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中田秀夫監督『仄暗い水の底から』その1

2014-11-30 16:00:00 | ノンジャンル
 中田秀夫監督の’01年作品『仄暗い水の底から』をWOWOWシネマで見ました。
 土砂降りの雨が降る幼稚園の帰宅時間。迎えが来ず、1人残される淑美(よしみ)は、体育座りをし、幼稚園の先生の問いかけにも無言です。
 成長した淑美(黒木瞳)は離婚の調停中で、財産分与については合意していますが、夫は親権については譲らないの一点張りです。調停員に精神科に通院歴があることを尋ねられた淑美は、仕事で小説の校閲をしていた時、小説の内容があまりにひどかったので結婚前に短期間通院したことがあるだけだと言います。6歳以下の親権は母に有利だと慰めてくれる淑美の弁護士。淑美は廊下で夫に会うと、精神科のことまで持ち出したことに腹を立てます。
 土砂降りの雨の中、娘の郁子と住む家を探す淑美は湿気がひどいものの、幼稚園に歩いていける古いマンションに決めますが、エレベーターの床が濡れています。エレベーターの中で郁子に手を握られたと思っていた淑美は、そこにいないはずの子に手を握られていたことに気づきます。監視カメラに映る子供の影。天井のしみに気づく不動産屋。やがて郁子が消え、エレベーターの監視カメラにその姿を見つけた淑美は屋上に行きます。雨はすでに上がり、郁子はスキップしていましたが、落ちていた赤いカバンを拾って肩にかけていました。それをはぎとる淑美。
 淑美と郁子はそのマンションに引っ越し、赤いカバンは管理人室の落し物コーナーに置かれます。淑美は天井のしみにようやく気づきます。
 床にも水が広がり、天井のしみは広がっていきます。頭痛がして薬を飲んだ淑美は、コップの中に髪の毛が入っているのに気づきます。天井から垂れる水のことをいくら言っても、相手にしてくれない管理人。ある日、ゴミを捨てるためにゴミ集積所のポリバケツを開けると、例の赤いカバンが捨ててあります。 
 天井のしみは益々広がり、淑美は上の部屋を訪ねますが、留守で、エレベーターで降りようとすると、一瞬その部屋の前に少女の姿が見えます。再び部屋を訪ねる淑美。淑美は校閲の仕事を得ますが、会社を出るのが遅くなり、郁子を迎えに行くのが遅れます。幼稚園に1人残された郁子が雨の向こうに見る黄色いレインコートを着た少女。急いで幼稚園に向かった淑美は、電信柱に「この子を探しています。河合美津子」という貼り紙を見ます。夫が連れ帰っていた郁子を奪い取ると、郁子は「ママさえいれば平気」と言い、淑美も「ママも郁ちゃんさえいれば何があっても平気」と言います。すると郁子の姿が消え、屋上に登った淑美は子供の影を見、赤いカバンがまた落ちているのを発見します。ポリバケツに赤いカバンを捨てる淑美。
 幼稚園でかくれんぼをしていた郁子は、水の滴る美津子に見つかり、急に吐いて倒れます。駆けつける淑美。幼稚園は離婚の影響で最近独り言が多かったと責任逃れをします。「みつこちゃん、はやくかえってきてね」と書く郁子の絵画を見る淑美。美津子もここの園児だったと言う園長。
 調停員は幼稚園への迎えも毎日遅れ、郁子の肩も脱臼させたと言って、淑美を責めます。赤いカバンを置いたのはあなただろうと夫に食ってかかる淑美。弁護士は調停中には取り乱したりせず、しっかりしてくださいと言います。
 自宅で寝ていると淑美の顔に天井から水滴が落ち、淑美は、赤いカバンの子が一人で黄色いレインコート姿で土砂降りの雨の中を歩き、マンションのエレベーターに乗る夢を見ます。目覚めると郁子が消えていて、ベッドはびしょ濡れで、エレベーターで最上階に行くと、子供の声がし、夜の屋上では水槽に子供の影が見え、また赤いカバンが見つかります。部屋に戻ると、上の部屋を子供のバタバタと走る音がし、上の部屋に行くと、天井からザーザーと水が降り、水道も全開で、郁子を発見しますが、別の人影も見えます。部屋を出ると、表札には「河合美津子」の文字がありました。(明日へ続きます……)

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西加奈子の文(『本棚2』に収録)

