恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず4月17日に掲載された「モリカケサクラは続く」と題された前川さんのコラムを全文転載させていただくと、
「十一日に記者会見した赤木雅子さん。自殺した夫の俊夫さんが文書改竄(かいざん)の指示に逆らえなかったことについて「上が白と言えば黒いものでも白」「すごい圧力の中で改竄したと思う」と話し、改竄を指示した佐川宣寿元理財局長には「夫の墓に手を合わせてほしい。無理なら法廷で自分の口から何があったか語ってほしい」と訴えた。
森友学園事件に比べると加計学園事件は、文科省文書と愛媛県文書により事実がかなり明らかになっているが、まだ不明な点もある。加計学園から文科省に提出された理事会議事録などの開示が求められた裁判で東京高裁は十四日、その一部の開示を国に命じた。
「桜を見る会」前日に安倍晋三後援会が催した夕食会の費用補填(ほてん)問題を告発した弁護士らは十三日、安倍氏を不起訴とした検察の処分を不服とし「起訴相当」の議決を求めて検察委員会に審査を申し立てた。
モリカケサクラは安倍氏とその周辺による権限の濫用(らんよう)であり国政の私物化だった。その真相を究明し責任を追及することは、国民の信託を受けている政治家が本来やらなければならない仕事だ。しかし岸田首相は何も説明しないし、野党も追及を諦めたかに見える。ならば国民自身が司法と言論の場で真相究明と責任追及を続けていくしかない。終わったことにはできないからだ。」
また、4月20日に掲載された「大学案内に美女?!」と題された斎藤さんのコラム。
「二十日にはもう、ニュースになっているだろうか。十八日、近畿大学教職員組合のアカウントが気になるツイートを流した。〈近畿大学の広報について、組合は以前より苦言を呈していますが、大学案内で「美女図鑑」等、品性を疑う…〉
問題の大学案内は「2023 近大グラフィティ」と題する受験生向けパンフレットで、ウェブ上にアップされた資料を見ると、たしかにこれは目を疑うものだった。「美女図鑑」「美男図鑑」には「身長」「好きなタイプ」という項目が最初にあり、各学部を代表する学生の写真にも「今日のポイント」と称するファッション紹介(値段まで!)が付く。
教職員組合のツイートは〈この特集だけではなく、ここに載せる学生を教員に推薦させる際、平然と「ビジュアルのよい学生を推薦してください」などと言ってくる広報室には呆(あき)れるほかない〉とも記している。
あまりにも露骨なルッキズム(外見至上主義)。
おりしも吉野家の常務が早稲田大学主催の社会人向け講座で「生娘がシャブ(薬物)漬けになるような企画」と発言。吉野家と早大は謝罪する事態に至った。近大の場合は大学当局が発行する公式の大学案内である点でよりタチが悪い。今日の認識ではルッキズムはれっきとした人権侵害だ。大学はイメージダウンどころか差別に加担してどうする。」
そして、4月24日に掲載された「自公政権のマッチ・ポンプ」と題された前川さんのコラム。
「教員免許更新制(更新制)は1990年代に自民党の中で「問題教員」排除の方策として主張され始め、2000年12月に森喜朗内閣の教育改革国民会議が提言した、当時僕は教員免許制度担当の課長だったが、文科省はこぞって反対し、中央教育審議会(中教審)は02年2月に導入を見送る答申をした。
しかし自民党の熱は冷めず、04年十月当時の中山成彬文科相が再び中教審に諮問。06年七月中教審は教員の資質能力の刷新(リニューアル)のため更新制が必要だと答申した。07年一月安倍晋三内閣の教育再生会議は、更新制で不適格教員への激しい対応を求める提言をした。
07年六月に法改正が行われ、09年度から更新制が始まったが、現場教師たちからは不評だった。うっかりミスによる失効も続発した。09年九月に成立した民主党政権も廃止せず、失望が広がった。教師の負担感は高まり、教員の人材不足が全国で起きた。
ところが今国会、自公政権が更新制廃止法案を出した。会期末までに成立するだろう、火をつけた本人が火を消す、これを「マッチ・ポンプ」と言う。施行日は七月一日。参院選に合わせたのだ。教師たちは「自民党、公明党、ありがとう」などと思ってはいけない。そもそもこんな馬鹿な制度を作った張本人なのだから。」
