わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 19 歪み(ゆがみ)とは 1?

2014-11-05 22:41:44 | 素朴な疑問
市販されている焼き物の量産品には、ほとんど歪みは存在しません。勿論、意図的に歪ませた作品が

無い訳では有りませんが、多くの場合歪んだ作品は、欠陥品と見なされています。

一方陶芸の世界では、むしろ歪みのある作品の方が珍重される傾向にあります。

尚、量産品の歪みは、どの作品も同じ様に歪んでいますが、人の手によって作られた作品は、それ

ぞれ異なった歪みになっていて、それが一つの魅力になっています。

1) 歪みには心地よい歪みと、嫌悪感を覚える歪みが存在します。

  勿論、歪みは好みの問題でもあり、歪みが良いと思う人もいれば、無い方が良いと感じる人も

  いるのも現実です。

2) 歪みの種類。

  歪みには、自然に歪む場合と、意図して歪ませる方法があります。

  歪ませる方法に付いては、次回述べる予定です。

 ① 形の歪み。

   歪みは、成形時に歪む場合と、焼成(本焼き)で起きる場合があります。

  ) 口縁の歪み。代表的なのが抹茶々碗です。綺麗に整い過ぎた器はあまり好まれません。

   a) 口縁の外形の歪み。

     手捻りでも轆轤で作った作品でも、真円ではなくやや歪んだ形がしている器です。

   b) 口縁の高さの歪み。

     均等な高さではなく、「山道」と呼ばれるなだらかな凸凹が付いている作品です。

     「山道」は五峰、五山とも呼ばれています。

  ) 胴部の歪み。

   a) 轆轤目を付ける。

     轆轤目は人気のある螺旋状の模様です。轆轤の回転速度と手を上に挙げる速度によって

     螺旋の間隔(ピッチ)が変化します。粗い轆轤目は勇壮な感じを与えてくれます。

     細かい轆轤目は、作品に躍動感のある動きを与えてくれます。

   b) 胴部に「へら目」や凹みを設ける。

    「へら目」とは、轆轤挽き直後に竹箆(へら)を使い、側面に縦方向や斜め方向に大胆な

    線や面状の凹み模様を入れる方法です。凹みとは作品を片手で握り、指の跡を残す方法です

    直径の大きな作品を持ち易くする働きもありますが、単調な側面に変化を与える働きも

    有ります。

   c) 胴に削ぎ(そぎ)を入れる。削ぎは面取りとも言います。

    削ぎは作品の重さを軽くする役目もありますが、作品に変化を与える目的で行います。

    削ぎが入ると、作品に力強さが加わります。

  ) 高台及び高台脇を歪ませる。

   a) 高台には、輪高台以外に、撥(ばち)高台、四方高台、桜高台、三日月高台、蛇の目高台

     割り高台、竹節高台、十字高台など多くの種類があります。

   b) 高台は削り出す場合と、後から付ける方法が有ります。特に高坏(たかつきき)や

     馬上坏の様に背の高い高台の場合は、付け高台が一般的です。

 ② 絵付けの線の歪み。

   下絵付け等、絵や文様を施す際、筆を用いて手で描くのが普通です。しかし現在では転写紙

   を使い、簡単に同じ模様を絵付けする事が可能になっています。

   手で描いた線は、転写紙に対して、不揃いで歪む事も多いです。但し、手書きは不揃いで

   歪んでいるから、温か味のある線に成ります。但し、味のある一本一本の線を描くにはそれ

   なりの練習をする必要があります。

4) 歪ませる方法。

以下次回に続きます。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 18 水漏れ防止剤と撥水剤 2?

