gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

内田吐夢監督『逆襲獄門砦』その2

2014-04-30 06:08:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 一方、テルは舟で逃げることに成功しますが、一緒に逃げていた琢磨は追ってきた役人に斬られ、舟から落ちます。禁足を命じる布告。
 島を削って作られつつある最初の砦。舟から島へ追われ、働かされる農民たち。テルは労働者に混じって働いています。次郎は田の藁の山の間に隠れ、和平次に飯を与えられます。小屋に潜む琢磨にも農民が飯を持ってきて、琢磨は傷が治ったと言います。石を抱き拷問を受ける野田の家来。群太夫はみすず姫を捕え、父に幕府側につくよう説得しろと言います。そこへ伏見鳥羽の戦いで幕府軍が破れたの報が入ります。砦を死守せよと命じられる群太夫。群太夫はみすず姫を人質に取り、幕府側に軍勢を出せと野田に迫ります。そして農民の代表である大乗屋を呼び、10日で砦を完成させるよう命じ、できなければテルらの命を奪うとも言います。農民にその話を持ち帰った大乗屋は、もう一度群太夫に談判し、それで駄目だったら実力行使に出ようと農民たちに言いますが、群太夫には相手にしてもらえず、とぼとぼと帰るところを捕えられます。野田藩の娘、つるのは牢で倒れている父の姿を群太夫に見せられて脅され、「今晩、反乱のために皆、山に集まるように」という内容の回状を、大乗屋からのものだと偽り、和平次の家に届けます。その夜、反乱のために山に集まった農民たちは、役人たちに一網打尽にされます。
 男たちが全員砦の建設に取られ、嘆き悲しむ女たち。役人(吉田義夫)の掛声で、縄打たれた農民たちはひれ伏します。群太夫は命は救ってやる代わりに、昼夜兼行で砦の建設に精を出せと命じます。農民の中に大乗屋と和平次がいないことに気づいた女たちは、彼らが裏切り者だと決めつけ、家に押しかけ、和平次の妻に石を投げます。みすず姫の許へ談判に行く和平次の妻と女たちでしたが、みずず姫は下を向くばかりです。やがてつるのは入水自殺し、湖に貝を拾いに来た次郎はその死体を見つけます。つるのの遺書で大乗屋と和平次が群太夫に捕えられ、回状が偽の者だったと知り、反省する女たち。やがてそれは群太夫への怒りへと変わり、女たちは陸で働く農民たちと島で働く農民たちに手紙を秘かに渡し、翌朝の鐘の音を合図に助けに行くことを知らせます。島の方で農民たちのリーダーとなるテル。島の農民たちは見張りの舟を襲い、テルと次郎はその舟を漕ぎます。鐘が鳴り、顔を黒く塗る女たち。彼女らは竹槍や鍬、鎌で武装し、集団となって進みます。一斉に見張りの役人に襲いかかる陸の農民たち。女たちは柵をなぎ倒し、男たちと抱き合います。一同は大乗屋と和平次を救うため代官屋敷に向かい、丸太で門を突き破り、邸内に入りますが、そこには人質に刀を向け、鉄砲で武装した群太夫とその部下がいました。じりじりと下がる農民たち。一方、島から脱出したテルたちは舟で裏から屋敷に侵入し、群太夫らのいる場所に乱入します。それを機にまた押し出す武装した農民たち。発砲の音。ワーワーと言う叫び声。群太夫はみすず姫の手を引いて逃げ出します。蔵から俵を運び出す女たち。結局、群太夫らは人質を置いて、舟で逃げ出します。「逃がしてやれ」と言うテル。浸水してくる水を一所懸命にかき出しながら逃げる群太夫らを見て、次郎が「逃げてる、逃げてる」と言うと、皆大笑いします。
 代官の屋敷を引き倒して壊す農民たち。壊した屋敷の屋根に登り、農民たちが湖を眺めるところで、映画は終わります。

