わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸の心得23(予測不可能な事2)

2012-08-05 22:49:51 | 陶芸の心得

予測不可能な事は、焼成中にも起こります。

一番多いのは、温度上昇中に、突然上昇速度が鈍くなる事で、場合によってはその温度でストップ

する事があります。更に最悪の場合には、温度がどんどん低下する事さえ起こります。

2) 窯の温度上昇が突然停止する。

   窯の温度を上昇させるには、少しずつ燃料や電力の供給を増やします。

   しかし、順調に温度上昇していたものが、突然ストップすると、大変不安になり、何らかの対策を

   採る必要に迫られます。この現象は素焼き、本焼きに関係なく起こりますし、現在の温度に

   関係なく、低い温度や高い温度でも起こります。

 ① 温度上昇のメカニズム。

  ) 基本的には熱源(燃料や電力)を追加してゆけば、温度は上昇するはずです。

     しかし実際にはその通りに成らない場合が多く、どの様な対策を採るべきか迷い、毎回試行

     錯誤をして、切り抜けているのが実情です。

     特に燃料などを供給した直後に、この現象が起これば、次のような事が考えられます。

  ) 燃料を使う窯の場合に起こり易い。

    即ち、燃料の供給量と空気(酸素)の供給量のバランスによって、温度が上がったり、停滞

    したり、低下したりします。

   a) 一番燃焼効率が良いのは、中性炎又は、弱還元炎の時と言われています。

     次に効率が良いのは、弱酸化炎の場合です。

   b) 低下する最悪の場合は、主に強還元炎の時です。

     即ち、燃料に対して空気の量が少ない場合です。むやみに燃料を供給すればするほど

     温度が下がる事になります。

   c) 強酸化の場合も、温度が上昇しません。この場合は、煙突からどんどん熱が逃げる事に

     なり、燃料が無駄になります。

  ) 窯には各種の調整装置が備わっています。

    即ち、燃料や電力の供給量の調整(バーナーの圧力など)や、空気供給量の調整、煙突の

    引きの調整が主な調整装置ですが、これらを微妙に調整する事で、温度の上昇状態が

    変化します。

    a)  窯の状態を見て対策を立てる。

      温度上昇がストップしたからと言って、あわてて対策を採らず、5~10分程度静観する

      事です。一時的に温度が数度低下しても、再び温度上昇に転じる事も多いからです。

    b)  窯の状態が、今どの様な場面かによって、対策が異なります。

     ・ 素焼きの場合は、一般に酸化焼成ですので、燃料供給過多により、還元が強くなり

       温度上昇がストップする場合が考えられますので、酸化炎になる様に空気供給量を

       増やしたり、煙突の引きを強くします。

     ・ 本焼きの場合、酸化又は還元焚きに移っていれば、燃料不足に成らない様に、又は

       強還元や、強酸化炎に成らない様に、調整箇所(ガス圧、空気穴など)を調整します。

    c)  本焼きも1200℃を超える頃から、極端に温度上昇が遅くなります。30分で10~20℃の

       上昇と言う事も稀ではありません。このような状態の時はどう対処すべきか迷う事に

       なります。 いくらかでも温度上昇していれば、このまま我慢する方法と、なんらかの

       対策を採るべきかです。(但し、ストップ又は低下の場合には対策は必要です。)

      ・ ここで対策に失敗すると、自体はどんどん悪く成って仕舞がちになります。

       即ち、あちらこちらを微調整して温度上昇が上がってくれれば良いのですが、逆に悪い

       方向になる場合もあります。

      ・ 1200℃を超えると、一般に酸化炎に切り替えます。それ故供給量を増やさずに逆に

        減らすと良い場合があります。例として、温度上昇がほとんどストップ状態の時、夕立が

        あり、プロパンガスボンベが濡れ、霜が付着しガス圧が低下したら、急に温度が上昇した

        経験があります。

      ・ 温度上昇が鈍ったり、ストップした場合どの様な対処をしたかを、ノートに記録する事です。

        但し、同じ対処方で、クリアーする事は、意外と少なく毎回何らかの方法を取り入れて

        対処する事が多いです。

     d) あと20℃と言う処で完全にストップしてしまった事があります。一般に1200℃あれば

        釉は熔けると言われていますので、最低でも1200℃(目標は1230℃)゛が欲しいの

        ですが、1180℃でストップした訳です。

        いくら時間をかけても、温度上昇が見込めず、ここで窯焚きを中止した事があります。

      ・ てっきり全滅したと思いましたが、窯を開けて見ると、今までよりも発色の良い作品が

        数個ありました。若干焼きが甘く、いつもの光沢は少ないのですが、落ち着いた色に

        仕上がっていました。

  話がやや横道に反れてしまいましたが、失敗は失敗なりに思わぬ収穫を得る事も、予測不可能な

  事になります。

以下次回に続きます。

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