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石井輝男監督『黒線地帯』その2

2017-01-31 09:48:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 女の部屋。「サブのことは知らない」「ヒントだけでもいいから」「それよりもこっち来ない? 今晩は帰さないわ」。鍵を閉める女。町田「面白い手品を見せてやろう」。鍵穴に細工して鍵を外す。「なかなかやるわね。ご褒美にサブのいるところを教えるわ。シンガポールよ」。
「シンガポール」が源氏名の女に町田は会う。女は「やばいことがあってしばらく帰れないと言っていた」と言い、そこに鳥居が現れ、町田は去る。町田の使っていたコップをポケットに入れる鳥居。
 「国際港横浜。殺された大沢レイコは、ここの“ブルームーン”でよく踊っていた。それが唯一の手掛かりだ」。
 町田の運転する車の前に立ちはだかる若い女性(三ッ矢歌子)。強引に車に乗ってきた彼女は、自分の名前はミサコだと言い、「すぐだから」と言って日本人形教室の前で車を降りる。
師匠は「頬に手をついている娘とは話がついている」と言い、それを聞いた男はにやつく。
人形の配達を頼まれたミサコは、人形店に町田の車でそれを届け、お礼にと言って小さな人形を町田に贈る。ミサコは今晩ブルームーンに踊りに行こうと町田を誘い、町田は「じゃあ6時に会おう」と約束し、賭場にいた女が店に入るのを目撃する。
町田は女を尾行すると、女は例の洗濯屋に入っていく。警戒の目つきの店主。向かいの建物の屋上からは鳥居が女と町田の様子を見て、にやけている。店を出た女に町田は声をかけ、「ちょっと付き合え。御馳走をたっぷりと」。車に乗った女は人形を見て顔色を変える。町田「人形の中身が麻薬だ。君はもう逃げられない」「この前は自分が逃げたくせに」。笑う女。
 町田の車に鳥居の車が追いつく。町田「僕は犯人じゃない。朝、絞殺された女が寝ていた。これは罠だ」鳥居「しかし証拠がある。君のボタンがないのに気づいていたし、コップの指紋も現場の指紋に一致した。女中のひき逃げの通報の声も君のものだ。裁判では物的証拠がものを言う。弁明は裁判でしろ」「死刑囚になるか、トップ記事を書くジャーナリストになるか勝負だ」「なら48時間だけ待ってやる」。
 ブルームーンに車を乗りつける3人。刑事が現れ、「町田さんですね。ご同行願います」と言い、町田は車で逃げだす。
町田「ミサコは麻薬の運び屋をやらされていたことを知らない。だから人形をくれた。ミサコの話から僕のことを奴らは知り、警察に通報したんだ。ミサコも消される危険がある」。(中略)
足がついた車を捨てて、バスに飛び乗ろうとした2人だったが、女は乗り損ねて頭を打つ。
海岸べりの家に運び込まれた女・マヤは、町田から翌朝まで看病を受ける。
翌朝。「明日の晩までね」「真犯人を捕まえる」「占ってあげる。やった。うまくいきそうよ。私は小さい頃から家族を養うために、いろいろやってきた。そういえば、殺し屋のジョーがこっちに来ているって聞いたわ。~のカヨの所に通いずめだって」。(中略)
オカマの歌手、カヨを訪ねると、ジョーの居場所は知らないと言う。
町田はミサコの先輩であるレイコの許を訪れ、レイコを殴り、マヤのところへ連れていかせ、「ボスは誰か?」と詰問すると、レイコは「サブに言ってホテルに案内させただけ」と言い、苦しみだす。町田「ミサコはどこに?」。
ボス、ミサコに「弁解は無駄だ。今に自分の方から打ってくれと言いだす」。
禁断症状に苦しむレイコは、ブルームーンにボスがいることを告げ、町田はマヤに警察に通報するように言い、自分はブルームーンに向かう。
ブルームーンへ向かう町田。「ミサコは無事か? 踊り子の偽装殺人、麻薬、暴力売春、すべてを操っている奴がいる。許せない」。
ブルームーンの控室に踏み込む町田。ミサコ「町田さん!」ボス「あんたは?」「何かと世話になっている町田だ」「一人で? 勇気がある」「その少女もいただく」「それは困る。あなたも帰れない」。(中略)「張本人はお前だ」とボスを殴り続ける町田。一人の女が拳銃に手を伸ばすが、ミサコが阻止する。ボスは罪をようやく認めるが、そこにサブとジョーが現れ、ジョーはボスを射殺し、自分が麻薬王になると宣言する。ミサコの投げたコンパクトがジョーに当たり、それがきっかけとなって乱闘になり、逃げるジョーを町田が追い、列車上での乱闘、川に落ちて岸に上がってからの乱闘の結果、町田が勝ち、警察もやって来る。鳥居は「自分の負けだ」と言い、マヤは「網走ホテルに行くわ」と言うが、町田は「占うと、君の前途には希望がある」と言う。俯瞰の画面で、マヤが向こうのパトカーへ歩いていき、逮捕されるのを、こちらで町田が見守るところが映し出され、映画は終わる。

