土鍋ついて、述べたいと思います。(特に、これから土鍋を作りたい方の、参考にして下さい。)
これから冬に向い、鍋料理が美味しくなる季節と、成りました。
特に、旬の美味しい食材を使い、熱々の土鍋料理は、楽しい食事が、期待されます。
土鍋は、色々の大きさの物が、市販されていますが、自分で作りたいと、希望される方も、多いです。
100円ショップで、売られている物から、数万円の土鍋まで、色々有ります。
その違いは、何処から来るのでしょうか?
土鍋は、他の陶器と違い、粘土、作り方、釉薬、焼成温度などに、違いが有り、安易には出来ません。
以下各項目について、順次記していきます。
7) 土鍋の土
直火で、煮炊きする土鍋は、それ専用の土を、使う必要が、有ります。
(一般の陶芸用粘土で、作った作品は、直に火に掛けると、壊れます。)
・ 土鍋用の土は、天然の素材(粘土)を、そのまま使用する場合と、
・ 土鍋用に、調合(ブレンド)した土に、分かれます。
一般的に、土鍋用として市販されている土は、後者(調合土)が多いです。
土鍋用の土は、各地に存在しているとの事ですが、幾つか紹介したいと、思います。
① 信楽鍋土(耐熱信楽土) 酸化焼成1180℃~1200℃ (1200℃を越えないように、注意)
信楽の荒目の土(白土、赤土)で、急熱急冷に耐え、土鍋にも使われます。
直火に強く、陶板、ほうろく(胡麻など炒る道具)、グラタン皿など、直火で割れない性質が、
有ります。 成形に難があり、土の粘りも少ないです。
② 万古焼、益子焼などの耐熱土
地元の土に、他の材料(ペタライト)を混ぜ、調合して、耐熱用の土にした物です。
③ 伊賀の土
食器用としては、あまり使われない、火に強い土です。
調合しない土で、自然の土に、余り手を加えずに、使用します。
焙るなどの調理器具として、昔からプロの料理人に愛されてきました。
直火調理は勿論の事、オーブン、電子レンジにも使えます。
伊賀の陶土は、土鍋本体がしっかりとし、を蓄えて、食材の芯までじっくりと火を通し、
旨みを逃さず、美味しい料理に仕上げ、保温効果も良いと言われています。
但し、調合土よりは、はるかに火に弱く、汚れや易い、欠点もあります。
7)-1 土鍋土と、耐熱鍋土(調合土)の違いについて
① 耐熱(鍋)土の特徴
現在市販されている土鍋の多くは、人工的に強度を増した土が使われれています。
どれも伊賀の土(無調合土)などよりも、はるかに火に強く、また汚れにくいことが特徴です。
この土は、土鍋の弱点とされる、「ひび割れ」や、「水が浸み込むとによる、カビの発生」など、
ほとんど、起こらない様に、調節されています。
火にかけ、熱を加えた時に起こる、膨張(熱膨張)も、ほとんどありません。
その為、冷める時に、収縮も起こりません。
・ 耐熱土のポイントは、ペタライトで、リチウム長石(葉長石)と呼ばれる物を混ぜています。
( ペタライトは、長石に似ていますが、別の物です。)
土鍋土や、普通の粘土で作った製品は、熱を加えると大きく膨張しますが,耐熱土は、
ペタライト中の、リチウム系の 低膨張の物質によって、熱膨張が小さくなります。
それ故、直火や空焚きしても割れない、 焼き締まった、硬い製品を作る事が出来ます。
又,釉薬も一般的な粘土と、熱膨張が違うので、ペタライトを配合した、低熱膨張の釉を、
使う必要があります。
・ 一般的な粘土との調合例
土鍋土 : ペタライト50 、粘土50 、焼成温度1200~1250℃ 、膨張率 20%以上
耐熱鍋土 : 40、 50 、シャモット10 、 1150~1200℃1 5%未満
どちらの鍋土も、ペタライトが50%入った土を使っています。違いは焼成温度です。
