わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

作品の「歪み」に付いて(電動轆轤7、糸切り)

2009-08-14 17:31:27 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

3) 作り方に原因がある場合

 ④ 電動轆轤による「歪み」

  Ⅵ) 作品を、轆轤上から、切り離す時、及び、取上げる際の、「歪み」

   a) 糸の入れ方に問題

   イ) 多量の土を轆轤に 据え、上から作品を作り、糸を入れて切る場合に、糸(シッピキ)の使い、

     水平に切断出来ないと、取上げた作品は、「歪み」ます。」

     特に、切り口に、段差が出来たり、斜めに切れてしまった時には、取上げて、板に置いた時に、

     作品が傾いたり、縁が歪んだりします。

     尚、大皿など、底の広い作品は、回転させて切る事は、止めた方が良いです。
    
    ロ) 回転させて切ると、作品が動いて、中心から「ズレ」たり、最悪、下の土から、転げ落ち、

      作品が台無しに成る場合もあります。回転スピードが早いと、遠心力も強くなり、

      落ちる可能性も、大きく成ります。かなり練習してから、実行して下さい。

      作業に、不安のある方は、轆轤を止めて、糸を入れる事を、勧めます。

    ハ) 回転させながら、切り離す方法。

      糸を入れる際には、「竹へら」等で、切り口を、しっかり固定します。

      即ち、切り口が、やや楔型に成る様にし、糸の「ガイド」にします。

      糸で切る方法は、 手前から入れる方法と、向こう側から入れる方法が有ります。

    ・ 手前側から切る。(右回転の場合)

      右手に糸の端(玉や、小板、布等を付けて置く)を持ち、他端を左手で持つ。

      糸を水平に張り、ガイドに当てる。次に、轆轤の回転に合わせて、左手を約半回転させ、

      手を離す、すると糸は、切り口に巻き付きます。1回転強、巻き付いたら、右手を素早く、

      横方向に水平に、引き抜きます。

    ・ 向こう側から切る。

      左手に糸の端を持ち、他端を右手で持つて、水平にした糸を、向こう側から、ガイドに当てます。

      右手を、轆轤の回転に合わせ、約90度巻き付け、手を離します。

      糸が1回転強したら、左手を素早く、左横方向に、水平に引き抜きます。

   b) 切断する底の面積が、広い場合

     底の面積が広いと、作品の、口縁が「歪み」ます。

     出来るだけ、不必要な底面脇の土は、取り除き、細くすると、「歪み」は、少なくなります。

     後で削るからと、この作業を省略しない事です。

   c) 轆轤上から、作品を取上げる際、作品の底部の脇を、じゃんけんの「ちょき」を上向きにし、

      両手で取上げます。

      その際、指は出来るだけ、水平にし、手が作品の脇や、口に振れない様に、両手で、

      挟み込みます。若干手前に倒す様にして、取上げ、板(手板)に載せます。

      挽き経ての作品は、土が軟らかいですから、注意しても、変形し易いです。

    d) 「歪み」は腰で直す。

      取り上げた作品の縁が、歪んだ場合、歪んだ縁を、直接、直すのではなく、作品の腰を、

      両手で軽く押さえて、直します。一度で直ない場合には、数度繰り返します。
   
      出来れば、手轆轤の上に載せ、回転させて、色々な方向から、見て「歪み」がない様にします。

以下、次回 Ⅶ) その他の原因(回転スピード、土の伸ばし方など) について述べます。

作品の振れ 作品の歪み
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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤6、不安定な形)

2009-08-13 20:29:17 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

3) 作り方に原因がある場合

 ④ 電動轆轤による「歪み」

  Ⅴ) 作品の形による為(不安定な形の為)