2014-11-29 15:38:00 | ノンジャンル
 三池祟史監督の’02年作品『DEAD OR ALIVE FINAL』をスカパーの東映チャンネルで見ました。西暦2346年の横浜。住民がほとんど中国人になっている中、真実の愛は同性愛だと信じる市長は、人口抑制のため薬の服用を住民に強制し、妊娠を禁止します。それに抵抗するグループは市長のだまし討ちに会い皆殺しにされ、少年と若い女性、そして戦闘用レプリカントのリョウ(哀川翔)だけが生き残ります。例外的に家庭を持たせてもらうことで、市長の下で働いていた男(竹内力)も、自分がレプリカントであることを知らされ、家族を捨て、リョウと戦いますが、リョウもその男ももともと一体型のレプリカントとして開発されたロボットなのでした。一体化した2人が市長に復讐に向かうところで、映画は終わります。イメージショットが多く、黄色を基調とした画面が特徴的でした。

 さて、’08年9月に刊行された『本棚2』に収録されている、「西加奈子」の部分を読みました。
 内容を要約すると、「子供の頃はカイロにいて、仲良しの友達が『シートン動物記』を読むって言うから、私はファーブル、みたいにのっかって、『ファーブル昆虫記』を読みまし たが、でもすっごい面白かった。昆虫記というよりも、ファーブル自体が面白くて、二週間蟻塚を見続けたとか、フンコロガシの跡をつけるとか、このおっさんなんやろ、っていう興味を持ったのを覚えています。
 高校生になって自分で最初に買った本がトニ・モリソンの『青い眼がほしい』。すごい衝撃を受けました。美醜感覚の話で、すごい残酷なんだけど、すごく言葉が美しいんです。それからトニ・モリソンを一気に読み始めました。そこからモリソンと同じ棚にある英米文学のオースターやアーヴィング、ミルハウザーを読むようになりました。
 プロレスの本は小学校のとき、いとこがプロレス好きで、高校のときまでは隠していたんですけど、大学になってカミングアウトしたらけっこう周りの友達も好きな人多くて。一応プロレスの棚はこれ以上増やさないという戒めがあります。
 読むものは、全然文学少女ではなかったので、逆に先入観なく『いいよ』って勧められたらなんでも読むので、あまり偏ってないですね。ミラン・クンデラも友達に勧められたときに何が面白いか教えてって聞いたら『自分のこと書かれている気がする』って。読んだらすごくて、身につまされるってこういうことやなって。
 新しい漫画も買いたいけど、本みたいに一冊で終わらないでしょ。本棚のスペースが限られてくるから、ほんまに面白いやつか、あと漫画の場合は新しいのよりは自分が読んで大好きなものを全巻揃えたいっていう感じですね。リアルタイムで買ってるのは『団地ともお』『闇金ウシジマくん』『へうげもの』と東陽片岡くらいかな。あと、最近『キン肉マン』をまた全巻揃えました。大人買いは嬉しいです。
 今のところは本棚自体は増やさないつもり。本が増えたらもっと頑張って広いところに引っ越すかな。本は捨てたくないし、読む本がいっぱいあるのに、どんどん買っちゃうのが罰当たりな気がして。
 大事な本は『壇流クッキング』。去年一番読んだ本です。これが、ずっと初版が欲しくて、文庫はちょっとオシャレになってるでしょ。ミルハウザーも、白水社で新しい表紙になってるんですよ。これは昔ので、こっちのほうがよくて、古本屋で買いました。手触りがいいんです。レコードと一緒でジャケ買いも多いし。あと、古森和子の『流れるままに、愛』。これは友達に勧められてもらったんですけど、こんな人やったんやって、素晴らしいですよ。妖精です。美しすぎて、憧れの女性です。
 本そのものの佇まいが好きですね。本棚に並んでる感じとか手触りとか、だから絶対なくならないと思うんですよ。携帯とか電子なんたらで小説読むのとかありますけど、ページをめくることで残ると思うんです。それは大切なことですね。」
 本への愛にあふれた文章でした。

