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増村保造監督『黒の試走車』

2021-07-26 00:28:00 | ノンジャンル
 増村保造監督の1962年作品『黒の試走車』をDVDで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、

タイガー自動車の小野田(高松英郎)や朝比奈(田宮二郎)たちは新型車パイオニアのテスト走行を行っている。ライバル会社のスパイがいないことを確認してから、黒いシートに包まれたテストカーのスピードを上げさせる。ところがテストカーは事故を起こし炎上してしまう。この事故はテストカーの事故としてマスコミに報じられる。テスト走行について知っていたのは限られた幹部だけ。スパイ活動のために作られた企画一課はライバルであるヤマト自動車のスパイをあぶりだそうとする。企画一課の朝比奈は、恋人の昌子(叶順子)をヤマト自動車幹部で元関東軍特務機関に属していた馬渡がよく通うパンドラというバーに勤めさせる。企画部長の小野田の信頼が篤い彼は、パイオニアが成功すれば課長に昇格するはずだった。
 朝比奈は偽名を使って馬渡に接触して新車パイオニアの偽情報を売り込もうとする。しかし馬渡は朝比奈の名もパイオニアがスポーツカーであることも既にお見通しだった。ヤマト自動車が新製品を開発していることが明らかになる。タイガーの企画一課はあらゆるつてを使ってヤマトの新製品の情報を盗み出そうとする。最後は、コピー機業者からのリベートの着服という弱みを握られたヤマトのデザイン課長が設計図を流す。ヤマトの新車マイペットはパイオニアのデザインを盗んだスポーツカーとわかる。
 両社の新車の競争は価格の勝負となった。朝比奈たちはヤマトの会議室の向かいのビルのトイレからヤマトの会議を8ミリフィルムで撮影し、映写したフィルムの中の馬渡の口の動きを読み取る。しかし、パイオニアの予定価格は既に馬渡に知られていたことがわかった。そしてマイペットの価格は100万まではわかったが端数の金額は馬渡がもつ封筒を見るしかない。朝比奈は小野田に頼まれ、昌子を利用する。昌子を公園に呼び出し、前々から宝石をやるからホテルに来いと馬渡に言われていた昌子に馬渡と寝たらいいと朝比奈は言う。昌子は朝比奈の態度を軽蔑しながらも仕事を引き受ける。馬渡がシャワーを浴びるすきにカバンの中の封筒の中身を盗み読む。昌子は朝比奈のベッドに口紅で「X=8」と描いてから朝比奈をぶつ。つぐないはすると朝比奈は言うが、昌子は「私の思い出に」と言って馬渡からもらった宝石を置いて去っていく。
 マイペットを108万円で売り出したヤマトに対してタイガーはパイオニアを98万円で売り出す。企画一課の勝利かと思われたが、売り出し初日にパイオニアの一号車が東海道本線の踏切で急行列車に衝突する。パイオニアに乗っていて衝突前に逃げ出した、材木会社社長で市会議員である芳野は自動車が故障したと主張しパイオニア生産中止キャンペーンを始める。彼は関東軍特務機関で馬渡の部下だった。芳野に一号車を売って鉄道事故を引き起こした、馬渡のスパイは誰か。最初は専務秘書だった島本をスパイと考えて小野田は彼を問い詰める。しかし、タイガー自動車社長の病室を盗聴していた看護婦に金を積んで、小野田は彼女の本当の雇い主を言わせる。結局、社長の娘婿の平木企画第二課長(船越英二)がスパイであることがわかる。彼はパンドラのママ加津子とのセックスを盗撮されて馬渡におどされていたのだった。秘密を守ると小野田に約束されて、平木はパイオニアを芳野に売ったことを話すが、小野田は警察にもちこむ予定で平木との会話を企画一課員に録音させていた。絶望した平木はその場で飛び降り自殺する。朝比奈は平木に嘘をついた小野田を非難し、「あんたや馬渡にはなりたくない」と小野田に言って会社を辞める。朝比奈と昌子は誰もいない海に行く。小さな商店に就職した朝比奈と、昌子は結婚することにする。道で二人の横を猛スピードでパイオニアが走り去る。「きれいなクルマね」と言う昌子に対して、朝比奈は「汚いクルマだよ、汚れている、真っ黒だ」と言う。