 カット割り、カットの移動・パン・ズーム、そしてカットのつなぎ方が皆スムーズで適格で、無声映画からキャリアをスタートさせた内田監督の面目躍如といった感じでした。つるのの入水自殺のシーン、生首がさらされるシーンも何気なく撮られていますが、迫力があり、ラストのモブシーンも素晴らしく、「革命」を描いた映画として、記憶に残る映画だと思います。『飢餓海峡』を撮った内田監督を、今後も追っていきたいと改めて思わせる映画でした。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

内田吐夢監督『逆襲獄門砦』その1

2014-04-29 07:12:00 | ノンジャンル
 内田吐夢監督の'56年作品『逆襲獄門砦』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
 雪原に2つの足跡。テル(片岡千惠蔵)と息子の次郎は雪原に穴を掘っている猪を見つけ、鉄砲の音がした後、駆け出した猪に、テルの放った矢が見事に当たります。そこに現れた武士は自分が鉄砲で仕留めたと言い張り、その武士に次いで現れた代官の群太夫(月形龍之介)は死んだ猪を鉄砲で撃ち、これで自分が仕留めたのに相違あるまいと言って、テルから猪を奪っていきます。
 別の猪を仕留め、担いで村に降りるテルと次郎。テルの祖父の和平次(高堂国典)は「せいが出るのぉ」と声をかけます。猪を売って、鷹の矢羽根を買いたいと言う次郎に、狩人をしているテルの血は争えないと言う和平次は、死んだ次郎の母のヨシに聞かせてやりたいとも言います。その横を馬で駆けて行く武士。
 「父上、いよいよ薩長に対し倒幕の勅令が下りました」と父の野田に言うみすず姫。野田の家来の琢磨は、野田の書状を中納言に渡してきたと言います。野田の書いた書状を今度は直に中納言に渡すため、みすず姫と琢磨は京へ船で戻ります。
 道端に座って休んでいるテルと次郎。やがて号令がかかり、他のものと一緒に大きな荷物を背負って京へ向かい歩き出します。やはり京に向かう薩長の兵隊の列。逆方向に走る一団の早駆けの馬。群太夫とその家来たちは、地元の有力者の蔵を改め、500俵分の備蓄があるのを確かめ、直ちに京へ送るように命じます。立てられる「布告」。そこには、鉄砲や船にも運上金がかけられ、検地もやり直されると書いてありました。検地でわざと縄をたるませ、実際以上の田を持っているとする役人。測り直してくれと嘆願する和平次。また「布告」が出され、年貢米が増やされることになります。