    作品よって、「振れ」や「歪み」が出やすい、形が有ります。

    その場合、作品の形を変えるるか、作り方を変えたり、工夫します。

   では不安定な形とは、どのような物なのか、お話いたします。

   a) 足元が細い(狭い)形

     特に背の高い物や、上部の太さに比べて、足元が極端に細い形の物です。

     又、下膨れの形で、急に外側に張り出したり、お皿の様に、背の低い物が、急に径が、

       大きく変わる形の物です。上の重みに、耐える構造でなければ、「歪み」が出ます。

   b)「頭デッカチ」な形

     土の量が、上部の方が多くて重く、下部で支えきれない、場合です。

     又、量だけでなく、下部に比べて、上部が大きい場合にも、当てはまります。

     この場合、一度「振れる」と、振れを止める事は、かなり困難です。

   c) 極端な、瓢箪型

     胴の一部が「くびれ」て、細くなっている場合には、危ない形です。

   d) 鶴首のような形

     上部に細く長い首を持つ形も、「振ら付き易い」形です。

   e)  左右バランスの悪い形

     轆轤成型時には、そもそも、左右バランスが悪い作品は、作れません。

     但し、あえて、変形させた後、再び轆轤作業が、必要に成った場合や、
 
     土を上に載せて、繋ぎ合わせ場合で、お互いの中心が、「ズレ」て起こる現象です。

   対処方法として、
    
   f) 上下逆に作る

     轆轤では、下が大きく重く、上に行くほど、小さく軽く作るのが、「歪み」や「振れ」を防ぐ

     最良の方法と成ります。

     実際には、それと逆な形を作りたいと言う、要望も多いです。

     そんな時は、作品の、上下を逆に作れば、作り易く成ります。

     この場合、削り作業を工夫して(口縁を削る事になる)、綺麗に仕上げます。

   g) 幾つかに、分割して作り、後で、繋ぎ合わせる。

     「ワイングラス」の脚の様に、細長い形の物が、下部に来る形の物は、作る時だけでなく、

     本焼きでも、「歪む」可能性があります。

     作り方として、本体と脚を、別々に作り、 乾燥後に、繋ぎ合わせます。

     又は、本体が乾燥し、伏せて置ける様でしたら、付け高台にする方法も有ります。

     即ち、本体の底を上に向け、その上に、やや軟らかい土を載せ、轆轤挽きし、形を作ります。

     乾燥も、逆さにして、乾かします。

    背の高い作品を作る際にも、上部(中部)下部と別々に作り、繋ぎ合わせる方が、「歪み」も

    少なく作る事が出来ます。 繋ぎ合せるにも、それなりの技術が、必要です。

   h) 不安定な形にし無い事。

     あえて、不安定な形にして、その危うさを、見所にする作品も、存在します。

     (不安定な作品は、作品に動きや、軽さが出る効果が、有ります。)

     不安定感を出すには、轆轤挽きで、不安定に作る必要は、有りません。

     出来た作品の底を、何処にするか、どの様にするのかによっても、不安定感を出す事は、

     可能です。色々試してください。

     しかし、一般的には、実用的では有りません。なるべく、安心して使える形に、したい物です。

     安定した形は、即ち、轆轤で、安定的に作る事が出来る形と、なります。

以下、次回に続きます。

作品の振れ 作品の歪み
     
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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤5、振れ止め2)

2009-08-12 22:55:58 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

3) 作り方に原因がある場合

 ④ 電動轆轤による「歪み」

  Ⅴ) 要所要所の、振れ止めが、不十分の為。

    電動轆轤の作業では、色々の場面で、「振れ」が発生します。

  b) 土を上に薄く伸ばす作業時の、「振れ止め」

     土が捩(よじ)れる、肉厚に差が出る、高さに差が出る、土が折れ曲がる、土が傾く、

     土が落ちる(上に伸びない)、その他の要因によって、「振れ」が発生します。

     厳密には、上記要因を、取り除かないと、「振れ」は止められませんが、

     その要因を、そのままの状態で、「振れ」を止める、一般的な方法を、述べます。

   ロ) 振れた場合の処置(振れ止め)に付いて、

      上部が「振れ」れていても、実は下部から、除々に狂いが生じている事が、ほとんどです。

      それ故、下部から補修(振れ止め)しなければ、「振れ」は止まりません。

      手を、下から上に移動させて、「振れ」をとめます。

      (但し、土が回転方向に、撚れた場合に、上から下に手を移動させる事も、あります)

    ・ 筒状に伸ばした際の、「歪み」(傾き)は、外側を、両手で抱え込み、(両肘は、体に付ける)

