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水内喜久雄・編『一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある』

2007-10-31 16:11:33 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた詩集「一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある」を読みました。これは自殺を思いとどまらせるために作られた詩集で、51人の作家、詩人、作詞家がかいた51編が載せられています。
 冒頭で、この本の編者のことばが綴られています。
 「お願い
 
  一編の詩を読んでください

  一編の詩が
  ぼくを励ましてくれました
  一編の詩が
  ぼくを育ててくれました
  いま 大好きな詩と
  ぼくは生きています

  その大好きな一編の詩を
  あなたにも読んでほしいのです

  ぼくはあなたと知りません
  あなたの痛みは
  わからないと思います
  だからこそ
  ぼくの大好きな詩を
  届けたいのです

  ここにある一編の詩を
  読んでください
  そして 決して
  死なないでください」

 こういう気持ちがこめられた本です。
 自殺というのは悲惨なものです。私自身が2度自殺未遂を起こしているので、自殺に至る人の気持ちがどれだけ苦しく、どれだけ耐え難いものなのかは、知ってるつもりです。そうして自殺していく人が今日本には年間で1万人を越しているのです。この本によって、1人でも自殺を思いとどまる人がいたら、なんて素晴らしいことなんだろうと思います。
 詩を書いている人は蒼々たる顔ぶれで、私はビートたけしさんの詩が一番好きでした。皆さんもこの本を手に取って一読し、この本の優しさに触れられれば、と思います。
 なお、この本についての詳しい情報は「Favorite Books」の項に載せましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

異性とかかわることは面倒?

2007-10-30 15:40:43 | ノンジャンル
 10月12日の朝日新聞の朝刊に「『卵子だけ生殖』時代」と題した記事が載っていました。記事の内容な精子なしで卵子だけで子供を作ることができる技術が開発されているというものでしたが、そこに載っていたグラフが面白いものでした。
 「異性とかかわることは面倒か」という厚生労働省の調査結果なのですが、'06年だと「とても面倒だ」と答えた男性が1.9%に対し女性が3.8%、「ある程度面倒だ」と答えた男性が29.6%に対し女性が33.3%、「あまり面倒でない」と答えた男性が44.4%に対し女性は39.8%という結果でした。これは男性は女性とかかわるのは面倒とはそれほど感じていないが、女性は男性とかかわるのをかなり面倒と感じているということです。
 私が考えるに、これは男性の成熟度が落ちているのが原因なのではないでしょうか? 優しさの欠如、不寛容、女性に共感する能力の低下、わがまま、自分勝手、などなど。
 というのも、母などからおじいちゃんの話などを聞くと、家事は妻任せなのですが、それ以外の部分に関してはとても優しかったりするんですね。全共闘世代の男性は青春をわがまま放題で暮らし、現在の若者はゲームなどのバーチャルリアリティの世界に生きている人が多く、成熟度に問題があると思います。これは話題になった「電車男」を読めば分かります。女性に告白もできない情けない男が多くの人間の励ましによってやっと告白すると周囲の人間が狂喜するという、何とも情けない小説でした。こんな小説がヒットするのですから、読者たちの不成熟度たるや、推測して余りあるものがあります。
 私も含めて男性の皆さん、女性に愛想をつかされる前に、カッコイイ男になりましょう!

トルコ、クルド掃討で国境越え

2007-10-29 18:32:58 | ノンジャンル
 レッドソックス4連勝してしまいました。私は第一戦のベケットの投球を見ていないので、せめて第6戦までやってほしかったのですが、まあ、仕方がありません。これで午前中テレビ観戦で時間がつぶれないと思えば、良かったのかもしれません。