不満を募らす農民たち。次の布告には、天誅組を差し出せば金5枚を与えると書いてありました。山狩りの鉄砲の音。琢磨はみすず姫とテルの小屋を訪ね、匿ってほしいと言います。秘密の抜け道に2人を案内するテルと次郎。琢磨は京から山を越えて来たと言います。降り出す雨。テルはみすず姫をおぶって川を渡り、山小屋へ2人を匿います。しかしそこでは役人たちが待ち構えていました。
 群太夫は上から、二条城を明け渡したが、薩長は増長する一方なので、速急に砦を築き、野田藩を勤王派につけるなと命じられます。群太夫は徳川の紋所がよく見える陣笠を掲げ、その前を通る者は必ず土下座するように命じます。新たに作られる関所。天領内の者と人の行き来が禁止されます。農民たちの話し合いの場で、琢磨は農民たちに、諸国を歩き回っている芸人(加藤嘉)を紹介します。芸人は将軍が京から夜逃げするのを見たこと、倒幕の詔勅が下ったこと、幕府側の侍が略奪をしながら京から逃げていったこと、今後は天子の世の中になることを農民たちに教えます。喜ぶ農民たち。しかしまた新たな布告が出され、労働力として農民が徴用させられ、砦の建設が始まります。戦争を引き寄せるために働いているようなものだ、と話す農民たち。俺たち若い者が率先して仕事を投げ出せば、他の者も付いて来ると言う話が沸き起こりますが、これまで一匹狼で生きてきたテルは、彼らと行動を共にすることを断ります。
 みすず姫に敵の陣容を説明する芸人。砦で重労働を強制される農民たち。次郎は陣笠の前で土下座せず、しかもそれが原因で起きた騒ぎで陣笠が落ちてしまい、その場で役人に斬られそうになりますが、テルが土下座して許しを請います。そこに現れた群太夫は、次郎の頭にミカンを乗せ、それを射ることができたら許してやると言い、テルは勘弁してほしいと願いますが、聞き入れられず、見物していた農民たちも冷ややかにテルを見つめます。追い込まれたテルは、ついに矢を放つと、それは見事にミカンに当たります。しかしテルが2の矢を持っていたことを群太夫に追及され、テルはもしミカンに当たらなかったら、2本目の矢で群太夫を射るつもりだったと正直に答えると、群太夫はテルを捕えるように部下に命じます。そこへ上から群太夫への使者がやって来て、砦を2段構えにするように言ってきます。薩長の軍隊は今、伏見鳥羽で幕府軍と戦っていると聞き、そこで幕府軍が負ければ薩長軍は10日でここまで来るだろうと考える群太夫。彼はまず、領内の不平分子の侍を一掃するために、暗殺団を送り、殺します。さらし首になる侍。(明日へ続きます‥‥)

