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ユライ・ムラヴェツJr.監督『ウクライナから平和を叫ぶ』

2022-09-30 01:16:28 | 日記
 ユライ・ムラヴェツJr.監督・撮影の2016年作品『ウクライナから平和を叫ぶ』を先日、「あつぎのえいがかんkiki」で観ました。
 パンフレットの「introduction」の文章をそのまま転載させていただくと、
「ロシアとヨーロッパに挟まれるその立地から、親ロシア派と親欧米派に分かれて対立してきたウクライナ。そんなウクライナの欧州連合加盟やNATO加盟を警戒し、ロシアのプーチン大統領は圧力をかけてきた。ことの発端は2013年9月、当時のヤヌコーヴィチ大統領が欧州連合との連合契約に署名しなかったことに遡る。
 これを受け、親欧米派の野党や大統領の汚職を批判する市民による大規模な反政府デモが勃発。翌年、ヤヌコーヴィチ大統領は国外へ逃走し、ロシアによりクリミア半島が併合される。さらにルハーンシク州とドネツク州では、親ロシア分離派が分離共和国を宣言。両共和国を反政府武装勢力とみなしたウクライナとの紛争状態に陥った。その渦中にいた国民に何が起きたのか。この状況をどう捉えてきたのか。生活はどう変わったのか。」
 次にパンフレットの「Story」の文章もそのまま転載させていただくと、
「2010年より旧ソ連の国々を取材してきたスロバキア人写真家ユライ・ムラヴェツが入りし、ドネツク川とウクライナ側の両方の生の声を記録。ドネツク側では、戦場に参加した鉱夫と参加しなかった鉱夫、ウクライナ兵にスパイと間違えられ拘束された人、「プーチンに助けてほしい」と言う女性、ウクライナ側では、大佐、手榴弾で手足を失った退役軍人、老女、子供、ホームレスなど幅広い人の証言を網羅。当時の記憶を辿ることで、ウクライナで起こっている紛争の本質が見えてくる、見るべき貴重なドキュメンタリー。」

 インタビューされているのは市民と元兵士で、現役の兵士へのインタビューはされていませんでした。手榴弾で右手の肘上を切断した元兵士の映像が特に印象に残りました。またパンフレットによると撮影も監督がしているとなっていましたが、監督が行っているのは写真撮影で、映画の撮影は別の人がしていました。
 この映画から学ぶ教訓は、「平和」は努力しないと手にいれられないということです。日本国憲法にも「国民の不断の努力によって、憲法は守られなければならない」と明記されています。
 岸田政権は、ウクライナ紛争を口実に、国防費をGDPの2%まで上げようとしていますが、それがもし実現したならば、日本は世界第三位の軍事大国になり、戦闘機や戦車などを備えた「戦争を起こす国」になってしまいます。私たちは断固として、岸田政権のもくろみを阻止しなければなりません。自衛隊は「サンダーバード」のように「国際救助隊」にしていかなければならないと、改めて思いました。

「国葬」に反対する意見表明!!

2022-09-29 00:24:34 | 日記
 東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんの9月28日では「中継の作法」と題するコラムが掲載されていました。その全文をこちらに転載させていただくと、
「この二カ月、旧統一教会に対する批判的な報道を続けてきた「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ・日本テレビ系)。
 8月10日と9月22日に教団の幹部による記者会見が開かれた際も「ミヤネ屋」は会見を中継しつつ、有田芳生氏や鈴木エイト氏の「生ツッコミ」を入れて「異議あり」の姿勢を示した。茶番の会見を相対化する新手の手法だった。
で、27日に行われた安倍元首相の国葬。各局の中継をザッピングしながらざっと見た限り、比較的マシだったのはTBSである。式典を粛々と流すNHKハ論外としても、各局が神妙に中継を続ける中、安倍氏の生前の業績を讃(たた)える(不快な)映像が流れる間も岸田首相ほかの(白々(しらじら)しい)追悼の辞の間も、木村草太氏らをコメンテーターに加えたTBSはスタジオでの雑談というか会話を挟み続けた。
 直近の世論調査では国葬に反対する人が6割以上を占めた。それでも国葬は強行された、が、ふり返ると、反対派が必ずしも「負けた」わけではない。6割が反対に回ったのはデモや署名活動の成果であり、反対論をメディアが無視できなくなった結果である。
 式典は明らかに安倍氏の個人崇拝を狙ったものだったが、反対論の高まりで、故人の神格化は辛うじて免れたのではないか。もしみんなが黙っていたら…と思うとゾッとする。」

 まったく同感です!!

