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斎藤美奈子さんのコラム・その12

2017-03-22 15:19:00 | ノンジャンル
 恒例となった、水曜日の東京新聞に掲載されている、斎藤美奈子さんのコラム「本音のコラム」の第12弾。
 まず、3月8日に掲載された「マイホーム幻想」と題されたコラム。
「先週最終回が放映された『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK)と、今週最終回を迎える『就活家族』(テレビ朝日系)はよく似た設定のドラマだった。
夫婦は五十代。子どもは成人しているが親と同居。家族はみな問題を抱えており、特に夫はリストラの瀬戸際にある。にもかかわらず、二つの家族は新居を建設(購入)するのである。
近代文学と住まいの関係を読み解いた秀逸な文学論、西川祐子『借家と持ち家の文学史』(1998年)の中にドキッとする指摘がある。日本の近現代文学には『家を建てたら幸せになると思ったのに不幸ばかり起こりました』という物語がすごく多いのだそうだ。
一例が小島信夫『抱擁家族』(65年)で、ここでは妻の不貞で崩れかけた家族を立て直そうと夫が新居の建設に没入するが、家は結局ムダになる。ドラマと同じ!
戦後の住宅政策は『持ち家こそが幸せの証し』というマイホーム幻想を育て、高度経済成長はその夢を実現させた。21世紀の現代でも、新居幻想は生きているのだろうか。子どもを家に引きとめたい? 子どもに家を引き渡したい?
あるいは、もうこんな形でしかホームドラマは成立しないのかも。老後を控えた50代での新居建設(購入)はリスキーに思えますけどね。どうせ近い将来、空き家になるのに。」
 また、3月15日に掲載された「豊洲と豊中」と題されたコラム。
「東の豊洲」と「西の豊中」ってなんだか似てない? 多くの人が感じていることだろう。
豊洲は東京都が破格の高額で買い上げた築地市場の移転予定地。豊中は国が不当な安値で払い下げた森友学園の小学校建設予定地だった土地。
疑惑がらみの土地売買である点も、背後に政治家の関与がちらつく点も似ているが、さらなる共通点は土壌汚染や地下のゴミなど、問題の多い土地だった点である。
片や卸売市場、片や小学校ですからね。通常以上にクリーンであるべきなのに、なぜこんなダーティーな土地が選定されたか理解に苦しむ。
豊洲の場合は、銀座に近くて利用価値の高い築地を有効活用するため、市場を移転させたかった都と、洗浄が必要な工場跡地が高値で売れるならラッキーと考えた東京ガスの思惑が一致した?
豊中の場合は、学校用地を早く安く取得したい学園と、使い道のない国有地を手放したい国の思惑が一致した? ここは伊丹空港の元騒音対策対象地で、過去にはゴミの投棄が絶えない池沼だったという説もある。
いずれにしても『訳あり物件』だからこそ生じた政官民の不正疑惑。そこで鮮魚を扱う業者や学校生活を送る児童のことはまるで考慮されていない。もしかしてこれは氷山の一角ではないのか。二カ所であったことが三カ所であっても不思議ではない。」
また、3月22日に掲載された、「首相夫人の行動」と題されたコラム。
「安倍昭惠氏は二つの行動指針を持っている。
『ちゃんと自分の目で見なさい』と『寄付をするときは、必ずしかるべき人に直接、手渡さなければならない』だ。
彼女はこれを聖心女子学院の先輩で、かねて親交のある曾野綾子(そのあやこ)氏に教わった。以来〈現地に行ってみて(略)そのなかで直接的に『取り組みたい』と思ったことを、次の活動につなげる〉形で行動しているという。
昭惠氏の著書『「私」を生きる』(海竜社・20154年11月刊)に出てくる話だ。自分の目で見て納得した活動を彼女は積極的に支援していること、支援には(手渡しの)寄付も含まれることが類推できる。
著書では昭惠氏が発足に関わり、自ら名誉会長を務める『鈴蘭(すずらん)会』の活動も紹介されている。
06年、ある全寮制の私塾で『大学』の素読をする少年たちに感動した昭惠氏は〈主人の提唱する『美しい国づくり』に参画するものである〉ことから〈その場で『協力したい』と申し出ました〉。どうです、この決断力。ちなみに鈴蘭会は四書五経の素読を広める会で、後に森友学園の幼稚園も同会の教材を使っていると報道された。
首相は関与を全否定したが、昭惠氏は昭惠氏の判断で動いているのだ。教育勅語を唱和する園児に感動し、志を同じくする学園への協力と寄付を申し出ても、不思議ではない。」

