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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第3部 法廷・その3

2013-11-30 10:14:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 8月20日 学校内裁判・最終日。昨日の午後になって、検事側から新たな証人申請があったと述べる判事。1人目は塾の先生だった滝沢。卓也はやや抽象的な物事を深く考え過ぎるところがあり、それが気がかりだったと述べる滝沢。卓也は和彦の家庭の事情を滝沢と和彦の親との面談を漏れ聞いて知ったのだと言う。2人目の証人は小林電器店の店主。彼は当日店の前の電話ボックスで電話していたのは和彦だったと断言する。そして3人目の証人として和彦が証言台に立った。和彦は小林の証言を追認し、他の電話も全て自分が卓也へかけたものだと証言した。小林電気店以外の4地点は、これまで和彦の人生に関わる地点だった。電話をかける時間もあらかじめ決めていた。卓也は滝沢先生がいなくなってから世の中は理不尽だと怒りを覚えていたと言う。そして卓也は和彦に不幸な身の上なのによく平気でいられるなと言っていた。2年の夏ぐらいから部活が忙しくなり話す機会も減ったが、卓也との付き合いを断ってしまうのは怖かった。目を離したら、とんでもないことをやらかすんじゃないかと思って。生きていても意味が感じられないから死んでもいいいや、ということはよく口にしていた。不登校になった時は、学校に見切りをつけたと言っていた。そしてそれ以降、ますます元気がなくなったようだったし、頻繁に、もう何もかも面倒になった、嫌になったと言うようになっていた。結局、自分には卓也が抱えている問題をどうすることもできないと正直に言うと、卓也は怒ったようだった。そして12月の半ば、電話で呼び出され、ノートに書いた遺書を渡されたが、それはその場で返した。自分は卓也に死んでほしくないと言ったが、信じられないと答えられた。彼は和彦の身に起こった理不尽なことに、和彦がちゃんと目を向けていないと言い、12月24日のゲームをすることになった。しかしゲームを実行してみたら、自分自身が予測していたほどには辛くなく、むしろ楽しいことを思い出し、養父母への感謝も感じて、和彦は前向きになっていた。それを感じた卓也は裏切られた気になったのだと思う。そして今日のうちに会いたいと言ってきた。午後十一時半に、この学校の屋上に来るようにと。そしてそこで会った卓也は、和彦が人殺しの子だからまともになんかなりっこないと見下している感じだった。和彦は自分はもう付き合いきれない、と言い、うちに帰ろうとした。卓也はフェンスを越えて、和彦が帰るなら、今すぐ飛び降りると言った。和彦は「好きにしろ」と言い、振り返らずに帰った。そして翌日のニュースを見て、自分のせいだと思った。和彦は誰にも打ち明けられず、結局勢いでこの裁判の弁護人を引き受けることになった。和彦には「死んでしまうなら、それでもいいや」という意味で殺意があった。そこまで和彦が言い、結審を迎えようとした時、傍聴席から樹理が立ち上がった。自分にもう一度証言させてと言い、また新たな嘘をついて自己弁護を図るとともに、樹理を理解してくれた和彦を免罪しようとしているのだった。「神原君は、この事件には何の関係もありません」と樹理は言った。最後に判事が「被告人がこの法廷に賭けたものをどうか受け止めてやってください」と言うと、拍手が沸き起こった。陪審員は卓也が残した遺書であるノートをまだ見ていないことに気付き、見せてもらった。それは〈標的を失った殺し屋〉を主人公にした小説じみた文章だった。すると陪審員の蒲田教子はある提案をした。陪審員たちは健一にその評決を見てもらい、承諾を得た。そしていよいよ評決の発表。「被告人は無罪」と発表された。「それでも、この事件が殺人事件であるという認識では、九人とも一致しました」とも続け、「その犯人は柏木卓也君です」と告げるのだった。「柏木卓也君は、未必の故意の殺意を以って柏木卓也君を殺害したと、俺たちは判断しました」と陪審員長が述べた。法廷が終り、皆が体育館から出ていく。もう、夏も終りだと涼子は思った。
 2010年、春。野田健一は教師として城東第三中学校に戻ってきた。上野校長は伝説となった学校内裁判について健一に尋ね、健一は「あの裁判が終ってから、僕らは友達になりました」と答えるのだった。

 1巻700ページ超、3巻合わせて2100ページ超という大作で、人物関係も複雑、内容も重複している部分が多く、もっと絞れると思いました。話事態は割に面白かったので、悔やまれます。

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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第3部 法廷・その2