どれも一読に値する文章だったと思います。
まず4月17日に掲載された「モリカケサクラは続く」と題された前川さんのコラムを全文転載させていただくと、
「十一日に記者会見した赤木雅子さん。自殺した夫の俊夫さんが文書改竄(かいざん)の指示に逆らえなかったことについて「上が白と言えば黒いものでも白」「すごい圧力の中で改竄したと思う」と話し、改竄を指示した佐川宣寿元理財局長には「夫の墓に手を合わせてほしい。無理なら法廷で自分の口から何があったか語ってほしい」と訴えた。
森友学園事件に比べると加計学園事件は、文科省文書と愛媛県文書により事実がかなり明らかになっているが、まだ不明な点もある。加計学園から文科省に提出された理事会議事録などの開示が求められた裁判で東京高裁は十四日、その一部の開示を国に命じた。
「桜を見る会」前日に安倍晋三後援会が催した夕食会の費用補填(ほてん)問題を告発した弁護士らは十三日、安倍氏を不起訴とした検察の処分を不服とし「起訴相当」の議決を求めて検察委員会に審査を申し立てた。
モリカケサクラは安倍氏とその周辺による権限の濫用(らんよう)であり国政の私物化だった。その真相を究明し責任を追及することは、国民の信託を受けている政治家が本来やらなければならない仕事だ。しかし岸田首相は何も説明しないし、野党も追及を諦めたかに見える。ならば国民自身が司法と言論の場で真相究明と責任追及を続けていくしかない。終わったことにはできないからだ。」
また、4月20日に掲載された「大学案内に美女?!」と題された斎藤さんのコラム。
「二十日にはもう、ニュースになっているだろうか。十八日、近畿大学教職員組合のアカウントが気になるツイートを流した。〈近畿大学の広報について、組合は以前より苦言を呈していますが、大学案内で「美女図鑑」等、品性を疑う…〉
問題の大学案内は「2023 近大グラフィティ」と題する受験生向けパンフレットで、ウェブ上にアップされた資料を見ると、たしかにこれは目を疑うものだった。「美女図鑑」「美男図鑑」には「身長」「好きなタイプ」という項目が最初にあり、各学部を代表する学生の写真にも「今日のポイント」と称するファッション紹介(値段まで!)が付く。
教職員組合のツイートは〈この特集だけではなく、ここに載せる学生を教員に推薦させる際、平然と「ビジュアルのよい学生を推薦してください」などと言ってくる広報室には呆(あき)れるほかない〉とも記している。
あまりにも露骨なルッキズム(外見至上主義)。
おりしも吉野家の常務が早稲田大学主催の社会人向け講座で「生娘がシャブ(薬物)漬けになるような企画」と発言。吉野家と早大は謝罪する事態に至った。近大の場合は大学当局が発行する公式の大学案内である点でよりタチが悪い。今日の認識ではルッキズムはれっきとした人権侵害だ。大学はイメージダウンどころか差別に加担してどうする。」
そして、4月24日に掲載された「自公政権のマッチ・ポンプ」と題された前川さんのコラム。
「教員免許更新制(更新制)は1990年代に自民党の中で「問題教員」排除の方策として主張され始め、2000年12月に森喜朗内閣の教育改革国民会議が提言した、当時僕は教員免許制度担当の課長だったが、文科省はこぞって反対し、中央教育審議会(中教審)は02年2月に導入を見送る答申をした。
しかし自民党の熱は冷めず、04年十月当時の中山成彬文科相が再び中教審に諮問。06年七月中教審は教員の資質能力の刷新(リニューアル)のため更新制が必要だと答申した。07年一月安倍晋三内閣の教育再生会議は、更新制で不適格教員への激しい対応を求める提言をした。
07年六月に法改正が行われ、09年度から更新制が始まったが、現場教師たちからは不評だった。うっかりミスによる失効も続発した。09年九月に成立した民主党政権も廃止せず、失望が広がった。教師の負担感は高まり、教員の人材不足が全国で起きた。
ところが今国会、自公政権が更新制廃止法案を出した。会期末までに成立するだろう、火をつけた本人が火を消す、これを「マッチ・ポンプ」と言う。施行日は七月一日。参院選に合わせたのだ。教師たちは「自民党、公明党、ありがとう」などと思ってはいけない。そもそもこんな馬鹿な制度を作った張本人なのだから。」
どれも一読に値する文章だったと思います。