ラスト近くのボスと町田の会話シーンの顔のアップの連続が見せ場で、ラストシーンのショットも記憶に残るものでした。

石井輝男監督『黒線地帯』その1

2017-01-30 11:06:00 | ノンジャンル
 WOWOWオンデマンドで、石井輝男監督・共同脚本の’60年作品『黒線地帯』を見ました。
 夜の繁華街を逃げる若い女性。金管とドラムスのジャズ。タイトル。女は映画館に逃げ込み、追ってきた町田(天地茂)は周りを見渡す。占い師の女は彼に声をかけ、女難の相が出ていると言い、探している白いコートの女の特徴も言い当て、ポン引きのサブに案内させる。
 ホテルの部屋。女中が水を持ってきて、それを飲んだ町田は意識を失う。仰角で撮られる、タバコをくわえ不適な表情のサブ。
 鉄道の見える部屋で目を覚ました町田は、自分の手首に結ばれたネクタイが、隣の若い女性の死体の首まで伸びているのを見て驚く。「白いコートの女が殺されている。なぜ? そうだ。あの女中が持ってきた水に麻薬が入っていたのだ。部屋は完全に偽装されている。俺の指紋がついたコップは持ち去られている。とにかくここを脱出して対策を練なければ」のナレーション。カメラは部屋を出る町田から、床に落ちているブラジャーへ移り、そこから女の死体に移ると、そこでは現場検証が行われている。
 旅館には大勢の野次馬が駆けつけ、その中に町田もいる。「昨日の女中はポン引きと占い師の仲間。そして私が犯人にされる」。去っていく町田。「易者とポン引きを探さねば」。
 “裸体死美人はパリ座の踊り子”を報じる新聞売り場。「ホテルの女中に会いたいが、あそこに近づくのは危険だ」。車が歩いていた町田に横付けし、「ホテル川本に行くんだろ? 乗ってけよ」と鳥居が声をかけてくる。
 事件現場の部屋。マネージャーは新聞記者の仕事をねぎらう。「加害者のボタンが落ちていたらしいが、ありふれた品物なので手がかりにはならないだろうな」と鳥居が言うと、思わずコートで上着を隠す町田。そこへ女中が警察から戻ってきて、町田を見てハッとするが、彼が犯人だとは言わない。
 夜。女中を尾行する町田。女中は尾行に気づき、走って逃げようとするが、結局町田に捕まってしまう。「君はなぜ僕を逃がした?」「あんたなんか見たことない」「あの晩に運んできた水で意識を失った。本当のことを言え」「許して。あなたのことは黙っていたでしょ。これからも黙っている」「僕は無実だ。罠にかかった。本当のことを言わないと、このまま警察に突き出す。(女中が持っていた麻薬を奪い)麻薬取締違反だ。レイコが麻薬で体を縛られた黒線地帯の女だと知って、僕は彼女を追った。そして秘密がばれるのを恐れた組織によって消された。その組織の一員がお前だろう?」「違う。私はただ……」。女中はまた逃げ出すが、車にひき逃げされる。「あの晩の男、サブ……」と言って息絶える女中。