2013-11-29 08:54:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 次の弁護側の証人は、HBSで働いていた小玉由利でした。彼女は茂木の下で働き、茂木が告発状を勝手に見つけ、彼に無理矢理駆り出されて大出家での俊次の父の暴力行為を撮影させられたと語った。当時、茂木は告発状だけを根拠に、俊次が卓也を殺したと断定し、会社の中でも逸脱していた。その後松子が死に、上司は前回の放送の検証番組をしないといけないと語ったと言う。4時近くとなり、涼子は告発状を書いた人物の供述調書を提出したが、弁護人は供述をした本人を法廷に呼ぶことを主張した。検事は要求を飲む条件として、傍聴人を入れず非公開にすること、被告人を退廷させることを了承させた。そして尾崎先生を参考人として呼び、樹理の精神状態について語ってもらった。裁判後、涼子の父は和彦に協力者を一人紹介する。
 8月17日 学校内裁判・三日目。傍聴が許されないため、茂木は陪審員の一人に取り入ろうとするが、相手にされない。遅れて到着した検事側の証人・樹理は痩せてしまっていたが、ニキビは消えていた。尋問を受けていた樹理は、感情的になり、自分をかばってくれるのは尾崎先生だけだと言い出す。やっと落ち着いた樹理は、当日の夜11時ぐらいに松子に誘われて外出し、12時頃学校へ行くと、大出が何人かと学校に入るのを見つけ、松子は井口と橋田もいると言い、屋上で卓也がフェンスを越えたところで大出らが「飛び降りろ」と命じ、やがて卓也の姿がなくなり、怖くなって逃げて帰ったと証言した。陪審員の山埜かなめは告発状と今の証言に矛盾点があると指摘する。検事は告発状の投函、証人が被告人をひどく恐れていたこと、松子の交通事故についても尋問した。そして最後に涼子は目撃証言が真実かとあえて聞いた。弁護側は橋田を証人として出した。彼は警察の厄介になったりするのが嫌になったから大出らから離れたと言う。弁護側は強盗傷害事件の被害者となった増田望の供述調書を証拠として提出し、採用された。さらに和彦は当日のアリバイについて質問し、大出は父の言いつけは絶対に守ると橋田は断言する。そして俊次は俺ら抜きで悪さはしないと。そして当日橋田が家にいた証人の供述調書を提出した。次に理科室での喧嘩について質問がなされ、卓也がホントに誰か殺そうとするんじゃねえかと心配だったと答えた。その後、12月上旬に、たまたまコンビニで会った卓也に「おまえヤバい」と橋田が言うと、卓也は「橋田君は、僕が本気だったってわかるんだね」と言い、「死ぬってことがどんなことか、よくわかるから、誰か近くにいる人間に死んでほしい」と言ったと語った。やがて垣内美奈絵が現れ、警察に出頭する前に、皆に謝罪したいと言ってきた。岡野代理は垣内にそれを許した。
 8月18日 学校内裁判・四日目。判事は森内先生が一日も早く全快されることを心から願うと言い、拍手を得た。検事側はいかにひどい強盗傷害事件だったかを明らかにするため被害者の増井を証人とする。弁護側は今野努を証人として出してくる。彼は花火師の弁護士だった。彼が弁護している花火師は、仕事の前に必ず目的の建物に住んでいる人と会うようにしていて、自殺当日にも午前0時8分に偶然に俊次と顔を合わせていた。そして被告人への尋問となった。和彦の質問に対し、俊次は「卓也を突き落としたりしていません」と断言し、「自分が柏木を殺した」ともし言っていても、それは冗談だったと思うと言う。次に和彦は俊次の本校における行状に触れ、俊次には「はい」か「いいえ」で答えさせ、暴力沙汰に関しては「ふざけただけだよ」との答えを得る。和彦はそうした行状の結果、人から恨まれるようになり、ここにいることになったのでは?と尋ねる。被告人を恨む人なら誰でも告発状を書ける、そう言って弁護人は座ると、傍聴席にいた樹理は失神してしまった。涼子は1人になり、小林電器店前の電話ボックスにいた男の子のことを和彦が「本人だよ」と言っていたことを思い出し、急にその意味に思い至る。
 8月19日 学校内裁判・五日目(終日休廷)。涼子は健一の家へ向かう。一緒に出た涼子の父は健一の家の前で探偵の河野と出会い、お互い自己紹介する。礼子は同僚の庄田に学校内裁判をマスコミから守るため、裁判と同じ時間に森内先生とお母さんが2日に渡り記者会見をすることにしたと明かされる。そして和彦の父が母を殺し、父も自殺したことを涼子に教える。一方、樹理は自分の顔が垣内の顔、嘘つきの顔だと思った。(また明日へ続きます‥‥)