2014-11-04 22:12:52 | 素朴な疑問
2) 撥水剤に付いて。

水漏れ防止剤が焼成後の作品に使用するのに対し、撥水剤は素焼き後に施釉する際、使用します。

 即ち、水を弾く事を利用した、一種の蝋抜きとして利用するものです。

 釉は水に溶かして使うのが一般的ですので、水を弾く事は釉を弾く事になります。

 それ故、施釉したくない部分、筆で描いた文様や、蓋物の身と蓋の間、底(高台)等に塗ることに

 なります。

 ① 水漏れ防止剤と撥水剤は、見た目も明らかに違います。

  ) 水漏れ防止剤が無色透明であるのに対し、撥水剤には赤色などの色が付けられています。

  ) 防止剤は水溶性で、水の様に「サラサラ」していますが、撥水剤は油性で、粘性があり

   ます。

  ) 防止剤が無臭なのに対し、撥水剤は強烈な臭いが付けられています。

  ) 筆を使う場合は、防止剤は使用後に水で洗う事が出来ますが、撥水剤は石鹸水などで

   洗わなければ成りません。

 ② 撥水剤の使い方。

  ) 絵柄など文様を抜く場合には、鉛筆などで下書きを施してから、筆で撥水剤を塗る事に

    成ります。鉛筆で描いた部分は焼成で綺麗に消失しますので、安心です。

  ) 蓋物の身と蓋の合わせ部分に、撥水剤を塗ると後で釉を落とす作業が省略できます。

    平皿などの広い「ベタ高台」の場合、底に撥水剤を塗ると釉が掛からず、釉を落とす手間が

    省けます。

 ③ 撥水剤の注意点。

  ) 撥水剤は強力です。一度素焼きした作品に施すと、素地に浸み込みますので、取り除く

   事は困難です。「紙やすり」でこすっても取れません。それ故、必要最小限の範囲内で使用

   する事です。塗らない部分は当然釉が掛かってしまいますが、取り除くには、「シュロの

   釉剥がしブラシ」等で簡単に剥ぎ取る事が出来ます

  ) 失敗した撥水剤は素焼きする事で、綺麗に取り除く事が出来ます。

   それ以外では、難しいです。

  ) 一般に筆や刷毛で塗る事が多いのですが、筆などのカスレ模様もそのまま現れます。

    意図的に残す場合を除いて、丁寧に塗る必要があります。但し厚く塗ると乾燥に時間が

    掛かります。

3) ラッテックス(陶画のり)による蝋抜き。

  実際に蝋抜きは、パラフィンを湯煎して溶かしてから使用します。この面倒な代わりに陶画のり

  を使う方法があります。材料は「生ゴム」の一種です。

  かなり粘りのある黄色掛かった溶液で、「スッパイ臭い」がします。

  ① 使い方は、筆などで線や面を塗ります。直ぐに乾燥して素地に密着します。その上から

   釉を掛けます。釉が定着したら、針やピンセットを用いて「陶画のり」を剥がします。

   剥がした部分には釉が掛かっていません。

  ②  筆や刷毛で塗り終えたら、直ぐに筆に付いた「のり」を石鹸水で洗います。

   この作業が遅れると、「のり」が固まり筆が使い物に成らなくなりますので、迅速に洗う事

   です。

 以上の様に蝋抜きを行う方法は幾つかの方法がありますが、ご自分に合った方法を選ぶ事です。

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 17 水漏れ防止剤と撥水剤 1?

