gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

黒沢清監督『復讐 THE RFVENGE 消えない傷痕』その1

2016-10-31 09:23:00 | ノンジャンル
 黒沢清監督・脚本の’97年作品『復讐 THE RFVENGE 消えない傷痕』をWOWOWシネマで見ました。
 桟橋に浮かぶ小屋をマスクの3人が襲い、そこにいた人間皆を射殺し、白い箱を持ち去る。白いボックスカーに箱を入れて去る。
 廃墟で箱を開け、「これ何ですか?」。胸倉つかみ「ハシシパウダーだよ」。電話する男「ブツは間違いなく手に入れた。じゃあ、今晩中に」。
 「ご苦労だったな。後は俺たちで」とドライバーの男(哀川翔)に金を渡す。ドライバー「駅はどっち」「多分あっちだ」。ドライバー歩き出すが、引き返し、「余計なことかもしれないが、さっきそこに隅で久留米がどっかに電話してたぞ。荒っぽいばかりのバカじゃない。俺にはそう見える。じゃあ」。
 連中毛布を被って眠ろうとするが、一人の男の携帯がなりワン切れ。
 ブランコに乗る男のキーキーという音。
 連中の中の一人の男、他の者を射殺。
 「これで独り占めだ」。ドライバーが近づいてくると「なんだ、あんたか」「駅が分からなくてな。お前、何やってんだよ」「あんたの言う通りだよ。片桐はよ、俺たち裏切るつもりだったんだ。逆にひっかけてやった」「殺したのか?」「ああ、忠告してくれたあんたには感謝してるが、悪いけど死んでもらう」「この箱はどうする?」「触るな」「一人じゃ車に乗せることもできない」。
 車に箱を乗せる2人。
 ドライバー、運転席に。「どういうつもりだ?」「車の運転だよ」「車を出せ」「どこに? お前のうちにか?」「それはダメだ」「このままじゃ逃げ切れんぞ。よーく考えろ」「よーし、社長の隠れ家だ」。
 夜に着く。ドライバーに「キーよこせ。あんたはここで待ってろ」。社長の部下に「ブツを持ってきた」。部下に伴われて中へ。警報がなり、拳銃を取り上げられる。社長「お前だけか? 片桐は?」「片桐さんも久留米さんもケガしてる。俺がギャラを受け取ります。ブツは外の車の中です。ギャラは俺の分だけでもいいですから」「バカか。許さんぞ、裏切りは」「違うんすよ。裏切ったのは片桐の方です」。ドライバー、警報をものともせず入って来て、社長の部下2人を射殺。「山野辺組の山野辺だな」「誰だ? 何の用だ?」。山野辺の腹を撃つ。「山野辺だが」「それだけを答えろ」。警報止まり、青年逃げる。「待ってくれ。訳を聞かせろ」「俺はお前の名前を聞いてる」「そうだ。私は山野辺だ。誰に頼まれた? 金が望みか? いくらでもやる。お前まさか安城五郎か?」「そうだ」。社長、逃げ出そうとして脚を撃たれる。「山野辺、お前を動かしてるのは誰だ?」。何も言わない山野辺を射殺。「律儀だな」。指紋をふき取り、拳銃を捨てる。
 昼。パトカー。現場検証。「ヤクザ同士の抗争事件でしょうか? 山野辺は腹部、頭部、脚をあちこちから撃たれています」「怨恨だな。手口はプロ並みだ」「しかしあの金属探知機をどうやって?」「こっそり侵入してくる者には有効だが、堂々と侵入してくる者には何の効き目もない。つまり犯人はよほどのバカか、それとも利口か、どっちかだ」。
 ゴミの山。「山本、そろそろ上がっていいぞ」。スポーツカーが停まり、クラクションを鳴らす。ドライバーだった山本「じゃあ、上がります」。
 スポーツカーの助手席の男「バカなんだよな、あいつら、ハハハ、そんでよ、俺帰ってすぐによ、民政党本部に電話して。あそこにはダチ公がいるから話が早いんだよ。あのー、赤城建設ですけど大新田先生の癒着問題のことでちょっと、って言ったら、幹事長の山根が出てきて、パニくってるんだよ。山本、お前、前科ないんだろ? 次の参院選に立候補しろよ。民政党の公認取ってやるからよ。お前いつまであんな仕事してるんだよ」「好きなからな」「好きでクズ拾いなんかやんな、おい(ドライバーの)高木。お前に話したっけ。この山本のこと。お前がうちの組に入る前だから1年前、俺が酔っぱらってスナック出たら、パチンコ屋の親父が包丁持って突っ込んできてよ。店おっつぶされておつむに来てたんだな。俺、観念してよ。大の字に寝た。その時通りかかったのが山本だ。親父の包丁を叩き落として。ありゃプロのお手並みだったな。自分のことしゃべらないし、盃受けない」。高木、道に迷う。「停めろ。緑町4丁目か5丁目だろ。山本助手席に。高木後ろへ。
 「山本、俺たち今どこ走ってる?」「知らない」「今、北町公園の前でしたよ」。車、段ボールの山に突っ込み、男豪快に笑う。
 アパートに帰る山本。壁に新聞の切り抜き。新聞の過去の記事を調べる。
 朝。山本出勤。2階から娘出て来る。「みっちゃん、いってらっしゃい」。娘が去ると、山本戻って来る。(明日へ続きます……)