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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第3部 法廷・その1

2013-11-28 10:12:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 8月15日 学校内裁判・開廷日。法廷で明らかにしようと試みるのは、柏木卓也という男子生徒の死の真相。彼に関する情報が検事である涼子によって語られ、彼が学校でも札付きの悪で通っている大出俊次らによって屋上から突き落とされるのを見たという目撃情報、そしてそれについて送られた告発状、卓也が不登校になったきかっけとなった俊次らとの理科室での喧嘩について語られた。そして目撃情報が信ずるにたるものとして、俊次を卓也殺害の罪で起訴すると涼子は言った。俊次は「やってない」と言い、弁護側の神原和彦は、目撃情報は札付きの悪である俊次が殺したという空想だとして、被告人は無罪だと主張した。
 検事側の最初の証人は楠山先生で、和彦は卓也が亡くなった当日の様子を聞いた。次の弁護側の証人は元校長で、涼子は遺体発見時の様子、柏木家を訪れた時の様子、岩崎主事に関すること、屋上への鍵のこと、卓也の担任だった森内先生への評価、また森内先生が告発状を盗まれた事実などについての質問した。元校長への検事側からの反対訊問では、屋上へ行くには「下見が必要」だったことが明らかにされ、次の弁護側の証人、土橋雪子は弁護側から卓也が不登校になった後に校内の図書館で彼と会ったことが明らかにされた。次の証人は弁護側から卓也の父である柏木則之。しかし証言の途中で傍聴席にいた卓也の兄・宏之が「父の証言には嘘がある」と言い出し、証言が中断する。その後、則之氏は告発状の内容を確認し、その内容は記者の茂木から知らされ、告発状を出した生徒を調べるため学校が調査していることも茂木に教えてもらったと証言した。そして弁護側は次の証人として茂木を出す。茂木はこの法廷では物証がなく、証人たちの記憶だけが頼りだと指摘し、今まで扱った自殺のケースで遺書がなかったケースは一つとしてなかったと言う。弁護側は証人として柏木宏之に質問すると、彼は「卓也は負けを嫌うので、自殺はありえない」と言い、当日の電話も「これから死ぬつもりだ」と両親を脅かすためにかけたと言うが、彼の証言は想像に負うところが大きいとして却下された。次いで再び証人とされた柏木則之は、留守電にしていた時期を話し、自殺当日に卓也の家にかけられた5回の電話に出たのがすべて卓也である可能性が高まった。その夜、涼子の元へ俊次の子分である井口から電話がかかってくる。
 8月16日 学校内裁判・二日目。今日は検察側の証人・城東警察署少年課の佐々木礼子刑事への尋問から始まった。検事側の尋問は、卓也の死後警察がどう動いたか、これまでの証人と被告人との関わりについての関係に至るものだった。礼子は早い段階で自殺と判断し、大出は人を殺すほどの度胸もないと言った。次の検事側の証人・井口は、事件当日に俊次とは会っていないと言い、卓也が死んだ時刻には自宅にいたと答えたが、卓也の葬式の後、俊次が「自分が殺した」と言っていたと証言する。「俊次は自分や橋田をバカにしてたから、ホントにでっかいヤバいことなら俊次が一人でやるかもしれないと思う」と井口は言い、俊次が卓也を嫌っていたとも言った。そして卓也も彼らのことをバカにしていたとも。そして理科室で卓也は「人を殺したこと、ある?」と聞き、俊次が「おまえ、誰か殺したいのか」と訊くと、卓也は「うん」と答え、俊次が「やっぱおまえアタマくるってる」と言って教室を去ろうとすると、卓也が椅子を投げつけ、その後喧嘩になったのだと井口は語った。そして井口は告発状は嘘っぱちだと主張し、橋田が俊次と切れたがっていたので、自分のこともバカにしていた橋田が告発状を書いたと思い込んだのだと井口は言った。井口は見舞いにも来てくれなかった俊次はもう自分のボスではないとも言った。午後は弁護側の証人・美術の丹野先生だった。卓也とは何度か話をしたことがあり、卓也が〈絞首台の上のカササギ〉という絵に惹かれていたと語る。カササギは密告者を表し、死を強いられる存在で、学校から排除され、独りぼっちだった卓也も、またカササギだったと。また卓也は学校に行くのをよそうと決めたので、俊次たちに心情をぶつけたのだとも語った。 そして卓也が慕っていた塾の先生が辞めざるを得ないなったことに、ひどく憤慨していたことも丹野先生は語った。次に検事側は俊次らが強盗傷害事件を起こした相手の増井望の供述調書を提出した。弁護側は本件とは直接関係がないとして、証拠として取り上げることに反対し、認められた。(また明日へ続きます‥‥)