 町田はひき逃げを警察に通報する。その電話の録音テープを聞く刑事ら。ひき逃げの通報を告げる、若い女性による通報も再生される。「女の方は信用できない。あの暗さの中で犯人の人相を見ることができるはずがない」「しかし、女性の言っている犯人の特徴と、女中の話の犯人の特徴は一致している」「とりあえずブン屋関係で洗い直そう」。
 ナイトクラブのショー。控室にいたエニーは面会に呼ばれる。
 屋上で花束を持って待っていた町田はエニーのファンを装い、レイコと親友だった彼女からレイコの情報を得て、レイコが洗濯屋を親戚にしているということを聞きだす。
 洗濯屋を訪れた町田は、「うちはパンツとブラジャー専門の洗濯屋なんかじゃない。舞台衣装のデザイナーだ」という店主にレイコのことを尋ねるが、彼女とは親しくしていたが、血縁はないと言う。
 テープを再生する刑事に「今度のは高校生殺人事件よりやっかいだぞ」と声をかける同僚。
 町田は街頭で商売しているポン引きに男を紹介してもらい、女性の写真を見ながら「サブのところはもっといいのが揃ってるぞ」とブラッフをかける。男は「女を得るルートが違う。今度はサブに負けない上玉を用意する」と言う。
 若い女性と部屋に案内される町田。女の控室では、麻薬を打ち過ぎて、ふとももの裏にまで打つ女がいる。若い女性が部屋を離れた隙に、彼女の「すみれドレスメーカー学院」の学生証を隠れ見る町田。若い女性は生活費のためにこの仕事をしていると言うと、町田は「君、大分打ってるね。足にも。取引しよう。サブのドヤを教えてくれ。この金があればいい衣装が買える」と言う。清純そうだった若い女性は、にんまりと笑う。
 通りを見渡せる2階の部屋からサブを発見する町田。町田はサブを追うが、やがて見失う。屋上からそれを見てにやにや笑うサブ。
 夜のドレスメーカー学院。町田はいきなり「誰だ?」と大声で問われ、乱闘になり、やがて町田以外の男たちは去る。床に倒れている女性(三原葉子)。周りに散乱する花札。
 女「せっかくついてたのに」町田「まさかあそこが賭場とは。お詫びに御馳走しよう」女「やったー!」。(明日へ続きます……)

