① 窖窯での焼成には、それなりの心得が必要です。
) 窯詰めについて。
a) 「捨間」の有無。窖窯には、「捨間(すてま)」の有る場合と無い場合があります。
「捨間」の役目は、炎が直に煙突に流れ、熱が無駄に逃げ出すのを防ぐ事です。
「捨間」があれば、その直前で、炎をさいぎる事ができますが、無い場合には広い煙道口から
煙突に流れます。その為、「捨間」が無い場合には、耐火煉瓦を格子状に組み、炎をさえぎる
必要があります。
b) 作品の底に焼き締まり難い、童仙坊(どうせんぼう)土を噛ませてから棚板の上に置きます。
目的は自然釉が流れ、棚板と作品がくっつくのを防ぐ為です。
この土に2割程度の珪砂を混ぜ、水を加えて練り、団子状にして、底に数個貼り付けます。
又、CMC(化学糊)の溶液や、アルミナ粉を使って貼り付ければ、よりくっつき難くなります。
c) 施釉していない作品は、必ずしも垂直に立てて窯詰めする必要はありません。横倒しに
する事も、斜めでも逆さに置く事も可能です。
但し灰が熔けたビードロは、垂直方向に流れますので流れる方向も考慮 して窯詰めします。
更に、作品によっては重ね焼きも可能です。但し、重ねた部分でくっつく事が無い様に
処理する必要があります。
d) 焚き口に近い場所は、「おき」(燃えきっていない薪)が溜まり易く、この「おき」に埋まった
所は強還元が掛り、「焦げ」や「窯変」が起こる場所ですので、この空間を有効に使います。
e) 狭い窯の中で、平たい皿は場所を取る作品と言えます。重ね焼きも可能ですが、重ねると
下の作品に灰が掛り難くなります。その際には、棚を組んだ最上段に大皿を逆さに伏せて
窯詰めすると、舞い上がった灰が皿の表面に載ります。
f) 炎が真っ直ぐに走らず、窯全体を包み込む様に窯詰めをしますので、作品同士の位置関係
や隙間の大きさも、重要な要素になります。
2) 窖窯の焼成の仕方
① 酸化と還元焼成によって作品の雰囲気が大きく変わります。
緋色を出す場合は、窯の雰囲気を酸化気味にします。冴えたビードロ色を出したい場合には
強還元焼成で焚きます。
② 「木蓋(きふた)」による還元方法。
還元状態を持続させる方法に、「木蓋」という技法があります。
即ち、焚き口を薪で塞ぎ、空気が入らない状態で、薪を窯の中に少しづつ押し込む方法です。
③ 煙の状態を見て窯の状態を把握する事。
新たに薪を投入すると、煙突より黒い煙が立ち上ります。そして窯の温度が若干下がり還元
状態になります。 黒い煙が消える頃に成ると、温度は上昇に転じます。この状態が還元から
酸化焼成に変化している頃です。この還元と酸化を繰り返す事により、窯の温度は徐々に
上昇して行きます。
温度計に頼り過ぎると、温度の低下を感知したら、直ぐに薪を投入したくなります。
これでは、更に温度低下を招く事になります。温度計は一つの目安として使う事が肝銘です。
3) 窖窯で備前を焼く。
以下次回に続きます。