      径を、やや小さくする様にして、ゆっくり、下から上に手を移動させます。

      尚、「傾き」や「歪み」が無くとも、一度土を伸ばしたら、抱え込んで、外側に水を曳くと伴に、

      「振れ止め」を行う事を、勧めます。

     ・ 直径を急激に細くした場合、捩れが出る場合が有ります。

       径を細くすると、肉厚が厚くなりますが、やり方によっては、均一に厚くならず、部分的に、

       肉厚になり、撚れが出て、作品が「歪み」ます。

       その対策は、除々に細くすると同時に、細くしたら肉を薄くする事を、繰り返します。

     ・ 基本的には、上に行くほど、肉を薄くします。途中で肉が厚い場合には、

       薄くすれば良いが、途中で肉が薄い場合には、「歪む」原因に成ります。
     
       途中で薄くなった肉厚を、厚くする事は、かなり困難です。

       径を細くすれば、若干肉が厚くなりますが、細くすると、逆に撚れが出や易いです。

       又、薄くなった部分に、その上下の土を、移動すれば、肉厚に成りますが、この作業が、

       意外と難しいです。

       最上部がの肉が薄い場合には、口縁を上から押さえ、肉厚にしたり、外に折り返して、

       二重にする方法が、出来ますが、途中で肉が薄くなった場合には、むしろ、

       その真下から、切り取る法が、確実です。

       但し、背丈が、低く成りますので、場合によっては、若干、乾燥後、上に土を足す必要が、

       有るかも知れません。

     ・ 「振れ」や「歪み」を直す方法に、一度径を拡げ、狂いを無くしてから、径を細くする

       方法もあります。

     ・ 水を吸いすぎて、土が軟らかくなり、「振れ」「歪み」が出る場合が有ります。

       この場合には、土を少し、乾燥させてから、補修しないと、直りません。

     ・ 背の高さに、差が出た場合でも、遠心力が一方に、強く働き、「歪み」の原因に、成ります。

       「弓」や「針」で高さを揃えて、切ります。

以下 次回に続きます。

作品の振れ 作品の歪み
      
     
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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤4、振れ止め1)

2009-08-11 21:35:03 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

3) 作り方に原因がある場合

 ④ 電動轆轤による「歪み」

  Ⅴ) 要所要所の、振れ止めが、不十分の為。

    電動轆轤の作業では、色々の場面で、「振れ」が発生します。

    「振れ止め」をせずに、作業を続行した場合、「振れ」はどんどん大きく成り、作品も「歪み」ます。

    「振れ」が発生した場合は勿論、「振れ」が無くとも、要所要所で、「振れ止め」を行う事により、

    轆轤作業が、スムーズに行え、且つ、作品も「歪み」が無く、綺麗に仕上がります。
      
    以下、「どんな時」に、「どんな場面」で、「どんな方法」で、振れを止めたら良いかを、
   
    述べて行きます。
   
  a) 土を伸ばす前に、「振れ止め」をする。

    いよいよ、土を薄く伸ばしますが、その前に、「振れ止め」をする必要が有ります。

    即ち、底が出来たら、土の内、外、上の三方を、押さえ込みます。

    土の内側は、両親指を、外側は、両手の中と人差し指で、口縁は、親指と人差し指の間で、

    しっかり、押さえ込み、「振れ止め」をします。

   ・ その際、両手の肘は、太ももに固定し、土が一方に逃げ無い様に、左右の手と手の隙間は、

     同じにします。

    又、口径が、広がらない様にし、4~5本の指が入る程度(片手が入る)にします。

    電動轆轤は、常に遠心力が働き、口径を広くする力が、働いています。

    口径を広く取ると、「振ら付き」「歪み」の原因になります。

    作業中は、細くしておき、作品の形造りの際、所定の寸法まで、拡げます。

  b) 土を上に薄く伸ばす作業時の、「振れ止め」

   イ) 振れない様に、土を伸ばす。

      振れ止めを行うより、振れ無い様にする事の方が、大切な事は、確かです。

      (それでも、振れた場合には、速やかに、振れ止めを行います。)