石井輝男監督『黄線地帯(イエローライン)』その3

2017-01-29 10:38:00 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊に、エマニュエル・エヴァさんとジョン・ハートさんの訃報が掲載されていました。エマニュエル・エヴァさんは何と言っても『二十四時間の情事』(別題『ヒロシマ・モナムール』、『ヒロシマ・わが愛』)と主演として圧倒的な印象を残し、ジョン・ハートさんは名バイプレーヤーとして活躍した人で、すぐに思いつくのは『エイリアン』で最初に犠牲になる役でした。改めて両名のご冥福をお祈りいたします。

 さて、また昨日の続きです。
そこにはムーアという黒人女性がいて、「タイラのマサを知ってるか?」とトシオが尋ねると、「彼が客を世話してくれている。今外に出ると危ない。変な男がうろうろしている。私の部屋へ」と言う。
 「ゆっくりして」と服を脱ぎだすムーア。「そんなつもりはない」とトシオ。「変な男たちは町の女を追っていた」とムーア。「金で君の体を買うようなことは嫌だ」「そんなことを言うのは初めて。今はどん底。パイラに売られた。プランタンは外人向けの売春組織だが、そこからこんなところに売られた」「君のような人を助けたい」。「ムーア、開けろ!」の声。ムーアはトシオを逃がすが、トシオは結局男2人に捕まってしまう。男2人は実は刑事で、トシオがムーアのヒモだと勘違いしたのだった。
 ムーアは阿川の前で殴られ、港へ連れていかれることになる。
 荒々しく働く浚渫船。海底から浮かび上がった箱の中には麻薬が満載されていた。
 トシオは警察にプランタンに踏み込むタイミングと、ムーアの命が危ない件を電話で告げる。
 海岸。「ブツは上がってる」阿川「次に一人眠らせてほしい。バケットで。朝に死体が上がったと届け出ればいい」。ムーアに迫る重機。口をテープでふさがれ、手足の自由を奪われたムーアの悲鳴。
 プランタンに連れて来られた殺し屋は「3号じゃねえ。俺を騙した。税関長を殺して一番得する男だ。まだ弾は残っている」。プランタンに連れていかれるエミ。強気なエミ。ショーが近いのにダンサーが酔ってしまっていると伝えられた阿川は、エミに「あんた踊り子だったね」と言い、エミも「いかすの踊るわ」と答える。
 黒人のバックダンサーの前で半裸で踊るエミ。にやつく阿川。殺し屋が現れ、阿川に「約束の時計だ。報酬の代わりにパトカーだったな」。逃げようとする阿川に「待て。エミの踊りが済んだらエミをここへ。お前のおかげで知り合った女だ。あの女に手を出す奴は俺が殺す。あの税関長みたいにな。なぜこうなった?」「上の命令だ」「ではそろそろ上のところへ案内してもらおうか」。
 プランタン前にトシオが隠れている。車で出かける阿川と殺し屋とエミ。タクシーで追うトシオ。
 夜。車がパンクし、警官2人が通りかかる。殺し屋「殺人依頼者だってことを忘れるな」。やって来た警官に、阿川「社会事業家の高松さんのところに向かうところです」。パンクを直して車が立ち去ると、トシオが警官に事情を話す。
 高松とユミコ。「帰して」「最初は皆そう言う。ここではいくら大声を出しても誰にも聞こえない」。阿川ら、現れる。高松「阿川か? 何でこんな男を私のところへ?」。拳銃を構える殺し屋。「貴様は阿川のボスか?」。啖呵を切る殺し屋。責任転嫁をしあう阿川と高松。「貴様は何人殺してきた?」拳銃で高松を殴る殺し屋。血まみれの顔で命乞いをする阿川と高松。殺し屋は結局2人に弾を撃ち込む。「金ならいくらでも出す」と言う高松に、とどめの一発を発射した後も、何発も銃撃する。エミ「嫌い。あなたのような人殺しは大嫌い」「そうか。お前もか。俺が安全地帯に入るまでお前に自由はない。(ユミコには)ポリ公が来たら、言ってくれ。俺に何かあったら、この女の命はないってな」。警官を振り切り、殺し屋はエミを連れて車で逃げる。追いかけるトシオと警官。パトカーも加わる。車を停め、拳銃を発射させる殺し屋。「抵抗しても無駄だ」と警官。エミを連れて逃げる殺し屋。行く先からもパトカー。「近づくと女の命はないぞ」「トシオさん」「畜生。捕まってたまるか」。撃たれる警官。トシオは殺し屋のいる小屋に一人歩いていく。「それ以上近づいたら撃つ」。トシオは歩みを止めない。「撃つなら私を」「女を放せ。その代わりに警察の盾に俺がなる」。トシオ、腕を撃たれる。「なぜ抵抗できない女を盾にする? 警察に腹が立つなら俺を撃て」「トシオさん、いけない。あなたが死ぬなら私も死ぬ」。トシオはエミと一緒になる。「よし、お前ら2人望み通り撃ってやる……。畜生。俺はなぜ撃たないんだ。あんたたちは俺とは違う人種だ」。殺し屋は警官が包囲する中、小屋から飛び出し、集中砲火を浴び、倒れる。無惨な殺し屋の死体を見つめ、たたずむトシオとエミの姿で映画は終わる。

