昨日の続きです。
8月20日 学校内裁判・最終日。昨日の午後になって、検事側から新たな証人申請があったと述べる判事。1人目は塾の先生だった滝沢。卓也はやや抽象的な物事を深く考え過ぎるところがあり、それが気がかりだったと述べる滝沢。卓也は和彦の家庭の事情を滝沢と和彦の親との面談を漏れ聞いて知ったのだと言う。2人目の証人は小林電器店の店主。彼は当日店の前の電話ボックスで電話していたのは和彦だったと断言する。そして3人目の証人として和彦が証言台に立った。和彦は小林の証言を追認し、他の電話も全て自分が卓也へかけたものだと証言した。小林電気店以外の4地点は、これまで和彦の人生に関わる地点だった。電話をかける時間もあらかじめ決めていた。卓也は滝沢先生がいなくなってから世の中は理不尽だと怒りを覚えていたと言う。そして卓也は和彦に不幸な身の上なのによく平気でいられるなと言っていた。2年の夏ぐらいから部活が忙しくなり話す機会も減ったが、卓也との付き合いを断ってしまうのは怖かった。目を離したら、とんでもないことをやらかすんじゃないかと思って。生きていても意味が感じられないから死んでもいいいや、ということはよく口にしていた。不登校になった時は、学校に見切りをつけたと言っていた。そしてそれ以降、ますます元気がなくなったようだったし、頻繁に、もう何もかも面倒になった、嫌になったと言うようになっていた。結局、自分には卓也が抱えている問題をどうすることもできないと正直に言うと、卓也は怒ったようだった。そして12月の半ば、電話で呼び出され、ノートに書いた遺書を渡されたが、それはその場で返した。自分は卓也に死んでほしくないと言ったが、信じられないと答えられた。彼は和彦の身に起こった理不尽なことに、和彦がちゃんと目を向けていないと言い、12月24日のゲームをすることになった。しかしゲームを実行してみたら、自分自身が予測していたほどには辛くなく、むしろ楽しいことを思い出し、養父母への感謝も感じて、和彦は前向きになっていた。それを感じた卓也は裏切られた気になったのだと思う。そして今日のうちに会いたいと言ってきた。午後十一時半に、この学校の屋上に来るようにと。そしてそこで会った卓也は、和彦が人殺しの子だからまともになんかなりっこないと見下している感じだった。和彦は自分はもう付き合いきれない、と言い、うちに帰ろうとした。卓也はフェンスを越えて、和彦が帰るなら、今すぐ飛び降りると言った。和彦は「好きにしろ」と言い、振り返らずに帰った。そして翌日のニュースを見て、自分のせいだと思った。和彦は誰にも打ち明けられず、結局勢いでこの裁判の弁護人を引き受けることになった。和彦には「死んでしまうなら、それでもいいや」という意味で殺意があった。そこまで和彦が言い、結審を迎えようとした時、傍聴席から樹理が立ち上がった。自分にもう一度証言させてと言い、また新たな嘘をついて自己弁護を図るとともに、樹理を理解してくれた和彦を免罪しようとしているのだった。「神原君は、この事件には何の関係もありません」と樹理は言った。最後に判事が「被告人がこの法廷に賭けたものをどうか受け止めてやってください」と言うと、拍手が沸き起こった。陪審員は卓也が残した遺書であるノートをまだ見ていないことに気付き、見せてもらった。それは〈標的を失った殺し屋〉を主人公にした小説じみた文章だった。すると陪審員の蒲田教子はある提案をした。陪審員たちは健一にその評決を見てもらい、承諾を得た。そしていよいよ評決の発表。「被告人は無罪」と発表された。「それでも、この事件が殺人事件であるという認識では、九人とも一致しました」とも続け、「その犯人は柏木卓也君です」と告げるのだった。「柏木卓也君は、未必の故意の殺意を以って柏木卓也君を殺害したと、俺たちは判断しました」と陪審員長が述べた。法廷が終り、皆が体育館から出ていく。もう、夏も終りだと涼子は思った。
2010年、春。野田健一は教師として城東第三中学校に戻ってきた。上野校長は伝説となった学校内裁判について健一に尋ね、健一は「あの裁判が終ってから、僕らは友達になりました」と答えるのだった。
1巻700ページ超、3巻合わせて2100ページ超という大作で、人物関係も複雑、内容も重複している部分が多く、もっと絞れると思いました。話事態は割に面白かったので、悔やまれます。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