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若松孝二監督『千年の愉楽』

2014-11-28 16:27:00 | ノンジャンル
 若松孝二監督・共同企画・共同プロデューサーの’12年作品『千年の愉楽』をWOWOWシネマで見ました。
 “『花の窟(いわや)-----イザナミノミコトの御陵。イザナミは、火の神・カグツチを産んだ時、ホト(女陰)を焼かれて死んだと謂う----』”の字幕。貧しさが原因で、2歳で自分の子供を病で死なせたお竜(寺島しのぶ)は、それ以来村の路地に産まれる子の産婆を全てしてきました。初めて取り上げた子は中本半蔵で、若者となった半蔵は大阪に働きに出た後、妊娠した嫁を連れて戻ってきました。半蔵は路地の生まれで漁民にはなれないため、山で芝刈りの日雇い仕事に出ることになりましたが、村の若い女を連れ回して女遊びに狂い、胸にできた吸い跡(キスマーク)をお竜に見せたりもしました。嫁に浮気を責められても相手にしなかった半蔵は堤防の先に立ってぼんやりしていると、3年前に亭主を亡くし、それ以来男と寝ていないという女に誘われます。その女は、半蔵を夢中にさせ、やがて嫁に子供が産まれても、半蔵はその子を抱こうとせず、逃げ出してしまいます。未亡人は半蔵に服を新調してやり、村びとは亭主が死んだのも後家の色好みのせいだと噂します。やがて未亡人の家にいて「ホーホケキョ」と鳴くインコを半蔵は珍しがり、お前のこともうまく鳴かせてやろうかと後家を馬鹿にし、後家の怒りを買います。
 「あんな路地」と言った後家に腹を立てた半蔵は、もう二度とあの女のところには行かんと言い、お竜にインコを持っていってやります。半蔵は女を断って3日連続で山に入りますが、神木であるサカキを切ってしまい、祟りを怖れた仲間たちは清めの酒をサカキにかけますが、仲間の1人はケガをしてしまいます。後家の家に行き、治療代をせびる半蔵は、インコを仕込んだという男と鉢合わせとなり、女も仕込んでやろうという話になって、2人で後家を犯します。その帰り、鏡に映った自分の姿に絶望した半蔵は、路傍の石で顔に傷をつけます。お竜の許を訪ね、女に切られたと半蔵が言うと、お竜は男ぶりが上がると言い、半蔵はお竜に自分の松茸をいつでも焼かせてやると言います。
 やがて半蔵は質屋の女房と浮気をし、夫に刺されて死ぬと、お竜は中本の男のこれが最後の姿だと言います。
 やはりお竜がお産で取り上げた、半蔵の悪友達のミヨシはお竜を訪ね、パイナップルを持ってきてくれます。香具師の仕事をするミヨシはヤクも売り、妻には去られていました。ミヨシは桑原という男からいい話があると言われ、プロの女に本格的な筆下ろしをしてもらいます。桑原は直次郎と組み、盗みというでっかい仕事をしようとミヨシにもちかけ、ミヨシはそういう仕事の話を待っていたと言います。金庫を盗みだし、明け方まで隠れ家で金庫を持って待っていたミヨシは、次の仕事も待っていると言います。しかし飲み屋で客(山本太郎)から、立て続けに盗みがあり、昨晩は主人が殺されたと聞いたミヨシは、1人残され、ヤクを打ち、孤独を癒します。お竜を訪ね、ヤクを止めてこれを彫ったと背中の刺青を見せたミヨシは、お竜を感心させます。中本の血なぞへのかっぱだと言うミヨシ。やっと直次郎に会えたミヨシでしたが、冷たくあしらわれます。
 西本の娘の命日であり、お竜の子の命日でもある日、お竜の夫である僧(佐野史郎)は朝から念仏を唱えますが、ミヨシに邪魔されます。盗みもできないし、ヒロポンも売れないのでは、飯場に行くしかないとミヨシは言い、お竜は自分はずっとここにいるからいつでも帰って来いと言います。その夜ミヨシは女を連れてお竜の家を訪れ、女の夫を殺してしまったと言い、お竜に体を洗ってもらいます。翌日、目がかすむミヨシ。彼はダムの建設現場で働くと言い、燃え上がるように生きたかったと言うと、それは分かっていたとお竜も言います。
 ミヨシのいとこのタツオは、現場でミヨシに会いますが、ミヨシは既に盲目になっていて、ハンマーで左足をつぶしてしまったのを、タツオは村に連れて帰りますが、ミヨシは堤防で 首を吊ってしまいます。タツオはお竜の頼みを何でも聞いてくれ、お竜を抱いてくれます。しかしそのタツオも北海道の炭鉱に旅立ち、そこで殺されたという噂をお竜は聞くのでした。