今回も鋭い指摘に胸がスカッとする思いでした。

石井隆監督『GONIN』その4

2017-03-18 09:04:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 荻原、昼間に帰宅。「ただいま」。無人。「パパねえ、すごい仕事してきたんだぞ。一日で三千万も稼いで来たんだから、大したもんだろ? 何だ? ヒロミ、いるんじゃん。だったら弾いてよ。『エリーゼのために』。ママ、風呂、メシ。いつもの通りだよ」。背広脱ぐ。蠅がうるさい。ヒロミ「パパ、何してんの? 弾くから聞いてて」「あっ、『エリーゼのために』だ。上手だ。上手」。拍手する荻原。ドアを閉めると、ピアノに突っ伏してるヒロミ。「パパのこと馬鹿野郎の学歴なしなんて言っちゃダメだよ。俺だってやる時はやるんだから」。ベッドには妻の死体。鏡にヒビ。独り言を言い続ける荻原。妻と一緒に風呂に入る荻原。一人で風呂に入る荻原。そこへ片目の男が現れ、荻原を射殺。(中略)
 妻と子供に会う氷頭。妻「赤い花、ありがとう」「出直したい」「どんなお金?」「お礼だ。やっと回収した」娘「ママおしっこ」。使い捨てカメラで2人を撮る氷頭。びっこをひく妻。タバコを吸う氷頭は店が無人になっているのに気づく。「ここから出る。早く!」「何急いでるの? お金払ってないじゃないの」。背後の男にバイバイする娘。片目の男、氷頭の妻を射殺。逃げる岸。
 三屋、万代に「キャプテン、最終便しかない。何で高速バスを? 金あるんだからタクシーで。万代オーナーのこの豪華ヨットクルーザーで海外脱出」
 氷頭の妻の殺害現場で無数のシャッター音。
 三屋に切符を渡す万代。バスの中に3人。氷頭「何のマネだ?」万代「ちくった奴がいる」。“一家4人惨殺”の記事。その記事を三屋も見る。岸、三屋に「てめえじゃないのか?」万代「俺だよ、きっと。俺が集めたんだ」万代、氷頭に「俺の分です」「返せねえぞ。何だよ。お前ら、銃は? 観光旅行してないで、とっとと逃げろ」三屋「何でそんなこと知ってんだよ? そんなことどこにも書いてねえぞ。一緒にとことん」万代「やり残しができた。先に行っててくれ」「どこだ? しゃべんなよ」「飯田は母の故郷だ。誰にも言っていない」氷頭「遠いな」「氷頭さん、ありがとう」。氷頭、去る。