アレックス・カミレーリ監督『ルッツ 海に生きる』

2022-09-28 00:26:57 | 日記
 アレックス・カミレーリ監督・脚本・編集の2021年作品『ルッツ 海に生きる』を「あつぎのえいがかんkiki」で観ました。
 パンフレットの「Story」に加筆修正させていただくと(ネタバレ注意!)、
「地中海の島国マルタ。
 26歳のジェスマークは、曾祖父の代から受け継いできた木製の漁船ルッツを使って、湾の中で漁師をしているが、なかなか釣果に恵まれない。そしてある日、ルッツの船底に水漏れを見つける。水漏れを直してやると言う仲間の漁師たち。
 そんな時に生まれて間もない息子の発達不良がわかり、治療費や高級なミルクのために、ますますお金がかかることとなる。動揺して裕福な実家を頼ろうとする妻デニスに対し、ジェスマークは妻のブルジョワを誇る実家を嫌い、夫婦二人で何とか解決しようとする。
 そしてジェスマークが選んだ道は、仲間を裏切って、密漁に手を貸すことだった。密漁で大金を手にしたジェスマークは、密猟者の命じるままに、仲間の漁船の網を次々と切っていく。
 そんな折り、仲間がルッツの修理を終え、聖水によって祝福されたルッツは、海に出るが、魚は思うように捕れない。
 そして次に現れたのはEUの役人で、今の職業をやめれば、4000ユーロをやると言い出す。「今の状態の舟を売りに出したってその1割にもならない」という役人。
 そしてジェスマークは悩んだ結果、EUの役人の言うことを受け入れ、ルッツを役人に受け渡し、4000ユーロを手にすることに。
 ジェスマークはその大金を使って密漁用の冷凍庫付きの車を買い、本格的に密漁に手を出すこととなる。そして我が息子の洗礼式の日、妻のブルジョワの前に立ち、彼は嫌々ながらも笑顔を作るのだった。

 音が印象的な映画で、EUに引き渡したルッツが、主人公の背後で「メリメリ」という凄い音で壊されていくシーンは今でも鮮明に覚えています。映画の始まりから会話が始まるまでは、ずっと音と映像だけで主人公の動きが描かれ、まれに見る傑作でした!

フィリップ・バランティーニ監督『ボイリング・ポイント/沸騰』

2022-09-27 06:16:05 | 日記
 フィリップ・バランティーニ監督の2021年作品『ボイリング・ポイント/沸騰』を、先日、「あつぎのえいがかんkiki」で観ました。

 パンフレットの「STORY」の文章に一部加筆修正させていただくと、
「ロンドンでも指折りの人気を誇る高級レストランのオーナーシェフ、アンディ・ジョーンズ(スティーヴン・グレアム)は、今まさに人生の崖っぷちに立っていた。つい最近、妻と別れて家を出たアンディは、事務所を寝床代わりにしていて心身共に絶不調の状態だ。おまけに、最愛のひとり息子ネイサンとの約束をうっかりすっぽかしてしまい、せめて電話で謝らなくてはと考えている。しかしアンディには、その時間の余裕すらなかった。今日はクリスマス直前の金曜日。彼の店には予約がぎっしり入っていて、通常よりはるかに大勢の客をもてなさなくてはならないのだ。
 スタッフが開店準備に奔走している店内に入ると、いきなりアンディは嫌な問題に直面した。何かとうるさい衛生監視官が抜き打ち検査にやってきて店の安全評価を「5」から「3」に落としたのだ。それはアンディが衛生管理ファイルの記入を怠ったせいだった。さらに食材の発注を忘れていたアンディは、セレブシェフのアリステア(ジェイソン・フレミング)が来店すると聞いて胸騒ぎを覚える。テレビの料理番組で人気を博しているアリステアは、アンディの元同僚にして因縁浅からぬライバルでもあった。
 18時過ぎに店がオープンすると、フロア係が次々と客をテーブルへと案内していく。オープンキッチン形式の厨房でアンディとともに腕をふるうのは、頼れる女性副料理長カーリー(ヴィネット・ロビンソン)、キレやすい性格が玉にキズの男性料理人フリーマン(レイ・パンサキ)という顔ぶれだ。アンディの共同経営者の娘である支配人ベス(アリス・フィーザム)が取り仕切るフロアスタッフも大忙し。(中略)パティシエや洗い場担当のスタッフが働く厨房の奥のスペースでもトラブルが持ち上がっていた。
店内はたちまち満席となり、厨房には怒涛の勢いでオーダーが舞い込んでくるなか、来店したアリステアを出迎えたアンディはまたも動揺させられる。アリステアが事前の予告なしにグルメ評論家のサラ(ルルド・フェイバース)を同伴してきたのだ。そんなとき客から突き返されたラム肉料理の焼き加減をめぐって、カーリーとベスの口論が発生した(中略)日頃の予約過剰と仕事量に見合わない給料に不満をため込んでいたカーリーは、「あんたが大嫌い。みんなの嫌われ者よ」とベスを激しく責めなじる。
 アンディはアリステアが注文したカモ料理を自らテーブルに運ぶ。「おいしいよ。だが、ソースがちょっと深みに欠けるな」。そんな嫌みたらしいセリフをつぶやくアリステアに、アンディはなぜグルメ評論家を連れてきたのかと問い詰める。するとアリステアは態度を一変させ、脅迫じみた取引を持ちかけてきた。アンディが背負っている20万ポンドの借金の埋め合わせとして、この店の経営権を譲れというのだ。
 アリステアの理不尽な要求を拒んだアンディに、さらなる追い打ちをかける緊急事態が勃発した。恋人とともに来店した女性客が突然アレルギー発作で倒れ、救急車で搬送される騒ぎが起こったのだ。ここぞとばかりにアンディに歩み寄ったアリステアは、副料理長のカーリーに不手際の責任をなすりつけろと悪魔のように囁きかける。
 発作を起こした女性客からは、事前に「アレルギーのため、ナッツ類はNG」というリクエストを受けていた。厨房スタッフ全員が集まって検証した結果、サラダのドレッシングにクルミ油が使われていた事実が判明。しかも、新人スタッフにそのドレッシングを使うよう指示したのはアンディだった。「あんたって本当にバカだな! 遅刻するわ、発注も仕込みもしない。酒臭いクソったれ、反省しろ!」。その場でぶちキレたフリーマンから容赦ない罵声を浴びせられたアンディは、自分の最大の理解者であるカーリーにまで愛想を尽かされてしまう。
 密かにアルコールに依存していたアンディの心身の不調は、とっくに限界点を超えていた。家族の愛もスタッフの信頼も失った彼の周りには、もはや何も残されていない。なぜ、こんなことになってしまったのか。それでもまだアンディには、かけがえのない家族に伝えたいことがあった。しかし深酔いしたアンディはアルコールを置いてある部屋を出ると、床に転がってしまうのだった。」

