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鈴木則文監督『関東テキヤ一家 喧嘩(ごろめん)火祭り』

2013-02-28 08:55:00 | ノンジャンル
 鈴木則文監督・共同脚本の'71年作品『関東テキヤ一家 喧嘩(ごろめん)火祭り』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
 浅草菊水会の国分(菅原文太)は相棒の五郎(南利明)と岐阜目指してトラックを飛ばしていますが、途中で東京の不良グループ・東京クジャク団の女たちを追う大阪の犬養刑事(遠藤辰雄)を乗せ、彼女らを追います。スピード違反でパトカーに止められた国分らは、犬養と警官がもめてる間に出発します。
 「岐阜」「池上・みそぎ祭り」の字幕。武芸の達人に扮した五郎は、痴漢撃退法の本を屋台で売り、東京から流れてきたヤクザ(岡八郎)にケンカをふっかけ、ヤクザらと国分が本の通りに闘って撃退するのを客に見せて本を売り捌きます。一方、大薮興業は社長にハートの卓(梅宮辰夫)を紹介します。射的で出会う国分らと卓。国分が草鞋を脱いでいる矢崎は、秩父の梅ヶ崎に祭りのネタである岐阜堤灯を運ぶことを業者が皆断ってきたと知らされます。大薮興業は矢崎に秩父の土田(名和宏)にネタを卸すように言いますが、矢崎は梅ヶ先への義理を重んじ、断り、それを聞いた国分は自分らが届けると申し出ます。柳ヶ瀬のクラブで刑事と大立ち回りをするクジャク団。やがて団長のエイジ(渡瀬恒彦)が現れ、刑事を倒します。エイジは土田に雇われ、クジャク団に五郎を誘惑させ、国分のトラックを奪って逃走します。
 「埼玉縣 秩父」の字幕。梅ヶ崎一家の静江(野川由美子)は、父の49日が終わって、露店商組合が一本立ちしたら父の遺言通り一家を解散させることを告げます。土田は一家の跡目を自分に継がせてくれと言いますが、静江は断ります。土田から金を受け取ったエイジはケタが違うと言って受け取らず、要求が受け入れられないなら梅ヶ崎にネタを持ち込むと言います。卓はクジャク団の女を捕まえ、セックスで責めてネタの在り処を吐かせますが、彼らを尾行していた国分に卓は捕まります。花屋の娘・則子に親切にする卓。逃げ出したクジャク団の女と追ってネタの在り処を知った五郎と国分はエイジの前に現れ、国分とエイジは殴り合いを始めますが、土田の車が現れ、彼らはトラックで逃げ出し、銃撃してきた土田の車を横転させて逃げおおせます。
 ネタを国分からもらった静江は土田に会いに行くと、土田は静江の組と自分の組を同時に解散させる提案をし、静江に受け入れられます。静江が面倒を見ている則子の元に、毎月送金してくれていた兄が死んだ後も、何者かから送金がなされていることを知る国分。則子の元には借金の120万を返すために身を売るようにクラブのオーナー(潮路章)が言ってきますが、卓は助けを申し出ます。国分は則子に手を出すなと言い、巨大な吊り橋の上で2人は殴り合いを始めますが、やがて卓が封筒を落とし、則子に送金しているのが則子の兄弟分だった卓であることが分かります。雨の屋台で酒を交わす国分と卓。静江と土田の組の解散式が行われ、静江の顔から水面にオーバーラップすると、国分と静江の山中での会話のシーンとなり、静江は今年の祭りでは女の自分に戻れると喜びを語ります。北海道に旅立つ五郎。
 しかし土田は組合長を拷問し、土田が創設する新しい株式組織の連合会に入る合意書にサインさせます。連合会の結成式に乗り込んだ国分は、包帯姿の組合長を証拠に土田の悪事を暴露し、連合会の結成は白紙に戻されます。則子の恋人で、組合長を助け出したケンは土田らに拷問され、その目の前で則子は輪姦され、ケンも結局殺されます。卓は土田に国分を殺せと命じられ、120万と交換に引き受けます。薄暮の廃墟で決闘に及んだ2人でしたが、そこへ現れた則子は2人を獣呼ばわりし、国分は卓が送金していたことを則子に教えます。          「秩父の夜祭り」の字幕。静江の家の前にケンの死体が投げ出され、銃撃もなされて静江は撃たれます。白から赤に変わる背景の前で苦しみ舞う静江。目の前で上がる花火が見えないと言って、静江は国分の腕の中で息絶えます。祭りの人波をかきわけ進む国分。卓と合流した国分は土田に殴り込みをかけ、見事土田を仕留めますが、卓は庭で死んでいました。瀕死の状態で廃墟を進む国分の姿で映画は終わります。

