gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

誉田哲也『ジウ? 新世界秩序[NWO]』

2008-08-31 15:50:06 | ノンジャンル
 誉田哲也さんが'06年8月に出した「ジウ? 新世界秩序[NWO]」を読みました。ジウ全3巻の完結編です。
 美咲のもとに基子名義で、多量の血痕がついた宇田川の娘・舞の服と、基子が舞を刺殺しようとしている写真と基子に木原が襲いかかる写真が送られてきます。東はすぐに鑑識に回しました。
 歌舞伎町のセントラルロードをトラック2台とバス1台が封鎖する事件が起き、駈けつけた警官は全て射殺されます。また、新宿駅東口で選挙演説を応援しにきた官房長官が射殺される事件も起きます。
 官房長官を撃ったのは宮地の手下で、宮地の息のかかった基子とSATのメンバーはやはり応援演説に来ていた大沼首相を拉致します。歌舞伎町への道路は全て封鎖され、その中では暴力が吹き荒れ、宮地は新世界秩序の名で、歌舞伎町とその上空の治外法権を政府に要求してきます。
 美咲は、基子と行動を共にしたSATの隊員たちが、竹内の逮捕と共に姿を消した西尾の同僚の自衛官であることに気付き、東に報告すると、東は人事部のデータから、その5人が上層部の誰かによってデータを捏造されてSATに送り込まれたことを知ります。一方、基子は上司の雨宮を殺した竹内と宮地の関係を知るため、宮地のもとに向かいます。
 基子は宮地に騙されていたことを知り、また駆けつけた美咲の説得もあり、宮地と刺し違えるため、彼がいるという早川不動産に美咲の案内で向かいます。美咲と行動を共にしていた小野は東に連絡を取り、東は小野からもらった情報を流すことによって、警察上層部のスパイが松田警視正であることを知り、拘束します。
 基子は歌舞伎町の封鎖を解き、爆発が起こると言って封鎖地域内の人々を外へ殺到させることで、自分たちも警察の包囲を突破し、早川不動産に到着すると、美咲を気絶させ、ジウとの素手での戦いに勝利しますが、宮地は歌舞伎町を爆破した後、基子に銃弾を放ちます。が、ジウが基子をかばって4発の銃弾を浴び、そこへ駆けつけた美咲が宮地の手を撃ち抜き、基子が宮地を殺そうとすると、ジウが替わりに宮地の腹を撃ち、宮地は爆死します。東は早川不動産の隣のラブホテルに大沼首相が監禁されていることを松田から聞き出し急行しますが、爆破された早川不動産から基子をかついで美咲が出て来るのに出くわし、美咲と基子を助けます。
 ジウがビデオの中で言っていた言葉が「俺はここにいる」というものだったことが分かり、美咲はそれがジウを捨てた両親に向けて言った言葉であることを知るのでした。

 結局、基子と美咲との間での決闘は回避され、悪玉は全て死ぬか逮捕され、善玉は皆助かるという結末でした。ただ、歌舞伎町をバスと箱型トラックを使って封鎖する発想とか、封鎖された歌舞伎町が無法地帯と化すシーンなどは読みごたえたっぷりで、楽しませてもらいました。こうした世界を描いた後(「ジウ」シリーズのカバーにはハードボイルドを気取る誉田さんの写真が載っています)、あのすがすがしい「武士道」シリーズを書くようになっていった誉田哲也さんには、どのような心情の変化があったのか、とても興味があります。誉田さんのインタビュー記事が出たら読んでみたいと思いました。