この土は直火には強く、空焚きしても、何ともありません。
尚、ペタライトの入った土鍋土は、高価です、安価な土鍋は、蓋のみ普通の土を、使う事もあります。
耐熱土鍋で調理すると、沸騰するまでが早く、中身がグラグラと煮え立ちます。
土の表面が滑らかで、硬質なので、水が浸み込む事はなく、初めて使用する際に「おかゆ」を、
炊く必要はありません。 扱いが非常に楽ですが、そのかわり、調理の味も、それほど旨くなりません。
② 無調合(鍋土)の土の特徴
昔ながらの、自然の土で作られた土鍋は、あまりグラグラと沸騰せず、鍋の中で食材を、
包み込む様に、ゆっくり火が通っていきます。
野菜や魚など素材の持っている、甘みや旨みを引き出し、
その為、「ふっくらとした味」に仕上げます。
(煮物など食材に火を通し、味をしみ込ませていく時には、沸騰している必要はありません)
この煮え方の違いによって耐火土鍋に比べ、断然おいしく出来上がります。
土の感じは、荒く「ざらざら」していますが、その荒さが火の通り道の、隙間をを作っています。
使用していると、鍋に「ひび」が入る事がありますが、この「ひび」は、壊れたわけではなく、
土鍋を直火に掛けた事による、膨張の調整によります。使うには、支障はありません。
しかし、隙間が開いているという事は、水も通してしまいます。
そこで使い始める前に、この隙間を埋める為、「おかゆ」を炊く必要が、ある訳なのです。
「火(熱)は通すけれど、水(汁気)は通さない」、状態を作る訳です。
自然の土で出来た土鍋は、正直言って、使うのに手間がかかります。
けれど、この手間をかけることによって、生まれてくる美味しさもあります。
どちらが、絶対的に良いという訳ではなく、同じようにみえる土鍋も、土によって、
違いがあるという事です。
以下、次回に続きます。
土鍋土
これから冬に向い、鍋料理が美味しくなる季節と、成りました。
特に、旬の美味しい食材を使い、熱々の土鍋料理は、楽しい食事が、期待されます。
土鍋は、色々の大きさの物が、市販されていますが、自分で作りたいと、希望される方も、多いです。
100円ショップで、売られている物から、数万円の土鍋まで、色々有ります。
その違いは、何処から来るのでしょうか?
土鍋は、他の陶器と違い、粘土、作り方、釉薬、焼成温度などに、違いが有り、安易には出来ません。
以下各項目について、順次記していきます。
7) 土鍋の土
直火で、煮炊きする土鍋は、それ専用の土を、使う必要が、有ります。
(一般の陶芸用粘土で、作った作品は、直に火に掛けると、壊れます。)
・ 土鍋用の土は、天然の素材(粘土)を、そのまま使用する場合と、
・ 土鍋用に、調合(ブレンド)した土に、分かれます。
一般的に、土鍋用として市販されている土は、後者(調合土)が多いです。
土鍋用の土は、各地に存在しているとの事ですが、幾つか紹介したいと、思います。
① 信楽鍋土(耐熱信楽土) 酸化焼成1180℃~1200℃ (1200℃を越えないように、注意)
信楽の荒目の土(白土、赤土)で、急熱急冷に耐え、土鍋にも使われます。
直火に強く、陶板、ほうろく(胡麻など炒る道具)、グラタン皿など、直火で割れない性質が、
有ります。 成形に難があり、土の粘りも少ないです。
② 万古焼、益子焼などの耐熱土
地元の土に、他の材料(ペタライト)を混ぜ、調合して、耐熱用の土にした物です。
③ 伊賀の土
食器用としては、あまり使われない、火に強い土です。
調合しない土で、自然の土に、余り手を加えずに、使用します。
焙るなどの調理器具として、昔からプロの料理人に愛されてきました。
