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森淳一『重力ピエロ』その2

2018-11-30 02:35:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 二段ベッドで寝る泉水と春。春「レイプって何?」「なぜ?」「みんなが言ってるから」。少し間があって「ファンタグレープだよ。レイプッレイプッファンタグレープ」。二人で歌い、やがて笑い合う。
 葛城の部屋からの帰り道、泣き出す泉水。
 うつ伏せに倒れている母。警官「ブレーキ痕があるので、事故だと思いますが、一応自殺の可能性もお聞きしたいと思って」父「自殺するなんてありえません」。高校生になっている泉水と春。
 親子鑑定をする泉水。
 父「話しておくことがある。本当は二人が成人してから言おうと思っていたんだが。レイプ犯の子どもが春だ。お母さんが妊娠した時、神様の声が聞こえた。怒鳴り声だった。“自分で考えろ”って。神様のあり方としてこれは正しい。私は即座に決断した。私たちは最強の家族だ」。
 泉水、「殺人 方法」で検索をかけ、殺人サイトに行くと「溺死」のところをクリックする。
 車を買う泉水。
 葛城に電話をする泉水。「レイプした相手の写真を買い取りたい。私の知り合いの外人でマニアがいる。決して迷惑はかけない」。
 泉水が春のベッドから毛髪を採取していると、春が入ってくる。「携帯がつながらなかったから」。
 春「新たなグラフィティ・アートが見つかった。明日張り込もう」泉水「明日はダメだ! 犯人探しなんてしてないで、少しは自分の将来のことを考えろ。いつまでもお前のお守りはできない」。
 泉水が外に出ると、葛城行きつけのバーにいた女(吉高由里子)が壁にもたれて立っている。泉水に見つかると、彼女は逃げ、やがて泉水に捕まる。「なぜつけまわす?」「私がつけまわしているのは春君です。無言電話や無断で家に上がり込んだりしてごめんなさい」「もしかして夏子さん?」。
 「私、整形したんです。でも諦めがつきました。グラフィティ・アートは春君が描いています。火をつけているところも見ました」。
 車に火をつける春。近くには「Unforgiven」のグラフィティ・アートが。一方、春を探す泉水。
 空き缶を乱暴に踏み潰す春。
 春への携帯がつながらない。朝。春の自宅。目覚めた春に泉水「ちょっと寄っただけ」。
 泉水「今から車を取りに行きます」。
 無人の春の部屋。泉水は貼られたポスターをはがしていくと、その下の壁に放火の地点を示す地図が貼られているのを発見する。(中略)春から電話「新しいグラフィティ・アートが見つかった。また火災が起きる」「写真の頭文字をA、T、C、Gの記号にすると、これで終わりだと分かった。ストップコドンと言って、遺伝子の終了を告げる組合せなんだ。そうだ、君の居場所が分かった!」
 葛城「お前、頭おかしいんじゃないか? 俺の子どもなんだって? それを隠さずに生活しているなんて、恥ずかしい一家だな。たかがレイプだ」。春、火をつける。火は一気に周囲を駆け巡る。「浄化が必要だ」「父親を殺すのか?」。たどりついた泉水は窓を破る。春、葛城をバットで何度も殴りつけ、殺す。フェイドアウト。
 フェイドイン。目覚める父。ソファーで眠る父。オーバーラップ。
 ミツバチの世話をする三人。火災で男の遺体が出たと告げるニュース。
 (中略)
 泉水「一人でもできただろう?」春「兄貴がいないと不安なんだ」「臆病者だな」「知ってる。警察に行く」「悪いことじゃない」「考えて出した結論なんだ。無茶苦茶だなあ」「俺も殺そうと思ってた。滅茶苦茶だ」。
 「体大丈夫?」父「手の施しようがないらしい。死は怖くない。あれは怖かった。お母さんが役所に乗り込んで結婚証明書を出した時、『何でお前だ?』と同僚から糾弾されたんだ。それはそうと話がある。ちょっとこっちに来い。隠れて何かをやったそうだな」春「何もない」「春は嘘をつくとき、必ず唇に触る。俺に似て嘘が下手だな」。
 サーカスの空中ブランコ。ピエロが危なっかしく演じる。それを見上げる父母と幼い二人。父「楽しそうに生きれば重力なんて消える」。
 青空。蜂蜜を採取する春と泉水。
 泉水「甘い」春「甘いな」「次はどうしたらいいんだ?」「父さんの部屋に本があったはずだ」。
 春、2階に至り、本を手に取ると「これか、どうすればいいか神様に聞いてた。自分自身がなりたい過去になりなさい、という声が聞こえてきた」。
 2階から泉水めがけて本を落とす春。それに続いて、春も2階から飛び降りる。「春が2階から落ちて来た」のナレーションで、映画は終わる。