宮田珠己『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』

2016-10-28 13:01:00 | ノンジャンル
 宮田珠己さんの ‘13年作品『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』を読みました。
 本文から引用させていただくと、
・「(ウンスンカルタは)下手は下手なりに妙味があるというような素朴な下手さではなく、真に下手なのだ」
・「(出島では)男どうしでもやったんじゃないですか」
・「軍艦島行きのツアーボートは揺れに揺れた」
・「歴代博物館を鑑賞している間に、いよいよランタンフェスティバル開始の時間の時が近づいてきた。夕方6時、スタッフによる秒読みが始まり、カウントゼロと同時にいっせいにランタンに灯がともる。おおお----、周囲がいっせいに赤く染まった。いいではないか、いいではないか」
・「思えば、私が見てみたい日本の3大祭りは、ねぶたも金魚ちょうちんも、電球そのものでなく、張りぼて全体で光る。張りぼてが重要なのだ」
・「(軍艦島の)炭鉱そのものは島にあるわけではなく、島から3キロ離れた海の底にあったこと。坑内に入る際は、リフトで真っ暗な中を600メートルの地下まで下るため、恐怖でオシッコをチビッた者もあったこと」
・「あまりに建物が密集していたために、下のほうの階にはほとんど日が射さず、昼間でも電灯をつけていたらしい」
・「そのほか、海底水道が敷設されていなかった当初は、貴重な水を節約するため、トイレも風呂も炊事場も階ごとに共同だったそうだ」
・「『デートのときはどうしたんでしょう?』『堤防の上とか、資材置き場でデートしたそうです』」
・「だが、島民の生活は決して暗いものではなかったという。子どもは屋上でも通路でもそこらじゅうで遊んだこと、犯罪がなかったこと、春と夏の祭りは島民総出で盛り上がったことなど、いろんな話を聞くうちに、私はなんともふしぎな気持ちになっていった」
・「大地が球体であっても須弥山の存在とは矛盾しない。なぜなら、須弥山は北極にそびえ立っているからだ」
・「有名な石舞台にしたってそうである。なだらかな斜面の途中にあり、場所としてのオーラというか特徴というか、聖なる感じといったようなものがない」
・「飛鳥資料館に、期待していた須弥山石があった。庭園にレプリカが、内部には本物があって、ダルマ落としのような形だった」
・「天理市は、天理教の聖地『ぢば』を中心に作られた宗教都市である」
・「街の中心は、天理教において世界の中心とされる『ぢば』で、巨大な神殿が建つ」
・「神殿は大寺院のような和風建築で、面白いのは、正面がなく、四方から中に入れることだ」
・「中には畳敷きの大空間になっている」
・「建物の中央には1段低くなった土地があって、その中心、つまり聖地のなかでもっとも聖なる場所に、『かんろ台』と呼ばれる木製の台が置かれている。信者はこの『かんろ台』方向に向かって祈るのである」
・「祈りの方法は、手踊りといって、正座したまま、歌いながら手を独特のリズムで躍らせる」
・「この神殿は、24時間いつでも入って祈りをささげることができるそうだ」
・「『おやさとやかた』というのは、天理教の神殿を取り囲むように建設中の、ビルの総称で、かつてある新聞の取材で一度見に来たことがあるのだが、そのとき最終的に一辺が870メートルの正方形になるよう、増築する予定だと聞き、ビルでぐるっと街を囲むという発想に、いたく驚いたのだった」
・「鉄筋コンクリート製の箱型のビルで、場所によって階数は違うが、だいたい4~8階建て程度、特徴的なのは、屋根が瓦葺きという点だ」
・「『おやさとやかた』の基部がトンネルになっており、それを貫いて川が流れている」
・「上流4キロのところに天理ダムがあるらしい。だ、大丈夫なのか『おやさとやかた』」
・「『(永平寺では)三黙道場といいまして、僧堂と浴室、東司では一切の私語が禁止されております』」
・「僧堂というのは、(中略)なんでもひとり畳一畳があてがわれ、お寺の中で唯一そこだけがプライベートな空間だそうである」
・「『布団は横にはみ出してはいけないので、丸く縛って中にくるまるようにしています』」
・「『病気になったりしたら?』『病人が寝る部屋というのがありまして、そこで休みます』『修行は休んでいいの?』『はい、でもそこに入るとずっと寝ていなければいけないので、かえってきついと聞きます』」
・「修行はだいたい1年から3年、長くて6年ここにいる人がいる、と若い僧は教えてくれた」……
 
