gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

上橋菜穂子『獣の奏者 ?完結編』

2010-03-31 16:21:00 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'09年作品「獣の奏者 ?完結編」を読みました。
 ラーザはリョザ王国の東にある隊商都市を闘蛇の部隊で占領し、セイミヤとシュナルはラーザとの開戦を決意します。シュナルは闘蛇の軍で迎え撃ちますが、闘蛇同士は戦おうとはせず、ラーザの闘蛇は進撃を続けます。そこへエリン率いる王獣たちが襲いかかりますが、、王獣の声と闘蛇の悲鳴が重なると、闘蛇たちは死の霧を吹き出し、それに触れた人々は一瞬にして死に、王獣は発狂して傷ついていきます。そこへジェシが到着し、彼が王獣も闘蛇も一瞬のうちに凍りつかせてしまう音無の笛を吹こうとしているのを見たエリンは、自らが笛を吹いて狂乱の場をしずめることに成功しますが、自分は動きを止めた王獣とともに墜落します。エリンは駆けつけていたイアルにすぐに助けられ、4日後に死にますが、その間に自分の知ったことのすべてを後に残った者たちのために筆記させます。そしてセイミヤはエリンとの約束を守って王獣をすべて自然に帰し、イアルは余生をジョシと平和に暮らした後亡くなります。ジェシは教導士となって若者たちに母の人生を語り、リョザ王国の新しい姿を求めて暮らしていくのでした。
 この本と前作の執筆を上橋さんに勧めたのは佐藤多佳子さんだというのをあとがきで読み、驚きました。最後の戦いに向けてすべてが準備されてきたにしては、第九章があっという間に終わってしまい、少し物足りないような気もしましたが、それは無い物ねだりというものかもしれません。読みごたえがあり、また読みやすい本でもあり、オススメです。なお、あらすじの詳細は私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels」の「上橋菜穂子」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

上橋菜穂子『獣の奏者 ?探究編』

2010-03-30 12:45:00 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'09年作品「獣の奏者 ? 探究編」を読みました。
 かつて唯一人の王獣使いだったエリンは現在夫イアルと8才の息子ジェシとともに平和に暮らしていましたが、闘蛇が大量死した原因を究明するために、リョザ王国の大公シュナンの命を受けたヨハルとともに大量死の現場に向かいます。二人はいくつかの事実をつかみますが、そこでリョザ王国を侵略しようとしている東の国・ローザの刺客に襲われます。イアルとジェシも襲撃を受け、危険から逃れるために家を出て、エリンを探す旅に出ます。一方、過去に王獣と闘蛇が闘った時に起きた惨事の詳細を知るために、神々の山脈をめざしたエリンは、濁流を泳いで渡ろうとして溺れますが、ちょうど彼女に追い付いたイアルが彼女を助けます。二人は話し合った結果、王宮に出頭し、エリンは大公に請われていた王獣の軍隊を作る代わりに、自分が王獣について知ったことは他の人間に漏らすことなく、すべて真王のセイミヤに学びとってほしいと言い、その申し出はシュナンとセイミヤに受け入れられます。一方イアンは、現在対立している真王側の勢力と大公側の勢力を結び付けるため、元真王側の兵士であった自分が大公側の闘蛇乗りになることをシュナンに申し出るのでした。
 次作への舞台作りとしての役割を果たす部分でしたが、十分読みごたえがあり、複雑な背景の説明も非常に効率良くされていて、最後まで楽しく読めました。第4巻の完結編が楽しみです。なお、あらすじの詳細は私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels」の「上橋菜穂子」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

トニー・スコット監督『デジャヴ』

2010-03-29 18:36:00 | ノンジャンル
 今日、神奈川県厚木市ではわずかですが雪が降りました。何と丹沢の山はまた雪化粧です。このままで行くと週末には白い山々をバックに桜満開となるかもしれません!

 さて、トニー・スコット監督の'06年作品「デジャヴ」をDVDで見ました。
 自動車に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、フェリーに乗っていた543人の人が亡くなります。爆発物局の捜査官ダグ(デイゼル・ワシントン)は、川岸で発見された若い女性・クレアの死体が、爆破事件の犠牲者に見せかけて事前に殺されていたことを見抜き、彼女の部屋を捜索して、爆破犯人が彼女の車を犯行に使うために彼女に近づいていたことを知ります。4日前のすべての映像が見られるという、科学捜査班が開発した最新鋭の装置を使って犯人を特定したダグは犯人を逮捕し、捜査は終了しますが、ダグはクレアの命を取り戻すために、科学捜査班に頼んで自分を4日前に送り込んでもらうことにします。ダグは犯人に捕えられていたクレアを救い、犯行を未然に防ごうとしますが、ダグの存在に気付いた犯人がフェリーに引き返し、クレアを再び人質に取って、ダグと撃ち合いになります。犯人はダグによって倒されますが、爆発までもう数秒しか残されていません。二人は車をフェリーから海へ飛び出させ、クレアは車から脱出しますが、ダグは爆発した車から脱出できずに死にます。海から助け出されたクレアは悲しみに暮れますが、しばらくすると装置で過去に飛ばされる前のダグがクレアの前に現れるのでした。
 あまりにも荒唐無稽でご都合主義のストーリーについていけませんでした。アクションシーンは素晴らしく、どのように撮影したのか分からない空中撮影などもあったのですが、「マイ・ボディーガード」の出来には遠く及ばなかったように思います。デイゼル・ワシントンがお好きな方にはオススメかも。

