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誉田哲也『ダークサイド・エンジェル 紅鈴』

2009-03-31 16:47:00 | ノンジャンル
 先程、大分から帰ってきました。竹田の岡城址からの眺めは絶景でした。旅の話はそのうち機会がありましたら、させていただきます。

 さて、誉田哲也さんの'03年作品「ダークサイド・エンジェル 紅鈴 妖(あやかし)の華」を読みました。
 400年以上前、日本の吸血鬼である闇神(やがみ)に誘拐された紅鈴は、闇神の村の掟に背いて闇神にされてしまい、300年前には自分も、若い男性だった欣治を闇神にして共に生きてきましたが、友人に頼まれて暴力団の組長を欣治とともに殺した後、その殺しを依頼していた藤田らに口封じのため殺されそうになります。そこへ村の掟に背いた紅鈴を殺しにきた村の者がやってきて、欣治は殺されてしまい、紅鈴は村人と藤田を殺しますが、藤田は紅鈴の知らない間に村人の血を飲み、闇神となり、自分の部下たちや娘たちを次々に闇神にしていきます。やがて藤田たちの体に異変が起き始め、それの解決方法を知るために、紅鈴をおびき出そうと連続殺人を犯し、最後には紅鈴の恋人のヨシキを誘拐しますが、死闘の末、結局紅鈴に殺されてしまいます。ヨシキが瀕死の重傷を負ったため、紅鈴はヨシキの命を救う最後の手段として、自分の血をヨシキに飲ませてヨシキを闇神にし、自分は死んでいきます。土に返った紅鈴とともに、ヨシキは車を飛ばして検問所に突っ込み、爆死するのでした。
 後の「ソウルケイジ」で活躍する井岡刑事がコメディリリーフを受け持っているという点以外は、殺戮に次ぐ殺戮で、かなり陰惨な小説でした。かなりくさい文章もあり、読んでいて恥ずかしくなるようなところもありましたが、何とか最後まで読むことができました。えげつない描写も多いので、そうしたものに耐えられる方にはオススメです。

アン・リー監督『ラスト、コーション』

2009-03-27 18:12:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、アン・リー製作・監督の'07年作品「ラスト、コーション」を見ました。
 「1942年 日本占領下の上海」「汪精衛の南京政府高官たちが住む地域」の字幕。日本軍の傀儡政権である南京政府で抗日運動を取り締まるイーの夫人たちとマージャンをするチアチー(タン・ウェイ)は、イーの家を出た後、喫茶店から暗号の電話をし、その電話を受けたチアチーの仲間たちは武器を取って部屋を飛び出します。「4年前」の字幕。日本軍に大陸を追われ、香港の大学に通っていたチアチーは、男子学生のクァンに誘われて抗日の劇団に入り、舞台を大成功させます。クァンは今度は現実の中で抗日を行なおうと言い、イー(トニー・レオン)の暗殺を企て、チアチーは貿易商人の妻を装いイーに近づきますが、昇進したイーは突然上海に引越してしまいます。その直後にクァンたちを訪れた男は、彼らの企みを黙っている代わりに、大金とチアチーの体を要求し、クァンたちによってたかって殺され、それに嫌気がさしたチアチーはクァンらの元を去ります。「3年後」の字幕。上海で大学に通うチアチーを偶然街で見かけたクァンが訪れ、現在国民党の下で働いていると語り、チアチーに再び協力を請います。チアチーはまた貿易商人の妻としてイーに近づき、愛人になることに成功しますが、ある日封筒を男に届けるように言われます。それを聞いたクァンらは陰謀ではないかと疑いますが、それはチアチーに宝石店で気に入った宝石を選ばせるためのものでした。そして冒頭の場面が繰り返されます。喫茶店を出てイーと合流したチアチーは、出来上がった宝石を取りにイーと共に宝石店に行きますが、最後になってイーに「逃げて」と言ってしまい、暗殺は失敗します。チアチーたちは逮捕され、イーは苦渋の選択の末、彼らの処刑を命じます。チアチーはクァンらから責める視線を浴びながら、処刑の場に向かうのでした。
 陰惨な映画でしたが、タン・ウェイとトニー・レオンの魅力で最後まで見ることができました。沈んだ色調の画面、当時の街頭の景色を再現した見事なCGは見ごたえがありました。2時間を超える時間に耐えられる方にはオススメです。

 ところで突然ですが、明日から来週の火曜日まで、叔母の一周忌の法要に出席するために大分県の別府市に、また母の故郷を訪ねるために同じく大分県の竹田市に行ってきます。したがって、こちらは来週の火曜日までお休みさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。