宮田さんの描いた数々の絵も楽しませてくれました。

黒沢清監督『復讐 THE REVENGE 運命の訪問者』その2

2016-10-26 08:59:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 タエコ「どうしたの? わざわざ出迎えに?」「しばらく実家に帰ってみたら?」「夕べ、変な電話があったわ。でも警官と結婚したんだから覚悟はできてるの。もしかしてあのこと?」「ああ、やっと見つけた」。
 倉庫。トモハル「兄貴は急用ができた」大石「今回はあんたらの方から誰か警察に突き出してくれ」「ヤクザじゃないから若い者なんていない」「だったらこの始末どうつけてくれる?」「落ち度はあんたらだ」「永田、どうなんだ?」永田「こいつがシャブ中の件をチクったらしいです」「分かった、こいつをサツに」「こっちは済まない。俺たちと契約した以上最後まで付き合ってもらう」「助けてくれ、女の居場所知ってる。栄町のアパートだ」。トモハル、その男を射殺。
 マキ、男たちがアパートに来るのを見て逃げ出す。
 「マキが見つかった。交番に逃げ込んで来たらしい」。
 宮地の事務所。トキエ「トモハル!」。安城ら、トモハルを連行する。トキエ電話。「仕事よ、すぐに用意して」。電話切り、茂治に「もうあんたには任せておけない」。
 「マキ、見たのはあの男だろ?」と取調室のトモハルを指す。「黙ってるなら外へ。あいつと一緒に」「男と一緒に暮らしてる頃、仲間大勢と来た。電話一本で人殺し。あの男一人捕まえても私はどっちみち殺される」。身元引受人と帰るマキ。「逮捕理由がない以上、釈放だ」。「安城さん、奥さんから電話です」「やはり実家に帰るわ」。支度をするタエコの部屋の下に白いボックスカー。玄関にトキエ。タエコに白いボックスカー近づく。
 茂治とトモハル抱き合う。「姉さんは?」「仕事の最中だ」。白いボックスカーがやって来る。乗ったトモハル「名前さえ変えれば商売できる」。
 マンションの管理人「安城さん、道にこれが」とタエコの鞄を渡す。
 自宅の留守電。タエコの父「今日は来ないのかい?」
 茫然とする安城。
 退職届。家族写真。
 闇商人から拳銃とありったけの弾を買う安城。
 クリーニング工場。安城、茂治に「タエコは?」「知らない」「もう死んでるんだろ?」「俺は誰も殺してない。昔も。借金の取り立てで、せめてあんただけでも助けようと」トモハル「嘘だよ。自分で手を汚したくないだけ。汚い仕事はいつも俺。あんたの奥さんは死んだ。どうやって殺したか知りたいか?」。安城とトモハル、撃ち合う。白いボックスカーで逃げるトモハル。
