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アンソニー・マン監督『シャロン砦』その3

2019-10-31 07:55:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

大尉「マルゴ。頼んだぞ」ジェド「彼をどこへ?」「ララミーだ。大佐を砦にとどめる命令をもらいに」「それなら安心だ。教えてほしい。大尉と大佐は同じ軍人でもなぜそう違う?」「なぜかな?」「大佐は軍人で奥さんがいる。文明人になるためのすべてを持っている」「でも誰でも獣の部分はある」「人間の中にある獣は殺せさねば」「殺せば自分も獣だ」「文明人は面倒だ」「私たちは大佐を裁く権利はない」「誰ならある?」「弁護士や判事だ」「弁護士なら知ってる。そいつの土地で猟をしたと言われてケンカになった」「それで?」「相手が俺より小柄でね。悪かったと思ってる。次はうまくやる。俺の味方をする判事を探す」「文明化しすぎだ」「お先に」「お休み」。
 軍曹「お前たち、よく聞け。靴底の暑さは1センチある。それでも行軍すれば夜までに底が抜ける。だが兵士らしく歩け。文句があるなら言え。いないか? 訓練は長いぞ。しっかり歩くんだ。隊列を組んで前へ。進め! 行進!」
大尉「水の補給に出ます」大佐「今まで補給してなかったのか?」大尉「安全優先で」「情けないな。兵士とは思えん。敵の野営地は?」ジェド「近くです」「案内しろ」。
(中略)大佐、大尉に「水を馬車に積んだら、砦に戻れ。(ジェドに)お前はここに残れ。敵陣が見たい」ジェド「俺が説明した通りです」大佐「自分の目で確かめたい」。
大佐「これが敵の本陣か? 多くても100人だな」「野営地は谷に点在しています。狩りがしやすいように」「補給隊が一緒なら一撃で倒せたな」「戻りましょう」「なぜ急ぐ?」「そのうち見つかります」「女がいない」「女は戦場には来ないんです」「砦にいる妻が心配か?」「砦を出るべきです」「妻は落胆するぞ。お前を気に入ってるから」。
 大佐「なぜ止める? 何だ?」ジェド「静かに」。ジェドを無視して大佐が進むと、落とし穴にはまる。「クーパー、クーパー、出してくれ」「勝手に動くからです。森はクマの罠だらけ。あと3回は落ちそうですね」「早く出せ」「話をしましょう」「これは命令だ」「落ち着いて。今なら素直に聞けるはずです。大佐はどうかしてます。先住民にもそういうのが多かった。憎しみが募って殺したがる。俺も殺したが、仕方なくだった。大佐を置き去りにしたら感謝する者は大勢いる」「出すんだ」「俺を撃てば奴らが来るだけだ。獲物がクマじゃなくて驚くでしょう」「分かった。冗談はもういい。早く出せ」「出しますよ。約束してくれたらね」「何を?」「大佐は紳士だ。約束は守りますよね」「ああ、言ったことは守る」「レッド・クラウドの追跡は止めて、雪が降るまで砦にいてください。どうです? 大佐、約束は?」「死んでも断る」「後悔しますよ」「聞こえたろ」「聞かなかったことにします。もう一度答えを」「死んでも断る」「そういうことなら死ぬしなないかも」。ジェド去る。「戻って来い! クーパー! クーパー!」。
気をもむコリーナに大尉「心配ありません。クーパーは森に詳しい」コリーナ「夫は違います」「クーパーと一緒だ」「それでも心配。迎えを出して」「理由がないと」「あります」「何です?」「いいの」「では力になれません」。
 ジェド・クーパー、帰る。
大尉「門を開けろ。ジェドが戻った。大佐はどうした?」「消えました」「お前が一緒で? 先住民に捕まったのか?」「いいえ、違います」「理由があるはずだ」「彼に聞こう」「だから消えたんです」「どうして?」「勝手に消えた」「詳しく話せ」「上に報告しないなら話そう」「大佐のことは私も嫌いだが、この砦の司令官だぞ。もし殺人なら……」「彼は148人の命を危険にさらす」「お前は兵士には不適格だ」。
 ジェド、コリーナの許へ走る。「大佐は戻らない。俺は悪くない。彼が悪い。勝手に行動を。これでよかった。君も望んだろ? 違うか? 答えろ!」「望んだわ。でもこんな……」「仕方なかった。願うだけじゃだめだ。そんな目で見るな。夫の死を願ったくせに、願いをかなえた俺を憎むのか? 俺は大佐には何の恨みも持ってない。ただ君と大尉たちのためにした。俺は汚れた人間だ」。コリーナを殴り倒して、部屋を出るジェド。
 夜の森。ジェド、大佐の許へ行き、助け出す。「妻が救えと?」「大佐がついてた」「それは違うな。分かってる。妻は善良な女だ」「善人でも時には間違う」。
 帰還する大佐。仕事をする兵士たち。大佐「処罰か?」軍曹「昨夜から」「解放してやれ」「処罰者、作業やめ! 解散!」「心配したか?」「ジェドが軍法会議にかけられるかと」「私が戻らなければ処罰を?」「絞首刑です」「君はよい軍人だ。忠誠心を疑って悪かった。大尉、3時間で全員武装させろ」「全員ですか?」「そうだ」。