誉田哲也『ジウ? 警視庁特殊急襲部隊[SAT]』

2008-08-30 16:07:25 | ノンジャンル
 誉田哲也さんが'06年3月に出した「ジウ 警視庁特殊急襲部隊[SAT]」を読みました。「ジウ 警視庁特殊犯罪捜査係[SIT]」の続編です。
 基子はマスコミに取り上げられたことで、昇進の代わりに上野署へ転属し、美咲は犯人の一人の元自衛官の竹内の取調べを行ないます。
 竹内は新しい世界の秩序について話し、自衛隊の同僚がヤクを売っていて、ジウも紹介してくれたと言いますが、竹内が逮捕された翌日に、その同僚は姿を消していました。基子は、基子の記事を書いたフリーライターの木原から、ジウが歌舞伎町の暴力団事務所から拳銃を強奪していると聞き、2人で歌舞伎町へ向かいます。
 竹内は新日本大学の宇田川教授を調べろと言い、翌朝に大事なことを教えると言いますが、その夜自殺してしまいます。そして翌日、竹内にジウを紹介して行方をくらましていた自衛官の平野が銀行強盗をし、人質を取って立てこもります。
 美咲と美咲の上司の東は宇田川教授に12才の娘がいることを知り、娘が最近誘拐され、レイプされた上、身代金を取られたことを娘の口から知らされます。基子は木原とともにジウがこれから襲うであろう暴力団事務所にマイクを仕掛け、現れたジウを基子は追いますが、ジウには全く歯が立たず気を失ってしまいます。
 基子の意識が戻ると、地下室にいて、両足は鎖に繋がれていました。次々に襲いくるプロレスラー崩れの男、宇田川の娘、木原を返り討ちにして殺した後、負った傷で失神し、次に目覚めた時には手当てをされて、マンションの一室にいて、これまで殺人と覚醒剤取引と不動産で財をなし、ジウの後ろ楯になっている宮地から、ジウが基子を殺すのをためらったこと、殺しも自由な新世界秩序を作ろうとしていること、基子の元上司も同志だったことを聞き、基子も仲間になることを決心します。
 美咲の携帯へ基子の携帯から電話があり、男の声で、基子の命に関わることなので一人で来いと呼び出され、行ってみると、負傷した基子が感情のない笑みを浮かべるのを見て、美咲は基子がジウの世界へ行ってしまったのを知ります。信金の籠城事件は、SATが突入し犯人を確保した時点で大爆発が起こり、現場にいた者はすべて吹き飛ばされます。
 基子がこの事件で壊滅的な打撃を受けたSAT第一小隊の班長になるところで、この本は終わります。

 いよいよジウが登場します。傷みを感じない特殊体質で、相手の攻撃をギリギリでかわす技術を持ち、基子も術中にはまって、戦いに負けます。ジウの後ろ楯になっている宮地は、ジウに負けないほどの非情な男で、これから大きな役割を果たすことを予感させます。美咲は早々と基子がジウ側に回ったことに感づきますが、この二人の対決はどのようになるのでしょうか? 完結編となる次作に期待です!

誉田哲也『ジウ 警視庁特殊犯捜査係[SIT]』

2008-08-29 18:54:29 | ノンジャンル
 誉田哲也さんが'05年12月に出された「ジウ 警視庁特殊犯捜査係[SIT]」を読みました。
 誘拐事件の身代金の受け渡しで、再三場所を変更され、渡し手の母親を捕捉するのが自分と4人だけになった東は、犯人から息子の指を渡されて逆上した母親がタクシーに乗って走り去るのを止められませんでした。
 職質中に警官に包丁で切りつけ、人質を取って立てこもった男に、若い女性警官の門倉美咲が食事を持っていくと、下着以外の服を脱がされ、人質と共に盾にされますが、女性警官の伊崎素子が男を逮捕します。
 下着姿をタブロイド版に載せられた美咲は異動になりますが、異動先で誘拐事件の捜査に参加できるようになり、素子はSATに抜擢されます。
 美咲は誘拐された少年の証言から立てこもり事件を起こした岡村が犯人の一人と特定し、岡村を取り調べることによって、誘拐の主犯は、仲間の中国人からジウと呼ばれていた無国籍の中国人の青年だと分かります。
 岡村の自供から分かった、誘拐時にアジトとして使っていた廃虚を調べると、ジウの仲間の死体が3体見つかります。岡村は、ジウは感情の欠落した男で、平気で人を殺すと言います。美咲たちはジウが廃虚を好んで住処としていたと聞き、都内の廃虚をしらみつぶしに調べた結果、ジウの住処を突き止め、見張っていると、新たな少女誘拐を実行した犯人たちが戻ってきます。美咲の上司・東は人質の居場所を探るうちに犯人たちの手に落ち、素子を含むSATが忍び込むと銃撃戦が始まります。
 人質を救い、美咲たちも命が助かり、素子は犯人を全て倒しますが、素子の上司は人質を助けるために殉職します。
 逮捕された5人の中にジウはいませんでした。ジウは週刊誌に載った素子の写真を見て、次はお前を殺すと言うのでした。