2014-11-03 20:38:55 | 素朴な疑問
水漏れ防止剤と撥水剤(いずれも液体)は、どちらも撥水効果をもたらすものですが、その使い方や

効能には差があります。但し、これらは陶芸を行う上で、必ずしも必要不可欠なものではありません

1) 水漏れ防止剤とは、食器類や花瓶など汁や水を入れる容器から、水が染み出てくるのを抑える

  働きをする薬品です。主に長期間水を入れておく花瓶などには、施しておいた方が良い様です。

  但し、水が「ポタポタ」と落ちる程度に流れ出す場合には、小さな穴が開いていますので、

  薬品の効果はありません。

 ① 土の種類や作品によっては、通常の焼成後に普通に使用していても、水が自然に滲み出てくる

  事が有ります。この際、薬品を容器の内側に流し込んだり、筆で塗る事である程度の水漏れを

  防止できます。過去には、花瓶などには、強力で有臭のシリコン製が使用されていましたが、

  現在では使用されていません。現在では無臭のもので、食器用と共用できるものが市販されて

  います。

  ) 水漏れの原因。

   a) 釉の貫入(ひび割れ)部から水が素地に浸み込み、貫通し外に漏れ出す。

    これを「しもる」と言います。 漏れ出す部分は主に、底面からで床やテーブル上に、

    底と同じ形状の濡れが現れます。 但し、作品を移動して初めて気付きます。

    側面(胴体)から滲み出す場合も有ります。多量に漏る場合には、側面が汗を掻いた様に

    見えます。ジワジワと染み出す場合には、水分が蒸発してしまう為、気が付かない場合が

    多いです。但し、塩分を含んだ水や梅干などを入れておいた場合、水分は蒸発しますが、

    塩分が表面に結晶化して、白く吹き出て残る場合があります。

   b) 釉のガラス質が薄い場合や、片面のみ施釉した場合にも見られます。

    特に、「ベタ高台」では内側にしか施釉しませんので、「しもり」易いです。

   c) 粗目の土を使った為、焼き締りが弱く、土の隙間から水が漏れ出す。

    肌理の細かい素地であっても、焼きが甘い(焼成温度が低い)場合には、焼き締りが弱く

    水が漏ります。

  ) 水漏れ防止剤の使い方。

   a) 容器の内側に薬剤を少量流し込み、よく振って内部全体に掛かる様にします。

    5分程度したら、内部の薬品を流し、元の容器に戻します。薬品は、貫入の間に入り込み

    ますが、乾燥し効果が出るのに半日~24時間程度必要です。この間中に水を入れてしまう

    と効果が無くなります。

   b) 外側(側面)や底面は筆で塗ります。塗った後は拭き取らない様にします。施釉して

    いない部分は素地が薬品を直ぐに吸収しますので、意外と早く乾燥します。施釉した部分

    は乾燥までに時間が掛かります。

 ② 黴(かび)の発生を予防する。(他の使い方です)

   土物の陶器では、少量ですが水を吸収する性質があります。その為、洗った後に十分乾燥する

   必要があります。乾燥不十分な場合や梅雨時などには、高台内側に黴が発生する場合があり

   ます。その為、予め高台内を筆で水漏れ防止剤を塗る事で、黴の発生を抑えることが出来ます

2)撥水剤に付いて。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 16 釉の濃度の調整は?

2014-11-02 21:56:11 | 素朴な疑問
特殊な場合を除き、釉は粉末状態の釉の原料を、水に溶いて液状にしてから使います。

 (特殊な場合とは、草木灰を作品に振り掛けて釉の一部とする方法等です。)

