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斎藤美奈子さんのコラム・その84&前川喜平さんのコラム・その45

2021-05-26 11:42:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず5月19日に掲載された「全部が裏目」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「入管法改正案の成立がぎりぎりで回避された。もともと問題の多い法律である上、名古屋出入国在留管理局に収容されていたウィシュマさんの死の真相も解明されていない以上、これで問題解決とはいえない。それでも最悪の事態は免れた。市民が反対の声を上げた成果です。よかった。
 与党が強行採決に踏み切れなかった理由のひとつは内閣支持率の急落だろう。朝日新聞33%、NHK35%、時事通信32%、辛うじて40%第をキープした他紙の調査も、不支持が支持率を上回っている点は同じ。
 驚く人は少ないでしょうね。五輪中止を求める声がどんなに多くても、政府は絶対やるのだという態度は崩さない。政権の支持率浮揚につながるはずだったワクチン接種も、トラブル続きで不安を増幅させている、
 入管法の問題も、後手後手のコロナ対策も、五輪強行策も根は同じ。要は人命軽視である。
 ツイッターには「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿した高橋洋一内閣官房参与、自衛隊の大規模接種センター予約の不備を指摘したメディアを「極めて悪質な行為」と罵倒した岸信夫防衛相。支持率低下に寄与する人材にこの政権はこと欠かない。やることなすこと裏目に出る菅政権。こんな人たちに命を預けて大丈夫なのかと私たちは思っているわけですよ。」

 また、5月26日に掲載された「コロナ対策禍」と題された斎藤さんのコラム。
「〈日本の行政組織は、突発的で臨機応変な対応を得意とはしていない。それゆえ、集権的リーダーシップに期待されるが、しかし、それは机上の空論の作戦立案に陥りがちである。たとえるならば、作戦参謀が立案する「インパール作戦」のようなものである〉
 新刊の金井利之『コロナ対策禍の国と自治体』(ちくま新書)の一節である。コロナ禍対策ではなくコロナ対策禍。災害のたびに私たちは行政の手腕に期待し、その迷走を嘆くが、行政はもともとそうなのよって話。
いわく、行政がやるとはいつも泥縄。ことが起こってから法整備を進め、それでお上手(うま)くいかなければ「法的権限がないから」と逃げる。
 いわく、為政者の基本は演技。何も効果がなくても対策をしている形は示す。不要不急の三密会合を多人数で開いて報道させるとか、国難、非常事態、正念場、緊急、崖っぷちなどの派手なワードを連発するとか。
 中でも特に注意すべきはショック・ドクトリンだろう。別名・火事場泥棒。厄災に乗じて平時にできなかったことをやろうとする。マイナンバーと預貯金口座を紐(ひも)付けるのも、「ポストコロナ」を口実に感染症とは関係のない事業に多額の予算をつけるのもそれ。
 ワクチン接種も五輪開催の是非も気にはなる。が、その陰で何が進行しているかも注意しておこう。」

 そして、5月23日に掲載された「久保敬校長の提言」と題された前川さんのコラム。
「「大阪市長に面と向かって批判する『提言』をだした小学校の校長がいした」「驚きとうれしさ余って、ついメールしました」。やや興奮気味のメールをくれたのは、奈良で学習支援活動などを行う元夜間中学教師の田村隆幸さんだ。
 「提言」を出したのは大阪市立木川南小学校の久保敬校長。田村さんも私も面識はない。「提言」では、松井市長が求めたオンライン授業が「保護者や児童生徒に大きな負担」と指摘し「子どもの安全・安心も学ぶ権利もどちらも保障されない状況をつくり出していることに、胸をかきむしられる」と訴えている。
 この点にとどまらず、久保校長の批判は大阪市ひいては日本の教育行政全体に向けられている。「学校は、グローバル経済を支える人材という『商品』を作り出す工場と化している」と断言。この十五年ほどの間に導入された施策を次々に避難している。「評価のための評価や、効果検証のための報告書やアンケートも必要ない」「全国学力・学習状況調査も学力経年調査もその結果を分析した膨大な資料も要らない」「目標管理シートによる人事評価制度も、教職員のやる気を喚起し、教育を活性化するものとしては機能していない」
 こうした施策を学校現場に導入する側にいた者として心が痛む。文部科学省には猛省を促す提言である。」

 どの文章も一読に値する文書だと思いました。