 薄暗い画面が淡々と続く映画でした。

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ポール・オースター『闇の中の男』

2014-11-27 17:24:00 | ノンジャンル
 ポール・オースターの’08年作品『闇の中の男』を読みました。
 私は私の一人っ子で今年47歳のミリアムと、ミリアムの一人っ子で23歳のカーチャと暮らしている。私は夜の闇の中で、想像上のオーエン・ブリックという男を深い穴の中に入れた。男は伍長の位の軍服を着ているが、なぜこのような服装で、ここにいるのか、理解できていない。穴の外では大砲の発射音やマシンガンの音、爆発する手榴弾の音、絶叫する人の声が聞こえるが、やがて静寂が訪れる。穴の上からトーバック軍曹と名乗る男の声がし、もう行く時間だぞ、すぐに出してやるよ、と言い、ロープが一本降りてくる。穴から出ると、トーバック軍曹はアメリカで内戦が起きて、すでに4年が経ち、新兵が来る通常の手段として、ブリックがここに送られてきたことを知らせる。そしてこの内戦という物語を考えた男を殺し、この戦争を終わらせるための暗殺者として、送られてきたことを。トーバック軍曹は必要品と仲介者の名前と住所を書いた紙切れをブリックに渡す。ウェリントンに着いたら、ルー・フリスクに会え、と軍曹は言い、ジープで立ち去り、ブリックは街へ向かって歩き出す。
 この2か月あまり、カーチャと私は毎日、一日中、一緒に映画を観ている。私は現役時代、書評を書いて暮らしていた。ミリアムは授業をこなしながら、ローズ・ホーソーンの伝記をほぼ終わりまで書き終えている。
 私はソーニャのことを考えまいとして、その唯一の解決策として、物語から離れまいとする。ブリックは10キロくらい道路を行ったあたりで、人が暮らしていら気配を感じてくるが、焼けた家々、崩壊した食品市場、犬の死骸もひとつあり、爆発した自動車が数台、頭のおかしくなった年寄りの女が一人、目の前に出現する。ウェリントンの街に入っていくころにはもう正午を過ぎている。なぜか乗用車やトラック、バスが1台も走っていない。空腹を満たすため、小さな食堂をやっと見つけて入るが、食材は不足し、値段も異常に高い。ブリックはウェートレスのモリー・ウォルドに、この世界のことを色々尋ねる。1ドル札もコインも半年前に使われなくなり、ニューヨーク州が国から独立を宣言して戦争が始まり、年は今と同じ2007年、同時多発テロは起こらず、イラクで戦争はしていないとのこと。ブリックはモリーが紹介してくれたホテルに入る。部屋にはテーブルとベッドしかなく、テレビには何も映らない。そこへ黒いジーンズと革ジャンの女性が現れ、ヴァージニア・ブレーンと名乗る。高校のとき皆の憧れの的だった女性だ。彼女はブリックが任務の遂行をする監視をしていると言う。彼女は1時間だけ眠らせてあげると言い、彼女が去ると、ブリックは、モリー・ウォルドに助けを請うために、裏手の非常階段からホテルを脱け出し、モリーに会うと、彼女は自分のアパートに1泊200ドルで、1晩か2晩泊めてあげてもいいかしらね、と言った。
 突然、膀胱を空にしたいという切実な欲求、押し退けていたソーニャへの思いがまた押し寄せている。ああソーニャ、なぜ君は死んでしまったのか? なぜ私が先に逝けなかったのか? 私はミリアムがローズ・ホーソーンについて新しく書き上げた原稿を読む。ローズは書いた、「けったいな世界が転がっていく」と。
 私は私の頭の中でのもうひとつの戦争、自国での架空の戦争がくり広げられ、突如オーエン・ブリックの姿が見える。兵士が路上に立つ中、ブリックはモリーに歩きながら尋ねると、第二次世界大戦とベトナム戦争は知っていたが、ニューヨーク・ヤンキースはラジオシティ・ミュージックホールで踊る女の子たちだと言い、独立州は大統領でなく首相が政治を仕切り、連邦側の大統領はジョージ・W・ブッシュだと言った……。