 宮地の事務所の白い袋の中にタエコの死体を見つける安城。
 安城、拳銃を構えて大石組の事務所に乗り込み、電話を借りて、「広沢、宮地の事務所に死体がある。俺の妻のだ。宮地たちももうおしまいだ。俺は警官を辞める」。電話切り、「あいつら捕まればあんたもやばい。捕まる前に始末した方がいいんじゃないか? 取引しよう。宮地たちは俺が殺る。いるところを教えろ」「知らない」「じゃあ探せ」。
 宮地の事務所に薬莢を見つける広沢。安城が辞表を出したと知らされ、広沢「安城を捜せ」。
 永田、電話。
 トモハル、電話で「大石の狸は後回しだ」。電話切り、別の相手に電話で「仕事だ。皆電車で来い」。「当分ここで商売できる」茂治「お前、まさか安城を」「だってあいつだけは殺らなきゃ」「お前が早まったことしたおかげで、俺がどんなに苦労して表の顔をしてると」「もとは兄貴のヘマだ」。
 バーの検証。女2人の死体。広沢「ここはお前に任せる」。
 トモハル「お前、仕事したことあるのか?」「さっき2人やってきました」。
 安城が永田に運転させている車を追う広沢。
 永田、安城に「宮地らは密輸をやってたんです。それが殺しに。上は政治団体や宗教団体。一生搾り取れる」「お前も仲間か?」「俺はまともなヤクザです。あいつら普通じゃない。兄妹で結婚してる」。
 永田を拳銃で脅して車を降りる安城に、広沢「銃を捨てろ」。廃墟の中から銃弾。永田は逃げ、広沢は安城に飛びかかり、安城に撃たれる。「防弾チョッキは?」「撃たれるとは思わなかった」。廃墟に乗り込んだ安城は次々に男たちを射殺。永田とトモハルに「おーい、お前んところは兄妹で夫婦なんだってな。永田がそう言ってたぞ」「違う」。トモハル、永田に何発も撃ち込む。トモハル、白いボックスカーで逃げる。まだ死んでない男に「宮地たちはどこだ? 言えば医者呼ぶ」。何発も撃つ安城。
 安城、一軒家へ。トモハル拳銃。トキエ、茂治に拳銃持たせ、自分もマシンガン。
 草むらでトキエに撃たれるもトキエを射殺。防弾チョッキを脱ぐ。
 家に隠れていた茂治を見つけ、「お前なんか助けるんじゃなかった」と言う茂治に何発も見舞う。
 トモハルとは相撃ち。トモハルは起き上がり、海辺で倒れるが、安城は生きていて迫る。トモハルは自殺しようとするが弾切れ。安城、5発撃ち込む。
 家族写真燃える。「何もかも燃やした。だが拳銃は捨てなかった」。