 随所で情緒に流れる場面が多く、また画面構成という点でも特筆すべきものはなかったような気がします。若き日の父の頭のかつらが、あまりにも分かりやすいかつらだったので、それが常に気になりました。そういう点に目がいってしまうというのも、演出の点でやはりわざとらしい部分があったことの証明になるような気がしています。ただ、時制が巧みに変わる編集がなされていて、構成の面ではよくできていたと思いました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S. 今から約30年前、東京都江東区で最寄りの駅が東陽町だった「早友」東陽町教室の教室長、および木場駅が最寄りの駅だった「清新塾」のやはり教室長だった伊藤達夫先生、また、当時の生徒の皆さん、これを見たら是非下記までお知らせください。黒山先生、福長先生と私が、首を長くして待っています。(また伊藤先生の情報をお持ちの方も是非お知らせください。連絡先は「m-goto@ceres.dti.ne.jp」です。よろしくお願いいたします。)

森淳一『重力ピエロ』その1

2018-11-29 05:58:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、山根貞男さんが推薦する森淳一監督の2009年作品『重力ピエロ』を見ました。
 「春が二階から落ちて来た」。散る桜の花びらを手で受けた泉水(いずみ)は、弟の春がバットを持ってくるのに出会う。何でもクラスで生意気だった女子を集団でレイプしようとしているグループから彼女を守るために来たらしい。2階からは彼女の悲鳴が聞こえてきた。春は駆け出し、教室で彼女を襲っていたグループにバットを叩きつけ、退散させる。そして2階から飛び降り、彼らを打ちのめす。女子のところに戻ると、お礼に近づいてきた女子のみぞおちにバットを突き立て、彼女はうめき倒れる。
 遺伝子の授業を受ける泉水と春。仲間に遊びに誘われるが、母の命日だと言って断る泉水。グラフィティ・アートを消している春は、消す前と消した後の写真を撮って、依頼主に見せると言う。
 実家に行き、父と再会する二人。父は蜂蜜の生産をしている。おでんは味付けが今いちということで、ミルクおでんにして食べる。
 仙台では連続放火事件が続いていて、春はグラフィック・アートが描かれていた場所の近くで全ての放火が行われていることに気付く。グラフィック・アートの写真を放火の発生順に並べると、英語で「神は話すことができ、アリはアメリカへ行く」という文章になる。(中略)
 実家で昔の写真を二人に見せていた父。春の背後に彼につきまとった夏子が必ず写っているのを発見し盛り上がる。そして父は胃癌を医師に告げられたことを明るく話す。「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきだ」と泉水。オーバーラップ。
 役所勤めだった父とモデルをしていた母(鈴木京香)の出会いのシーン。
 主婦「お子さんはお元気?」母「もう歩けるようになりました」。幸せの絶頂の母。シャボン玉で泉水と遊ぶ母。
 新たなグラフィティ・アートの写真を並べて「“270”“センチュリー”“アゴー”。2万七千年前ってどういうことだろう?」と言う春。悪者退治には必要だと春はバットを持ってきている。父は来週退院すると言う泉水。「いつまで見張るんだ?」と言う泉水に、春は「この時間から夜中の2時までに放火がなされている」と答える。
 ベビーカーに乗って母に押される泉水。帰宅すると母は暴漢に襲われる。
 春から「火が出た」との通報を受け、現場に直行した泉水は、二人で消火し、犯人に間違われる危険から、すぐにそこを立ち去る。
 父、「連続レイプ魔逮捕。犯人は高校生」という記事を見る。
 「財布を家に忘れて来たので、役所に届けてほしい」と電話で母に言う父。帰りに母は父に「気になっていることがあるの」と言う。「妊娠10週目なの」と母。父「産もう。産んで育てよう」「私、名前考えたの。春。どっちも英語にするとスプリングになるわ」。
 引越しをする父と母と幼い泉水。
 泉水が見舞いに行くと父「退屈で死にそうだ」とクロスワードパズルをしている。春が買って来てくれたらしい。クロスワードで指定された枠の中を順に繋げて行って答えに達する父。それで発想が湧く泉水。
 泉水「それぞれのグラフィティ・アートの頭文字が遺伝の二重らせんの記号、C、G、T、Aを表している」春「放火と遺伝子って関係あるのか?」。
 泉水の友人「連続レイプ事件の犯人は5年で出所し、今はデリヘルをやり、裏では中学生の売春も行なっているらしい。ひどくねえ?」。
 少年になった泉水と春。春の絵が金賞を取る。
 展覧会に行くと、春はガキ大将に「お前、自分で描いてないだろう?」と難癖をつけられる。泉水が春を呼びに行き、一緒にその場を去ろうとすると、ガキ大将は春の頭をロックする。ガキ大将を突き飛ばす泉水。ガキ大将は派手に痛がり、その母は春の母に「本当にこれを自分で描けたのなら天才ね。でも何で春君は父親とちっとも似てないんでしょう?」と言う。春の母「私は絵の手伝いなどしてません」父「春は私の子です。似てないなんてことはない」。
 帰宅する4人。父、春に「お前はピカソの生まれ変わりだ。ピカソの死んだ時にお前は生まれた」と言う。
 泉水の友人、DNAを使って親子鑑定を行う。
 「葛城ユキオ。39歳。施設を出た後、東京の風俗店を転々とし、最近地元に帰ってきたらしい。行きつけのバーではジンジャエールばかり飲んでいる」。
 そのバーに行く泉水。葛城が去った後、タバコの吸い殻を持って帰る。
 春のベッドから毛髪を手に入れる泉水。部屋に入ってきた春に「お父さんは?」「退院したばかりなのに、蜂の世話に。今年もスズメバチにやられたと言ってた」。
 葛城のマンションに泉水。「家出した妹を捜しに来ました。入れてくれないと警察に通報しますよ」。マンションに入れてもらう泉水。(明日へ続きます……)