      振れない様にする為には、姿勢、轆轤の回転スピード、手の位置、手や指の使い方、

      力の入れ方、引き上げるスピード、水や「ドベ」の使い方等、多肢に渡ります。

     ここでは、最重要である、手の位置と、力の入れ方について、述べます。

   ・ 電動轆轤で、重要な手は、外側の手(右回転ならば、左手)です。

     この手が、基準になりますので、どんな場合でも、肘を体に付け、位置を固定します。
     
     この手が「振ら付く」と、土は必ず「振れ」ます。

     又、轆轤の回転方向に、手が流され無い様に、注意します。

   ・ 土を上に伸ばすには、土の内外に力を加え、土を薄くし、上に上げます。

     その際、外側の手の方に、強く力を入れ、筒状に挽き上げます。

     当然、手に「ドベ」や水を付け、土との摩擦をすき無くします。

     一度に挽き上げず、数回に分けて、作業します。(理想的には、3回程度)

次回、ロ) 振れた場合の処置(振れ止め)に付いて、述べたいと、思います。

作品の振れ 作品の歪み

     
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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤3、中心を掘る)

2009-08-10 16:33:52 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

 3) 作り方に原因がある場合

  ④ 電動轆轤による「歪み」

   ) 中心を掘る穴が、偏芯している為

      作品作りの、第一歩と成る作業です。

      この作業が、上手く行かないと、初心者にとって、「歪み」の原因に成り易いです。

      (上級者なら、補正の方法を会得し、対処が可能です。)

    a)  土の塊の中央に、穴を掘る。

      土殺しの、完了を確認したら、土の塊の中央に、穴を掘って行きます。

    ・ 穴を掘る直前には、土の頂上は、ある程度、広くしておきます。

      細い部分に、穴を掘ると、口縁に「ひび」が入ったり、「割れ」たりします。

    b) 片手又は、両手で掘る。

      土の量が少ない場合には、片手(右回転では、左手)の親指で、多い場合には、

      両手の親指を使います。

    ・ 注意点は、穴を浅く掘った後、手が滑る様に、穴の中に、手ですくった水を、注ぎます。

    ・ 更に重要な点は、親指が、中心から「ぶれない」事です。

      中心から、「ずれる」と、周囲の肉厚に、差が出て、後々作品の「歪み」に繋がります。

      周囲は、手の内側で抱え込みます。

      手の肘は、しっかり、太ももに当て、固定し、回転は、やや速くします。

    c) 親指で掘る深さは、第一関節までです。

       第一関節まで、堀進んだら、右手中指を中心に置き、更に深く掘ります。

      その際、もう一方の手で、右手を支え、「振ら付き」を、予防します。

      口縁を拡げ、中が見える様にします。

      尚、手や指の使い方は、人により方法が、異なります。

      ここでは、私のやり方を、 述べていますので、ご了承ください。

    d) 底に残す土の厚さ(掘る深さ)は、削り高台の場合で、約1cmで、ベタ高台

       又は、付け高台では、約5mmです。若干厚みを残し、確認しながら、堀進みます。

       1個作りの場合には、1cm又は、5mmの長さの針を、棒に付けて、底の中央に

       突き刺して、棒の痕が、かすかに付けば、所定の寸法に成ります。

      上から作品を作り、切り取って作品を造る場合は、この厚みの見当が、難しいです。

      (内側の底の位置と、外側の糸を入れる位置の差を、手又は「スケール」「とんぼ」で測ります。)

     e) 内側の底を造る。

       底を所定の大きさまで、指で広げます、その際、底が凸凹しない様に、土を締めながら、

       下に、押し付けます。

       底が広い皿状の作品は、「コテ」を使う場合もあります。

     ・ 注意点は、底の内側を、急に張り出さない事です。

       根元より、かなり広く取ると、上の重量を支えきれず、「歪み」が発生します。

以下、次回に続きます。

作品の振れ 作品の歪み


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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤2、土を据える)