 キャラメルを売店で買う万代。片目の男とその手下、現れる。「三屋さん!」。撃ち合いになり、片目の男の手下、足を撃たれる。「救急車を」「大丈夫です」。トイレに籠城する万代と三屋。万代「もうすぐパトカーが来る。来たら逃げろ。飯田のおふくろに金を渡してくれ。3つ数えたら~」。三屋にキスする万代。万代、死ぬ。三屋「どこ行くの? やだ。一緒に」。万代を抱く。パトカーの音。
 走って逃げる三屋。トイレには血まみれの万代。その手にキャラメルの箱。スローモーション。パトカーの音。組長にライター。片目の男「保険きかねえからよう。俺らみたいな商売。プラスしてくれ」「ダメだよ、京谷さん、分かるけど、俺の一存じゃな」「体張ってんだからよ。4人殺すったって、奴らだって拳銃持ってんじゃん。トーシロなんてよ」。
 氷頭の家族写真の前に構えた拳銃。装填。氷頭が弾倉をチェック。
夜の波止場の三屋。蠅。波の音。携帯を「バン、バン」と言って撃つマネ。
「万代氏は金がない♪金蔵立てずに殺された♪」。錨に結ばれた縄を自分の体に結んでいる三屋。「万代さん、今どこ? 俺できねえよ。かたき討ちなんて。せめて俺で勘弁して」。口に拳銃をくわえると、錨が海に落ちてしまい、それを引っ張り上げる。寝転ぶ三屋。「万代さん、聞こえる? 返事して。俺、やっぱりダメだよ。待っても行かないよ。ゴメンね。俺、疲れたから、もう眠るよ。さよなら」。いびき。
朝日。朝の街。バッティングセンターの三屋、氷頭。
事務所の前に車。写真を見て三屋「かわいいなあ、いくつ」氷頭「4つだ」「奥さんも美人なんだ」「ふん、やるか?」注射器。「ジミー、どうしてますかね」「あいつら4人で~待ってるよ」。カセットテープをセット。ヤクを打つ氷頭。雨。「昨日の夢を追いかけて♪」。眠る三屋。
「氷頭さん!」。妻と子の写真。車を誘導する組員。三屋、車から降り雨の中に。組長「めでたい、めでたい」。駆け寄る三屋。気付く若頭。双方、次々と発砲。氷頭、車を突っ込ませ、こちらも次々と射殺するも、自分も腹を撃たれる。氷頭「会長は上だな?」。組長は防弾チョッキを着ていたが、やがて脱ぎ、「遊ぼう、タカシ君」と言い、射殺される。そこに現われた京谷に射殺される氷頭。京谷の手下も射殺される。死んだ氷頭に寄り添う三屋。パトカーの音。「馬鹿野郎」とパトカーに発砲する京谷。三屋、立ち去る。
新宿発、飯田行きの高速バス。3人の女性の雑談。三屋はヘッドフォンをし、遺骨を隣席に。
休憩所。茶の缶を遺骨のそばに置いて「ビールじゃなくてごめん」という三屋。京谷が現れ、双方とも相手に撃たれ、京谷は三屋の隣の席に座る。バス出発。水滴の音。音楽が響き、映画は終わる。