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P.S. 今から約30年前、東京都江東区で最寄りの駅が東陽町だった「早友」東陽町教室の教室長、および木場駅が最寄りの駅だった「清新塾」のやはり教室長だった伊藤達夫先生、また、当時かわいかった生徒の皆さん、これを見たら是非下記までお知らせください。黒山先生、福長先生と私が、首を長くして待っています。(また伊藤先生の情報をお持ちの方も是非お知らせください。連絡先は「m-goto@ceres.dti.ne.jp」です。よろしくお願いいたします。)

斎藤美奈子さんのコラム・その27&山口二郎さんのコラム・その12

2018-11-28 05:06:00 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞と東京新聞の朝刊で、ベルナルド・ベルトリッチ監督の死が報じられていました。(ちなみに東京新聞の方がずっと大きく取り上げていました。)享年77歳、病魔との戦いの末での死だったそうです。彼の監督作品で私が一番好きなのは『暗殺の森』で、ジャン=ルイ・トランティニャンが森の中で、ドミニク・サンダを暗殺する場面は、未だに鮮烈に記憶に刻まれています。改めてご冥福をお祈り申し上げます。

 さて、恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている山口二郎さんのコラム。
 まず11月7日に掲載された「『捏造』の行方」と題された斎藤さんのコラム。全文を一部変えさせて転載させていただくと、
「今週(九日)、注目の判決が出る。
 元朝日新聞記者・植村隆氏が、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と、氏の原稿を掲載した出版三社(「週刊新潮」を発行する新潮社、月刊「WiLL」を発行するワック、「週刊ダイヤモンド」を発行するダイヤモンド社)を相手どって起こした名誉毀損(きそん)裁判だ。
 2014年、朝日新聞が過去の慰安婦報道を検証する記事を載せた際、他のメディアが常軌を逸した朝日バッシング報道に走った事件を覚えておられるだろうか。あの前後に「捏造記者として最大の攻撃対象にされたのが植村氏だった。
 焦点は1991年8月11日の植村氏による記事(元慰安婦・金学順さんの証言をもとに(中略))で、金さんが「挺身(ていしん)隊」の名で戦場に連行された、などと伝えるものだった。櫻井氏はこの記事を「捏造」と決め付けた上で、各誌にコラムを書いたのである。
 15年2月、植村氏は櫻井氏らを札幌地裁に提訴。裁判は今年7月に結審し、その過程で櫻井氏のコラムにこそ「捏造」があったこと、櫻井氏も自らの非を認めたことなどが伝えられている。
 植村氏の名誉はもちろん、ことはメディアの責任や歴史認識の根本問題にかかわる。9日の判決を報道各社はちゃんと伝えるのだろうか。伝えてよね。重大な事案なんだからね。」

 また、11月14日に掲載された「大臣の資質」と題された斎藤さんのコラム。
「桜田義孝五輪相と片山さつき地方創生担当相の話題が沸騰中である。
 桜田氏の場合はペーパーも正確に読めないシドロモドロの答弁が、片山氏は口利き疑惑に加えて書籍看板やカレンダーが注目の的になってるが、もともと彼らは問題含みの国会議員だった。
 桜田氏は河野談話の見直しを求める集会に出席したり、『慰安婦は職業としての売春婦』と発言したり、何かと粗忽な言動が目立っていた。
