。
・ 備前焼に付いて
備前焼は、大変人気のある、高価な焼き物です。
酒器、食器、茶道の道具類(水指、器)、民芸品(置物、細工物)等の作品が有ります。
) 備前焼の特徴
a) 最大の特徴は、無釉(作品に、釉薬を掛けない)の事です。
本来の備前の土は、収縮率が大きく、釉薬を掛けると、釉が剥がれ落ちる為、
釉が掛けられないのです。縮み率は、20%弱との事です。
(素地と釉の収縮率が、一致している場合、釉は綺麗に掛かります。釉の方が、縮みが大きいと、
釉に「ひび」即ち、「貫入」が入ります。
逆に素地の方が大きく縮む場合には、釉が素地と、密着せず、剥がれ落ちます。)
但し、現在では、縮み率が12~13%に調整された、備前の土も市販されています。
b) 薪で焼成する。
登り窯や、あな窯などで、薪(赤松)を使って、焼成します。
薪の灰が、作品に降り注ぎ、備前特有の色(模様、景色)に、発色します。
c) 作品を重ねたり、倒したりして、焼成出来る。
釉薬を掛けない為、重ね合わせたり、横に寝かせる事も、可能です。
その為、施釉した作品には、見られない、模様を出すことが、可能です。
d) 備前の土は悪い土です。
常識的には、備前の土は、最悪の土です。
即ち、耐火温度が低い、急な温度上昇が出来ない。
(急な昇温では、土の中の気泡が抜け切らず、表面が膨れてきます。)
それ故、焼成時間が長く、3~4日以上必要です。
(それ故、手間隙が掛かり、作品も、高価に成ります。数万円~数百万円の価格です。)
薪窯でなければ、良い色に発色しない。(燃料費、人件費も高くなる。)
焼き締りが大きい。(その為、無釉でも、水漏れしない、強固に焼き上がる利点が有ります。)
そして必ずしも、作り易い土では有りません。
以上の様に、常識的には、悪い土ですが、手間隙を掛けて、素晴らしい作品に、生まれ替わる事が
出来ます。
) 備前焼の模様
赤松の灰が、作品に降り注ぎ、高温で熔け、土と一体になり、他の焼き物には見られない、
特徴的な模様が、現れます。
備前焼きの特徴の模様には、以下の物が、有ります。
a) 胡麻(青、黄ごま)
高温で熔け、自然の灰釉に成ったものを、胡麻といいます。
窯の発達により、窯中の湿度が変化し、胡麻の色も変化したと、言われていて、
色の違いが、時代の物指しとなっています。
・ 青胡麻: 平安~安土桃山時代の暗緑色。
・ 黄胡麻: 江戸期は、黄色。
・ 江戸末期以降は、茶色、現在では、人工的に、発色させているそうです。
b) サンギリ
薪の灰に埋もれ、火が直接当らず、赤くなるべき肌が、還元焼成で、暗灰色に成った物です。
大正時代以降、炭を使い、人工的に作れる様に成りました。
c) 牡丹餅(ぼたもち)
大きな器の中に、小さな物を重ねて置き、焼成すると、そこだけ、炎や灰が掛からず、
赤い焼き肌と成る現象です。
d) 榎肌(えのきはだ)
火力が弱く、灰が熔け切らず、榎の木肌の様に、黒や灰色の粒状に、焼き上がった物です。
e) 青備前
備前焼は、酸化焼成するのが、普通ですが、炎や、窯詰めの関係で、還元焼成に成った場合、
青味掛かった、暗灰色に成った物です。
細工物では、意図的に還元にし、発色する場合もあります。
f) かせ胡麻
小粒の灰が、熔けないで、作品に付着した物で、不完全な胡麻が現れています。
茶道の分野で、古くから、珍重されていると、言われています。
粘土の種類 備前土