 南利明の楽屋落ちのギャグが連発される中、突然現れる吊り橋のロングショットや、国分と静江の語らいの場や廃墟の見事な場面など、“ショット”の存在を思い知らされる映画でした。

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クリスロファー・ロイド『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』

2013-02-27 08:49:00 | ノンジャンル
 久しぶりにクリント・イーストウッド監督・共同製作・音楽の'04年作品『ミリオンダラー・ベイビー』をWOWOWシネマで再見しました。以前に見た時には否定的な感想を述べていたようですが、今回は“安楽死”という問題を肯定的に描いた映画として見ることができました。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、クリスロファー・ロイド著の'08年作品『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』を読みました。東日本大震災の記述もあるので、後に加筆修正されたようです。
 全体が4部に分かれていて、さらに42の章に分かれています。第1部「母なる自然」(137億年前~700万年前)は「1 ビッグバンと宇宙の誕生」「2 生命はどこからきたか」「3 地球と生命体のチームワーク」「4 化石という手がかり」「5 海は生命の源」「6 生物の協力体制」「7 進化の実験場」「 8 恐竜戦争」「9 花と鳥とミツバチ」「10 哺乳類の繁栄」、第2部「ホモ・サピエンス」(700万年前~紀元前5000年)は「11 冷蔵庫になった地球」「12 二足歩行と脳」「13 心の誕生」「14 人類の大躍進」「15 狩猟採集民の暮らし」「16 大型哺乳類の大量絶滅」「17 農耕牧畜の開始」、第3部「文明の夜明け」(紀元前5000年~西暦570年ごろ)は「18 文字の発明 シュメール文明」「19 王は神の化身 エジプト文明」「20 母なる大地の神 インダス文明、巨石文明、ミノア文明」「21 金属、馬、車輪」「22 中国文明の誕生」「23 仏教を生んだインドの文明」「24 オリエントの戦争」「25 ギリシア都市国家の繁栄」「26 覇者が広めたヘレニズム」「27 ローマ帝国の繁栄と衰退」「28 先住民の精霊信仰」「29 コロンブス以前の南北アメリカ」、第4部「グローバル化」(西暦570年~現在)は「30 イスラームの成立と拡大」「31 紙、印刷術、火薬」「32 中世ヨーロッパの苦悩」「33 富を求めて」「34 大航海時代と中南米の征服者たち」「35 新大陸の農作物がヨーロッパを変えた」「36 生態系の激変」「37 ヨーロッパ人は敵か味方か」「38 自由がもたらした争い」「39 人類を変えたテクノロジー」「40 白人による植民地獲得戦争」「41 資本主義への反動」「42 世界はどこへ向かうのか?」となっています。
 ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』を読んでいたので、既知の知識が多かったのですが、それでも忘れていたか、新たに知ったこともあり、例えば、狩猟採集民は自由気ままな生活を謳歌していたこと、人類が銅や青銅や鉄といった金属で武器を作りはじめるまで、人類の歴史には戦争や残虐な行為の形跡はほとんど残されていないこと、アフリカのタンザニアの奥地にいたハザ族は、侵略してきた農民や町の住民とは戦おうとはせず、豊かな狩り場を手放し、いばらが生い茂る小さな森に引きこもってしまったこと(トルストイの『イワンの馬鹿』を彷佛とさせるエピソードです)、人類の最初の争いは相続争いであったこと、それを最初に解決するために法律が作られ、その第1号がハンムラビ法典だったこと、仏教と同時に発生したジャイナ教は非暴力、他の宗教に対する寛容さ、自然を敬う姿勢を持っていたこと、アフリカから供給された奴隷はアフリカ人の族長が捕えた敵の部族の人々だったこと、今日生産される毛皮の80%は飼育動物のものであること、ハイチはアメリカ合衆国に次いで、世界で2番目に植民地支配から解放された国であること、中南米の国々は19世紀の前半に独立していること、アメリカ初の配電システムを構築したのはエジソンであること、グローバリゼイション・第三世界の貧困・富の不平等な配分・社会の崩壊・消費への執着・天然資源の搾取による環境破壊などの問題はマルクスの時代から議論されていたことなどがそうでした。
 細かなエピソードや、その事実を知るに至ったエピソードなども書かれていて、退屈せずに全480ページ近くの大著を読み通すことができました。イラストや写真も多く含まれていて、著者が自分の子供のために書いたというのもうなずける本でした。