この映画も光と影が印象的で、雨が大量に降る、夜のムードに包まれた映画でした。

石井隆監督『GONIN』その3

2017-03-17 09:26:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
万代、車から降り、事務所の入口へ。組の者、入ろうとするジミーに「ふざけんじゃねえ」ジミー「入れろ」。黒マスクの3人、万代のために開けたドアから、拳銃を構えて突入。「金だ、金。ぶっ殺すぞ」組長「お前ら、どこのもんだ?」「手を挙げろ。鍵は~だ?」「(雀卓の上にあった現金を持ち)これ持って出ていけ」「カードキーだよ。~の裏に貼ってあんだろうが。何? 図星だな、あ? 5つ数えるぞ。てめえら。組長の頭が吹っ飛ぶのを見物してろ。1、2、3」「チャカが怖くて極道やってられっか」と立ち上がった男、撃たれる。若頭が開けた金庫から金を鞄に入れる。組長「お前ら、地の果てまで追いかけ回して皆殺しにしてやるからな。わかっとんのか!」。一人の組員がカッターを手にしたのに気づいた万代は逃げ出して、組員らの注意を引く。
 階段を降りて来た万代に組員「こら、何だ。あのワゴン。ビルの前に駐車させんなって言ったろ? 誰なんだ、お前?(組長、頭に拳銃を当てられ姿を現す。拳銃に気づかずに)あ、兄貴。いたんですか? 誰もいなかったので勝手に入らせてもらいました」。組長を盾に4人逃げ出す。万代は残る。組長「うわー」と拳銃を撃ち続け、若頭に制止される。組員に八つ当たりする組長。車から降りた会長(室田日出男)「じたばたするんじゃねえ。いくらだ?」組長「1億とちょっと」「ケガ人は?」「野本が」「そうか」と組長に小刀を渡す。組長、汗をかきながら丁重に受け取る。
 リストラ男「肉体労働しちゃったからな。とにかく帰ったらすぐ風呂入るから。風呂だよ。風呂。それから飯ね。何だっていいよ。ママの作る料理はなにだってうまいからって言っといて。それからすごい土産があるから。すごいお土産だよ。フフフフ、内緒。すぐ帰るから。じゃあね」と怯えながら言う。タバコを吸う氷頭。リストラ男、拳銃を氷頭に。「いろいろお世話になりました。久しぶりに田舎に帰って墓参りして来ようと思います。家族4人で、旅行も兼ねて。墓参りした時、気持ちいいんです。それじゃ万代さんによろしく」。三屋「よろしくって何だよ? 殺しちまってよ」「殺しって誰?」「てめえが殺したんじゃねえかよ。あいつら黙ってると思ってんのか?」氷頭「奴ら、そんな馬鹿じゃねえよ。万代を殺したら、この店の乗っ取りがヤバくなることに」。万代、指詰められて現れる。「ラッキーだ。執行猶予付きで釈放だ」。三屋、万代を抱きとめる。
 服ではしゃぐ売春婦。ジミー。バッティングセンターに男たちが入っていく。「2人でタイに帰るの。パスポートもある」。壁に頭をぶつけるジミー。「言ったでしょ。俺、タイに行けない。これ全部君のもの。それだけ働いたんだから。それだけ体張ったんだから。当然なんだよ」「ノーなの? 一緒。ジミー、ナミ嫌い?」「俺はナミが幸せになればいいんだ。俺はどうなってもいいんだ」「一緒。ずーと一緒。嘘、嘘。これいらない」。ジミーからの贈り物を次々に投げ返すナミ。パスポート。「これ、どうした?どうしたの? これ本物じゃないの。これ」「荻さん、くれた。日本人の罪滅ぼしで」「何?」。泣くナミ。「いたぞ!」。スローモーション。ビンの割れる音。「ナミ!」。暗転。
 開店前のディスコ。万代「足がつくから当分店は閉めない。どうする?」三屋「いてやるよ」。
 拷問を受けるジミー。輪姦されるナミ。
 昼間のディスコ。万代に三屋駆けつけ、ヒソヒソ話。万代「別件だろ? 昨日の今日だ」。組員たち、やって来る。「夕べは大変ご迷惑をおかけしました。どうぞVIPルームへ」「お前ら、派手なこと、やってくれたじゃねえか。え?」。三屋、拳銃を撃ち、万代と逃げる。階段を上っていく見知らぬ男。
 部屋を破壊する組員たち。若頭「馬鹿野郎が。大事な売り物なんだ。もっと丁寧に扱え」「へい」。組長も指を詰めてる。「兄貴ばっかり責任をなすりつけやがって。もっとましなの何で上へ送ってこないんですかね?」組長「てめえの切り抜きなんかやってやがって」。ファイルされている万代の記事。「おい、こいつじゃないのか?」「あっ、こいつだ」。リストラ男、荻原の履歴書。「確か5人だったよな。あと一人デカ崩れ」。ファイルめくる2人。若頭「おい、もっとねえのか?」「へい」「こいつだ」。“警官に2年の懲役”“カジノ賭博汚職刑事”の記事と写真。「あの目だ。野郎」。
 廃墟。半殺しのジミー。ナミは死んでる。
 組長の事務所にジミー現れる。「てめえら、ナミを、てめえら、ナミを」。片目の男(ビートたけし)に射殺されるジミー。(また明日へ続きます……)