(また明日へ続きます……)

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アンソニー・マン監督『シャロン砦』その2

2019-10-30 05:52:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 見張りの先住民を倒すジェド。(中略)
 ジェド「奴らは矢を束ねた」大佐「偵察の報告は? なぜ私に報告せん?」ジェド「まずガスにと」大佐、大尉に「民間人には君が規律を教えてやらねば」大尉「すみません」ジェド「渓谷の底で野営している。アシニボイン族の族長もいた。同盟を結ぶらしいです」大佐「いつだ?」大尉「一週間後。急ぐはずです。雪が降れば春まで出撃はできません。しかも春には内戦が終わり、こちらの戦力も増します。向こうのチャンスは今だけです」大佐「雪はいつ降る?」ジェド「いつもならもう降っている」(中略)大佐「リオーダン大尉はこの砦は要所だと言っていた。具合は?」ガス「良好です」大尉「考えは変わりませんか?」ジェド「通信手段が断たれて、ララミー砦からの命令が届いていない」大佐「命令ならあるぞ。私のが。防衛に固執して私は砦を失った。勝つのは攻撃だ。砦を築くのが私の任務だ」ジェド「だからレッド・クラウズが勢いづく。半人前の兵士を率いて戦えと?」大佐「鍛え上げるんだ。それで一人前になる」大尉「攻撃には反対です」大佐「じき雪が降るかもしれない。先にアシニボイン族が攻めて来たらどうする? 同盟の前に倒す」大尉「自殺行為です」大佐「兵を率いて戦うのだ。自殺する気はない」ジェド「お止めしろ」大佐「クラーク大尉、忘れたのか? この砦の司令官は私だ」(中略)ジェロ「シャイローで何があったか、聞いてみるんだ」大佐「具合は?」サド「じき治ります」大佐「行軍できるか?」サド「頑張ります」大佐「シャイローのことだが、一戦で1500人を失った。大砲で隊を分断されたんだ。“シャイローの虐殺”だと私は政府に言われた。それが私の称号だ。しかしそれは一面にすぎぬ。私はあえて危険を冒し、砦を捨てて反撃に転じた。慎重では勝てない。内戦が4年も続いているのも司令官が弱腰だからだ。大砲さえ奪えれば戦況は変わっていた。だが戦争省は勇気を評価しない。結果だけだ。それでも私の作戦は正しかったと思う」。
 コリーナ、ジェドに無理やりキスされる。「行けよ。亭主を追え」。
ジェド「あんたを安全な山中に連れていく」コリーナ「嫌よ」「行くんだ。大佐の作戦じゃ全滅だ」「なぜ私を?」「俺の女にしたい。さらってもいい」「野蛮人!」「あんたも亭主と同じか? 死にたいのか?」「いいえ、生きたいわ」「俺に任せろ。山のことはよく知っている」「ほかの女たちは?」「他人の女だ」「私もよ!」「俺じゃ不満か? 死ねば終わりだぞ」「男に助けてもらおうとはもう思わない。夫のおかげで生き延びることができた。今は命のために愛人になれと?」「誤解するな」「誤解してない。あなたも夫も同じよ」「違う」「どこが?」「君を愛してる。君が必要なんだ」「私にどうしろと? 何もできない女よ」「俺はダメ男だ。俺の悪い所を直してくれ」。キスする二人。銃声と叫び声。
「撃ち方やめ。見張りを倍にしろ」「招集ラッパだ」ジェド「必要ありませんよ。無謀な単独攻撃です。前にも若い奴が手柄目的で突撃してきました」「君をなめてるな」「だとしても私は彼らに敬意を払っています」「ベナー、あのインディアンを埋葬してやれ」。
 コリーナの頭をなでるジェド。またキスする二人。
 ジェドとコリーナ、外へ。コリーナ帰宅。
 ガス「いちゃついてると縛り首だぞ」ジェド「違うよ」ガス「バッファローの皮でも見せたってか?」ジェド「俺の女にする」ガス「大佐の奥方がお前の女?」ジェド「そうだ。笑うな、ガス」「確かに笑えないかもな。むしろ悲しいぜ。ジェド、彼女のことを忘れるんだ。きれいさっぱり。いいな?」「ほっといてくれ」「お前には失望したよ。今までの生活は何だった? ジェド、聞け。お前とは命をかけて助け合ってきた仲だ。息子のように思ってる。信じるか? どうだ?」「分からない」「頼むからあの女には近づくな。お前が傷つく。ボロボロになるだけだ。住む世界が違う。木の上や洞窟で眠る女じゃない。彼女は淑女だ。紳士がお似合いだ。お前じゃない。俺のせいだ。読み書きを教えなかった。俺も習ってないんだ。俺達ほど教養のない人間はいない」「時々彼女は俺をクマを見るような目で見る」「クマの国ではクマでいるのが一番だ」「クマなんか嫌だ」「脚が痛みだした。手を貸してくれ」。
医者「3日間安静と言ったぞ」ガス「今から安静にします。お休み」。医者「ジェド、座れ。大佐のことが心配なんだ。正気じゃない。恐ろしいことを考えている。じきに先住民を殺しに出撃するはずだ。誰かが止めないと」「それは先生の役目だ」。