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中川信夫監督『ほらふき丹次』

2013-02-26 08:43:00 | ノンジャンル
 昨日WOWOWで放映された今年のアカデミー賞授賞式を見ましたが、収穫だったのはシャーリー・バッシーの堂々たる『ゴールドフィンガー』が聞けたことと、この1年間に亡くなった映画人を追悼するコーナーでアーネスト・ボーグナインが最初に紹介され、トニー・スコットの素顔が見られ、最後にマービン・ハムリッシュが紹介された後、バーブラ・ストライザンドが『追憶』を歌ったことでした。


 さて、中川信夫監督の'54年作品『ほらふき丹次』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 木を伐採する男。「北海道」「大正末期」の字幕。猟師が山から帰り、鶏を飼う自宅へ戻ると、娘のハツコの姿が見えず、見知らぬ男が囲炉裏に座っています。猟師が誰何しますが、男は答えず、猟師が「お前、監獄破りだな!」と言うと、男は目の前にあったナタで猟師に襲いかかります。笹ヤブへ姿を消す男。
 現場検証をする巡査(東野英治郎)に丹次(藤田進)は拾った血染めの服を届けます。監獄破りの仕業だと見破る巡査。ハツコは父の遺体に泣き崩れます。
 森に馬で入っていく丹次の親子を横移動で撮るショット。彼らが川の水を飲んでいると、監獄破りの男が現れ、猟銃で彼らを脅して馬を奪います。丹次が追っていくと、男は道に張り出した木の枝に頭をぶつけて馬から落ちて失神していて、丹次は男を縛り、村に降りてきます。大勢の村人に迎えられる丹次。巡査が監獄破りに事情聴取をしている間、外では村人たちに向かって丹次が男を捕えた自慢話を嘘を交えてします。いつものほら話が始まったと囃し立てる村人たち。巡査は監獄破りが前科12犯の凶暴犯だったと村人らに伝え、今回の丹次の話はまんざら嘘でもないと言います。
 村の寄り合いで総代の森ノ助は、ハツコを自分の家に引き取りたいと言いますが、ハツコは丹次のところへ行きたいと言います。丹次親子と農作業に励むハツコ。丹次は猟に出て、ハツコの仕掛けた罠にかかった狸を持って帰ります。ハツコと字を学ぶ丹次の息子の金助。巡査は丹次を呼び出し、猟師が持っていた鉄砲の行方を尋ねますが、丹次はとぼけます。あまりおおっぴらに猟をするなと言う巡査。
 村の宴会が催され、そこで森ノ助は丹次に自分が行っている工事の仕事に勧誘しますが、丹次が断ると、森ノ助は丹次が村にいられないようにしてやると脅します。家に帰ると、ハツコは丹次に一生そばにいたいと言いますが、丹次は年の差があることを理由に、そんなことを軽々しく言うなと諌めます。
 川でハツコが洗濯をしていると森ノ助がやって来て、ハツコを口説きますが、ハツコが相手にしないでいると、森ノ助は彼女に襲いかかり、犯してしまいます。帰って来ないハツコを探しに行った丹次は、森の中で横たわったままのハツコを見つけますが、ハツコは逃げ出して、崖から身投げして死んでしまいます。落ちていた彼女の簪のそばに、森ノ助の持ち物を見つける丹次。
 丹次は鶏を1羽つぶし、金助とご馳走を食べます。その後、丹次は金助に手紙を巡査に届けるように命じ、自分は猟銃を手に森ノ助の元へ向かいます。巡査は「金助を町の小僧に出して、今度面倒を見てほしい」と書かれた手紙を読んで、異変を感じ、丹次の元へ急行します。一方、丹次は森ノ助を猟銃で脅して強姦の現場を訪れ、そこで取っ組み合いを始め、森ノ助を絞殺しようとします。そこへ駆けつけた森ノ助の手下と巡査は、丹次を止めようとし、逃げる森ノ助を追う丹次と、彼らとの追跡劇が始まります。傷ついた森ノ助は村に逃げ込み、丹次の手を逃れ、丹次は巡査に崖に追いつめられます。空に銃を撃って巡査を威嚇する丹次に対し、巡査はついに丹次に拳銃の弾を命中させ、丹次は崖から落ちて死にます。
 ハツコと丹次の墓に参った金助と巡査は、道の彼方に消えていくのでした。

 見事な“ショット”が多く見られる映画で、童謡も多く歌われ、横移動も多く見られる映画でした。また、村人をパンで捕えたショットで、左ト全が映ると思わず笑えたりもして、一見の価値ありだと思います。