 高松英郎の迫真の演技が印象的でした。

増村保造監督『闇を横切れ』

2021-07-25 08:01:00 | ノンジャンル
 増村保造監督・共同脚本の1959年作品『闇を横切れ』をDVDで観ました。

 以下、サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、

「市長選挙たけなわの玄界市。夜、ラブホテルでストリッパーが殺されて発見される。死体の側に倒れていた男が容疑者にされるが、彼はなんと保守党の現職市長に挑戦している革新党の市長候補、落合だった。地方紙である西部新聞の若手記者、石塚(川口浩)は交番の老警官片山から、彼が死体を発見する直前、あごに傷痕のある男を見たことを聞き出す。
 編集局長の高沢(山村聡)は石塚を激励してあご傷の男を調べさせる。三年前に編集局長になった高沢は三流紙だった西部新聞を一流紙にした立役者であり、石塚の目標となる人物でもあった。高沢もまた昔の自分に似ている石塚を高く買っていた。
 石塚は片山が温泉旅館の一室に隠れていることを知る。警察で殺人事件を担当する生田部長(高松英郎)は片山のあご傷の男の報告を無視し、クビにして恩給がつかないようにすると脅して片山に休暇を命じていた。殺し屋に怯える片山を安全な場所に保護しようと石塚は新聞社の仲間を連れて温泉旅館に戻るが、片山は死んでいて、生田は自殺として処理していた。
 翌日石塚は、市政を牛耳る有力者、広瀬運輸社長の広瀬(滝沢修)に呼び出される。事件から手を引くよう促されるが石塚は拒否する。さらに石塚は殺されたストリッパーが妊娠5か月だったことを解剖の行われた大学病院で調べ上げる。妊娠5か月の女が落合と逢引きとはおかしい。しかし、解剖を担当した教授は妊娠の事実について生田から口止めされていたのだった。そして事件の核心に汚職があることがわかってくる。米軍基地の跡地の利用計画が撤回され土地は広瀬に払い下げられていたのだ。西部新聞の記者たちは市長や市議と広瀬の癒着についての調査を本格的に始める。
 西部新聞主催の写真コンクールの応募作品の中に、あご傷の男の顔が見つかる。撮影者は、片山が殺された旅館の前の写真館の主人だった。その写真を警察に照会した結果、男が殺し屋とわかる。広瀬から圧力を受けていた警察署長も生田部長を休職させ、殺人事件の見直しと汚職の調査に乗り出す。だが、写真館主人が変死体で見つかり、写真館では殺し屋の写っている写真のネガも紛失してしまう。新聞社内にスパイがいるとしか考えられない。高沢になだめられる石塚だったが、石塚は憂さ晴らしに泥酔する。
 石塚は殺されたストリッパーの同僚だった元美(叶順子)から電話で楽屋に呼び出されるが、石塚は、殺されたストリッパーの愛人だったトランペット奏者の掛川たちによって袋叩きにされる。しかし、自分のアパートで目覚めた時、石塚を元美が訪れていた。何度も元美を訪れて熱心に真実を追い求める石塚を元美は好きになり始めていたのだ。元美は殺された同僚をあご傷の男が連れだしたことを告げる。しかも殺された同僚は元美に汚職関係者一覧表すら残していたのだ。石塚は勇んで編集局長の高沢に会いに行くが、高沢の電話の会話を聞いて意外な事実を知る。電話の相手は広瀬。高沢こそがスパイだったのだ。石塚は怒って新聞社を辞めると宣言してその場を去る。
 石塚はアパートに戻ったが元美は連れ出されていた。彼は殺されたストリッパーの愛人だった掛川に談判に行く。ストリッパーが掛川の子供を妊娠していたことを教えると、掛川は自分が騙されていたことに気づき、元美を解放する。石塚と元美は海に行って二人だけの時間を過ごす。だが、夕刊が食堂に配達されるのを見ると石塚はやはり新聞社に戻ることにする。元美も石塚にとって新聞が彼の人生の多くを占めていることを既に理解していた。
 市政を牛耳る有力者の広瀬の息のかかる新聞販売店が西部新聞から大手全国紙東都日報に取引先を変えることを知って編集局長の高沢もついに決断する。記者たちを前に自分と広瀬が癒着してきたことを告白したうえで、朝刊に合わせて今回の事件と市政を牛耳る有力者の広瀬の汚職について大々的に記事にすることを宣言し部下を鼓舞する。そこに石塚も戻り、記事に取り組む。
 外に出た編集局長の高沢がいつもの癖でラ・マルセイエーズを口笛で奏でながら歩いていくと、ひと気のない道であご傷の男が待っていた。高沢は射殺されるが、あご傷の男も隠れていた掛川(殺されたストリッパーの愛人)に襲われる。あご傷の男の拳銃と掛川のドスとで二人は相打ちになる。
 深夜の新聞社に高沢の訃報が届く。一瞬動揺があるが、今はまだ編集局長に線香をあげるときではないという石塚の呼びかけで記者たちは仕事に戻り、映画は終わる。