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 木皿泉 物語る夫婦の脚本(これまで)と小説(これから)』

2014-04-28 05:34:00 | ノンジャンル
 '13年に刊行された、文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 木皿泉 物語る夫婦の脚本(これまで)と小説(これから)』を読みました。作家の木皿泉さんを特集した本です。
 木皿泉さんは、夫の和泉努さんと妻の妻鹿年季子さんの共同作業から生まれた作品につけられたペンネームで、以前は和泉努さんのペンネームだったのが、和泉さんが'03年に脳内出血で倒れてからは、努(つとむ)さん(年季子さんは“トムちゃん”と呼ぶ)がアイディアを出し、年季子さん(努さんは“トキちゃん”と呼ぶ)が文章を書いてできた作品にこのペンネームを使っているとのことです。
 この本では現在「木皿」さんについて知り得る全てのことが網羅されているように思われ、目次からそれを書き出してみると、まず「カラー口絵 木皿泉ワークスコレクション 木皿泉の小宇宙~お宅訪問~」、木皿泉ロングインタビュー「夫婦脚本家、小説家になる」(聞き手・重松清)、対談「川上弘美×高山なおみ『木皿さんの作品では、すべての登場人物が生きている』」、木皿さんの作品(未発表小説『晩パン屋』、伝説のラジオドラマ脚本『エネオス オン ザ ウェイ コメディ“道草”』より〈ミラクル夫婦・~ミクロの決死圏〉〈ジェニジェニ日記〉〈タクシードライバー八代運転手・~私、正直に生きて参りましたッ!〉『LET IT PON!~それでええんよ~』)、対談「木皿泉、自作を語る」、エッセイ(窪美澄(作家)「でっかいカサブタを剥がす快楽」、佐川光晴(作家)「モラリストの冒険」、佐藤東弥(木皿脚本のTVドラマを多く作った監督)「木皿さんのこと」、島崎今日子(ライター)「木皿泉の正体」、白岩玄(自作『野ブタ。をプロデュース』を木皿さんにテレビ用に脚色してもらった作家)「ドラマ化のこと」、瀧井朝世(ライター)「・生きている・という実感」、内藤裕敬(木皿さんの唯一の舞台用脚本『すうねるところ』を演出した劇作家・演出家)「すうねるところ」、松田青子(作家)「『すいか』の夏」、村井良太(舞台『すうねるところ』に出演した俳優)「世界観」、茂原雄二(木皿さんのドキュメンタリーを撮ったディレクター)「懐かしい時間」、薬師丸ひろ子(木皿さんのテレビドラマ『Q10』と舞台『すうねるところ』に出演した女優)「木皿さんの脚本を演じることは『何かを信じる』ということ」)、イラストエッセイ(麻生みこと「木皿さんは歯フェチ?」、咲坂伊緒「ジュワッときてホロっとなる」、牧原亮太郎「木皿泉さんの言葉」、やまだないと「すうねるところ」)、論考(長谷正人(映像文化論)「ドラマご馳走主義の作家」他3本)、書店員座談会「こっそり見つけてもらいたい、木皿泉の魅力」(小田急ブックメイツ・狩野大樹、オリオン書房ノルテ店・辻内千織、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店・村尾啓子、紀伊国屋書店笹塚店・吉野裕司)となります。
 中でも印象的だった言葉を書き出してみると、「作る分にはラジオドラマが一番自由」(妻鹿)、「たとえば、夕子さんがうなじ一発で全てを伝えるシーンがありますが、そういうものが文学とか、演劇もそうだけれど物語の凄みなんだと思います」(重松)、「『小説は歳をとってからの方がいいものが書ける』と、よく言われます」(重松)、「『AKB48』が紅白歌合戦に出た時なんか、あっちゃん(前田敦子)のことを、Q10(キュート)の母のような気持ちで応援してました。『Q10大丈夫かな、ちゃんとやれてる?』って」「当時、電車でQ10の真似してる女子高生を見かけました(笑)」「わーっ!」「かわいかった。『ぱふっ!』とか、あの『~デス』っていうしゃべり方をふたりでしていて、またそれが上手くて」「木皿さんのドラマの役者さんは、みんな存在感がある。そして、ダメな人がたくさん出てくる(笑)」(高山&川上)、「特に『すいか』は、『どうせみんないつかは死んでしまうのに、頑張って仕事にいったり、喧嘩したり、泣いたり笑ったり、ごはん作ったり、作らなかったりして生きている』みたいなところがあるじゃないですか」(高山)、「人に嫌われてもいいんです。矛盾してる自分を、許してあげなきゃダメです」(『すいか』の台詞)、「私みたいな者も、居ていいんでしょうか?」「居てよしッ!」(『すいか』の台詞)、「でもね、好きに生きてないと、グチばっかりの人生になって、みんなが不幸になると思うんですよ。自分が我慢している分、人にも我慢を強いるだろうし」(妻鹿)とこんな感じになります。
 とにかく読みごたえのある特集本でした。ラジオドラマは特に楽しめます。木皿ファン必読の書です。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