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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第2部 決意・その3

2013-11-27 10:33:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 健一は涼子に電話をし、昨日元校長と森内先生に会ってきたことを報告する。そして弁護側は卓也の兄からもらった自殺当日の通話記録を調べ、その最後の午後7時36分のものが小林電器店の前の電話ボックスのものであることが分かる。2人は俊次の元を訪ねると、昨日一日中父が警察に拘束されていたと教えられる。一方、涼子は昨晩徹夜して井口の両親に手渡す手紙を書いていた。井口の家を訪ねると、井口の父から「充は三中の子には会わない」と言われ、手紙だけを置いてくるが、井口の父は俊次の父が逮捕寸前であることを教えてくれる。帰宅した涼子は父に電話し、井口の父から聞いた話を公言すると脅すと、涼子の父は大出家の火災が俊次の祖母の財産を手に入れるための狂言だったことを教えてくれる。そして大出に花火師を紹介した闇の大手〈ユリバーサル興産〉を追い詰めるため、警察が今まで俊次の父の逮捕を遅らせたこと、大出への脅迫電話は俊次の父が誰かに頼んでかけさせたであろうことも。一方、弁護側は卓也の家を訪ね、卓也が生前通っていた塾の滝沢先生のことを尊敬していたことを教えられるが、和彦は先生に嫌なことを思い出させるとして、滝沢先生への取材に反対する。涼子の家に集まっていた検事側は、涼子から大出家の火災の狂言の話を教わり、俊次の父が逮捕されれば、もう怖がるものもないので、井口も裁判に協力してくれる可能性が高いと言う。午後、検事側は弁護側と同じ手順で、卓也の家への自殺当日の電話の発信元を突き止めていた。すべて卓也の自宅からそう遠くない電話ボックス。3時間半から3時間おきに、5回の電話。弁護側で吾郎は「こっちの一番の弱点は、三宅さんの証言が伝聞であったこと」と言っていた。
 翌日の朝、健一は俊次からの電話で、俊次の父が今朝警察に連れていかれ、今家宅捜索されていると知らせられる。弁護士の風見には母が連絡したとも。健一はとりあえずじっとしているようにと俊次に言って、和彦と北尾先生、それに涼子にも知らせた。涼子の家に集合した検事側と健一は、狂言、大出集成材の資金繰り、保険金詐欺、土地の売買、偽の脅迫電話という話題が出る中で、健一がビックリしてしゃっくりが止まらなくなる。結局、涼子と和彦は警視庁前で待ち合わせると、和彦は小林電気店の前の電話ボックスからかけていた男の子は「本人だ」と言う。やがて警視庁から出てきた涼子の父は情報源として公平でありたいと言って涼子を帰し、和彦に俊次の父について教えてくれた。最低二十日間の拘留。保釈も危ない。十五分まえに逮捕された。当面の容疑事実は、保険金詐欺目的の現住建造物放火と、有印私文書の偽造。和彦は12月24日の日、大出家を訪ねたであろう3人のユニバーサル興産の社員の誰かが俊次を見かけている可能性があると言うが、それには手をつけるなと言う。帰宅した涼子は北尾先生が元校長から預かっていた告発状を吾郎経由で渡してもらう。そこへ元校長から電話がかかってきて、森内先生が誰かに襲われて大怪我して病院に担ぎ込まれたと知らせてくる。
 手術室の前には森内先生の母と弁護側2人、検事側3人と元校長が揃った。森内先生は後頭頭から出血して非常階段で意識を失っているところを発見され、隣人の垣内の部屋からは森内先生の毛髪と血がついたワインの空き瓶が発見されていた。涼子は垣内のことを自分一人の判断でHBSの茂木記者に教えたことで自責の念に捕らわれるが、それは早合点だと和彦に指摘される。やがて北尾先生から連絡をもらったと言って、判事の井上も現れ、探偵事務所の河野と垣内の夫も一緒に姿を見せた。茂木は3日前に河野のところへ取材に来て、けっこうショックを受けていたという話だった。
 森内先生は命を取り留めた。そして8月10日。野田以外のメンバーは揃っていた。元校長は、垣内と森内先生の関係を発表し、それを茂木が取材する危険があると言うと、涼子は彼は検事側の証人だから問題はないと言い、皆を驚かせる。北尾先生は自分が皆の楯になると言い、勝木恵子は「俊次にはもうあたししかいない」と言い、現れた俊次も「身の潔白を証明する」と言う。そして駆け込みで9人目の陪審員が現れ、皆が宣誓し、涼子は樹理の悲鳴を自分が受け止めるんだと誓うのだった。(また明日へ続きます‥‥)