 文句なしの傑作です。

石井輝男監督『黄線地帯(イエローライン)』その2

2017-01-28 10:05:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 帰宅するユミコを車内で窺2人の外人。2人は目くばせをすると、倉庫に向かうユミコを追い詰め、無理やり車に乗せる。「付き合うから早く帰して」と言ったユミコは、窓から例の百円札を捨てる。それを拾う若者は荷物を持つ大勢の若い女性を従えている。トシオは彼らに新神海運の場所を聞き、そこに向かおうとするが、洋モク売りの老婆から例の百円札で洋モクを買った若者は案内役を洋モク売りの老婆に譲る。洋モク売りからタバコを買い、例の百円札でお釣りをもらうトシオ。
 小型ボートで外国籍の大型船に付けると、外国船の乗組員は若い女性たちを大歓迎し、男女のカップルは次々と個室に向かう。
 トシオは新神海運でユミコの自宅の場所を教えてもらい、すぐにそこへ向かうが、帰宅時間を過ぎているのに、まだ帰ってないと言う。トシオは百円札に書かれたメッセージにやっと気づき、あの洋モク売りの老婆を探すことにする。
 カスバでの老婆。殺し屋は2階の窓から「モーリスを10箱売ってくれ」と言うが、老婆は「今は1つしかないので、残りは今度」と答える。
 エミ「うふっ。ありがと。タバコは吸えないの。男の人の親切は怖いわ。案外いい人だったのね。何もしなかったから。許してくれて」殺し屋「お前が本当に死ぬと分かったからだ。殺し屋だから、死ぬ前の人の目を知ってる。お前の相手は幸せだ。いつまでもそういう女でいろ」「なぜ、こんなことに?」「最初から見込みがなかった。ムショ生まれで、孤児院を15で脱走。娑婆に出て初めて卵焼きを知った。孤児院は3食で62円の予算だ。卵は1つ15円だ」「でも下宿代がタダって素敵じゃない?」「ただ生きていたたけだ。俺には人殺しの血が流れている。父親は3人を戦争で殺し、ピカピカ光る勲章をもらった。俺はもっと殺したが、あいにく兵隊さんじゃなかった。その代わりにパトカーだ。騙した野郎を許さない」。外で喧嘩が始まる。雨が降り始め、不潔な詩人が「私の詩を買ってください」という看板を提げて、雨でびしょびしょになりながら詩を語る。真剣な目でそれを見下す殺し屋とエミ。フェイドアウト。
 フェイドイン。早朝の港。トシオは洋モク売りの老婆はカスバにいると知る。
 鍵穴からエミ。マダムとユウジが覗いている。「なるほど、上玉だ」と言ったユウジは「ひとっ走り行ってくる」とホテルを出る。
 ナイトクラブの「プランタン」の控室。外国人「高松さん、素敵な娘でしょう。3ヶ月もかけて連れてこれましたから。ギャラは?」。プランタンの店主の阿川が数字を示すと、外国人は「冗談じゃない」と言い、阿川が「食ってみないと」と言うと、外国人は「じゃあ、俺たちがまず食う」と言う。すると高松が「ちょっと待て。なかなかいい子じゃないか」と言う。
 マダム「お出かけかい?」殺し屋「チップだ。3号を世話してほしい」「ケイコ! 3号を探してるって」「あたいは0号よ」殺し屋「麻薬の3号の方だ」「知らないよ」。殺し屋はマダムのきんちゃく袋に金を押し入れ、場所を教えてもらう。「エミは絶対に外に出すな」と殺し屋。
 女性に麻薬を次々に注射する男。現れた殺し屋は「マダムの紹介だ。すこしまとめて出してほしい」と言うと、男は中に案内し、仲間に「こいつポリ公らしい」と言う。しかし殺し屋は拳銃を構え、「麻薬のルートを言え」と尋ね、威嚇射撃し、卸元がナイトクラブのプランタンだと教えられる。
 プランタンでの仮面パーティ。売春は入札制だと語る阿川。
 カスバで売春婦に声をかけられたトシオは洋モク売りの老婆の居場所を聞くと、「こっちに来て」と言われるが、男2人の姿を見ると、売春婦はトシオを連れて逃げて隠れる。「悪い奴らに追われて困ってる」と言って、売春婦は殺し屋が滞在しているホテルに入る。一方、マダムはエミに逃げるように説得する。
 トシオは売春婦から情報が得られず、ホテルを出ようとすると、そこにちょうど探していた洋モク売りの老婆が現れる。「例の百円札をどのようにして手に入れたか思い出してくれ」と老婆に迫るトシオ。
 エミを連れ出すマダム。エミにからむ男を軽くかわすエミ。「はぐれないように。空きっ腹に牛肉状態だからね」とマダム。一方、洋モク売りの老婆はやっと例の百円札の出どころを思い出す。
 マダムは「信用できる男に紹介する」と言ってエミを建物の中に導くと、待っていたユウジは「遅かったな」とカンカンに怒っていたが、エミを見ると、すぐににやけ、マダムもにやけ笑いをし、エミは不安になる。
 洋モク売りの老婆からやっとタイラのマサが百円札の出どころだと知ったトシオは、彼が入り浸りだという場所を教えてもらう。(また明日へ続きます……)

