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浦沢直樹×手塚治虫『PLUTO』第1・2巻

2010-12-08 06:03:00 | ノンジャンル
 今日はジョン・レノンの31回忌ですが、アントニオ・カルロス・ジョビンの17回忌でもあります。音楽の二人の巨星の命日が同じ日というのも、不思議な偶然ですね。

 さて、朝日新聞の企画記事「ゼロ世代の50册」の第14位(マンガではトップ)に入った、浦沢直樹×手塚治虫『PLUTO』の1~2巻を読みました。手塚治虫氏のマンガ『鉄腕アトム』の中の一つのエピソード「地上最大のロボット」を浦沢さんが膨らませて新たに描いたマンガです。
 第39次中央アジア紛争を解決するために活躍し、その後もスイスで自然環境の保護と山案内をするロボットとして全世界の人々から愛されてきたモンブランが、ある日惨殺されます。ついでロボットの人権を守るための法律・ロボット法の実現に努力し、法律成立後もその擁護のために活動していた人間の学者・ランケも惨殺されます。この二つの事件の捜査を担当することになった、スーパーロボットの刑事ゲジヒトは、二つの死体の頭に角のような枝や金属棒が差し込まれていることの意味を知るために、8年前人を殺した唯一の殺人ロボット・ブラウ1589に会いに行き、その角がギリシャ神話における冥界の王ハデス、あるいはローマ神話における冥王プルートウを意味していることを知ります。
 やがて、やはり第39次中央アジア紛争で大活躍し、現在は二度と戦場に出ないで済むように、引退した大作曲家の家で執事をしていたスーパーロボット・ノース2号が破壊され、ここに至ってゲジヒトは、世界の7つのスーパーロボットを全て破壊することが犯行目的であることを知ります。彼は警告するために、やはり第39次中央アジア紛争で活躍し、現在は格闘技で人々を熱狂させているブランドに会いに行き、そしてやはりその紛争に平和維持軍として参加した子供ロボット・アトムにも会い、アトムの優しさに心打たれますが、一方ちょうどその頃、国際ロボット法の発案者である田崎教授が人間として第二の犠牲者となります。そしてその現場を見たアトムはやがて、第39次中央紛争当時独裁国家であり、周囲に覇権を確立しようとしていたペルシア王国に、大量破壊兵器となりうるロボットがあるかどうかを調べるために、世界のリーダーを自負するトラキア合衆国のアレクサンダー大統領が派遣したボラー調査団にいた人々が標的になっていることを知り、お茶の水博士もその1人であることを知ります。
 そして脅威が近づきつつあることを感じたブランドは、現在ギリシャの格闘王であり、また第39次中央アジア紛争時では共に戦ったヘラクレスとの戦いを控えながらも、犯人との一騎討ちに向かい、仲間たちにその戦いの様子を知らせるため回線を結んだ状態まま、敵と同士討ちしたという言葉を残して、海底の藻くずと消えますが、敵の痕跡は一つも発見されません。アトムだけがその時の映像の解析によって敵の姿を一瞬垣間見ることに成功しますが、それは角の生えた悪魔のような形をしていて、巨大な苦しみをたたえている者でした。
 そして最後に、再選したばかりのアレクサンダー大統領のブレーンが真犯人であり、犯行はまだ続くことが暗示され、アトムの妹ウランが登場して第2巻が終わります。

 故郷ボヘミアでの幼い頃の大作曲家と母との思い出のシーンと、孤独ながら無垢で優しいアトムの登場のシーンで不覚にも涙してしまいました。あとがきの中で手塚真さんが書いていますが、この企画の発案者である浦沢さんの当初のマンガでは、登場キャラクターの絵柄は手塚マンガを踏襲していたものだったのですが、真さんが企画を認める条件として、浦沢さん自身のマンガで描いてほしいという要求を出した結果、このマンガの絵柄が生まれたのだそうです。そして生まれたマンガは1、2巻を読むかぎり、文句無しに素晴らしい出来となっています。まだお読みでない方は是非ご自分の目で確かめてみてください。3巻以降の内容も、明日から順次紹介させていただきます。

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2 コメント

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Unknown (ウルトラタイガー)
2013-09-22 23:22:14
こんばんはスミやんです。

スミマセンここではお久しぶりです。

プルートウ全巻読み終わりました。

ミキティさんのブログで検索してヒットしたので読んでみようと思ったのです。

天才手塚治虫は大ファンです。YAWARAの浦沢氏はオイラの好きな歌手のボブ・ディランの特集本や記事でよく見かけます。

でもプルートウを少し読んでみると少し知っているような名前とかが出て来たのでおかしいなぁと思ったのですが…

オイラはアトム世代ではないですけど、テレビアニメも観たこともありますしマンガオタクだったので古本の鉄腕アトムも少し読みました。

「世界最大のロボット」は高校生くらいの時に古本を買って読んだ微かな記憶があります。

マンガ本はアトム全集の一部だったと思います。

しかし今回、このマンガを初見のような新鮮さを持って読めました。


結論から言うと面白かったです。スリル感があり物語のスケールもかなり大きく感じました。

第1巻はゲジヒトの悪夢と記憶のフラッシュバックそれに、牢獄のプラウ1589が物語にスリル感を与えています。

ノース2号と盲目の作曲家の話は、とても悲しくて読んだ後、なんとも言えぬ寂しさを感じました。でも第1巻で一番好きなところです。

アトム登場にはコレが浦沢アトムかと驚きがありましたけど、アトムの透明感がステキだなと思いました。

第2巻はまずロボットのアトムの涙に驚きました。

後、ゲジヒトの深まる苦悩と高性能ロボット達の悲しみと怒りがよく描かれているなと思いました。

ウランの登場の仕方はアトムの登場の仕方に似ているなと感じました。

オイラは物にも心が宿ると思っているようなところがあるのでロボットに心があることを不思議には思いません。

ツクモガミのようなこともあるのかな?と思います。

とにかくどんどん物語に引き込まれて行きました。



スミやん手塚治虫よ永久に研究所o(^o^)o
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Unknown (サイト(Nature Life)の作者)
2013-09-23 07:10:13
スミやんさん、書き込み、ありがとうございます。

私にとっても『PLUTO』は特別な存在で、
自分のサイトの「Favorite Books」にも、
コーナーを作って、
ブログと同じあらすじを載せています。

アトムが初登場する場面では、
つい涙してしまいましたし、
今でも浦沢直樹の最高傑作だと思っています。

また先日、東京都現代美術館で手塚治虫展に行ってきたのですが、
絵はもちろんのこと、手書きのふきだしの字の綺麗さに驚きました。

私は手塚さんの漫画で育ち、
彼から「社会正義」を学んだ世代なので、
手塚さんへの思い入れは並々ならぬものがあります。

今後も手塚さんの作品が多くの人たちに読むつがれていくことを切に祈っています。
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