2009-08-09 20:19:27 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

 3) 作り方に原因がある場合

  ④ 電動轆轤による「歪み」

   ) 土を轆轤上に、据え方が悪い為

    土練りが終われば、いよいよ、轆轤作業に入ります。

    電動轆轤の上面には、同心円状に、円が何個か書かれています。

    土の裾野が、円の大きさより、やや大きい円を選び、円の中心に来るように置きます。

    但し、多量の土を、轆轤面に据えて、上から一個づつ作品を造る場合には、

    以下の説明は、不用です。

    轆轤上の土で、一個の作品を造る場合の、説明に限ります。

    即ち、土を両手で轆轤面に、強く叩き付ける際、中心から「ズレ」ます。

    土の裾野と、円の間隔が、一定に成る様に、裾野を外側から叩きます。

    この裾野が、中心から離れていると、土殺しは、大変苦労します。
    
    (上級者は、少々の狂いは、力で抑え込む事が、出来ますが)

    初心者は、土殺しで、中々、中心が出ません。

    それは、裾野(轆轤と接している土)は、轆轤面に「へばり付き」、中心に移動しない為です。

    次に、轆轤面と土との間に、水が入らない様に、裾野を、全周轆轤に押し付け、

    隙間を、無くします。

   a)  裾野を一定の、綺麗な円を出す方法

    簡単な方法は、轆轤を回転させて、「竹ヘラ」などで、裾野の土を、削り取り、綺麗な円を出します。

    この方法は、土を剥ぎ取りますので、土が無駄に成ります。

    一般には、濡らしたスポンジを、片手に持ち、土が滑る様にしてから、裾野を

    中心方向に力を入れ、綺麗な円を出します。

   尚 亀板を使う場合には、濃い目の鉛筆で、円を書いてください。

    (綺麗な円を書くのは、結構難しいです。両手を使わないと、上手く行きません。)
    
   ) 土殺しが、上手に出来ていない為

     土殺しの目的は、作者の思うままに、土を操るためです。

     上手に土殺しが、出来ていると、後の作品造りが、容易になります。

     土殺しが、上手に出来ないと、作品の肉厚の差、偏芯(壁の厚み、高さの差)、振らつき、

     「歪み」等となって、表面に現れます。

    a) 水または、ドロ(どべ)を使う

      水や「どべ」は、手が滑る為に、絶対必要です。手が滑らないと、土が撚れたり、

      「ねじ切れ」てしまいます。

    b) 「延べ上げ」「延べ下げ」

      土を上に上げる「延べ上げ」は、出きるだけ高くします。

      土を下げる「延べ下げ」は、土の頭を、倒す様にします。

      回数を多くすると、土に水が回り、腰が無くなります。3回程度終わることが、望ましいです。

    c) 土殺しが出来ているかを、確認します。

      土殺しが、出来ていない状態で、次の作業に移る事は、失敗の原因に成ります。

      確認方法は、右回転(時計方向)では、左手で、左回転では、右手で、土を抱え込み、

      その際手が、動かなければ(止まっている状態)、土殺しは、完全に出来ています。

      手が振れる様でしたら、再度「延べ上げ、下げ」を、行います。

以下 次回に続きます。 

 陶芸作品の歪み   

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作品の「歪み」に付いて(電動轆轤1、土練り)

2009-08-08 18:21:22 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

原因として、「土の記憶性」、「乾燥の仕方」以外に、以下の事が、考えられます。

 3) 作り方に原因が、ある場合

  ④ 電動轆轤による「歪み」

    電動轆轤で、「歪み」無く、作品を造る事は、中々難しい事です。

    作品が常に、回転して動いている為、少しの力で、変形し易く、振らついたり、歪んだします。

    特に初心者は、土練りから始まり、土殺し、土の伸ばし、形作りと、各工程を踏んでの作業で、

    それに伴い、手や指の使い方など、慣れない作業で、苦労するはずです。

    本来、電動轆轤は、速く、綺麗に作品を、仕上げる道具ですが、使いこなすには、それなりの、

    年季(時間)が必要です。

   「歪み」の原因は、以下の、各工程に存在します。

  ) 土の練り方が不十分の為

  ) 土を轆轤上に、据え方が悪い為

  ) 土殺しが、上手に出来ていない為

  ) 要所要所の、振れ止めが、不十分の為。

  Ⅴ) 作品の形による為(不安定な形の為)