石井輝男監督『黄線地帯(イエローライン)』その1

2017-01-27 10:10:00 | ノンジャンル
 WOWOWオンデマンドで、石井輝男監督・脚本の’60年作品『黄線地帯(イエローライン)』を見ました。
 銀座のナイトクラブの控室で、殺し屋(天地茂)に殺しを依頼し、殺した証拠に殺す対象がしている腕時計を持って来いという男。
 手袋をしながら階段を上り、部屋に入っていくと標的となる男が眠っている。気配に目覚めた男が「君は一体誰だ?」というにもかかわらず、殺し屋は躊躇なく消音機付きの拳銃で男を射殺し、ベッドに投げ出された男の腕には腕時計が見える。そのわきに置かれる拳銃。階段を殺し屋が降りていくと、パトカーが下を通り、殺し屋は階段を駆け下りると闇に向かって駆け出す。
 銀座の電話ボックスの中には、新聞社で働く恋人のトシオ(吉田輝男)に電話しているショーガールのエミ(三原葉子)がいる。彼女はチラシの募集に応募し、今度神戸に行くことになったと話している。殺し屋は身を隠すために電話ボックスに入り、拳銃で脅し、笑って電話をしているふりをしろと言って電話を切る。「今人を殺してきた。何人殺しても罪は同じ。俺の話が本当かどうかは、明日の朝刊を見れば分かる。これから俺たちは新婚の夫婦だ。お前の切符を俺に渡し、お前は自分の切符を買って来い。駅は警官であふれているだろう」と殺し屋。
 発車寸前に列車に乗り込む殺し屋とエミ。ホームに見送りに来たトシオに気づいたエミは、最近トシオから贈られた赤いハイヒールの片方をホームに飛ばす。
 発車した列車の車内。「ハイヒールが脱げちゃった」とエミ。一方、トシオはハイヒールを拾った駅員から、それを受け取り、駅員にそれが自分の恋人のものだと言い、「小川エミさん。赤いハイヒールを東京駅で預かっております」という車内放送が殺し屋とエミが乗っている車内に流れる。ハイヒールの紛失届が出ていないと駅員から聞くトシオ。
 エミは「トイレ」と言い、殺し屋から靴を借りる。車両を出ると、百円札に「私と一緒にいる男は殺人犯です。小川エミ」と書いて、席に戻る。
 トシオの勤める新聞社では、神戸税関長が殺されたという記事作りでごった返している。
 トシオは取材で、エミが応募した新日本芸能社は募集期間の3日間だけ部屋を借りていたことを知る。
 新聞社の編集室。神戸にある秘密の売春組織と今回の殺しは関係がありそうだとトシオがデスク(沼田曜一)に訴えると、デスクはトシオに飛行機で神戸へ向かうように言う。
 神戸駅。足を白い布で巻き、ケガをしたようにしてみせるエミ。殺し屋とエミはタクシーで靴屋に乗りつけると、エミは例の百円札で靴代を払うが、店主はそれに気づかない。エミは腹正しく思い、赤いハイヒールを「これ、あげる」と言って店主に差し出す。2人が店を出ると、若い女性がやって来て、取り寄せてもらっていた靴を買う。
 窓に「新神海運」の文字。ユミコは靴屋でもらったお釣りの百円札にメッセージが書いてあるのに気づき、「ちょっとスリルね」と同僚と笑う。
 カスバ。慈善家の高松にからむ男を殴り倒す若者。高松は殴られた男とその妻に金を渡して、許しを請う。若者に道案内を受ける高松。
 「昨晩は一睡もしなかった」とエミ。殺し屋は「自分もだ」と言う。「このカスバにいれば安全だ。女を信じるほど、俺はバカじゃない」と殺し屋。エミは怒って鞄を置いて去ろうとするが、殺し屋は鞄を拾うと、エミをホテルに連れて入る。「おばさん、いい部屋を頼む」と言うと、女主人は「私はマダムと呼ばれてるんだ。値がはるよ」とマダム。「金のなる木を持っているから大丈夫だ」と殺し屋が言うと、マダムは2人を2階に案内する。マダムが読んでいた新聞を手にする殺し屋。1階の奥からは若い男女が出てきて、男が「また夜にな」と言うと、女は「鉄砲玉じゃいやよ。ユウちゃん」と言う。
 2階の部屋。マダム「スペシャルルームだよ。金は前払いだ」殺し屋「5日分だ」。マダムは手を出す。殺し屋「何だ?」マダム「チップだよ」「ふざけんな」。殺し屋はマダムの手にタバコの灰を落とす。
 マダムが部屋を去ると、新聞に殺人事件が掲載されているのを確認した殺し屋は「奴らは礼金の代わりにパトカーを寄越しやがった。人殺しなんて何とも思っていない。あこぎな殺しはしてこなかった。しかし今回は騙された」と言う。エミ「信用して。誰にもしゃべらないから、自由にして」殺し屋「女には以前に騙された。女はもう信用しねえ」。殺し屋が近づいてくると、エミ「やめて。許して。命がけで愛している人がいるの」殺し屋「恋愛なんて足の速い食べ物みたいなものだ。すぐ腐る」「それ以上近づいたら、舌を噛み切って死ぬ」。
 神戸駅。トシオは駅員、靴屋の店主に取材し、新神海運から靴屋に電話があったことを知る。(明日へ続きます……)