 全編ワンシーン・ワンカットで撮られた映画ということで話題になっているそうですが、それ以上でもそれ以下でもない感じでした。ただ、全編を自然光だけで撮影したマシュー・ルイスの仕事ぶりには誉め讃える価値があったと思います。全編ワンシーン・ワンカットということなら、やはりヒッチコックの『ロープ』の方が100倍面白いと思いました。

山田典吾監督『はだしのゲン 第一部・戦中篇』

2022-09-26 05:47:49 | 日記
 山田典吾監督・脚本、山田火砂子製作の1976年作品『はだしのゲン 第一部・戦中篇』をDVDで観ました。
 サイト「ウィキペディア」の「あらすじ」に一部加筆修正させていただくと、
「舞台は1945年の広島市。戦況の悪化で市民生活が窮乏する中でも、ゲンの一家は家庭菜園の手入れに勤しみ、麦の実りを期待しつつたくましく暮らしていた。だがゲンの父で下駄の絵付け職人である大吉(三國連太郎)は隣組の竹槍訓練を「こんな事でアメリカに勝てるはずもない」と冷笑するなど、時節柄はばかられる反戦思想を隠そうともしない。そのため中岡家の家族は、町内会長の鮫島や近所から「非国民」扱いされ、納品する下駄を川に投げ込まれたり、麦畑を荒らされるなど様々な嫌がらせを受けた。ゲンの長兄の浩二(こうじ)は周囲の冷たい視線をはね返すため海軍の予科練に志願し、ゲンの次兄の昭(あきら)は、広島市郊外の山間部に疎開に行っていた。昭和20年8月初頭、広島の家に残っていたのは大吉、ゲンの母・君江(きみえ)(左幸子)、ゲンの姉・英子、ゲンの弟・進次、そしてゲンの5人。英子は昭より年上だったが、体が弱かったため疎開できなかった。
 昭和20年8月6日朝。小学校の門の前にいたゲンは突然の閃光と爆風で気を失う。偶然にも門の影にいたことで無傷だったが、気が付いてみると町は一面に押しつぶされ、人々は全身の皮が焼け剥がれた姿で呻いている。状況が解らぬまま自宅へもどってみると、自宅も同様に押しつぶされて大吉・英子・進次が木材の下敷きになっている。偶然にも無傷だった君江と再会したゲンは協力して家族を助け出そうとするも果たせず、大吉はゲンに強く生きることを願いつつ、英子や進次とともに火災に巻き込まれ焼け死んでいく。半狂乱となったところを朝鮮人の朴に諭されて避難した君江は、ショックで女児を出産。ゲンは君江とともに、父と姉と弟の3人のしゃれこうべをリヤカーに乗せて、どこということなく、去って行くのだった。」

 大吉が拷問を受けるシーンなどには迫力がありました。