石井隆監督『GONIN』その2

2017-03-16 09:40:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 組長(永島敏行)「座ってしゃべってんじゃねえ。誰に向かって口聞いてんだ。土下座しろ。万代さんよ、あんたが1億返さないから、鉄工所の女社長、首吊っちゃった。歌、歌ってた頃の後援会長だって言うじゃないの。あんた、それでも人間か? 俺らは人様の不幸を見逃せない質でさ。分かるか。あんたのやってること。人間のするこっちゃねえ。(タバコ、投げ捨てる)首でも吊るか? あ? 足、引っ張ってやんぞ」「10日、あと10日で別口の」「辞めて出ていけよ。あんなガキの遊び場。公共的にも邪魔だ」「そこを何とか」万代を蹴って「うるせえんだよ。そこへ金髪で赤いジャンパー姿のジミー(椎名桔平)が現れる。「お前、組員なら組員らしい恰好しろって言っただろ?」「何だ? このタコ」「年季が来たのにパスポート返さねえって」「上の決めるこった。パンチドランカーなんかが口に出すもんじゃねえ。パンすけでも見張ってろ」。ジミー、組員たちを殴って倒す。「やかましい! 分かったよ。俺がよく言っておくから。よっ、万代さん、こっち来い。教えたろ。土下座しろ! (万代の手を踏む)なめんじゃねえってんだよ」。
 夜の雨の横丁。“スナック・ピンキー”の看板。万代「ジミーの居場所を教えてくれ」「知らない」勘定書を見て「何これ? ビール1本飲んだだけじゃないの?」「触ったじゃない」「ぼったくりかよ。責任者呼べよ」「マスター、お客さん変」。便所から出てきたマスターの腕をねじると、元刑事の男(根津甚八)が現れ、万代の腹を殴る。
 刑事、万代に「公務執行妨害で逮捕するぞ」(モノクロで声にもエコーがかかり、回想シーンと分かる)。
 水道の水で血を洗う万代。店の外で元刑事に万代「ムショ帰りで~。ヤバイ仕事あるんですよ。一緒に。氷頭(ひず)さんのことマスコミに言ったの、ゴセイ会の大ボスだって。バーターで某政治家のホモ騒動をもみ消したって。大越組には毎週すごい額の金が集まるって。ご存知ですよね。金庫の鍵、どこにあるか、ご存じですよね。拳銃売ってるところ、ご存じですよね。3人でやりますか、氷頭さんと血の気の多いチンピラ」「兄さーん」氷頭、去る。「連絡、待ってます。奴らの金は警察に届けられないから、それを狙います。借りてる相手がバブルではじけて、ヤクザが入りこんで。よくある話か。ベンツ乗り回してブランド着やがって。マスコミの寵児ってか?」「兄ちゃん、早く」。
 夜道。外人の売春婦(川上麻衣子)に話しかける万代。「日本語分かる? ジミーはどこにいる?」。向こうで男女の喧嘩。反対側からは警官が駆けてくる。便所の個室に売春婦と隠れる万代。
 ゲーセン。売春婦「ジミーさん、ここ」。バッティングセンターの裏方。ジミー「興味ねえよ。そんな話」「だから前金で払うって」「危ねえから。気をつけよう。ぼろい話と~てか?」「アタシ、ゴメンナサイ。コノヒト、ワタシ、タスケラレタカラ」「だっ、大丈夫だって。俺マジに働くからよ。帰れよ。危ねえよ」「彼女とタイで暮らせるんだぞ。パスポートも~。すごい金額なんだぞ。ジミー」。ジミー、万代と売春婦を追い出す。しかしすぐに気が変わり「よお、お二人よ、今何って言った? 何を知りたいんだ? 何でも知ってるぞ」。バッティングする氷頭。
 開店前のディスコ。万代「馬鹿じゃないか、てめえら。まあ、聞けよ」三屋「何も聞いてねえって。聞いてねえよ」。ジミー、売春婦と去ろうとする。氷頭「奴の口を封じるか? 決めろ! また一人増えんのかよ。ヤクザと野球でもする気か?」。 三屋、売春婦に「茶髪なんかにしやがって」。氷頭「人集めの基準は何なんだ?(中略)どっちなんだ? どっちだ?」万代「辞めます」。氷頭、万代を殴り、去る。「待てよ、おっさん」と三屋、氷頭を殴り、殴り返されると、ナイフを出すが、氷頭は拳銃で応酬。「こいや、チャカが怖いか?」。氷頭の腕から垂れる血。氷頭「どチンピラが」と三屋の腕をねじる。氷頭「お前とこの坊主で十分だ。(ジミーを指して)あいつはいらねえ」ジミー「何だよ。よってたかって。弱い者いじめしやがって」。壁の陰に男。氷頭、気づき、「やるか? 出て来い」。リストラの男、出て来る。「ンヒヒヒヒ、私ダンボの耳。政治が悪い。ねえ、万代さん。日本の男が悪い」と売春婦と踊り出す。氷頭「どっちだ?」。氷頭、去る。暗転。
 夜の街の車中。拳銃ではしゃぐリストラの男。氷頭「トリガーに指かけるなって言ったろ?」三屋「ジミーちゃん、うまくやってくれよう」。ジミー、大越組の事務所のブザーを鳴らす。組の者「破門だ。入れられない」。リストラの男「ばれて皆殺しだ」万代「ジミーの情報を無視するんですか? ここには集金日に相当額の金が」氷頭「どこから入るんだよ?」万代「俺を盾に突っ込んでください」氷頭「止めろ」。(また明日へ続きます……)