(また明日へ続きます……)

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アンソニー・マン監督『シャロン砦』その1

2019-10-29 05:16:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、アンソニー・マン監督の1955年作品『シャロン砦』を観ました。

 荒地を進む3人の男と5頭の馬。しばらく歩くと、先住民に囲まれる。ジェド(ヴィクター・マチュア)、仲間のマンゴに「ここで野営しよう」。マンゴ、先住民の言葉を通訳して「銃を寄越せと」。銃を渡すと「もっとだと」。ジェドは「命には変えられない」と一年間貯めて来た毛皮と馬も渡す。「出て行け。今度川を渡ったら殺す」と先住民。「北軍が春に来て木を伐採し、この先のパハ・サパに砦を作ったらしい」とマンゴ。「雪の前に軍隊を全滅させ、森にいる白人も殺す」と先住民。「生活のための狩猟なのに」とジェド。ガスは「文明の波だ。北軍はミシシッピ以東で満足せず、ロッキー山脈を越え、太平洋へ向かおうとしている」と言う。ジェド「砦に行って取られたものを弁償させよう」ガス「軍隊には勝てない。軍隊は二枚舌だ。砦に一歩入ったら最後捕まえられる」「俺をはめると?」「カナダに行ってハドソン湾会社に毛皮を売ろう」。
 砦に向かう3人。ジェド「司令官は? 馬5頭と銃3丁と毛皮を返してほしい。レッド・クラウドに取られた」「返済代わりに偵察係の仕事をしないか? 月に25ドル払おう。人員不足なんだ。ただし兵士以外に制服はない。素養が整ったら入隊を認める。給料は前払いだ」「よし、乗った」。“シャロン砦”の看板。北軍旗に敬礼する兵士たち。
 酔っぱらうジェド。女のいる部屋に入っていく。女の部屋には夫のマーストン大佐の写真があり、今“メドフォード砦”にいると言う。ジェドは「未亡人になるだろう」と言い、メドフォード砦はレッド・クラウドの裏庭みたいなものだと付け加える。
(中略)
 森の中。ガス「2日間敵の攻撃に耐え、逃げてきました。脚を撃たれました」「マーストン大佐。シャロン砦から偵察係のクーパーが来ています」「来い。援軍は?」「100人です」「上官は?」「リオーダン大尉です」「砦に戻ってもう100人送れと言え。ここで待つ」「危険です」「砦も再建する」「俺は援軍のことは言いません」「司令官は誰だ? 君か? 大尉か?」「大尉です。切れ者です」ガス「大佐、こいつに礼儀を教えます。命令に背いたら銃殺だ」「答えは出てる」。銃声と叫び声。先住民の襲撃。ジェド「今すぐシャロン砦に撤退を」「伍長、負傷者の数は?」「重傷が数名」「シャロンには医者が」「デッカー、担架を作れ。出発だ。長居は無用だ」。