直火調理は勿論の事、オーブン、電子レンジにも使えます。
伊賀の陶土は、土鍋本体がしっかりとし、を蓄えて、食材の芯までじっくりと火を通し、
旨みを逃さず、美味しい料理に仕上げ、保温効果も良いと言われています。
但し、調合土よりは、はるかに火に弱く、汚れや易い、欠点もあります。
7)-1 土鍋土と、耐熱鍋土(調合土)の違いについて
① 耐熱(鍋)土の特徴
現在市販されている土鍋の多くは、人工的に強度を増した土が使われれています。
どれも伊賀の土(無調合土)などよりも、はるかに火に強く、また汚れにくいことが特徴です。
この土は、土鍋の弱点とされる、「ひび割れ」や、「水が浸み込むとによる、カビの発生」など、
ほとんど、起こらない様に、調節されています。
火にかけ、熱を加えた時に起こる、膨張(熱膨張)も、ほとんどありません。
その為、冷める時に、収縮も起こりません。
・ 耐熱土のポイントは、ペタライトで、リチウム長石(葉長石)と呼ばれる物を混ぜています。
( ペタライトは、長石に似ていますが、別の物です。)
土鍋土や、普通の粘土で作った製品は、熱を加えると大きく膨張しますが,耐熱土は、
ペタライト中の、リチウム系の 低膨張の物質によって、熱膨張が小さくなります。
それ故、直火や空焚きしても割れない、 焼き締まった、硬い製品を作る事が出来ます。
又,釉薬も一般的な粘土と、熱膨張が違うので、ペタライトを配合した、低熱膨張の釉を、
使う必要があります。
・ 一般的な粘土との調合例
土鍋土 : ペタライト50 、粘土50 、焼成温度1200~1250℃ 、膨張率 20%以上
耐熱鍋土 : 40、 50 、シャモット10 、 1150~1200℃1 5%未満
どちらの鍋土も、ペタライトが50%入った土を使っています。違いは焼成温度です。
この土は直火には強く、空焚きしても、何ともありません。
尚、ペタライトの入った土鍋土は、高価です、安価な土鍋は、蓋のみ普通の土を、使う事もあります。
耐熱土鍋で調理すると、沸騰するまでが早く、中身がグラグラと煮え立ちます。
土の表面が滑らかで、硬質なので、水が浸み込む事はなく、初めて使用する際に「おかゆ」を、
炊く必要はありません。 扱いが非常に楽ですが、そのかわり、調理の味も、それほど旨くなりません。
② 無調合(鍋土)の土の特徴
昔ながらの、自然の土で作られた土鍋は、あまりグラグラと沸騰せず、鍋の中で食材を、
包み込む様に、ゆっくり火が通っていきます。
野菜や魚など素材の持っている、甘みや旨みを引き出し、
その為、「ふっくらとした味」に仕上げます。
(煮物など食材に火を通し、味をしみ込ませていく時には、沸騰している必要はありません)
この煮え方の違いによって耐火土鍋に比べ、断然おいしく出来上がります。
土の感じは、荒く「ざらざら」していますが、その荒さが火の通り道の、隙間をを作っています。
使用していると、鍋に「ひび」が入る事がありますが、この「ひび」は、壊れたわけではなく、
土鍋を直火に掛けた事による、膨張の調整によります。使うには、支障はありません。
しかし、隙間が開いているという事は、水も通してしまいます。
そこで使い始める前に、この隙間を埋める為、「おかゆ」を炊く必要が、ある訳なのです。
「火(熱)は通すけれど、水(汁気)は通さない」、状態を作る訳です。
自然の土で出来た土鍋は、正直言って、使うのに手間がかかります。
けれど、この手間をかけることによって、生まれてくる美味しさもあります。
どちらが、絶対的に良いという訳ではなく、同じようにみえる土鍋も、土によって、
違いがあるという事です。
以下、次回に続きます。
土鍋土