 シルエットとリアルな遺体が印象的でした。

黒沢清監督『復讐 THE REVENGE 運命の訪問者』その1

2016-10-25 14:13:00 | ノンジャンル
 黒沢清監督、高橋洋脚本の’97年作品『復讐 THE REVENGE 運命の訪問者』を WOWOWシネマで見ました。
 夕陽の路地に制服の女子高生。男「あんた、ここの人? お父さん、中にいるんだろ?」
 家の中。「表に変な人が」妻「警察呼んだ方が」父「会社のこと、表にできない」。チャイム。男、庭から入ってくる。「誰?」「仕事なんだよ」。チャイム連打。「さっきからピンポン押してるだろう。中に入れろ」。妻は幼い息子を隠す。「今うちにあるのはこれだけ」「まだ足りないな」。父と妻と女子高生を射殺。家探し。一人が息子を見つける。頭を乱打し、「黙ってられるか?」。うなずく息子。「俺はずっと黙ってた。しゃべれば殺される」の独白。
 助手席に拳銃。「シャブ中一人上げるのに大げさな」と部下の広沢が防弾チョッキを着るのに対して言う安城(哀川翔)。「用心のためですよ」。ブザー。「ちょっと話が」。シャブ中の男、発砲し、逃げ出す。自殺しようとするその男を安城は止めようとするが、結局自殺してしまう。
 帰宅した安城を妻のタエコが迎える。電話があり、シャブ中の男には指紋がなく、偽名を使っていたことが告げられる。
 「住民票もデタラメでした。顔写真をコンピュータにかけてます。前科があれば引っかかります。前に相当ヤバイ山を踏んだんじゃないでしょうか? 女と映っている写真。「この女、前にシャブで上げたことがあります」。
 「マキちゃん? いいかげんな子でねえ。今日は出てくるかなあ。あの子が住所を知ってますよ」。
 「安城さん、コンピュータに引っかかりました」。
 「マキは事件の日からアパートに戻ってません。男の保護司は確認しました」「私がタモツの保護司です」。
 バー。「永田さん、いらっしゃい。」「アケビ、マキを見ないな」。
 「安城さん、この保護司の宮地茂治は偉いですよ。更生に仕事をかなり斡旋しています。本業は洗濯屋です。代表取締役は宮地トキエ。奥さんでしょう。これが宮地が世話した子のファイルです」。ファイルを見た安城、一枚が暴力団大石組の者だと確認する。そこへ電話。「今、ヤクザに追われているんです」「マキの店は大石組のシマだったな」「マキに聞いたんですが、男と同棲していた時、男に指紋がなかったそうです。男を訪ねて来た者は人殺しの命令を男に下し、その人にも指紋がなかったそうです」「誰を殺せと?」。電話切れる。
 「あのシャブ中、殺し屋だったんですね」「マキをすぐ手配しろ」。
 宮地宅を安城訪れる。茂治「私も若い頃ぐれていて、気持ちが分かるんですよ」「タモツの最近の交友関係は?」「3,4年前に音信が途絶えまして」。マキの写真を見せ、「この女は?」「さあ」「永田は? 今、大石組の幹部だ」「覚えてませんねえ」。しきりに頭を叩く茂治。
 茂治「トモハルに頼んだら? 喧嘩はまずい。付きまとわれる。女は見つかったか?」トキエ「まだよ。そっちが先」。
 永田、バーの外でアケビに「たまには付き合え」。アケビに男たち、襲いかかる。「頭だ」。ハンマーで頭を殴られるアケビ。
 ドラム缶に火。川べり。「黒焦げですよ。歯も全部抜いてある。マキって女かも。これで手がかりがゼロですね。安城、何か隠してないか?」「もう拳銃が出ないのがなぜかずっと考えてる」「こないだのこと、気にするな」「人を撃つのが嫌なんじゃないんだ。むしろ撃ちたいんだ」「疲れてるようだな。今日は早く上がれ」。
 タエコ「どうしたの? やけに早いのね」「やっぱりでかける」。手帳にはさんである安城の家族写真を見るタエコ。
 永田を段ボール箱で殴る安城。「去年の支店長殺しはお前のところの筋だったな。宮地、知ってるな? 手を見せろ。お前は指紋があるな。あいつは人殺しの印に指紋を焼くそうだ。指紋のない奴は誰だ?」「深入りしない方がいいですよ」「ネタを出さないとお前の組を締め上げる」。若い者、いきがり、逮捕される。
 大石「下手に動くな。これで3人パクられた。宮地のバカが。シャブ中使うと俺が迷惑だ」永田「ヤバイのはあのデカですよ」「サツを敵に回してどうする? 女を突き出せ」。電話する大石。
 茂治「そう言われても。電話ではあれなんで、明日倉庫で」。電話切る。トモハル「俺が行こうか?」「そうしてくれ。俺は動きが取れん」。下で張り込みをしている安城を見て、「あいつか。兄さんが優しすぎるんだ」「バカ野郎!」。
 トモハル、安城へ。「迷惑なんだよ。毎日、毎日。とっくに時効だろう?」。安城、車から降りてトモハルに馬乗りになり何度も殴る。「お巡りがそんなことしていいのか? 子供が生まれたら、また遊びに行ってやるぜ」。(明日へ続きます……)