「警備を解け」。部隊がシャロン砦に到着する。迎えられるマーストン大佐の部隊。大尉「激戦でした?」大佐「ああ、コリーナ」と妻の頬にキスする大佐。(中略)
コリーナ「もう休んだら?」「休む? 眠れん。なぜ任地がここに?」「自分で選んだのよ」「書類仕事なんか自分に向かん」「なぜ軍隊に留まったの?」「他に何ができる?」「兵士でいるのが喜び?」「お前は女だ。勝利を知らん」「敗北ならあなたと味わったわ。中に入って」「なぜついてきた?」「妻だからよ」「同情はいらん」「なら、どうしろと?」「尊敬しろ」「こんな辺境の地で……」「同期の連中とは大違いだ。だが追いつくぞ。誇れる夫になる」「出世などいいの。軍服と結婚した訳じゃない」「なら悪かったな。軍服こそが私だ」。
 ガス、ジェドに「眠れないのか?クーパー。大尉は君を見ていた。信頼している証拠だ。失望させるな」。
軍曹「全員揃いました。敬礼!ぜんた~い、直れ!」。大尉「140人。新兵ばかりだ。本部が見放した落ちこぼれがここへ集まってくる」大佐「だが臆病とは限らん」「死体や血を見て卒倒するのは臆病と言えるでしょう」「だとしてもだ。クラーク大尉、復帰できそうな傷病兵を調べろ」。
大佐「撤退前に援軍を要請したが来なかった」大尉「そのお話は別の場所で」「私に隠し事はするな」「ここから100人も送るのは自殺行為です」「君の責任において要請を無視した訳か」「ここは要所です。陥落すればララミー砦が無防備になります」「敵は策略家で賢い未開人だ。ナポレオンとは違う。恐れる相手ではない」「彼らの力はもうご存知のはず」「そうとも。だが奪還する。全員で奪還だ。レッド・クラウズを吊るす。手下もだ。北軍の怖さを思い知らせる」「奪還?」「そうだ」「兵士が足りません。内戦中で増兵は無理です」「これで十分だ」「われらの任務はこの砦の防衛です。それに訓練兵しかいません」「デッカー軍曹、訓練時間を倍に増やせ」「司令官は私です」「もう違う」「解任の命令書は?」「不要だ。地区の上官の私が発令する。従うか、あるいは逮捕されるかだ」「了解」。
大佐「クーパーを呼べ」下士官、ジェドに「大佐の部屋へ」「食事中だ」「いつか切り刻んでやる」「今やるかい?」「食事が済んだら言え」「食った。行くぞ、マンゴ」「彼はいい。先住民だ」マンゴ「聞いたか? 行かない方がいい」。

(明日へ続きます……)

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斎藤美奈子さんのコラム・その44&前川喜平さんのコラム・その6