 美咲の天真爛漫さ、素子の男らしさ(?)は、後の「武士道」シリーズの西荻と磯山を連想させます。また、不幸なジンの経歴(不法就労の両親の間に生まれ、幼い頃に一人になり、少年の時に陰茎を縦に切られ、膀胱を犯されるというとんでもない暴行を受け、殺意以外の感情を失ってしまった)が暗い影を落とし、その神出鬼没ぶりは打海文三氏の「ハルビン・カフェ」の主人公を思い出させます。この本は3部作の第1作で、ほんのさわりですが、十分楽しませてもらいました。今後が楽しみです。

内閣支持率の不思議

2008-08-28 15:49:40 | ノンジャンル
 先日、古本屋で買った本を読み終わると、床に紙切れが落ち、それを見ると何と著者が編集者に出した手書きの手紙でした。サイン本と同じように高値で本と一緒に売ろうかなと思いましたが、プライベートな内容のため、泣く泣く私自身のお宝にすることにしました。それにしてもビックリしました。

 さて、今日発行のフリーペーパー「R25」に、内閣支持率が新聞やテレビによってバラバラである理由が載っていました。ちなみに福田首相の内閣改造後の内閣支持率は、最も高い読売新聞で41.3%、最も低い朝日新聞で24.0%と、約17%も違っています。
 以下、記事の引用です。(若干変えてあります。)
 「現在の世論調査の主流は『RDD(ランダム・デジット・ダイアリング)方式』という電話調査で、これは固定電話の番号をコンピュータでランダムに選択し、その番号に電話をかけるというものだそうです。しかし、若い世代には固定電話を持っていない人たちが増えているし、独身の会社員は日中家にいません。これではいろんな声を集めにくいし、調査対象に偏りがでる可能性もあります。
 もうひとつよく指摘されるのが、新聞社の論調に影響を受けているのでは、という見方。新聞にはそれぞれ主義主張やカラーがあります。好きな新聞の調査には答えるが、そうではない新聞には答えない、というケースも考えられ、結果的にその新聞を好きな人の回答が多くなり、各紙の論調が調査に反映されるんじゃないかという訳です。」
 2番目に指摘されていることを聞いて、なるほどと思いました。実際政府寄りである読売新聞の内閣支持率が最も高く、産業の経営陣の意見を代弁する日経新聞が2番目、政府に批判的である左翼的な朝日新聞が最も低いというのも、当てはまります。面白いのは産経新聞で、全体のちょうど真ん中あたりの支持率を示しています。これは中立性が高いというよりも、あまりにも新聞が右に行き過ぎていて、それによって政府を批判する傾向があるからなのではないでしょうか?
 以前から不思議に思っていた内閣支持率のバラツキに、回答を得た気がしました。

オカヂマカオリ『裁判トリセツ』

2008-08-27 16:19:56 | ノンジャンル
 オカヂマカオリさんが'04年に出した「裁判トリセツ」を読みました。トリセツとは、取り扱い説明書のことで、裁判、特に裁判傍聴の初心者に対する説明書です。
 最初は傍聴に関する説明。東京地裁内の案内図が掲載され、金属探知機を通り、庁舎案内カウンターで今日の裁判について調べ、傍聴券の抽選に参加し、傍聴メールマガジンの編集者に傍聴に関する細かいことをインタビューしています。その後、ボディチェックをされ、扉の小窓で混み具合をチェックし、法廷内に持ち込み禁止のものが列挙されます。また、地下の食堂・喫茶店・商店街の紹介がされます。
 その後、元裁判官、元検察官、元弁護士へのインタビュー、傍聴マニアの阿曽山大噴火氏へのインタビュー(ドレスコードへの言及あり)、東京地裁地下の第二食堂では午後5時から1500円で時間無制限飲み放題の情報などのミニ知識、本人訴訟について三浦和義氏へのインタビュー(この後、ロス疑惑での殺人罪で起訴されました)、著者本人による傍聴記、傍聴に使える記録用紙、最後におまけで法科大学院、裁判員制度の説明がなされています。
 総花的な内容になっていますが、今まで読んできた裁判傍聴に関する本と比べると、特に新味はなく、あっと言う間に読めてしまいました。三浦和義氏へのインタビューに期待していましたが、本人訴訟に関する事務的な説明に終始し、期待外れでした。著者による傍聴記もあっさりしたもので、北尾トロ氏のものと比べてもかなり見劣りするものでした。ただ、索引が作ってあったりして、傍聴をしてもらいたい気持ちは伝わってきました。裁判傍聴に興味のある方にはオススメです。