 この小説も複文的な構造となっていて、物語を語る人物が自分を暗殺させる人物を創造し、その人物が死んでしまうと、その後は主人公が孫娘と延々と話を続けるという、非常に変わった構成の小説で、書かれつつある小説という趣がここでも顕著でした。なお上記以降のあらすじについては、私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)の「Favorite Novels」の「ポール・オースター」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

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ティム・バートン共同監督『ティム・バートンのコープス・ブライド』

2014-11-26 18:19:00 | ノンジャンル
 ティム・バートン共同監督、オリジナル・キャラクター共同製作、共同製作の’05年作品『ティム・バートンのコープス・ブライド』をWOWOWシネマで見ました。
 魚店を営む成金のバン・ドート家は、長男のビクターを、没落貴族のエバーグロット郷の娘ビクトリアと結婚させることにより、名声を手に入れたいと思っています。エバーグロット家を訪れたバン・ドート家の夫婦はエバーグロット郷の夫婦と2階で話し込み、その間、ビクターが1階にあるピアノを弾くと、その音につられてビクトリアが1階に降りて来て、2人は心を交わしますが、2人きりであることをそれぞれの両親に見つかり、責められます。
 その3時間後、教会でビクターは結婚式の台詞や仕草を教わりますが、なかなか覚えることができず、神父から結婚式の延期を告げられます。そこにバーキス・ビータン郷という男が現れ、式の日を間違えて早く着いてしまったと言います。
 ビクターは夜の森に行き、結婚式の台詞と仕草の練習をし、完璧にこなした後、枯れ枝に指輪を通すと、地中から死んだ花嫁(“コープス・ブライド”)が姿を現し、多くのドクロたちも地中から現れます。ビクターは逃げ出しますが、“コープス・ブライド”であるエミリーは常に先回りし、ビクターを逃がしてくれません。その頃、バーキス郷は、ビクターが夜の橋の上で謎の美女と抱擁していて、その後2人は夜の闇に消えたことを、バン・ドート家の人たちに告げます。夜明けまでに息子を探すとしゃかりきになるバン・ドート。
 ビクターの隣に座ったエミリーは贈り物として箱をビクターに渡します。ビクターが箱を振るとバラバラと音がし、箱を開けてみると、犬の骨がバラバラに出てきて、その後、それはまとまって一匹のドクロの犬となり、ペットのスクラップスとなります。
 ビクターはエミリーのことを地上の人たちに説明するために、エミリーに連れられて地下の世界の長老グートネクトに会いに行き、生者の世界へ戻してほしいと頼み、特別に認められます。エミリーとともにビクトリアの前に現れたビクターは、こうなった経緯を話してビクトリアの誤解を解き、励ましますが、ビクトリアの心の痛みは取れません。
 エバーグロット郷はバーキス郷が独身であることを知り、ビクトリアをバーキス郷と結婚させることとし、ビクトリアを部屋に監禁します。窓から部屋を脱出したビクトリアは、助けを求めるために牧師を訪ねますが、牧師はビクトリアをエバーグロット家に連れ戻してしまいます。再び監禁されるビクトリア。ビクトリアとバーキス郷の結婚式を予定通り行うと言うエバーグロット郷。
 エバーグロット郷の馬丁であるメイヒューは、馬車を走らせている時に心臓マヒを起こして、死んでしまい、死者の世界に新人として現れ、ビクトリアがバーキス郷と結婚させられそうになっていることを死者たちに教えます。ビクトリアとバーキス郷の結婚式が行われようとすると、一団のドクロの集団が現れます。大人たちの警告を聞かず、その集団に寄っていった1人の子供は、その集団の1人が自分の死んだ祖父であることを知り、抱き上げられます。エバーグロット家の人々は自分の祖先の死者との再会を喜び、結婚式は中断します。バーキス郷はビクトリアを連れ出して持参金を手に入れようとしますが、ビクトリアはそんなものはないと言います。
 一方、エミリーとの結婚式を進めていたビクターでしたが、最後の誓いでエミリーは躊躇し、ビクターをビクトリアに譲ろうとします。そこへバーキス郷が現れ、ビクトリアを奪おうとして、ビクターとの間で決闘となりますが、エミリーが自らの体でビクターを守り、バーキス郷は毒ワインをあおって死にます。指輪をビクトリアに譲ったエミリーは無数の蝶となって、夜の空に消えていくのでした。

 ミュージカル仕立てのところもあり、ティム・バートン独特のカリカチュアライズされた造形を見ることができたストップモーションアニメでした。

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