2019-10-28 06:52:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず10月23日に掲載された「読書と格差」と題された斎藤さんのコラム。その全文を転載させていただくと、
「10月27日から11月9日までの2週間は読書週間だ。毎年この時期には、読書関係の各種調査も発表される。
 若者や子どもの読書離れがささやかれて久しいが、子どもが読む本の数はさほど減っていない。小学生が読む本の冊数は1カ月で約十冊、中学生は約4冊だ。一方、成人の場合は約半数が月に一冊も読んでいない。
 この傾向は読書内容からもうかがえる。十数年前までの調査で「好きな作家」は司馬遼太郎と松本清張が2トップだった。政治家や経済人があげる愛読書も同じ。だがいつしか二人の名前は消えた。私の率直的な感想は「中高年男性が本を読まなくなったんだな」である。
 いわゆる司馬史観にも問題がないとはいえないし、松本清張はミステリー作家である。しかし彼らの作品を通して読者は歴史を学び、社会の暗部にふれ、権力の構造を学んだはずだ。2トップが好きな作家のランク外になったのと、歴史修正主義や自己責任論が幅をきかせだした時期は重なる気がしてならない。
 終身雇用制と年功序列を柱とした日本型企業社会の崩壊も関係しているかもしれない。昔は上司から部下へ、先輩から後輩へと受け継がれた読書体験があったのよね。書籍費も本を読む時間的精神的ゆとりもない現代。格差社会は読書習慣にも影響する。さて今年の結果は。」

 また、10月20日に掲載された「不登校と自死の激増」と題された前川さんのコラム。
「十月十七日に文部科学省が発表した不登校等の調査結果は驚くべきものだった。2018年度の不登校小中学生の数は16万4528人で、前年度比14.2%増。12年と比べれば6年で約1.5倍。激増だ。
 最も多い要因は「家庭に係る状況」で37.6%。次いで「いじめを除く友人関係をめぐる問題」27.8%、「学業の不振」21.6%。一方、「教職員との関係をめぐる問題」は3.1%、「いじめ」は0.6%しかない。学校からの報告だから、学校に都合のいいバイアスがあるとみるべきだろう。
 不登校は「子どもの学校への不適応」ではなく「学校の子どもへの不適応」と考えるべきだ。家庭に問題があっても、学校が安心して過ごせる居場所なら不登校は起こらない。しかし近年、「〇〇学校スタンダード」という画一的な行動を求められたり、自己犠牲を良しとする道徳を押しつけられたりして、学校が子どもたちにとって居心地の悪い場所に変わってきていると感じる。
 同じ文科省調査では、18年度の小中高生の自殺者は332人で、前年度比32.8%増だった。悲しむべき数字だ。何としても自死だけは思いとどまらせたい。自死を選ぶのは家庭にも学校にも居場所を失った子どもだ。彼らには温かい居場所が必要なのだ」。

さらに10月27日に掲載された、「給特法改正案の実効性」と題された前川さんのコラム。
「文部科学省は教師の働き方改革に向けて、教育職員給与特別措置法(給特法)の改正案を国会に提出した。その柱は一年単位の変形労働時間制、教師の年間の勤務時間を業務の繁閑に応じて傾斜配分できる仕組みの導入だ。たとえば、学校行事などの多い四、六、十、十一月は勤務時間を週三時間増やし、その代わり八月に五日程度の休みを設けるのだという。しかし、これで教師の業務が軽減できるだろうか。
 そもそも文科省が標準授業時数を大幅に増やしたので、全国的に夏休みは短くなっている。その夏休み中も、教材作成、補習授業、部活動指導、水泳指導、保護者との個別面談、各種研修など、教師にはいろいろな仕事がある。
 年間二十日の年次有給休暇(年休)の取得は当然の権利だが、実際に年休をすべて消化している教師はほとんどいないだろう。変形労働時間制で休みの日をつくっても、その分年休が減るのでは「朝三暮四」のような話だ。仕事の総量が減らなければ何の意味もない。
 教師の残業時間の「上限」の設定など、業務量管理の「指針」を文科大臣が定めるという。しかし、教師の残業が「自発的な勤務」とされたままでは、実効性は期待できない。「上限」は教師が自発的に守れという話なのだから。教師の労働基本権に立ち返って議論し直すべきである。」