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三羽省吾『傍らの人』

2013-02-25 06:56:00 | ノンジャンル
 三羽省吾さんの'12年作品『傍らの人』を読みました。6つの短編からなる本です。
 例えば、第1話『ヨンパチ』。痛みに堪えて目が覚めると、呑み屋の片隅でした。喧嘩で意識が飛ぶほどぶっ飛ばされた経験は今回が初めてです。受けたパンチは、痛みで戦意を喪失させるのではなく、意識そのものを刈り取る一発でした。呑み屋のオッサンが説明してくれたところによると、喧嘩が勃発したのは昨夜。店先で大声がして、驚いて飛び出すと俺は既に暴れていたといいます。他の客達が俺を取り押さえようとしましたが、俺の力が予想外に強かったので警察を呼ぼうということになりました。しかし、1人の客が警察など呼べばややこしいことになると言って、俺の前に立ちふさがり、俺の予想をはるかに超える動きを見せて、俺を倒したのでした。俺を殴り飛ばした男はこの半年ばかり姿を見せるようになった男だとオッサンは言います。職を無くしたという俺にオッサンは仕事の斡旋をしてやると言い、俺はその申し出を受け、交通誘導員の仕事を始め、しばらくして現場であの男と再会します。彼は鳶で、俺はあの晩のことを謝るために、その夜、あの店で彼におごることになります。その男・シンジはヨンパチ、つまり週48時間労働で週給4万8千円、現場の労働者の中では最低ラインとされる条件を示す言葉を教えてくれました。そして話しているうちに、シンジが単なるヤンキー上がりの鳶だということが分かり、俺は軽く失望します。彼は地方の出身で、どうしようもない不良少年でした。土建屋を営む父親は地元の政財界にも影響力を持つ人間で、シンジが起こすトラブルに頭を悩ませていました。高校を半年で中退したシンジは父親の会社で一労働者として働き始めますが、仕事は適当で夜になると仲間と遊び歩いてばかりいて、1年もすると市内全域の不良どもから怖れられ、反社会的勢力から父を介さず直接本人に誘いの声が掛かることが懸念されてきました。そこで父親は、負けず嫌いなシンジの性格を逆手に取り、「親戚縁者も仲間もいないところへ行き、最低1年間、自分1人で生きてみろ、それが出来たらまたウチで使ってやるし、将来は会社を任せてやってもいい」と言い、シンジは現在では鳶技能士の2級という国家資格を取るまで帰らないと決めたとのことでした。俺は中学では野球や陸上をやっていて、どこでも顧問や先輩と喧嘩騒ぎを起こして退部させられてきましたが、中3の時にラグビーと出会い、それに夢中になりました。高校でも大学でも全国区で活躍しましたが、大学卒業後に右肩を壊し、26歳で引退しました。その後の2年間は、チームの親会社の工場で働いていましたが、28歳の冬に寮を出て全国を放浪し始めたのでした。やがてシンジに母親から父が倒れたので一時的にでもいいから帰ってこいという電話がかかります。帰る場所があって、待っててくれる人がいる期間てのは、人生の中でそれほど長くないと俺から説教されるシンジ。しばらくしてシンジが取りあえず1回だけ帰郷し、父親がすぐに死んじゃうような事態でないことだけ確認して、また地元を離れたこと、そして彼が俺に「ありがとう」と言っていたことを呑み屋のオッサンから俺は聞きます。オッサンは俺に「シンジ君と自分を重ねてるでしょ」と言います。オッサンは俺がノビていた夜、俺の携帯の度重なる着信を見て、そこに電話し、それが俺にコーチ就任の誘いをかけている鶴見監督であることを知ったのでした。監督は高校2年の時に俺が他校の生徒の挑発に乗って大乱闘を巻き起こし、そのおかげで先輩達が最後の大会に出られなかったことも、俺のせいではないと言っていたのだそうです。俺はシンジのヨンパチは前へ進むために必要不可欠なものだが、俺のヨンパチはただの独りよがりだとやっと気づきます。そして俺は鶴見監督に電話すると、ツーコールで監督は出て、俺は単刀直入に「あの話、まだ生きてるでしょうか」と聞くのでした。

 青春まっただ中にある人物たちの下世話さ、爽快さが両方味わえる短編集でした。あらすじにしてしまうと、魅力が半減し、逆に魅力を残そうとするとあらすじが途轍もなく長くなる小説でもありました。実際に本を手にして読まれることをお勧めします。なお残りの5話のあらすじは私のサイト(Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto))の「Favorite Novels」の「三羽省吾」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください

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ウェス・アンダーソン監督『ファンタスティック Mr.Fox』その2

2013-02-24 09:45:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 “人間時間で1時間後”の字幕。Mr.フォックスは穴を掘り、ボギスの養鶏場へ出て、ニワトリをごっそり奪い、ビーンの貯蔵庫からもリンゴ酒をごっそり奪います。“アナグマの燧(すい)石鉱(難民キャンプ)”の字幕。全部盗まれたというボギスとバンスに、ビーンはそこら中の物に八つ当たりした後、「ひらめいた」と言います。アッシュも「名案がひらめいた」とクリスロファスンに言い、パパのシッポを取りかえすことにしたと言います。ビーンはリンゴ酒を穴に入れ始めます。一方、Mr.フォックスは全面的な勝利を祝って皆で宴会を始めようとします。アッシュとクリストファスンはビーン夫人の噂のリンゴケーキを見つけて、むしゃぶり食べますが、その時、テレビに出演していたビーンの姿を見て、Mr.フォックスの尾がビーンのネクタイになっていることに気づきます。その後、ビーン夫人が現れても、彼女の目が悪いのに図に乗って、彼らはケーキを食べ続けますが、危うく夫人に殺されかけ、急いで逃げ出します。やがて穴の中にリンゴ酒の洪水が起こり、Mr.フォックスらは皆下水溝に流されます。アッシュはクリストファスンとはぐれたと言い、クリストファスンはビーンらに捕まったことが分かります。下水溝の地上への出口は1つで、そこは車によって閉ざされてしまい、ビーンらはクリストファスンを取り戻したければ、Mr.フォックスに投降しろと言ってきます。Mr.フォックスはクリストファスンが捕まったのはアッシュのせいではないと息子を慰め、グループに分かれて行動するように皆に命じます。アッシュの前にネズミが現れますが、その前にMrs.フォックスが立ちはだかり、またその前にMr.フォックスが立ちはだかって、結局彼がネズミを退治し、クリストファスンの居所を瀕死のネズミから聞き出します。
 “決死の救出作戦”の字幕。Mr.フォックスは様々な仲間の動物の学名を呼んで、それぞれの得意技を教え、自らはビーンらに投降する手紙を書きます。“基本計画B”の字幕。車がどかされ、下水溝からの唯一の地上への出口であるマンホールは無数の狙撃手によって狙われています。Mr.フォックスらは無数の松ぼっくりに火をつけて、そこから地上へ投げ上げ、地上を火の海とし、ビーンらも燃えさせます。マンホールを爆破すると同時に、地上に飛び出し、サイドカーに乗って目的地へと向かうMr.フォックスとカイリとアッシュ。“ビーン農場 別棟”の字幕。狂犬病のスピッツの気をMr.フォックスが引いている間に、カイリとアッシュはクリストファスンが捕らわれている場所に向かいます。天井から降りたアッシュは、檻の中にいるクリストファスンに即席で空手を習い、檻の鍵を壊そうとしますが、檻に体当たりしてしまい、檻は高所から落ちて破壊されます。今までの態度を謝るアッシュとそれを許すクリストファスン。Mr.フォックスらは、勢揃いした敵の集中砲火を浴びます。そこへ狂犬が乱入し、敵が混乱している間にサイドカーで逃げ出すMr.フォックスら。彼らは途中で狼に出会い、一時の交流の時間を持ちます。
 “3日後(キツネ時間の2.5週後)”の字幕。マンホールの穴を相変わらず見張る3人。新聞の“Mr.フォックスのエサ探し”のコラムを読むMr.フォックス。下水溝の各部屋では皆エサに困っていますが、Mr.フォックスらがあるマンホールの蓋を開けると、そこはスーパーマッケットの内部でした。新たな妊娠を告げるMrs.フォックス。Mr.フォックスは「サバイバルに乾杯!」と音頭を取り、皆がダンスを始め、カメラが引くと、「ボギス バンス ビーンのインターナショナル・スーパー」の看板が見えるのでした。

 あっと言う間に楽しく見れる人形アニメーションの作品でした。Mr.フォックス夫妻のからみでは『恋のエチュード』の音楽が流れ、“決しの救出作戦”とサイドカーで出発するシーンには『アメリカの夜』の音楽が使われていました。詳細については、蓮實重彦先生の本『映画時評2009-2011』の143ページから147ページに記述があるので、そちらをご覧ください。

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