清水宏監督『蜂の巣の子供たち』その2

2014-04-27 06:42:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 畑で土ならしの仕事をする復員兵と子供たち。途中で逃げ出した子の後を追ってみると、彼らは学校の授業を盗み見ていて、1人は黒板を見ながら、3桁×2桁のかけ算の途中までを、土の上に写していました。復員兵は教えてやろうとしますが、彼らの中には足し算もできない子がいるのが分かります。
 日記を書く子は、空いたページで掛け算の練習をしています。上半身裸で川で洗った洗濯物を干す復員兵。子供たちは集まって座っていますが、やがて煙草の煙が立ち上り、それに気づいた復員兵は「誰だ、煙草を吸ったのは?」と訊きます。正直に答えない子供たち。自分も今日から煙草を止めると言った復員兵が、煙草を吸うことより嘘をつく方がずっと悪いと言うと、1人の子がポケットから煙草を出し、他の子もマッチと煙草を出します。川に煙草を叩きつける子。流れていく煙草。
 子供の声による主題歌の合唱。錦帯橋を渡る復員兵と子供たち。そこで別れて別府に行くと言う2人に、ケンは金を与えます。河原で野球をしていたユニフォーム姿の子供たちに、仲間に入れてもらおうとしたケンたちでしたが、逃げられてしまいます。あいつら意気地なしだと言うケンたちに、復員兵は「きっと気持ち悪く思ったんだ。みんなも早く気持ち悪くないような子供になろう」と言います。
 倉庫から荷袋を運び出す子供たち。復員兵と男たちはそれをトラックの荷台に積み込み、それが終わると、子供たちと復員兵は荷台に乗って、仕事の指示の書かれた手紙をもらい、出発します。
 コンクリの廃墟に座り込む復員兵と子供たち。そこへ真新しいセーター姿のヨシ坊とユミ子がやって来ます。孤児にお菓子や握り飯をやるのではなく、ちゃんと自立させなければならないとユミ子に語る復員兵は、四国で山の仕事をさせてくれる人があるので、これからそこへ行くと言います。その仕事の後、自分が出た感化院に子供たちを連れて行って勉強させてあげたいと復員兵が言うと、ユミ子はヨシ坊も勉強しなきゃ、と言って、復員兵にヨシ坊を預けます。ユミ子はこれから知人をあてに東京へ行くと言い、着いたら手紙を書くので返事を頂だい、と子供たちに言います。ユミ子と別れたがらないヨシ坊。ユミ子も心を鬼にして、ヨシ坊と別れます。
 木の伐採をする復員兵と子供たちと男たち。病気で小屋に寝ていたヨシ坊に、1人の子がヤギの乳を届けると、ヨシ坊は海を見たいと言います。あの山の頂上なら見えるだろうと乳を持ってきた子が言うと、ヨシ坊は乳は全部やるから自分をおぶって連れていってほしい、そうすれば病気も治ると言います。乳を持ってきた子は結局ヨシ坊に押し切られ、ヨシ坊をおんぶして、苦労して頂上を目指します。やっと頂上に着いて海が見えた時、ヨシ坊は息絶えていました。動揺し、急いで山を下る子。
 役人に事情聴取された復員兵は、「ヨシ坊の墓を海の見える丘の上の墓地に作り、皆でお別れする」と言います。こんなに早く死ぬんだったら、もっと親切にしてやればよかったと悔いるケン。復員兵はヨシ坊がユリ子宛に書いた手紙を手にします。
 彼らは港町を歩いていると、片足が売春婦のヒモとして背広姿でいるのを発見し、その仕事についたばかりのユリ子も発見します。子供たちに気づいて逃げるユリ子でしたが、結局子供たちに追いつかれます。復員兵はヨシ坊が死んだことを告げ、ヨシ坊の手紙を渡すと、ユリ子は泣き崩れます。片足は「俺のガキを勝手に取りやがって!」と復員兵に杖で殴りかかりますが、やがて復員兵に反撃され、倒されます。
 復員兵は自分が出た感化院に子供たちを連れていきます。先生たちに帰還を喜ばれる復員兵。子供たちも片足も、感化院の子供たちに歓迎され、皆で歩いていく姿で映画は終わります。

 1948年製作ということでドキュメンタルな主題を、リアルな子供の表情で見せる映画でした。滑らかな移動撮影、極端なロングショット、光る海に代表される美しい風景などなど、“ショット”としても魅せる映画だったと思います。戦前の清水監督の映画が見たくなりました。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

