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チャールズ・チャップリン監督『殺人狂時代』その4

2014-04-13 07:05:00 | ノンジャンル
 今発売している5月号の月刊『ソトコト』に「ソーシャル用語大辞典」という記事があって、なかなか面白く読みました。823円で買って読む価値はあると思います。

 さてまた昨日の続きです。
 “ヴェルドゥ公判続く”の新聞記事。アンリを殺人鬼扱いし、ギロチンによる死刑を求刑する検事。車輪。“青ヒゲ殺人事件、本日判決下る”の新聞記事。アンリは有罪になります。最後の発言を認められたアンリは話します。「検事は分かっておられぬが、頭がよい事は認めて下さった。お礼を申し上げる。私はその頭を35年間正直に使った。だが、その頭はもう要らぬとおっしゃる。自ら使い方を考える他ない。大量殺人は世界が奨励している。大量殺人のための破壊兵器を製造している。何ひとつ疑ってない女性を殺し、何も知らぬ小児を虐殺、しかも科学的に行なっている。大量殺人では私はアマチュアだ。だが今は平静を失っていない。(傍聴している若い女性の姿が映ります。)じき頭を失うのだ。しかし生命の灯を消されるにあたって、申し上げておきたい。私は皆さんに会う。すぐに。ほんとにすぐ」。車輪。
 “ヴェルドゥ、大赦の請願を断る”の新聞記事。刑務所詰めの新聞記者は「聖者になったみたいだ。悪なしに善はないなんて言ってる。悪は太陽の影とか」と話しています。アンリの独房に向かった記者はアンリに話します。「犯罪は割に合わないな」「合いません、小さい規模では」「何?」「何事も成功するには組織が大切です」「世を去るにあたっての皮肉か?」「今まともなことを言っても始まらない」「善と悪の話は?」「どっちが多くてもダメ。全人類が滅びる」「善が多すぎる世界なんてない」「十分持ったことがない」「私は君の味方をしてきた。意義のある記事を書きたい。君は罪の人生の悲劇的な手本だ」「こんな罪悪の時代に誰も手本になれない」「君は殺人を重ね、金を奪っている」「事業です」「世間ではあれを事業とは言わんよ」「大事業の歴史を見なさい。戦争、闘い、すべて事業です。1人殺せば悪党で、110万人だと英雄です。数が殺人を神聖にする」。神父がやってきます。アンリ「失礼、時間が限られてる」「何か言い残したことはあるかね?」「ある、さよなら」。アンリが出した手を握り、記者は出ていきます。アンリ「神父さん、何か私にできる事が?」「できれば君の力になりたい。神との平和を祈らせたい」「神との間は平和です。人間と戦ってきたのです」「罪を悔いていないか?」「罪とは何です? 堕天使から生まれるのですか? 究極の運命を誰が知ってます? 罪がなかったら、あなたは何をします?」「今してることをする。迷える魂の悩みを救おうとする。彼らが来た。君のために祈ろう」「どうぞ、だが待たされたくないらしいですよ」「神よ、汝の魂にお恵みを」「当然です。魂は神のものです」。刑吏たちが入ってきます。「アンリ・ヴェルドゥ、フランス政府は汝をギロチンによる死刑に処す。ここに法廷の命により刑を執行する」「はい」「タバコは?」「結構。それは?」「ラム酒だ」「いや、結構。いや、待ってください。ラム酒は飲んだことがない」。アンリは小さいグラス一杯のラム酒をあおります。アンリの上半身にズームアップ。グラスを刑吏に返すと、両手を後ろで縛られます。ドアが開き、アンリの体が光を浴びます。目を閉じて深呼吸するアンリ。牢を出て、神父が聖書を読みながら先頭を歩き、刑吏たちが後に続き、その後にアンリ、その後ろに刑吏が1人続く列ができます。カメラがパンすると広い部屋の正面のガラスから光が降り注ぎ、そこへ刑吏たちと向かっていくアンリの後ろ姿で、映画は終わります。

 極力少ないカット割り、滑らかな移動撮影、無気味な黒、そして何よりも音楽の素晴らしさに改めて気付きました。完全なトーキー映画ですが、前半では、会う人ごとに背筋を伸ばし帽子を傾け礼儀正しく挨拶する姿や、おちゃめに“しな”を作る姿に、無声映画時代から『街の灯』に至る、おなじみの放浪者チャップリンを見ることができる一方、若い女性が出るシーン、そして妻子を失ってからの後半のシーンでは、人が変わったようにシリアスなチャップリンが見られました。細部を覚えていない方は、再見すべき映画かも知れません。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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2 コメント

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Unknown (ウルトラタイガー)
2014-05-16 19:40:59
こんにちは。

ウルトラタイガーことスミやんです。

久しぶりに書き込みさせていただきます。

ワタクシは、チャールズ・チャップリンは子供の頃からの大ファンです。

学生になって自分でビデオデッキとかを買った時、

AVの次に観たかったのがチャップリンの映画でした。

しかし、レンタルビデオ店にも置いてなく、少々高額でも良いと思い、レコード店などもあちこち探しましたが、ワタクシが二十歳の頃には、手に入れるのが困難でした。

たまにテレビ放送があると嬉しかったです。しかし当時はほとんどテレビで観た記憶がありません。

友達には時代遅れの変わり者だと思われていたかもしれません。

そんなわけで、24~5歳頃になってやっとレコード店でチャップリンの映画のビデオを見付けました。

モダンタイムスと独裁者を買いました。

シリーズ化されていたのかわかりませんが…この時期に体調を崩したために、他の作品は買えませんでした。

殺人狂時代はNHKで観たと思います。

詐欺師のチャップリンが色々な人を騙して、電車などであちこちを忙しく移動していたのを覚えています。

チャップリンは今までも大好きです。

ワタクシの一番好きな映画はチャップリンの独裁者です。

モダンタイムスのことはモダンタイムスの記事に書き込みします。

とりあえず今回はこの辺で。

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Unknown (サイト(Nature Life)の作者)
2014-05-18 07:17:10
スミやんさん、書き込み、ありがとうございます。

私にとってもチャップリンは映画への道を開いてくれた特別な存在です。

今回、『街の灯』と『モダン・タイムス』と『殺人狂時代』と『ニューヨークの王様』を見直しましたが、すっかり忘れている細部を再発見することができました。

特に『ニューヨークの王様』が、赤狩りを同時代でしている勇気に頭が下がりました。

今回『独裁者』は見ませんでしたが、手許にDVDがあるので、暇を見つけて再見しようと思っています。
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