  Ⅵ) 作品を、轆轤上からの、切り離し、及び、取上げる際の、「歪み」

  Ⅶ) その他の原因(回転スピード、土の伸ばし方など)

  以下順次、述べて行きたいと、思います。

  1) 土の練り方が、不十分な為

    土練りの効果は、土の硬さを、均一にする事と、土の中の空気を抜く事です。
   
    土の塊の中に、硬い部分と、軟らかい部分が、混在していると、轆轤作業は、上手く行きません。

    上手く行かない言うより、不可能と言っても、過言ではありません。

   a) この様な場合には、全部轆轤より取り除き、土を練り直し、最初から、やり直した方が、

     簡単で、作品も綺麗に出来ます。さもないと、苦労するだけです。

     但し、練り直した土は、軟らかくなっています。又、腰も弱くなっていて、意外に使い難い

     です。出来れば、新しい土を使う事を、勧めます。

     尚、腰の無くなった、軟らかい土は、時間を掛け、乾燥させ、水分を抜き、

     しっかり、練り直せば、直ぐに使える様に、成ります。

   b) 同様にして、土に空気が、閉じ込められている場合、空気の部分が、手に当り、

     作業中に、違和感を感じると伴に、土が、均等に、伸びません。

     この場合は、土を薄く伸ばすに従い、空気の存在が、より明確に現れます。

     空気の入っている部分が、1~2箇所ならば、針で突き、指で撫ぜます。

     撫ぜた部分が、凹む様ですと、そこの空気が、逃げた事に成ります。

     又、数が多い時や、何度も針を刺しても、空気が逃げない場合には、思いきって、最初の、

     土練りから、やり直した方が、時間的にも、速く出来ます。

    土の塊の硬さが、不均一の場合や、空気が入ったままで、轆轤作業を続けると、作品は、

    振れたり、歪んだりします。それ故、土練り特に「菊練」は、十分練習する必要が有ります。

  ・ 尚、土の練り方(回転方向、左右の手の違いなど)、練る量、練る回数、練り上がりの形など

   (砲弾型、円錐型、団子型など)は、統一した決まり(方法)は有りません。

    各自、自分なりの方法で、行っているのが実情です。

    要は、硬さを均一にする、空気を抜くと言う目的を、達成すれば良い、と言う事です。

以下 次回に続きます。

電動轆轤作品の歪み
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作品の「歪み」に付いて(手捻り)

2009-08-05 22:58:31 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

原因として、「土の記憶性」、「乾燥の仕方」以外に、以下の事が、考えられます。

 3) 作り方に原因が、ある場合

  ③ 手捻りによる「歪み」

    前にも書きましたが、手捻りで作った作品は、歪みが有って当然です。

    歪む事により、温か味のある作品と成ります。又指跡なども、あえて残す場合も有る程です。

    しかし、見て嫌悪感を、与える「歪み」は、なるべく無くしたい物です。

    手捻りで、作る代表的な方法は、玉造りと、紐造りです。

   ) 玉造り: 比較的小さな作品の、作り方です。

     一塊の土を、団子状に丸め、手轆轤に据え、中心を、両手の親指で、穴を開け、底を作ります。

     底が出来たら、両手の、親指と、人差し指、中指を向かい合わせて、強く摘み、肉厚を薄くし、

     土を上に伸ばします。 「歪み」が出来る原因は、

    a) 穴お開ける際、中心がずれる。 

     団子状の塊の中央に、穴を掘る際、中心がずれると、周囲の土の量(厚み)が、バラツキます。
     
     その結果、作品の壁が、厚い部分と、薄い部分が出来てしまい、乾燥で、歪みが発生します。
 
    b) 土を薄く伸ばす際、土の厚みに、差が出る

      土は下から上に、手轆轤をゆっくり回転させながら、摘む力を強くして、薄くしていきますが、

      摘む力に「むら」が有ると、土の厚みも、「むら」に、なります。

    c) 径を拡げない

      摘んで薄く伸ばすと、径はどんどん、広がります。

      径が開く事は、「歪み」易くなる事ですので、径を拡げない様に、土を締めます。

   ) 紐造り: どんな大きさの作品や、どんな形にも、対応出きる、万能な作り方です。

    a)  紐の太さを揃える。紐の軟らかさを揃える。

      紐は、丸く同じ太さで、長めに作ります。(慣れないと、紐作りも、難しいです。)

