gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

増村保造監督『黒の報告書』

2021-07-27 04:24:00 | ノンジャンル
 増村保造監督・構成の1963年作品『黒の報告書』をDVDで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、

「ある夜、富士山食品社長柿本高信が自宅応接間で殺害されているのを息子で舞台演出家の富美夫が発見する。若い地検検事城戸(宇津井健)の立ち合いの元、警察が現場を調べていく。凶器は青銅の壺で、顔見知りによる犯行。やがて、富美夫が嫌う、社長の後妻みゆきが帰宅する。
 城戸は次席検事から、城戸の東京への栄転をほのめかされる。地検では無罪判決が二つ続いていた。この事件では必ず有罪判決を取らなければならない。先輩の草間検事(高松英郎)は城戸が殺人事件担当ときいてうらやましがる。汚職等と違って殺人事件には優秀な弁護士がつかないはずだからだ。
 事件当日社長宅を訪れた社長秘書片岡綾子(叶順子)が調べられた。綾子は社長の愛人。妻の浮気に苦しむ社長をなぐさめていたと主張する。彼女は、社長秘書の前任者でみゆきとの仲を知られてクビになった人見十郎(神山繁)とみゆきが共謀して社長を殺害したと確信していて、城戸に全面的に協力してくれるようだった。さらに、綾子の後に社長宅を訪れた富士山食品の中野経理部長は城戸に、柿本社長が2300万円の浮貸しをしていて、背任になるから早く金を会社に返せと社長に言ったことを教える。そして部長は帰りに人見の姿を見ていたと語る。
 津田刑事(殿山泰司)が今は深町商事に勤める人見十郎に株屋と偽って近づき指紋を取り、さらに床屋に落ちていた人見の髪の毛を拾う。指紋は青銅の壷についていたそれと一致し、髪の毛も殺人現場に落ちていたものと同一人物のものだった。人見は事件の夜バーでホステスにプロポーズしたと主張したが、アリバイ作りをホステスに頼んだことを津田刑事は見抜く。
 一方、柿本社長の弟が柿本社長とひとみとの離婚届をあずかっていた。ひとみが離婚を拒否したので届は出されていなかった。
 拘留された人見は黙秘権を行使する。山室という老練弁護士(小沢栄太郎)が東京から来て人見の弁護を担当することになり、15分の面会時間のうちに人見に指示を出す。山室は、柿本社長から2300万円の浮き貸しの金を借りていた深町商事が不祥事隠しのために雇った辯護士だった。
 辯護士の山室は金の力で検察側証人の買収を図る。ひとみと共に現社長秘書の綾子を訪れ、社長が綾子のために用意していたと言って1000万円の通帳を見せる。会社をやめさせられた彼女にはのどから手の出るほど欲しい金だった。そして山室は、柿本社長の弟には借金の500万円の肩代りをする。この事件を担当している検事・城戸は柿本邸を調べ直し、額縁の裏から人見の名での2300万円の受け取りを発見する。城戸は、人見の拘留期限ぎりぎりに人見を情痴と金(人見が2300万円の返却を渋った)の両方の理由による殺人により起訴するに至る。求刑は死刑。
 公判が始まる。証人たちは城戸の調書と違う証言をする。頼りにしていた綾子までが、城戸には話したことのない1000万円のお手当の話をする。柿本社長が会社から持ち出した金が綾子や社長の弟に渡ったというのが弁護士・山室の作ったストーリーだった。そして凶器の青銅器の指紋、事件現場の髪の毛は、犯行前日に人見が残したことにされる。城戸は控室の綾子に真実を証言してほしいと頼むが、私と結婚してくれるなら真実を話すと言われてしまう。
 判事が城戸の調書の方を信じてくれるという城戸の望みはうち砕かれ、無罪判決が出る。
 控訴のために城戸と津田刑事は新証拠をさがす。綾子は偽証の報酬を100万円に値切られたが、今から本当のことを言っても偽証罪を問われると山室に脅される。富美夫が劇団の練習場をひとみからもらった約800万の金で手に入れたという情報を城戸は得るが、金は父親からもらったと富美夫は言い張る。彼も金で口封じをされていたのだった。
 そして、控訴期限の日の夜、城戸と津田刑事はとうとう事件現場近くの商店主から事件の夜に人見が血のついた服を洗っていたのを見たという証言を得る。商店主は人見に借金をしていたので今まで黙っていたのだった。しかし、既に東京高検から指示があったということで次席検事は控訴を認めなかった。そして城戸の上司は城戸の転勤先が青森に決まったことを言い渡す。
 城戸の転勤の日、綾子が自分を偽証罪で起訴してくれと申し出る。事件は終わったと言って綾子をつっぱねる城戸だったが、草間検事は、自分が綾子の偽証罪を担当して山室や人見を追いつめると約束する。「早く帰ってきてほしい」と言う草間検事に見送られて城戸は青森へ旅立つ。

 宇津井健の迫力が今一つでしたが、叶順子の美しさや殿山泰司の独特の魅力が印象的な作品でした。