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星野夏『あおぞら』

2008-01-20 19:37:22 | ノンジャンル
 今日は冬の野鳥観察会で宮ケ瀬に行って来ました。寒くて凍えながらの観察会でしたが、モズの色の美しさに魅せられ、すべてが報われました。冬は葉が落ちて、鳥が見えやすくなるとのこと。皆さんにも冬のバード・ウォッチング、オススメです。

 さて、多くの女子高生が涙したという星野夏さんの「あおぞら」を読みました。
 中2の時に彼氏に裏切られ、彼の友人2人にレイプされ、その後も信頼していた先輩に裏切られ、5人にレイプされる。誰も信じられなくなり、自分が汚れて感じられ、生きるのがつらくなり、自殺しようとするが死にきれない。それから私は自分の存在価値を手に入れるために、テレクラを使って売春を始める。母は私の変わり様を見て泣いている。友人から紹介されたマサトは行為の最中を写真に撮り、それをばらまくと脅し、金を払わず何度も呼び出してはセックスを強要する。高校生になり私を含めて5人のグループができ、こぅちゃんという男子生徒と恋人になります、私の心は少し癒された。しかし、しばらく姿を見せなかったマサトに出会ってしまい、またレイプされ中出しされる。部屋に何日も引きこもり、ついにお母さんにレイプされたことを言い、ひきこもって泣いた。汚れた私はこぅちゃんと別れなければ、と思い、彼に会うと「別れよ」と言うとこぅちゃんは泣き出した。母に誘われ気晴らしに東京に行くが、帰るとストレス性腸炎で入院する。学校で唯一の男友達ツヨシが入院したので、退院した私は見舞いに行くと、彼も私をレイプする。私は死にたくて大声で泣く。私は先輩の紹介で夜にラウンジで接客のバイトをするようになり、出会い系サイトで遊び、下着売りも始めた。危険な仕事だったが、命に未練はなかった。誰かに殺してほしかった。私は自暴自棄になっていると、こぅちゃんが会いたいと電話して来てくれる。私はこぅちゃんに会うと、彼は泣いていて、自分の事情で相手の気持ちをボロボロにしていた自分に気付き、泣いた。こぅちゃんは私のことを忘れるために別の女性と付き合ったが、別れたという。私はさんざん迷った末、私の過去をすべて話すと、こぅちゃんは慰めてくれ、一緒に泣いてくれた。そして「これからはつらいことはすべて俺が背負ってやる」というメールが来て、私は「ずっと一緒にいようね」と返事を送った。2人の生活がまた始まり、しばらくしてこぅちゃんは交通事故で亡くなっていまう。こぅちゃんの両親から「幸太の分も生きてね」と言われ、私は自殺を思いとどまった。私たちはこぅちゃんの誕生日に記念のライブをやり、最後にこぅちゃんが一番好きだった曲「手をつなごう」の演奏が始まったが、私は涙で歌えなかった。が、会場の人が手をつないで、手を上げてくれた。私は多くの人に支えられて生きているんだ、と生きる勇気が出て来た。

 実在の少女の手記をもとに書かれた小説とのことですが、そのつきの無さには本当に同情します。そして自殺することなく、多くの人の愛情に支えられて生きて行く勇気を持つ事ができたことも本当に良かったと思います。でも、これって泣けるでしょうか? 私は全く泣けませんでした。人を泣かせるためにはもっと何かが必要なのだと思います。それが何かははっきりとは言えないのですが、少なくともこの本からそれは感じられませんでした。皆さんはどう感じたでしょうか?

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1 コメント

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Unknown (とおりすがり)
2015-12-15 19:50:09
自分の体験を書くことで自分の中のわだかまりに蹴りつけられ、同じような体験をした人に生きる勇気を与えるものだったと思います。
誰もが納得する作品はこの世にないですが、彼女は感動する作品にしたかったのではないと思い、書かせていただきました。
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