 さて、10月10日の朝日新聞の夕刊に「『イラク国境越え辞さず』トルコ、クルド掃討で声明」という題名の記事が載っていました。
 記事を引用すると「トルコ政府は9日、北イラクを拠点とする武装勢力のクルド労働者党(PKK)掃討のため、『イラクとの国境を越えた軍事作戦を含むあらゆる対策をとる」とする声明を発表した。アナトリア通信などが伝えた。戦闘やテロ事件で軍民両方に犠牲者が相次いだことを受け、イラクと米国の意向に反して越境攻撃する可能性を示唆したもの。
 複数のトルコメディアは、軍に越境権限を与えるため、政府が近く議会承認の手続きに入ると報じた。実際に侵入した場合、泥沼化したイラク情勢の新たな不安定要素になることが懸念される。
 イラク国境に近いトルコ南東部のシルナク県では7日、トルコ兵13人がPKKとの戦闘で死亡。翌8日にも兵士2人が死亡し、政府に強力な対策を求める声が強まった。
 クルド人による独立国家をめざし武装闘争を続けるPKKは、現在イラク北部の拠点に約3千人の勢力を持つとされる。
 トルコとイラクの両政府は9月28日、PKK掃討に向けた協定に合意したが、トルコが求めた越境追跡などは盛り込まれなかった。」
 この記事で問題なのは、トルコ、イラク両国ともクルド人の独立国家を認めないことです。認めていれば、国境を越境までしてクルド人を追い詰め殺す必要など、始めっからないことになります。というか、この戦闘はこの世に存在していなかったでしょう。
 すべての民族に自決権がある、ということが決められたのは、第一次世界大戦の後でしたよね。この考えに従って東欧やバルカン半島の各国が独立を果たしました。これには当時のアメリカ大統領ウィルソンの意向が強く反映されていました。
 それからもうすぐ100年を迎えようとするのに、未だに民族の自決権を認めず、独立運動を武力で弾圧するロシア、トルコ、イラクなどを、どうして世界は許したままにするのでしょうか? ロシアは大国でありなかなか圧力をかけることができず、イラクはアメリカが武力に物言わせてぶっ潰しましたが、クルド人の独立を実現させようとアメリカがしているとは思えません。そして一番やりたい放題なのが、トルコではないでしょうか?キプロス島のこともありますし、このクルド問題にしても、世界中で経済制裁をするだけのことをトルコはやっていると私は思います。PKKは自分たちの権利が侵されているのですから、武力を用いてもまだ正当化の余地はありますが、トルコ側にPKKを攻撃する権利は復讐以外には何もありません。ただちにPKKへの攻撃を止め、対話を試みてほしいと思います。

西加奈子『しずく』

2007-10-28 16:10:58 | ノンジャンル
 今日の日本時間の午前中に行われたMLBのワールド・シリーズ第3戦。松坂は投手として5回を1点で押さえ、打者としては2点タイムリーを打つ活躍を見せました。しかし岡島はスリーランホームランを打たれましたが、試合はレッドソックスの圧勝でした。このままだとコロラドで優勝が決まってしまいそうです。ロッキーズ頑張れ!

 そして今日は映画監督のマキノ雅弘さんの命日にも当たります。今一度、彼の映画の記憶を思い出すのもいいかもしれません。あまりマキノ監督のことを知らないという方は、このサイトの「Favorite Movies」の「マキノ雅弘」の項をぜひご覧ください。

 ところで、西加奈子さんの初の短編集『しずく』を読みました。すべて「女どうし」を描いた短編です。
 第一話「ランドセル」は、小学生の時の友人が、大人になって久しぶりに再会し一緒に海外旅行する話。
 第二話「灰皿」は、小説家を夢見ていた夫に死なれた年老いた妻が、自分達の暮らした家を女性の小説家に貸し、二人の交流から年老いた妻が夫と新しい関係を築いていくという話。
 第三話「木蓮」は、離婚した恋人の子供を預かるはめになった子供嫌いの女性が、恋人に気に入られるために子供に好かれようとするが、馬鹿馬鹿しくなり本音を子供に言い始めることによって、かえって子供と仲良くなるという話。
 第四話「影」は、男性関係で会社を辞め、南の島に一人でやって来た女性が、嘘ばかりつき、頭がおかしいと島の人から思われている若い女性に出会い、その女性から自分らしく生きていくことを学ぶ話。
 第五話「しずく」は、小説家に飼われている雌猫とイラストレータに飼われている雌猫が、若い飼い主が同棲することで一緒に暮らすことになり、2匹は蛇口から垂れるしずくを見、なめるのが大好きになるのですが、飼い主達は仕事で成功を収めていくに従って、邪険になり、飼い主同志のケンカも頻繁になり、汚れた食器があふれて蛇口にも近付けなくなります。やがて、飼い主は別れ、2匹は別々になりますが、忘れやすい彼らは、何か柔らかい毛があるやつがいなよな、と思い、飼い主が彼らを抱いて流す涙を体に感じ、しずくを思い出して、ああ、確かにいた、と思うという話。
 第六話「シャワーキャップ」は、男と同棲するために引越しの準備をしている女性が、男が別の女性と親し気に歩いているのを目撃して疑心暗鬼になるのですが、上京してきた、おおらかで素直で可愛い母と接しているうちに、母の強さをもらい、前向きに生きて行く気持ちになるという話。