それ故、加える水の量によって、釉の濃淡が出来ます。

市販されている各種の釉は、粉末状または、すでに水に溶かした状態で販売されています。ご自分で

釉を調合する場合は、ほとんど粉末状の材料を使います。

1) 釉に加える水の量。

 ① 水に溶かされている状態で購入した釉は、ポリ容器などに密封された状態になっています。

  これらは、最適な濃度に成る様に、水の量が調整されていますので、そのまま直ぐ使う事が

  出来ます。但し、釉は沈殿し、水と分離していますので、十分攪拌する必要があります。

  但し、二回目からは、濃度の確認が必要に成ります。

 ② 粉末状の釉は御自分で、水を加え濃度を調整します。

  一般に、釉の原料1Kgに対し、水の量は0.8~1.0ℓ(リットル)とされています。

  濃くしたい時は水の量を減らしますが、一般的には1Kgに対し水1ℓが標準的な量と言えます

2) 現在使用中の釉の調整。

  ① 釉はバケツなどの容器で保管している場合が多いです。釉を新たに購入したり、作ったり

   した場合は、上記の通りですが、保管中の釉は、当初の濃度が変化しています。

   即ち、保管中では水の蒸発が起こり、濃度が濃くなったり、使用の際水分が作品に吸収され

   濃くなる場合もあります。逆に薄くなる場合もあります。柄杓掛けの様に、他の器具を使う

   場合には、その器具を洗う際出た水を、元の容器に入れる事があるからです。

  ② 施釉する際、釉を掻き混ぜ濃度を均等にする必要があります。

   その釉を直前に他の人が使っている場合は、意外と簡単に均等にする事が可能ですが、しば

   らく使用していない場合には、釉が沈殿し水と分離しているはずです。

   施釉は素焼き後に集中して行いますので、前回の施釉時間から日数が経っていますので、

   沈殿は強固になっています。沈殿防止剤なるものが市販されていますが、余り効果があり

   ません。

  ③ 掻き混ぜる際の注意点。

   電動の釉攪拌機なるものも、市販されていますが、大量の場合以外は、一般には手を使って

   攪拌します。

   ) 攪拌前に分離している容器の水分を、掬い(すくい)取っておきます。

    釉を薄める事は容易ですが、釉を濃くする為には、新たに材料を加える必要があるからです

    水を取り除き攪拌しながら、濃さに応じて水(冬場はお湯)を加える事で、濃度を調節する

    事です。

   ) 長く使われていない釉は、簡単には均一に成りません。

    金属製の「へら」や「カンナ」を使い、底に固着した塊を引っ掻きながら、少しずつ溶か

    します。十分容器が大きくなければ、作業がし難いです。均一に成る前に施釉すると、

    斑(まだら)文様になってしまいます。

    但し、完全に水が蒸発し、乾いた釉ならば、水を加える事で簡単に溶かす事ができます。

   ) ポリ容器に入っている固まった釉を、均等に溶かす事は難しいです。容器を振った

    位では、均一に溶けません。一度口径の大きい器に入れ替える必要があります。

   ) 少量を使う場合には、小さな器に釉の塊を少量取り、水を加えます。

    大きな容器に入っている釉を全て均一に溶かすには、かなりの時間が必要です。その為、

    少量の場合は、必要量を溶かします。

3) 比重計(ボーメ計)を使う方法もあります。

  釉の濃度を測る計器として、比重計が市販されています。水で溶いた容器に比重計を投げ込み

  その浮き具合で、濃度が測定できます。丁度釣りの細長い「浮き」の様な形をし、容器の中で

  垂直に立ちます。目盛りが振ってありますので、その数値を読む事で濃度が解かります。

4) 一般には、掻き混ぜた時に手に付いた釉を見て判断します。

  濃過ぎる場合は、泥の様に手に纏わり付きます。薄過ぎる場合は、手の色が見えます。

  施釉の仕方によっても、濃度に差を設ける必要があります。

 ① 吹き掛けの場合は、若干薄めにしないと、霧吹きなどが目詰まりします。

 ② 刷毛塗りの場合は、若干濃い目にしないと、綺麗に発色しません。

 ③ 流し掛けの際には、傾斜を付けた作品の表面を、釉が流れ落ちる必要がありますので、やや

   薄めの方が良い様です。薄過ぎる場合には二重掛けして濃さを出します。

 ④ 漬け掛け(浸し掛け)の際には、ある程度の自由度があります。

   即ち、漬ける時間の長さは、釉の濃淡の効果と同じ働きになります。

5) 容器に入っている釉は、前回の濃度と同じことは稀な事ですので、一回一回濃度の確認が

   必要です。
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 15 理想的な釉の厚みとは?

2014-11-01 21:55:12 | 素朴な疑問
施釉する際、釉の濃さと厚みに苦慮する事も多いです。

施釉の方法は色々ありますし、釉の種類も多いので、釉の濃さを一概にこの厚さが良いとは言え

ませんが、昔から言われている理想の厚さは、葉書一枚の厚さが良いと言われています。

但し、これはあくまでも一つの目安でしか有りません。

1) 釉の濃淡に付いて。

 カタログを見ると、市販されている釉では、厚掛け、薄掛け、並掛け三通に分類されている場合が

 多いです。指定された厚みで施釉すれば、所定の色や光沢が出る事になります。

 ① 釉を薄く掛けるとどうなるか?

