陶芸の中には、やってみないと判らない事も多く存在します。
1) その代表的なのは焼成です。窯を開けて見るまで、どの様な作品に出来上がっているかは判ら
ないのが普通です。例え温度が所定の位置まで上昇し、還元(又は酸化)焼成が完璧に出来た
と思われたとしても、予想通りの色や形に仕上がる訳でもありません。 同じ釉を掛け、隣同士の
位置に窯詰めしても、焼き上がりが極端に異なる場合も珍しくありません。
特に薪やガス、灯油などの燃料を使う窯の場合は、顕著に現れます。
場合によっては、色だけでなく、作品に亀裂やひびが入ったり、ひどい場合には、作品が粉々に
成ってしまう事もあります。
① 今までに無い特に変わって発色した場合は、「窯変」と言い珍重されますが、同じ条件で焼成し
ても、二度と同じ様に焼き上がらない場合が多いです。
勿論、焼成時のデータを確認しながら、再現を目指すべく色々思考錯誤するのですが、
再現しない事の方が多い様です。要するに、根本的な事が判っていない事が、原因かも
知れません。
② 同じ条件で焼成しても、窯の種類によって、焼き上がる作品の釉の色に差が出ます。
薪、ガス、灯油、電気窯などによって、同じ土、同じ釉、同じ焼成(酸化、還元)であっても、
明らかに違いが出ます。その為、数種類の窯を持ち、使い分けている方もいます。
③ 窯には個性があります。(市販の窯であっても、手作りの窯であっても個性が出ます。)
同じ窯でも、窯の扉を開けないと結果が判らないのですから、同じ燃料を使用し、同程度の
大きさ(容積)の他の窯であっても、当然焼き上がりには差がある物です。
それ故、ご自分が納得する焼き物が出来る様に、窯を改造したり、何度も新たな窯を築く人も
います。更に、他の人の窯焚きについての話を聴いても、必ずしも役に立つ訳ではありません。
) 窯の癖を見分ける事が、窯焚きの必須の条件です。
a) 窯の中は均一ではない。
基本的には均一にしたいのですが、均一に成らないのが実情です。
b) 窯の中では、ある程度の温度差が生じます。窯の容積が大きい程、温度差が出易いです。
温度差を少なくする為に、「寝らし」と言い、目標温度で一定時間保持する作業を行います。
しかし、この作業も完璧な物ではありません。
又、窯の中の場所によっては、温度上昇が急であったり、逆に温度上昇が遅い場所が
出来易いです。その結果は、釉や作品の形に影響を与えます。
c) 電気の窯では、一つ窯全体が酸化焼成する事が可能ですが、燃料を使う窯では、完全に
酸化や還元焼成に成らず、還元焼成でも一部で酸化焼成になる事も、珍しくありません。
又、還元でも、強還元や、弱還元など、窯の中の位置関係によって差が出ます。
d) 窯の冷める速さにも、場所によって差がでます。(壁の厚い程、容積が大きい程、
冷えは遅くなります。) 窯の下部から冷却が始まり、最上部が最も遅く冷却します。
釉によっては、急冷に向く「黒釉」や、徐冷に向く「結晶釉」などがありますので、釉に合わ
せて、窯詰めします。
勿論数度の窯焚きでは、その窯の癖を把握する事は困難です。
ある程度の回数を行う事により、少しずつ癖を把握する事になります。
その結果は次回の窯詰めや、焼成に役立たせます。
以下次回に続きます。