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宮部みゆき『ソロモンの偽証』第2部 決意・その2

2013-11-26 10:17:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 和彦と健一は、俊次の祖母のヘルパーを訪ね、放火の手口がプロ級で、“花火師”の仕業だと警察の人が話していたと聞く。涼子はHBSの茂木記者の訪問を受ける。茂木は告発状の差出人だという大人の女性から電話が掛かって来て、「涼子たちの学校内裁判を取材して放送してほしい」と言ってきたのだが、その女性が口をすべらして「うちの樹理は」と言っていたことを明かす。涼子は森内教諭の郵便窃盗事件の真相を持ち出し、それを相手の弱味として、茂木に裁判への介入をしない約束をさせる。一方、和彦と健一は北尾先生と卓也のことを話し、彼が自分を取り囲んでいいるものはゴミばっかりで、いつになったら、このゴミから抜けだせるんだろうと考えていたのでは、と話す。涼子と吾郎は樹理の家を訪ねるが、茂木への電話の件を話すと、樹理の母はわめき出し、背後の樹理の顔からはニキビが消えていた。涼子は「告発状を書いたのがあなたなら、あなたのことはわたしが守る。是非検事側の証人になってください」と連絡先を書いて置いてくる。樹理は母のことを心の底から軽蔑していた。彼女が登校拒否をするようになってから、彼女が望むニキビ治療をさせてもらえるようになったので、ニキビはみるみる消えていったのだった。そして茂木のさらし者にされるぐらいなら、検事側の証人になって、涼子に守ってもらうしかないと考えるのだった。夜、和彦は涼子に電話し、涼子の父に花火師の意味を聞いてほしいと言う。涼子の父は花火師とは人命を尊ぶ放火のプロのことだと教えてくれる。そしてその後、涼子の家に、樹理が両親と訪ねてくる。
 翌日、和彦と健一はクビになった主事の岩崎に取材し、当日の夕方に卓也らしい男の子を目撃した小林電器店の店主がいるという情報を得る。その後、2人は俊次の元へ向かうが、彼はアリバイのことを口にして、また父に殴られていた。そしてアリバイのことを彼の母に聞こうとすると、彼は母にも暴力が及ぶと考えて、絶対に聞くなと言い、最近父の機嫌がどんどん悪くなっていると言う。大出家の弁護士・風見は2人にアリバイの調査は母のものに留めなさいと言う。父については大人の世界だから手を出すなとも。
 涼子と吾郎は松子の家を訪れる。涼子は「告発状の差出人」ではなく「告発状の差出人を特定するために必要な証人」を確保したと言い、事件を目撃したのは松子だと主張する。松子の母は激しく反論するが、やがて涼子がその話を信じていないことを悟る。健一は卓也の兄から卓也に関する書類を送ってもらっていた。和彦と健一は卓也が親しくしていたという美術教師を訪ね、卓也が演劇部の古野章子に好意を示していたこと、和彦のことを心配していたことを聞く。和彦と健一は早速章子に会いに行き、卓也が彼女の演劇を評価してくれたことがあったと教えてもらい、彼が死ぬとしたら「無意味に生きることに飽き飽きしたとき」だと答える。
 検事側の3人と北尾先生は卓也が飛び降りたとされる屋上の現場検証をする。その後、涼子は警察を訪ね、俊次ら3人が起こした強盗傷害事件の被害者を教えてもらう。その頃、弁護側の2人は元校長と森内先生の元を訪れ、卓也がどんな生徒だったか聞いていた。そして検事側は樹理と松子が映っている防犯カメラの映像を入手する。そして強盗傷害事件の被害者・増井君に会いに行くと、いかに酷い事件だったかを詳しく話してくれた。涼子は井口から調書を取ることを決意する。
 翌日、弁護側は卓也の兄がくれた自殺当日の通話記録のリストをチェックしていた。小林電器店の店主の目撃情報はあまりにも曖昧で、有力な情報とはなりえなかった。2人は俊次の元を訪ねると、俊次の母に直接会うことができ、当日の俊次のアリバイについての記録を書いてくれた。母がディナーショーに行ったのは翌日の間違いで、当日大出母子は午後7時半ごろに一緒に夕食をとっていた。父が帰宅したのは9時前で、3人の客を伴い、午前2時過ぎに客は帰宅。それまで客に家族を紹介するかもしれないから外出するなと言われ、来客のことは決して外部に漏らすなと言っていた、とのことだった。そして来客が〈ユニバーサル興産〉だったことも教えてくれた。(また明日へ続きます‥‥)

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