石井隆監督『GONIN』その1

2017-03-15 08:50:00 | ノンジャンル
 石井隆監督・脚本の’95年作品『GONIN』をWOWOWライブで見ました。
 水滴の音。つぶったまま動く眼球。踊る狂う男(本木雅彦)を冷ややかに見る男(佐藤浩市)は、踊り狂う男の免許証を拾う。雨降る横丁。「なめたいか。なめたら立つぞ、アハハハハ」と踊っていた男は、相手の男にバットを振るう。相手の男「この町から出られないようにしてやる」「二度と会えねえようにしてやるよ」。そこでバットを手にしていた男は振り向く。見ていた男に一線の涙。バットの男はナイフで涙の男を刺し、そこで目覚める男。彼は起きだし、カーテンを開ける。
 東京の夜景の空撮をバックにタイトル。
 バッティングセンター。空振りばかりの男。向こうでは喧嘩。男の携帯がなるが、男は出ない。禿の男(竹中直人)「鳴ってますよ。気になって集中できない」「出ようが出まいが俺の勝手」「何か言った?」「馬鹿か、こいつ」。
 ゲーセンを出る男。「何か言ったかって?」とバッティングセンターの男、バットで男を殴ろうとし、やがて泣き出す。「おっさん、大丈夫か? 頭打ったか?」。
 救急車の音。男の車の中。「血が止まらない」「お送りしよう」「千葉だ。訴えてやる」。泣く男、携帯電話をかける。「あっ、パパ。ごめんね、遅くて。ママは起こさなくていいよ。まだ大阪。心配しないでって言っといて。お休み」。「リストラに会ったんだ。宮仕え20年。家族にも言えない。カプセルホテルに泊まってる」「3千万残ってる」「あんた、何屋? こんな車買う金あるんだったら雇ってくれ。これ履歴書」。
 ディスコの前に停まる車。出て行く客に男「ありがとうございました」。男はディスコの音楽を一旦止め、客が静寂に包まれると、再び音楽を流す。踊っている客に「お楽しみのところ、申し訳ございませんが、本日はこれで閉店させていただきます」「何? はっきりしゃべれって」「親分さん」「なめてんのか?」。親分、バットで男を殴る。ナイフの男、親分に「兄ちゃん、一緒に踊ろう」「このガキが」。ナイフの男、倒されてナイフを出す。親分は拳銃。若頭(鶴見辰吾)「落ち着けよ」「分かったよ」男「電話をいただけましたらVIP席に」若頭「携帯に出ろよな。とんずらしたかと思った」「金策に走り回ってまして」「まあいい。明日顔だせよ。組長が怒ってる。(ナイフの男に)若えの、うちに来ねえか?」。ナイフの男、つば吐く。「早死にすんなよ」。若頭や親分ら、去る。男、スタッフたちに「今日は終わりだ。何事もなかったことに。いいな?」「はい!」。ナイフの男に「申し訳ありませんでした。これ、むき出しで申し訳ないんですが」と現金を渡そうとするが、「ケタが違うよ。俺をちくった落とし前だよ」。リストラの男「なら俺がもらっとく」「戸塚、この人タクシーで送ってやって」ナイフの男「俺を起こせよ」。
 海沿いのテラスハウス。「改めてお詫びを。これで口の中を消毒してください」。ナイフの男、差し出されたビンを落として割る。「お礼じゃねえって。落とし前だ」「ちくったのは」「とぼけてんじゃねえ。俺の免許証拾ったろ。あれでこれだよ。(手錠をかけられたジャスチャー)ケタ間違うな」「送ってやろうと思ったんだけど」「だからってちくらなかったとは言わせねえ。(ナイフを取り出し)金出せよ」「いくら?」「すべて。センターエスタブリッシュメント、万代(ばんだい)幹彦さんは金持ちだ♪」「お望みなら。ただし暴力団の取り立て付きでよろしければ。どうしますか?」「現金でいいや」「分かりました。少なくとも1千万」「5千万だよ」「運が良けりゃ。俺一人では無理だ。三屋(みつや)純一と一緒なら奪えると思う。あと一人は元刑事。3人で多分1億。俺も結構ヤバイ。なめんなよ。なめたら立つぞってか? どうする、三ツ矢君。ちんけな財布を取るか」。三屋、女装のカツラを取り、「アハハハハ、お前、モーホじゃねえだろうな。勘違いすんなよ。俺がこんな格好してんのはな、金持ちのモーホのエサを横取りするためだ」。服を脱いでいく三屋。「汗臭えや。シャワー借りるぜ。どこだよ?」。万代、ナイフで指し示す。「下着の用意、しとけよ。ハハハ」。
 “大越芸能社”の看板。万代は監視カメラの位置を確認し、ピンポンを押す。「ディスコの奴が来ました」「入れ! こっちだ! こっちだよ!」(明日へ続きます……)