 片山氏については、生活保護見直し論者としての顔が思い出される。この件は著書にもなっている。『正直者にやる気をなくさせる!? 福祉依存のインモラル』(2012年)という本だ。
 書名もすごいが、中身もすごい。この本で彼女は民主党政権時代に生活保護受給者が増えたことを問題にし、被保護者が『権利ばかりを主張して義務を果たさない理由』のひとつは憲法25条だと述べている。
 『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』
 この条文の『健康で文化的』の部分が働けるのに働かない怠け者の生活を保障する結果になった、だから家族の絆を基本とする憲法に改正すべきだと。
 国民の生存権まで否定する政治家って何? 根本的に資質を問われるべきはそこよね。」

 そして11月11日の東京新聞に載った、山口二郎さんの「アメリカ民主主義の底力」と題されたコラム。
「アメリカの中間選挙では、女性や多様な文化的背景を持った議員が大幅に増えた。特に印象的だったのは、最年少の下院議員となったオカシオコルテス氏である。彼女はつい一年前まではウエートレスをしていたが、トランプ大統領の女性蔑視の姿勢や貧困格差の拡大に憤りを感じ、議員を目指して当選した。
 アメリカでは政党の予備選挙という仕組みがある。一般市民も党員の登録をすれば予備選挙に参加できる。市民の熱心な運動が広がれば知名度の高い現職ではなく、市民の仲間を党の公認候補に押し上げることも可能である。(中略)
 アメリカを見ていると、民主主義とは『見る』ものではなく、『する』ものだと痛感させられる。自ら立候補して議員になることは普通の人には難しい。しかし、高い志をもって世の中のために働きたいという優れた政治家志望者を応援することはだれにもできる。トランプ大統領が民主主義を破壊しているという危機感をもてば、普通の人々が立ち上がる。それこそアメリカ民主主義の底力である。
 日本でも統一地方選挙と参議院選挙が近づいている。野党側は人材払底のようである。広く市民のエネルギーを引き出すことが求められている。」

 どの文章も私たちの活動に力を与え、励ましてくれるものばかりでした。今後のお二人の文章にも期待です!

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『灼熱の魂』その7

2018-11-27 03:43:00 | ノンジャンル
 昨日の午後、友人の梅ちゃんと、いま何かと話題になっている映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見て来ました。ラストの20分では老若男女みな泣いてしまうというので、それなりに心の準備をしていきましたが、ライヴ・エイドで10万人の人々がフレディ・マーキュリーの歌に合わせて合唱するという場面はさすがに鳥肌なみで、冒頭の『ボヘミアン・ラプソディ』の歌い出しのところで不覚にも涙してしまいました。その日本語訳の歌詞を、サイト「Queen~伝説のロックバンド」から転載させていただくと、
「(前略)ママ たった今、人を殺してきた
あいつの頭に銃口を突きつけて
引き金を引いたらやつは死んだよ
ママ 人生は始まったばかりなのに
僕はもう駄目にしてしまった
ママ ああ ママ
ママを泣かせるつもりじゃなかったんだけど
明日の今頃になって 僕が戻らなくても
今のままで生きていって、まるで何事も無かったかのようにしてほしい