8月20日 学校内裁判・最終日。昨日の午後になって、検事側から新たな証人申請があったと述べる判事。1人目は塾の先生だった滝沢。卓也はやや抽象的な物事を深く考え過ぎるところがあり、それが気がかりだったと述べる滝沢。卓也は和彦の家庭の事情を滝沢と和彦の親との面談を漏れ聞いて知ったのだと言う。2人目の証人は小林電器店の店主。彼は当日店の前の電話ボックスで電話していたのは和彦だったと断言する。そして3人目の証人として和彦が証言台に立った。和彦は小林の証言を追認し、他の電話も全て自分が卓也へかけたものだと証言した。小林電気店以外の4地点は、これまで和彦の人生に関わる地点だった。電話をかける時間もあらかじめ決めていた。卓也は滝沢先生がいなくなってから世の中は理不尽だと怒りを覚えていたと言う。そして卓也は和彦に不幸な身の上なのによく平気でいられるなと言っていた。2年の夏ぐらいから部活が忙しくなり話す機会も減ったが、卓也との付き合いを断ってしまうのは怖かった。目を離したら、とんでもないことをやらかすんじゃないかと思って。生きていても意味が感じられないから死んでもいいいや、ということはよく口にしていた。不登校になった時は、学校に見切りをつけたと言っていた。そしてそれ以降、ますます元気がなくなったようだったし、頻繁に、もう何もかも面倒になった、嫌になったと言うようになっていた。結局、自分には卓也が抱えている問題をどうすることもできないと正直に言うと、卓也は怒ったようだった。そして12月の半ば、電話で呼び出され、ノートに書いた遺書を渡されたが、それはその場で返した。自分は卓也に死んでほしくないと言ったが、信じられないと答えられた。彼は和彦の身に起こった理不尽なことに、和彦がちゃんと目を向けていないと言い、12月24日のゲームをすることになった。しかしゲームを実行してみたら、自分自身が予測していたほどには辛くなく、むしろ楽しいことを思い出し、養父母への感謝も感じて、和彦は前向きになっていた。それを感じた卓也は裏切られた気になったのだと思う。そして今日のうちに会いたいと言ってきた。午後十一時半に、この学校の屋上に来るようにと。そしてそこで会った卓也は、和彦が人殺しの子だからまともになんかなりっこないと見下している感じだった。和彦は自分はもう付き合いきれない、と言い、うちに帰ろうとした。卓也はフェンスを越えて、和彦が帰るなら、今すぐ飛び降りると言った。和彦は「好きにしろ」と言い、振り返らずに帰った。そして翌日のニュースを見て、自分のせいだと思った。和彦は誰にも打ち明けられず、結局勢いでこの裁判の弁護人を引き受けることになった。和彦には「死んでしまうなら、それでもいいや」という意味で殺意があった。そこまで和彦が言い、結審を迎えようとした時、傍聴席から樹理が立ち上がった。自分にもう一度証言させてと言い、また新たな嘘をついて自己弁護を図るとともに、樹理を理解してくれた和彦を免罪しようとしているのだった。「神原君は、この事件には何の関係もありません」と樹理は言った。最後に判事が「被告人がこの法廷に賭けたものをどうか受け止めてやってください」と言うと、拍手が沸き起こった。陪審員は卓也が残した遺書であるノートをまだ見ていないことに気付き、見せてもらった。それは〈標的を失った殺し屋〉を主人公にした小説じみた文章だった。すると陪審員の蒲田教子はある提案をした。陪審員たちは健一にその評決を見てもらい、承諾を得た。そしていよいよ評決の発表。「被告人は無罪」と発表された。「それでも、この事件が殺人事件であるという認識では、九人とも一致しました」とも続け、「その犯人は柏木卓也君です」と告げるのだった。「柏木卓也君は、未必の故意の殺意を以って柏木卓也君を殺害したと、俺たちは判断しました」と陪審員長が述べた。法廷が終り、皆が体育館から出ていく。もう、夏も終りだと涼子は思った。
2010年、春。野田健一は教師として城東第三中学校に戻ってきた。上野校長は伝説となった学校内裁判について健一に尋ね、健一は「あの裁判が終ってから、僕らは友達になりました」と答えるのだった。
1巻700ページ超、3巻合わせて2100ページ超という大作で、人物関係も複雑、内容も重複している部分が多く、もっと絞れると思いました。話事態は割に面白かったので、悔やまれます。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)