トニー・パーカー『ロシアの声』

2010-03-28 20:51:00 | ノンジャンル
 「殺人者たちの午後」を書いたトニー・パーカーの'90年作品「ロシアの声」を読みました。ペレストロイカ後のモスクワで様々な人々に行ったインタビューをまとめた本です。
 全体が8つの章に分かれ、「変革の洗礼を受けた男たち」の章では配管工、ジャーナリスト、同性愛者、失業者、音楽家、チェス名人、「時代に翻弄された女たち」の章では、作家、美人コンテスト女王、超能力者、アパートの管理人、品質管理技師、「徴兵された人々」の章では、第二次大戦の戦車隊長、第2次大戦の従軍看護婦、アフガン帰還兵、徴収兵3人、「医療の現場から」の章では、外科医、看護婦、一般臨床医、「教育の現場から」の章では、女性校長、教師、八年生の4人、十一年生の4人、「自立する女たち」の章では、オフィス応接係、セクレタリー、主婦、人形作り、「一流の職場で働く人々」の章では、グム国営百貨店支配人、ボリショイ劇場舞台係、インツーリスト・ガイド、「夫婦の選択」の章では、トラック運転手と保母補助の夫婦、アル中からのリハビリを続けている男と元看護婦のボランティアスタッフの夫婦がインタビューされています。ただ、この本が出版された年にソ連が崩壊したことで意味をもたなくなったと考えられる章や、もっぱら英国人の読者を対象にした章は、訳者によって翻訳から除外されたのだそうです。
 面白かったのは、教育と保険衛生は、質は不十分にせよ、ソ連では生涯保障されていて、住居と就職の権利、老齢になった時保護を受ける権利も法律で認められ、西側におけるように他人を利用し犠牲にして、自らの利益を図ろうとする行為は罰せられると語り、またKGBはどこにでもいて、彼らは自衛のために情報を流しているとも語るジャーナリストの話、同性愛はソ連では法律違反であるという話(おそらく非生産的行為だからでしょう)、勝手に移住することや移動することは許されていないという話、スターリンが国民みんなに住居を持たせるんだという命令を出したので、建築の仕事はその頃はいくらでもあり、女性が現場で働くのも珍しくなかったという話、戦争ほど愚かしい行為はなく、現在ある軍隊は大きすぎると言う多くの声、アメリカのような競争社会にはロシアの人は向いていないという話、避妊は女性の仕事であり、中絶は当たり前のように多く行われているという話などでした。一番強く感じたのは、ロシアの人たちは物の感じ方、考え方において私たちと何ら変わることのないということ、そして誰もが(浮浪者でさえも)皆教養に溢れているということです。現在のロシアはどうなのでしょうか? 気になるところです。ということで、ペレストロイカ以後のソ連の人々の声を聞きたい方には特にオススメです。

ブラッド・アンダーソン監督『セッション9』

2010-03-27 21:11:00 | ノンジャンル
 ブラッド・アンダーソン監督の'01年作品「セッション9」をDVDで見ました。
 アスベスト除去のため、15年前に閉鎖された巨大な精神病院を訪れたゴードンとその相棒のフィルは、仲間を呼んで一週間で仕事を終わらせることを条件に仕事を得ます。「月曜日」の字幕。ハンクとマイクとゴードンの甥のジェフが加わり仕事を始めます。マイクはブレーカーを上げに一人で物置きに行き、そこで録音テープを見つけますが、そこには多重人格の女性メアリーのカウンセリングの記録が録音されていました。「火曜日」の字幕。ハンクは19世紀のコインが落ちているのに気付き、それを辿って行くと壁の中に大量のコインが隠されているのを発見します。夜になって一人でそれを回収に行くと、音と人影に怯えた彼は逃げ出します。「水曜日」の字幕。ハンクが姿を消し、フィルが彼の恋人のエイミーに電話して聞くとハンクはマイアミに発ったと言われます。マイクはメアリのファイルを見つけます。一方ゴードンははずみで妻を殴ってしまい、それ以来妻が電話に出てくれないことをフィルに打ち明けます。「木曜日」の字幕。ジェフは手が血まみれのハンクを目撃し、皆に知らせ、手分けして彼を探します。ゴードンはフィルがエイミーに電話したというのが嘘ではないかと疑い、フィルと言い争います。マイクはテープのセッション9の部分を聞き、事件を起こした人格が現れてくるのを聞きます。フィルはハンクのCDプレーヤーを発見しますが、その時発電機が止まってしまい、ジェフは迫り来る闇に飲まれてしまいます。フィルはハンクを見つけ、ゴードンがメアリーのいた病棟に着いたところで発電機が復旧し、動き出したテープはメアリーが家族を皆殺しにしたことを告げます。ゴードンに襲いかかるフィル。ジェフは車に戻りゴードンに戻るように言いますが、そこへカメラが襲いかかります。「金曜日」の字幕。無線に呼ばれ病院内に向かうゴードン。そこへハンクの代わりのクレイグが到着します。ゴードンはハンクの死体を発見すると、そこへフィルが現れ、ハンクはフィルに目を刺された状態でまだ生きているのが分かります。そこへクレイグが現れますが、フィルは消え、ゴードンはハンクの目に刺さっているものを抜いてクレイグの目に刺します。フラッシュバックの中でフィルとマイクとジェフを殺すゴードン。ゴードンの妻と娘もゴードンが殺していました。死んだ妻への電話で謝り続けるゴードン。事件を起こしたメアリーの人格がナレーションで、自分は弱い人間に現れるのだと話して映画は終わります。
 物語の構成も設定も「ヘルハウス」にとても似ていると思いました。また、多重人格的な映画の構造も後の「マシニスト」と同じだと思いました。以前、「始祖鳥記」と読んでいる時にハンググライダーをしに行った際にも感じたのですが、今回も「異常快楽殺人」を読んでいる時に偶然にこの映画を見たことに不思議な一致を感じました。いずれにしても見て損はない映画です。オススメです。