  ) ガラス質が薄くなりますので、表面の艶が少なく、「ザラツク」感じになります。

    又、機械強度も弱くなります。

  ) どの様な釉でも薄く掛けると、所定の色が出ず、茶色又は茶褐色になります。

    緋襷(ひだすき)釉の名前で市販されている釉は、固形部分が極端に少なく、ほとんどが

    水です。即ち、釉が極端に薄くなった状態で、赤褐色に発色する釉です。

  ) 藁(わら)白等の乳濁釉でも、薄く掛けると透明釉の様になります。下絵付けした作品は

    透明釉を掛けるのが一般的ですが、釉の面白味が出ない場合には、藁白などを薄めに掛け

    ても、絵柄は表現できます。志野釉を薄く掛けても、透明釉に近い色に成ります。

 ② 釉を薄く掛ける方法。

  ) 釉そのものを薄くする。 釉が薄ければ当然、施釉の厚みは薄くなります。

  ) 作品を水で濡らす。

    釉が作品の表面に貼り付くのは、素地が釉中の水分を吸収するからです。素地が乾燥して

    いる程、吸収する力が強く厚く塗る事が出来ますが、予め素地に水分を吸収させておくと、

    吸収力は落ち、釉は薄く掛かる事に成ります。

  ) 漬け掛け(浸し掛け)の場合、釉に漬ける時間を短くする。

    漬ける時間に比例して、釉の厚みは増します。但し、素地が薄い場合などで、水の吸収力が

    弱い場合には、長く漬けると逆に釉が薄くなります。

  ) 普通の濃さの釉で、漬け掛けの場合、薄く掛ける場合には2~3秒程度にします。

  ) 流し掛けは、漬け掛けよりも、釉の厚みは薄くなります。

    釉が作品の表面を流れ落ちる時間ですので、漬けるよりも短時間に成ります。

  ) 霧吹きを使う吹き掛けは、釉が細かい霧状になりますので、釉の層は薄くなります。

    但し、吹き掛けると直ぐに乾燥しますので、任意の回数吹き掛け釉の厚みを調節する事が

    可能です。 

  ) 刷毛(はけ)塗りは、濃い目に塗っても薄くなりがちです。 

    重ね塗りをしても、下に塗った釉を剥ぎ取る場合がありますので、薄くなりがちです。

    尚、刷毛塗りの欠点として、塗り斑(むら)が生じ易い事です。

 ③ 釉を厚く掛けるとどうなるか?

  ) 厚くし過ぎると、素地から釉が「めくれ」、最悪剥がれ落ちます。

  ) 結晶釉の様に流動し易い釉を厚く掛けると、棚板まで釉が流れ落ちて、処置に困ります。

  ) 斑(まだら)に厚掛けした場合、厚い部分の熔けが不十分になる事もあります。

    又流動性が無い釉(志野など)では、表面が平滑にならず、アバタ状態になる事もあります

 ④ 釉を厚く掛ける方法。

  ) 濃い目に釉を使う。

    濃い目の釉は、釉禿げの原因に成り易いですので、余り薦められません。

  ) 漬け掛けの場合、最大でも5~6秒です。それ以上は逆に薄くなる事が多いです。

  ) 普通の濃さの釉を二重掛けする。

    一度施釉し、表面が持てる程度に乾燥したら、更に釉を掛ける方法です。

  ) 刷毛塗りで重ね塗りする。

   重ね塗りをしても、下に塗った釉を剥ぎ取る場合がありますので、剥ぎ取らない様に注意が

   必要です。 

2) 釉の厚みの確認。

  ① 下絵が見える場合は、釉が薄いです。

    呉須や鬼板などで、下絵を施した作品に、透明釉などで施釉した場合、絵付けの模様が

    透けて見える時は、釉が薄過ぎる事になります。一般には、下絵の模様は見えません。

  ② 昔から行われている方法に、素焼きしたテストピースを使う方法があります。

   テストピースを浸し掛けし、乾燥後に表面を針等で引っかき、その断面から厚みを確認する

   方法です。但し、施釉に慣れた方はこの様な面倒な事は行いません。経験からおおよその

   厚みが予想できるからです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする