瀬尾まいこさんの新刊『おしまいのデート』を読みました。5つの短編からなる本です。
1つ目の短編『おしまいのデート』では、中学3年の夏を迎えんとする私が主人公。小4の時に両親が離婚し、母方に引き取られた私は、定期的に父さんと会っていましたが、父さんが再婚すると、じいちゃんが代わりにやって来るようになります。必ず遅れてやって来て、そんなことは意に介さずにソフトクリームを必ずおごってくれ、中古の軽トラでドライブに連れていってくれるじいちゃん。受験前のじいちゃんとの最後の「デート」場所に、私はよく行く岬の展望台を選び、元漁師のじいちゃんから海が丸いという話をまた聞く私。別れ際、最後の願い事を叶えてやるというじいちゃんに、私は特に欲しい物はないと言うと、じいちゃんは雲行きの怪しい空を見て、私が帰るまで雨を降らさないでいてやると言いますが、別れた直後に雨が降って来ます。私の母ともうすぐ再婚する原口さんの息子の実(みのる)が傘を持って迎えに来てくれましたが、実は傘を一つしか持っていませんでした。それでも実は、自分は傘を持つのが得意だから大丈夫だと言い、既に濡れそぼっている私はそんな実と一緒に仲良く帰っていくのでした。
『ランクアップ丼』では、俺は毎月24日の給料日には必ず、上じいと玉子丼を食べます。俺が上じいと最初に玉子丼を食べたのは、俺が高3の時。母子家庭の俺は、日頃ろくなものを食べていなかったのですが、たまたまケンカで担任から長々と説教され、遅く学校を出ようとした時に、隣のクラスの担任だった上じいから「飯を食おう」と誘われたのが始まりでした。それ以来、ケンカしたり、学校をふけたり、カンニングをしたり、何か悪さをする度に「なんだ、三好、またやったのか。どうや、飯でも食おうか」と誘われ、玉子丼を二人で食べることとなり、やがて俺は、上じいが奥さんに先立たれ、娘さんも息子さんも既に一人立ちして遠くへ行ってしまっていることを知ります。2月の終わりかけの頃、就職の決まった俺に対し、上じいは「最後の晩餐だ」と言って天丼をおごってくれました。そして就職した俺は、1回目の給料こそ自分の生活費に使ってしまいましたが、2回目の給料の使い道を考えた時、上じいと玉子丼を食べることがすぐに頭に浮かびます。それからは、月に一回、俺の給料日に上じいと玉子丼を食べることになり、上じいが勧めてくれたスーパーの仕事にも次第に慣れ、人と接する仕事をすることによって、任されている野菜コーナーのことだけでなく、挨拶の仕方や敬語の使い方まで、様々なことを身に付けることができるようになっていきます。そして12月24日、2年近く付き合っている恋人とのデートをふって、上じいと玉子丼を食べに行った俺は、近々結婚しようと思っていると上じいに言い、上じいを喜ばせますが、上じいは後1回俺がおごれば、高校生の時に上じいが玉子丼をおごった回数に並ぶので、会うのは次回で終わりにしようと言い出します。俺はそんなこと気にしないでくれと言って、1月24日、上じいにおごられた時と同じように天丼をおごろうと店で待っていると、上じいはなかなか現れず、やがて現れた上じいの娘さんは上じいが年明けすぐにガンで死んだことを告げます。娘さんは俺のおかげで父の余命が伸びたと感謝してくれ、上じいの代わりに天丼を食べてくれますが、俺は胸が一杯になって天丼の味を味わうことができず「誰かと天丼の味を味わえるようになるには、まだまだがんばらなあかんな」と思うのでした。(明日へ続きます‥‥)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
1つ目の短編『おしまいのデート』では、中学3年の夏を迎えんとする私が主人公。小4の時に両親が離婚し、母方に引き取られた私は、定期的に父さんと会っていましたが、父さんが再婚すると、じいちゃんが代わりにやって来るようになります。必ず遅れてやって来て、そんなことは意に介さずにソフトクリームを必ずおごってくれ、中古の軽トラでドライブに連れていってくれるじいちゃん。受験前のじいちゃんとの最後の「デート」場所に、私はよく行く岬の展望台を選び、元漁師のじいちゃんから海が丸いという話をまた聞く私。別れ際、最後の願い事を叶えてやるというじいちゃんに、私は特に欲しい物はないと言うと、じいちゃんは雲行きの怪しい空を見て、私が帰るまで雨を降らさないでいてやると言いますが、別れた直後に雨が降って来ます。私の母ともうすぐ再婚する原口さんの息子の実(みのる)が傘を持って迎えに来てくれましたが、実は傘を一つしか持っていませんでした。それでも実は、自分は傘を持つのが得意だから大丈夫だと言い、既に濡れそぼっている私はそんな実と一緒に仲良く帰っていくのでした。
『ランクアップ丼』では、俺は毎月24日の給料日には必ず、上じいと玉子丼を食べます。俺が上じいと最初に玉子丼を食べたのは、俺が高3の時。母子家庭の俺は、日頃ろくなものを食べていなかったのですが、たまたまケンカで担任から長々と説教され、遅く学校を出ようとした時に、隣のクラスの担任だった上じいから「飯を食おう」と誘われたのが始まりでした。それ以来、ケンカしたり、学校をふけたり、カンニングをしたり、何か悪さをする度に「なんだ、三好、またやったのか。どうや、飯でも食おうか」と誘われ、玉子丼を二人で食べることとなり、やがて俺は、上じいが奥さんに先立たれ、娘さんも息子さんも既に一人立ちして遠くへ行ってしまっていることを知ります。2月の終わりかけの頃、就職の決まった俺に対し、上じいは「最後の晩餐だ」と言って天丼をおごってくれました。そして就職した俺は、1回目の給料こそ自分の生活費に使ってしまいましたが、2回目の給料の使い道を考えた時、上じいと玉子丼を食べることがすぐに頭に浮かびます。それからは、月に一回、俺の給料日に上じいと玉子丼を食べることになり、上じいが勧めてくれたスーパーの仕事にも次第に慣れ、人と接する仕事をすることによって、任されている野菜コーナーのことだけでなく、挨拶の仕方や敬語の使い方まで、様々なことを身に付けることができるようになっていきます。そして12月24日、2年近く付き合っている恋人とのデートをふって、上じいと玉子丼を食べに行った俺は、近々結婚しようと思っていると上じいに言い、上じいを喜ばせますが、上じいは後1回俺がおごれば、高校生の時に上じいが玉子丼をおごった回数に並ぶので、会うのは次回で終わりにしようと言い出します。俺はそんなこと気にしないでくれと言って、1月24日、上じいにおごられた時と同じように天丼をおごろうと店で待っていると、上じいはなかなか現れず、やがて現れた上じいの娘さんは上じいが年明けすぐにガンで死んだことを告げます。娘さんは俺のおかげで父の余命が伸びたと感謝してくれ、上じいの代わりに天丼を食べてくれますが、俺は胸が一杯になって天丼の味を味わうことができず「誰かと天丼の味を味わえるようになるには、まだまだがんばらなあかんな」と思うのでした。(明日へ続きます‥‥)
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