清水宏監督『蜂の巣の子供たち』その1

2014-04-26 06:31:00 | ノンジャンル
 清水宏監督・共同製作の'48年作品『蜂の巣の子供たち』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 “この映画の子供たちに、お心当りの方はありませんか”の字幕。子供たちによる主題歌の合唱をバックにタイトル。駅のホームに戦災孤児たち。東京行きの引き揚げ者専用の臨時列車が発車した後、1人の復員兵だけが残ります。子供に声をかけられますが、無視して駅前広場へ移る復員兵。“下関駅”の看板。荷物を下ろして座ると、近くの孤児にお菓子をやります。しばらくすると、さっきお菓子をやった孤児が仲間を連れてきます。「もう食べちゃったのか?」と復員兵が言うと、「兄貴に渡した」と孤児は言います。孤児の指差す先には、片足のない男が、孤児から集めたパンを行き交う人々に売っていました。「電報が戻ってきたので取りに来て下さい」とのアナウンスを聞いたユリ子は、荷物を彼らに託して駅に向かいます。感化院から戦争に行って、帰る先のないと言う復員兵に、しばらくここにいればいいと言う孤児。復員兵はここでどんな仕事があるのか、ケンという名前の孤児に聞きますが、それに詳しいとケンに言われた孤児は逃げ出してしまいます。しばらくして叔父貴に呼び出しを食らうケン。仕事のことを他人にばらしたと、ケンは制裁を受けることになりますが、ちょうどそこへ警察の手入れが入り、片足と子供たちは逃げ出します。
 ケンは幼いヨシ坊を連れて、叔父貴の元から逃げ出しますが、ヨシ坊はおんぶしてくれとケンにせがみます。そこへ合流した3人は、いつも大口叩いていた叔父貴が、いざとなると情けなかったと語ります。ケンは3人に、四国に行くつもりだと話します。そこへトラックがやって来ると、荷台には片足と残りの子供たちが乗っていて、ケンらもトラックに乗せてもらいます。材木の積み込みを手伝うということで、トラックに乗せてもらっていると言う片足。やがて歩いている復員兵をトラックは追い越し、彼も荷台に乗せてもらいます。子供たちと復員兵が話していると、片足はうるさがりますが、復員兵が煙草を差し出すと、とたんに低姿勢になり、神戸に行きましょう、神戸にいけば、こんなジャリ相手にしなくっても左団扇なんだと言います。
 トラックが材木置き場に着くと、子供たちは皆逃げ出します。それを追うふりをして、自分も逃げ出す片足。復員兵は運転手を手伝って、材木の積み込みの仕事をし、やがてケンともう1人の子供も手伝い始めます。仕事が終わり、手間賃がさつま芋と聞いて、分が悪いと言っていたケンたちでしたが、食べてみると芋がうまいことが分かり、復員兵から「働いたからうまいんだ」と言われます。片足と逃げずに残っていた2人にも復員兵はさつま芋をあげようとしますが、ケンは「あいつらは働いていないから、芋をあげてもうまくない」と反対します。働かなかった2人は「芋なんかいらないよ」と、近所でもいできた柿を食べますが、渋柿だったらしく、ぺっぺっと吐き出します。「ざまあみろ」とケン。
 海辺を走る汽車。汽車を追って走る子供たち。ヨシ坊は海へ走っていき、膝まで浸かると「母さーん」と叫びます。「ヨシ坊の奴、大きな船を見ると、海で死んだ母さんを思い出すんだ」と言うケン。ヨシ坊は引き揚げ船が沈没し、それで母を失っていました。彼らが先へ進むと、海辺の木舟の中で寝ていた片足と子供たちに追いつきます。芋の残りを彼らにやるケン。ケンは一緒に働こうと彼らを誘い、彼らは片足を置いて出発します。彼らを追う片足でしたが、踏切で足止めを食い、取り逃してしまいます。
 馬に引かせた荷物を「よいしょ、よいしょ」と掛声をかけて坂上に運ぶ復員兵と子供たち。平地になり、荷物に乗って馬に運ばれる復員兵と子供たち。そこへユリ子が通りかかり、ユリ子が島に行くと言うのを聞いて、彼らは港まで一緒にユリ子と行くことにします。
 港に着き、荷物を降ろす子供たち。復員兵は荷主から金をもらい、仕事も紹介されます。ユリ子はヨシ坊を連れてポンポン船に乗って、島へ向かいます。復員兵は、いつまでも自分に付いてきてもしょうがないから、ここで別れようと子供たちに言いますが、子供たちは働きたいので一緒に連れてってくれと頼み、復員兵は承諾します。(明日へ続きます‥‥)

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/