      紐の太さが、極端にバラツクと、土を積み上げた時、最上段に高低差が出来ます。

      これも「歪み」の原因に成ります。

      紐の柔らかさに、差が有ると、土の乾燥度に差がで、作品が「歪み」ます。

    b) 紐を積み上げる段数を、多くしない。

       紐の太さによりますが、段数を多く取ると、重量オーバーで、下段の土が、潰れます。

       その結果、形に「歪み」が出ます。

    c) 空気を閉じ込めない事。

       段と段又は、紐と紐を繋げる際に、空気が入り易いです。

      閉じ込められた土は、「ヒビ」「割れ」「歪み」の原因に成ります。

    d) 予定外の肉厚の差、高低差は、なるべく、削り取るか、切り取ります。

      又、作品が不安定な場合は、スペ-サー等を入れて、安定化させます。

    e)  その他、透かし彫りや、大きな穴を、壁などに開ける場合、残す部分は、半分以上にします。

       又、連続して、穴を開けない事です。穴と穴の間隔は、出来れば1cm以上必要です。

以下 次回に続きます。

陶芸失敗と対策
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作品の「歪み」に付いて(脚を付ける)

2009-08-04 17:20:26 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

原因として、「土の記憶性」、「乾燥の仕方」以外に、以下の事が、考えられます。

 3) 作り方に原因が、ある場合

  ② 脚を付けた為の「歪み」

    作品に脚(高台)を付ける事は、ごく普通の事です。

    但し、不用意に脚を、付けた為に、作品全体が、歪んでしまう事が有りますので、注意して下さい。

    脚は、上部を支える物です。支えきれない形状の脚は、当然歪み、作品全体に、影響します。

  ) 脚が本体より、貧弱な為。

    上の重量を支える、太い形にします。但し、脚を数個に分割し、細くする事も、可能です。

    「ワイングラス」の様な、極端に細い脚を付ける場合には、注意が必要です。

    更に、素焼までは、変形しませんが、本焼きで、歪む事も、多いです。

    本焼きで、土が若干、軟らかく成る為です。

    (軟らかく成る程度は、土の種類、耐火度によって、異なります。)

    尚 素焼前の乾燥時は、作品を天地逆にして置くと、より安全です。

    脚が細く長い程(見た目は、良いが)、安定感に欠け、歪み易いです。

  ) 脚が作品の重心から、若干ずれている。

    脚の太さは、十分有るが、全体が歪むのは、脚の取り付け位置が、作品の重心より、

    ずれている為で、左右どちらかに、歪みます。

    脚を付けた際、全体が、傾いている場合は、補修します。

    このまま本焼きすると、大きく歪み、使用できない、作品になります。

  ) 複数の脚を付ける為、全体が「ガタツク」

    4個以上の脚を付けた時、その内の1本が、床から離れ、作品が不安定に成ります。

    3個の脚は、確実に、浮き上がりはありません。

    但し、接地部分は、なるべく外に開く形にします。

  ) 作品の直径に対し、脚の径が小さい為。

    即ち、脚が作品の中心に、寄り過ぎる場合、作品のバランスが、悪く成ります。

    本焼きで、歪んだり、作品に触れただけでも、ひっくり返る場合も、あります。

  Ⅴ) 長皿に脚を付けた為。

    脚の無い長皿は、広い底全体で、作品を支えています。それ故、安定しています。

    俎板(まないた)皿等に、脚を付けると、支える場所は、脚の付け根の部分のみと、なります。

    脚と脚の間隔が、広いと、その中間が、下に落ち易いです。

    その為、中間部に、別の支えが、必要に成ります。 貝等で支えます。

    (赤貝、浅利や、蜆、等の2枚貝の1枚に、丸めた土を入れて、使います。)

    釉が掛かった所を、貝で支えても、若干、貝の跡が付きますが、貝本体は、白くなり、

    水で粉々になって、取れます。

    長皿に脚を付ける際には、長手方向に2本、又は、一周する脚を付けるのが、望ましいです。

尚、電動轆轤で挽いた作品を、削り作業によって、脚を付ける場合には、ほとんど問題有りません。

以下、次回に続きます。

陶芸作品の失敗と対策

     
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作品の「歪み」に付いて(1石膏型)