もう遅すぎる 僕の最期が来た
体中を震えが走る
体中が苦痛に責めたてられる
さようなら みなさん 僕はもう行かなくては
あなた方の元を離れ 真実と向かい合う時だ
ママ ああ ママ
僕は死にたくないよ
時々 考えてしまうよ、いっそのこと生まれてこなきゃよかった

1人の男のシルエットが小さく映る
スカラムーシュ 道化の者よ ファンダンゴを踊っておくれ
雷鳴と稲妻はとても恐ろしい
ガリレオ ガリレオ
ガリレオ ガリレオ
ガリレオ フィガロ~貴き人よ

彼は貧しい生まれの哀れな男この怪奇な運命から命を救ってやろう
気ままな人生を送ってきたんだ 僕を逃がして
「神に誓って お前を逃がしはしない」━彼を逃がしてやろう
「神に誓って 逃がしはしない」━彼を逃がしてやれ
「神に誓って 逃がすわけにはいかない」━彼を逃がしてやれ
「いや 逃がさない」━僕を助けて
「いや絶対にダメだ」━助けて
僕を引き留めて、ウーl
ノーノーノーノーノーノー
ママ ママ 愛するママ 僕を助けて
魔の王ビールズバプよ 僕から悪魔を取り除いてくれ
僕の為に、
僕の為に

それじゃ 僕に石をぶつけ顔につばを吐きかけようと思ってるんだな
僕を見殺しにしてそれでも僕を愛していると言うつもりか
ああ 君がそんな仕打ちをするなんて
すぐに逃げ出さなくては、今すぐ ここから逃げ出さなくては

オーイエー、オーイエー
何もたいしたこと無い 
誰もが知ってることさ
たいしたことじゃない本当に僕にはたいしたことじゃないさ

どっちみち 風は吹くのさ」
というものです。
 この曲はクイーンでは私のナンバーワンの曲です。
 ちなみにこの映画の監督はブライアン・シンガーとなっていますが、彼は撮影途中でクビになっています。解雇理由は以前から噂されていた現場でのパワハラ、撮影現場の放棄です。実際の現場は撮影監督ニュートン・トーマス・サイジェルが監督代行を務めていました。ブライアン・シンガー解任後はすぐ『サンシャイン/歌声が響く街』デクスター・フレッチャーが監督に就任。再撮影などを行わず、残りの撮影を16日間で行い当初の予定通りのスケジュールを維持したそうです。

 さて、また昨日の続きです。
 “彼らを通じ、あなたは今も生きている。でもじきにあなたは沈黙する。人は真実を前に沈黙する。 差出人 娼婦72番”。
 「これは息子へ 拷問人宛てではない。何であろうとあなたを愛し続ける。あなたが生まれた時そう誓った。何があろうとあなたを愛し続ける。あなたを捜し続け、ついに見つけた。あなたは私を知らない。私はあなたの右かかとのタトゥであなたに気付いた。あなたは美しかった。愛をこめてあなたを抱きしめる。安心しなさい。共にいることが何よりも大切よ。あなたは愛の結晶。だから妹や弟も愛から生まれたのよ。共にいることが大切。あなたの母、ナワル・マルワン、収容番号72番」。
 “2つの封筒が相手に渡されたら、あなたたちに手紙が届けられる。沈黙が破られ、約束が守られる”“その時、初めて私の墓に墓石が置かれ、名前が刻まれる”“愛する二人。どこから物語を始める? あなたたちの誕生? それは恐ろしい物語。あなたたちの父親の誕生? それはかけがえのない愛の物語。あなたたちの物語は約束から始まった。怒りの連鎖を断つために、あなたたちのおかげで約束は守られ、連鎖は断たれた。やっとあなたたちを腕に抱きしめ、子守歌を歌い、慰めてあげられる。共にいることが何よりも大切。心から愛してる。あなたたちの母、ナワルより”。
 “ナワル・マルワン 1949━2009年”と刻まれた墓標と、それに参るシモン、ジャンヌ、ルベルたちの姿で映画は終わる。