山田宏一・蓮實重彦『トリュフォー最後のインタビュー』その2

2016-10-24 12:22:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
・ブニュエルというのは、人間なんて下劣で最低だと思いながらも、同時に、人生はたのしくすばらしいと考えている芸術家であること
・『柔らかい肌』において、飛行機のなかでスチュワーデスのフランソワーズ・ドルレアックがカーテンを引いてハイヒールにはきかえるシーンといい、夜のレストランでフランソワーズ・ドルレアックがハイヒールをぬいで踊るシーンといい、映画的記憶という点ではジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の『裸足の伯爵夫人』(1954)をすぐさま想起させるとともに、ハイヒールと女という、トリュフォーの映画の重要なテーマの一つが、明確に現れているのが印象的であること
・ゴダールはトリュフォーの『突然炎のごとく』を彼に対する一つの挑戦とみなし、『自分もいつかジュールとジムの物語を撮ろう。美しい風景のなかで大きなひろがりのある物語を撮ってみよう』と言っていた。『気狂いピエロ』がその答えだった。『突然炎のごとく』でジャンヌ・モローが歌った「つむじ風」を作詞作曲したセルジュ・レズヴァニ(バシアク)のシャンソンをアンナ・カリーナに歌わせたりしたのも、そんな理由であったこと
・鉄則として。ラストの15分には、すでに二度か三度画面に出た場所はけっして見せてはならないこと
・トリュフォーの作品には、『恋のエチュード』あたりから、やさしい中年の、あるいはむしろ初老の婦人の存在が目立つようになったこと
・思いがけない出来事が撮影のたびに起こるが、かならずしも愉快な話ばかりでなく、単にわけのわからないことだったり、ときには耐えられないようなむごいことだったりする。実際に起こることのほうが強烈でなまなましすぎて、撮影中のシーンのつまらなさがきわだってしまうことすらあること
・トリュフォー自身がつねに感じていたことで、俳優を生身の人間としてつかまえること
・映画づくりの真実を最もよく表現している作品は、マルセル・パニョル監督の『ル・シュプンツ』(1938)とスタンリー・ドーネン、ジーン・ケリー共同監督の『雨に唄えば』(1952)とヴィンセント・ミネリ監督の『悪人と美女』(1952)の三本であること
・映画作家には二つのタイプがあって、自分のねらいどおりの画(え)づくりを完璧に果たさなければ気がすまないタイプと、構図などにそれほど執着せず、画面に偶然が入りこむのを気にしないタイプとがあること
・1950年代後半あたりから、ベルイマンはセットの両端や角を画面から完全に切り落としてしまっていること
・目線をくずさずに寄ったりひいたりする演出のしかた、目全に沿ってロングからアップへ、アップからロングへのアクションをつなぐという、D・W・グリフィス以来の基本的な、伝統的な演出、つまりキャメラの動きをまったく意識させない古典的な手法を『人情紙風船』も採っていること
・ムルナウの『サンライズ』(1928)の都会の夜景など、遠近法を強調するつくりになっている。広場の全景では、奥のほうに小人たちを配して奥行をだしてみせた。トーキー以後も、映画は、しばらく、そうした構図の決められた枠から出なかった。キャメラがすごく重くなったこと、録音機材が面倒だったことなどがあること
・ロッセリーニとともに映画はドキュメンタリーに限りなく近づいたこと
・テレビの普及で、ヌーヴェル・ヴァーグの手法は急速に通俗化し、古びてしまったこと
・カラー映画では、ヌーヴェル・ヴァーグ式のなりゆきまかせが絶対に許されないこと
・シネマテークで古い作品を見て気がつくことは、古典とみなされている作品からもしばしば受ける印象だが、監督の計算どおりに正確に完璧な画(え)づくりができている映画ほど早く古びる傾向があること
・映画が描こうとするものの最終的な目的は、言うまでもなく、真実ということ。人間感情、環境、せりふ、演技、それぞれの真実。しかし、映画の場合、それだけでは充分でないことがわかる。それを支え、包みこむ形式(スタイル)が必要なこと
・映画は形式的統一の美学に回帰すべき、純粋な映画的文体をしっかり追求し、真に映画的なイメージを生みださなければならないとトリュフォーは考えていること
・強く激しい情熱の物語は、『恋のエチュード』以来トリュフォーの心を深くとらえていること
・トリュフォーの映画は、奇妙なことに、フランスでは当たらなくても、かならずどこかの国でヒットしてきたこと
・愛もしくは女、子供、そして書物が、トリュフォーの人生と映画の三大テーマだと言えること
・ピエール=ウィリアム・グレンは早撮り、即興が得意なこと
・トリュフォーの映画で一つ印象的なのは、しばしば、家と家が向かい合っているということ
・『日曜日が待ち遠しい!「』は、ヨーロッパ的というより、愛しあう必然のない二人が喧嘩をすればするほど協力しあってしまうというハリウッド映画の基本を踏まえていること
・トリュフォーは私の母と同じ年に生まれていること

 以上の他にも面白いエピソードや興味深い固有名詞が満載です。トリュフォーファン必携の本です。