 私が一番好きだったのは、「木蓮」でした。西加奈子さんの小説のいいところというのは、登場人物の感情がストレートに伝わって来るところだと思います。この短編では、主人公の女性の気持ちが活き活きと描かれていて、また嫌味な子供との掛け合いも楽しめ、最後のハッピーエンドもとても気持ちのいいものでした。
 それから、「影」も好きな作品です。嘘ばかりつく女性が、実は宿の息子が若くして亡くなった時の恋人で、未だに彼の死を受け入れられない人だというのが最後に宿の女将さんによって明らかにされ、ラストシーンでの浜で右往左往して泣き続ける彼女の姿に胸が痛くなりました。
 他に気になったのは、「シャワーキャップ」の母の天真爛漫さに惹かれました。また「しずく」は、絵本の語り口で、ネコの面白い会話が中心に語られていて、面白い試みだと思いました。
 西さんの短編、良かったと思います。これからも期待したいです。
 なお、詳しいあらすじは、「Favorite Novels」の「西加奈子」の項に掲載しておきましたので、興味のある方はご覧ください。

イランでは発禁?

2007-10-27 14:56:45 | ノンジャンル
 昨日、NHK総合夜10時から、菅野美穂のヨガをめぐるインドの旅を1時間半分に渡って放送していました。インドを訪れるのは2度目ですが、前回はヨガを始めていなかったので、今回は自分に合ったヨガ探しの旅でもあったようです。表情豊かで、謙虚で、涙に濡れた瞳が美しく、英語がうまく、人なつっこく、特徴のある字で几帳面に文章を綴り、子供のように素直に感情を表現し、菅野美穂の魅力満載でした。ビートルズのメンバーも訪れたというヨガの聖地アシュラムも訪ね、そこにはジョン・レノンがまだ生きていました。2000年前に書かれたヒンドゥー教の聖典「バガヴァッド・ギーター」の第6章にヨガの定義が既に書かれていて、ヨガとは精神に平和と調和をもたらすものであり、苦しみから解放してくれるものであり、すべての宗教を受け入れる、寛大にして強力な力である、と言うことも語られていました。とても優れた番組だったと思います。

 さて、10月10日の朝日新聞の夕刊の「週間コミック★ジャック」という藤本由香里さんのコーナーに「イランでは発禁」という題のコラムが載っていました。
 記事を引用すると「世界的なベストセラーとなった原作マンガを作者自身がアニメ化し、今年のカンヌ映画祭で審査賞を受賞した、マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』が注目を集めている。イランで生まれ育ち、子供の頃にイスラム革命やイラン・イラク戦争を体験した作者の自伝的な作品が、パルムドールの候補になったことにイラン政府が抗議し、フランス外務省は『選考に政治的な意図はない』と応酬。フランスで公開されるや100万人を超える観客を動員。日本でも正月に公開予定だが、原作はイランでは発禁になっている。
 娘に西洋的な教育をほどこす反体制的知識人の家に生まれ育った作者の体験は、ある意味、特殊なものではあるだろう。激変する政治の中で、親類や知人が次々に逮捕され、拷問され、処刑され、あるいは国外に亡命する。父親が戦死した友人は『死んで英雄になるよる、生きて刑務所にいてほしかった』といい、『処女を殺すのはイスラム法で禁じられている」ため、反体制派の若い女性は純潔を奪ってから処刑する、という胸の悪くなる話もある。
 その中で『弁証法的唯物論』というマンガ本を読み、パンク音楽に夢中になり、学校で反抗的な態度をとり退学になる作者。両親はそんな娘を心配しウィーンへ留学させる。今度は西洋人の中の第三世界人としての孤独。恋にクスリ、路上生活、そして帰国--。
 1人の女性の成長を通して、異文化の衝突と混在とが余すことなく描き出された傑作である。」
 この文章を読んで驚くのは、やはり処女の女性を犯してから処刑する部分でしょう。親類や知人が次々に逮捕されていき、拷問を受けたり、処刑されたり、ということですが、何の容疑なのでしょう?具体的に何を理由に逮捕されたのでしょう? 非常に知りたいところです。
 イランには優れた映画監督が何人かいて、映画的には抑圧されている感じはしません。しかし、このような映画が発禁になるということは、イランが近代化されつつあると言っても、やはり限界があるのでしょう。イランの実態を教えてくれる本を読みたくなりました。