 最初は平凡な映画だと思って見始めたのですが、最終的にストーリーはボルヘスをも想起させる面白さでした。ショットも俯瞰の遠景とか、クロースアップの多用とか、いろんなショットを見ることができたのですが、ただかなりシリアスな映画なので、あらすじを書いていて、辛くなる部分もありました。

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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『灼熱の魂』その6

2018-11-26 06:07:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 シモンと2人の男、車へ。
 橋のたもと。ジャンヌ、車から降りる。「君はよくやった。だから君を助けよう。国を去るのだ。楽に暮らせるぞ。家と仕事を提供する。いい人生を送ってほしい。アメリカには協力者も多い。子供たちを連れて行け。2人は生きている。共に飛び立て。子供たちがやがて男の力となるだろう」「そんなこと望めない。」「君の子供は我々の子供。君の家族は我々の家族だ。私を信じろ。君を助ける。君や子供たちのため、我々はいつでも力になろう」。“シャム・セディン”の字幕。目隠ししたシモンがソファに座っている。「やあ、サルワン。警戒するのは君を守るためなのだ。私はワラット・ジャムセディン。私にどうしてほしい? サルワン・マルワン」シモン「母をご存知ですね」「私のために仕事をした。望みは何だね?」「ニハド・ド・メを捜しています」「なぜニハドを捜す?」「僕の兄です。母が見つけだせと」「なぜニハドがナワルの息子だと言える?」「兄はクファリアットの孤児院に託されました。出生証明と記録が見つかり、日付が一致しました。ニハドは兄です」。男たちは去り、1人だけシモンにささやく。「我々はクファルワット村のキリスト教徒を襲撃した。ムスリムの難民を脅かされたことへの報復だ。クファルワットに孤児院があった。子供たちは殺さず、全員連れていった。ニハドもその中にいた。我々は子供たちを訓練し、戦士に育て上げた。ニハドの優れた能力は際立っていた。たちまち一流の狙撃手となったが、“母親を見つけたい”と言い、何カ月も捜しまわった。やがて理由は知らないが、ニハドは戦いに執着した、“殉教者にしてくれ”と言いだした。国中に貼られる写真を母親が見るからだと。私は拒んだ。彼はダレシュへ戻り、最も恐れられる凄腕の狙撃手になった。冷酷無情に誰でも撃ち殺した。その後、あの一帯は敵に侵略された。ある朝、ニハドは捕まった。敵を7人射殺していた。奴らは彼を殺さず洗脳してクファルワットの監獄へ送り込んだ」「兄を監獄に?」「そうだ。拷問人として」「父と一緒に?」「いや、君の父アブ・タレクと一緒ではない」。
 廊下を一人で歩くジャンヌ。シモンの部屋に入る。「大丈夫?」「1+1=2だ」「何のこと?」「1+1=2。1のはずがない」「熱があるみたい」「ジャンヌ、1+1=1があり得るか?」。ヒューと言って頭を抱えるシモン。
 プール。「デッキチェアに座ってていいわ」。泳ぐ母ナワルとジャンヌ。足に3つの点がある男(シモンの兄が生まれた時に入れた刺青)。ナワル、プールから上がる。ジャンヌ「どうかしたの?」。呆然とするナワル。
 泣くジャンヌ。
「ハゲタカは冬の鳥だ」「拷問人になって君の兄は名を変えた。その名はアブ・タレク。ニハド・ド・メはアブ・タレクだ。彼は現在新たな名前でカナダに住んでいる。ニハド・ハルマニだ。車両のメンテナンスを仕事にしている」。
 帰宅するハルマニ。「ハルマニさん?」「そうだ」「あなたに」とシモンは封筒を渡す。
 “父親への手紙”と書かれている封筒。「震えながら書いています。私は気づいたのに、あなたは気づかなかった。驚くべき奇跡だわ。私はあなたの“72番”。手紙を渡したのは私たちの子よ。あなたは気づかない。美しい子たち。彼らはあなたを知っている」。去るシモンの後を追おうとするハルマニ。(また明日へ続きます……)

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