佐藤健寿『X51.ORG THE ODYSSEY』

2009-03-26 16:58:00 | ノンジャンル
 高野秀行さんの推薦する、佐藤健寿の'07年作品「X51.ORG THE ODYSSEY」を読みました。UFO、イエティ(雪男)、謎の地下都市などについて、噂の現場を取材し、また事の真偽について書かれた本です。
 取材したのは、UFOの研究基地であると言われている、アメリカのAREA51、UFOの墜落現場と言われているアメリカのロズウェル空軍基地周辺、ナチスの残党がUFOを製作していると言われている、アルゼンチンのエスタンジアと呼ばれる村、イエティ(雪男)を発見またはその目撃証言を得るために行ったヒマラヤ、謎の地下王国があるというチベットです。その中で怪しいと思われたのは、やたらに警備が厳重なAREA51ぐらいで、他は特に有力な情報は得られず謎のままでした。エスタンジアに至っては単なる農村で、完全なガセネタでした。
 この本は紙も厚く、全ページカラー印刷で、写真も豊富なのですが、その写真はメキシコのミイラ博物館やメキシコのマヤ遺跡、ペルーのマチュピチュやナスカ、ボリビアのチチカカ湖やウユニ塩湖、チリのイースター島、タイのシリラート法医学博物館、チベットの各種風景など、本筋と外れたものが多く、半分観光ガイドのようでした。また、著者はサイト運営者であってプロのライターでないため、文法的におかしい文が多く、校正ミスも目立ち、書店に並ぶ本としてはかなりレベルの低いものと言わざるを得ませんでした。
 写真は確かにきれいなので、手にする価値はあるかもしれません。外国の美しい風景やミイラ、死体に興味のある方にはオススメです。

打海文三『覇者と覇者』

2009-03-25 15:47:00 | ノンジャンル
 昨日のWBC決勝戦。私はたまたま仕事でデイサービスの現場で見させてもらったのですが、認知症がかなり進んでいる女性が熱心にテレビに見入っているのが印象的でした。また、日本の優勝が決まった時、街頭テレビの前で見ていた女性が泣きながら「やっぱりイチローなんですね」と言っていたのも、妙に説得力がありました。

 さて、打海文三さんの作品で'08年に出された「覇者と覇者 歓喜、慚愧、紙吹雪」を読みました。
 内戦が起こっている近未来の日本。戦争孤児からなる軍隊を率いる海人は、相次ぐ戦争で大量の難民が発生する中で、いかに治安をよくし、難民を定着させるかに力を注ぎます。やがて和平のプロセスが見えてきて、海人が属する常陸軍、対立する奥州軍や国際旅団などが、唯一内乱に関与しなかった北海道軍の指導で和平のテーブルにつこうとしますが‥‥‥。
 この本も最初の数ページを読んだだけで、最後まで読むのを諦めてしまいました。上のあらすじも、巻末に掲載されている池上冬樹さんの解説から引用させていただいたものです。この作品と3部作をなす「裸者と裸者」「愚者と愚者」と同じく、戦争に次ぐ戦争、リアリティのない人物像、稚拙な会話といったものについていけませんでした。多くの事実を混乱させることなく書き上げていく手腕はすごいと思いますが、書いている内容についていけない私とは相性が悪かったと言わざるをえません。
 本作は打海さんの遺作で、未完となっています。そういった点で興味を惹かれる方にはオススメです。

打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』

2009-03-24 18:01:00 | ノンジャンル
 打海文三さんの作品で'08年に出版された「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」を読みました。
 幼馴染みで現在では編集者の田中聡とフリーライターのさとうゆうは、永年田中がファンであった作家・小川満里花と親しくなりますが、満里花の飼い犬が原因でSARSが流行し始め、暴動が起き、結局満里花はゆうを襲った飼い犬を射殺し、ゆうも犬に負わされたケガで死んでしまうのでした。
 この作品も読み始めてすぐに最後まで読むのを諦め、飛ばし読みしてしまいました。会話はやはり稚拙で、ストーリーには心惹かれるところがなく、ラストも重要な登場人物であるゆうが死んでいるのに、満里花と聡は楽しく毎日を過ごす様子が書かれていて、それまでのゆうの存在は何だったのかと、憤りを覚えるほどでした。登場人物が必要以上にセックスにこだわるところも、「愚者と愚者」と同じで違和感を覚えました。これは打海さんが亡くなった翌年に出版されているのですが、打海さんは最後までご自分が何のために小説を書いていたのか分からなかったでは、と思ってしまいました。
 死体の描写などかなりえげつないところもあるので、そうしたものがお好きな方にはオススメです。