 どのコラムも、他のメディアでは取り上げられていない内容で、とても勉強になりました。

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アレン・ネルソン『戦場で心が壊れて』その4

2019-10-27 00:49:00 | ノンジャンル
 昨日、あつぎ市民発電所の収穫祭に参加してきました。「あつぎ市民発電所」とは、畑にソーラーパネルを敷き、農業をしながら発電もするという画期的な施設を作る運動で、ソーラーを並べるのは来月の中旬になりますが、その前に畑にできたサツマイモ、サトイモ、落花生、キクイモを収獲したのが昨日でした。お昼には炭で熱を出して作った焼きそばと豚汁をいただき、採り立てのサツマイモの焼き芋も食べさせていただきました。参加費はたったの500円! 作業の後は採れたての収穫物の即売会(これもめっちゃお得!)ももらえるというイベントでした。私はスーパーなどで見かけることのないキクイモ(体にすごくいいそうです)とサトイモを買わせていただきました。「あつぎ市民発電所」の理事の遠藤さん、収獲の具体的な方法を指導していただいた落合さん、そして私以外の参加者の皆さま、楽しく充実した時間を過ごさせていただき、ありがとうございました!!(詳しくは、私のFACEBOOKにアップしましたので、是非ご覧ください。

 さて、また昨日の続きです。

 中国や韓国、ベトナム、フィリピン、マレーシアなど、第二次世界大戦で日本に占領され苦しみを味わった国にとって、そのできごとは「昨日」のことなのです。(中略)なお、PTSDについて少し補足すると、これは、人を殺した者だけがかかる病ではありません。戦場の強い緊張感の中に身を置いていた人は、だれもがそこからストレスを受けます。仮にある兵士が、人を殺すことまではしなかったとしても、次の瞬間に命がなくなるのではないかという恐怖のもとにあるという点では同じなのです。私はベトナム帰還兵の場合、そういうケースも含めて、80~90パーセントの者がPTSDにかかったとみています。(中略)戦争や暴力は、決して平和をもたらさないということを理解しなければなりません。国を安全で平和にするものは、核兵器ではないのです。アメリカでは何万発もの核兵器もっているけれど、2001年の「9・11」事件から国民を守ることができませんでした。
 沖縄を訪れる機会があったら、沖縄の音楽を聴いてみてください。そこに使われている三線(さんしん)という楽器をご存知でしょうか。あれは素晴らしい楽器です。三本の弦しかないのに信じられない表現力を持っています。そして、ハッピーであると同時に悲しい音を出すのです。(中略)私がブルースに似ているかもしれないと思ったのは、この三線の音色を聴いたときでした。(中略)
 日本政府は、一人ひとりの国民は、だまって言われるとおりにしていればいいのだと思っているのでしょう。でも(中略)私たちには力があります。権力者はお金を持っているけれど、人々は力を持っているのです。たとえば、もし、沖縄の米軍基地で働いている労働者がすべて、「自分たちはもう米軍基地で働くのをやめる」と決意したら、米軍はやっていけません。(中略)2006年春にアメリカ、そしてフランスで、たいへん励まされるできごとがありました。フランスでは、26歳未満の者を雇用して2年未満ならば、企業は理由を明示することなく自由に解雇できるという法律を、政府がつくろうとしました。これには、大学生、高校生、そして労働者が強く反発し、多くの学校が占拠・封鎖されたり、300万人規模のストライキが起きたりして、ついに政府はこれを撤回せざるをえなくなったのです。アメリカでは、不法滞在者とその雇用主に重罰を科す法案が議会に提出されました。アメリカにはいわゆる不法就労の人々が1000万人以上おり、労働の担い手となっているのですが、これらの人々を連邦法の犯罪者であるとする法案で、そうした人々を助けても犯罪だとされるものでした。これにも全米各地で数十万~100万人以上の規模でデモが行われ、多くの人々がこれに抗議しています。(中略)日本の人々が、自らの持つ大きな力を、そうしたことのために使う選択をしてくれれば、私もうれしく思います。

 あっと言う間に読んでしまいました。戦争に反対する方々は勇気づけられる本だと思います。