2009-08-03 20:13:29 | 失敗と対策
前回に続き、作品の「歪み」に付いて、述べます。

原因として、「土の記憶性」、「乾燥の仕方」以外に、以下の事が、考えられます。

 3) 作り方に原因が、ある場合

   手捻りでは、「歪み」が有るのが、普通です。

   手作業で、作陶しますので、厚みに差が出たり、左右対称でない形も、有りますので、

   バランスを崩し易く、弱い所に「歪み」が、出易いです。

   その「歪み」こそが、手捻りの良さでも有りますので、あえれ「歪み」を取り除く必要は、有りません。

   但し、大きく歪んだり、電動轆轤で作陶した物が、歪んだ場合には、問題で、なるべく、

   歪みを、少なくする必要があります。

   「歪み」が一番目立つ所は、口縁の部分です。 特に丸い円が、少し楕円になっていても、

   直ぐに、歪んでいると解かります。

   口縁以外では、本体全体が、左右どちらかに、傾くと、目立ちます。

   では、実例を挙げて、各種の「歪み」に付いて、述べます。

  ① タタラ作りの「歪み」

  ② 高台(脚)を付けた為の「歪み」

  ③ 手捻りによる「歪み」

  ④ 電動轆轤による「歪み」

    以上の項目で、お話いたします。

  ① タタラ作りの「歪み」

   前回、長皿や、箱作りに付いて、述べましたが、それ以外の物も、タタラで作ります。

  ) 石膏型を使う場合(型に押し付ける)

     石膏や、ガラス製品、プラスチックなどの、型や容器を使い、作品を作る事は、

     一般に行われています。 即ち、平たい一枚のタタラを、立体的に、変形する事に成ります。

     この際、タタラの一部に、無理な力が掛かったり、周辺部分に、ギャザー(複数重なった部分)が

     出来て、後々「歪み」の原因となります。

   a) 型の外側を使う場合。(外型)

     タタラを、型に被せる使い方です。型が大きく膨らんでいない時は、タタラを強く、

     押し付ける程度で、型に馴染みます。

     膨らみが大きい時や、円が小さい(「R]が小さい)時、深みが有る時は、口縁部が、

     重なり易くなり、肉厚に差が出ます。

     なるべく重なりが、出ない様にするか、重なった部分は、切り取ります。

    ・ 型に被せる場合、以下の方法が有ります。

      直接型に被せる。(石膏型の場合、土が若干乾燥している場合)

      タタラ又は、型に「片栗粉」を塗る。型に布(蚊帳が良い)を被せる。

      何れも、土が型から離れ易くしたり、土が型の上で、移動し易くするのが、目的です。

    ・ 重なりを少なくする方法は、両手で、土を中心から外側に、押さえます。
    
      型の周辺では、変形が大きくなり、土が余り、重なり易く成ります。

      その際、周辺の土は、出来るだけ多くの山谷(凸凹)を作ります。

      数が多くなると、凸凹の高低さが少なくなり、上から押さえた時、重なりが少なく成ります。 
       
     ・ 押さえ込みの要領は、型に押し付けた際、土の逃げ場が無い様にする事です。

       出来るだけ、多くの押す手があると、逃げ場を無くす事が出来ます。(他人の手を借りる)

   b) 型の内側を使う。(内型)

      先ず、土が抜き取れる型でなければ成りません。(逆テーパーでは、抜けません。

      それ故、簡単な型の場合が、多いです。)

      この場合は、外型よりも、重なる部分が多く成ります、内側から、土を押し当てます。

      数個に分割される「割り型」を使えば、複雑な形が可能ですが、大物では、

      一般的では有りません。複雑なほど、「歪み」が多く出易いです。

      (タタラよりも、鋳込みの方法が、適しているかも知れません。)

      「箸置き」や「コーヒーカップの取っ手」等、中をくり抜かない場合に、使う事が多いです。

以下、次回に続きます。

陶芸作品の揺れ、歪み
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