 知られざる傑作でした!! 増村保造監督の代表作の一つだと言えるでしょう。

田代冬彦監督『セーラー服通り』

2021-07-24 00:48:00 | ノンジャンル
 母との対話の中で、ふいに「そういえば、以前、渡辺美里さんの『My Revolution』を主題歌にした青春ドラマがあったなあ」と思い出し、検索すると、すぐにそれがTBSで放送された『セーラー服通り』であることが分かりました。
 さっそくYouTubeで検索すると、なんと「第一話・オトコの子💛ほしい」を観ることができるということで、40分弱のドラマを見てみたのですが、結論から言うと、これが傑作でした!
 校則が異常に厳しく(下着が白かどうかまで検査させられ)、漫画の学校への持ち込みも禁じられている私立女子高校の3人組が、学校には内緒で漫画を描き、それが新人大賞に選ばれていくところからドラマが始まるのですが、その3人組の一人を石野陽子さん(石野真子さんの妹さん)が演じ、それ以外の脇役は、学校の美術の先生役を小堺一機さん、雑誌の編集者を本間優二さん、雑誌の編集長を長塚京三さん、校則の権化である学校の教頭先生を菅井きんさん、そして校長先生をなんと鈴木清順監督が演じていました。
演出をされた田代冬彦さんは東京大学フランス文学部を卒業した後、23歳でTBSに入社され、その後、多くのドラマの「プロデュース」をしたと、ウィキペディアには書かれていましたが、この番組でのバックタイトルには「演出 田代冬彦」となっており、入社後は、まず(おそらくですが)テレビドラマの現場で研鑽を積んだ上で、多くのドラマの「演出」をされたのでは、と思います。ただ、ウィキペディアによると、「学生時代からシェイクスピア・シアターに参加していた」ということなので、現場で研鑽を積んだ期間はそれほど長くはなかったのかもしれません。
 演出以外のスタッフは、原案が牛次郎さん、脚本が安斎あゆ子さん、そして最終回のエンディングで、その他のスタッフの紹介が帯のようになって速いスピードで流れていました。(ほとんど判別のできないスピードで、です。)

 以下、ウィキペディアに載っていた記事を転載させていただきます。
「『痛快!OL通り』(1986年)、『痛快!ロックンロール通り』(1988年)など、「〜通り」の名を冠したドラマシリーズの第1作。白弓学園の厳しすぎる校則をかいくぐりながら楽しい高校生活を送るという筋立てになっており、いわゆる「桜中学シリーズ」で一世を風靡したTBSが、当時社会問題になっていた校則の問題を中心に据える社会派ドラマ的な設定を取り入れながら、同じく話題となった『毎度おさわがせします』のように、生徒側の視点からコミカルな展開の物語を目指したことが窺える[独自研究?]。
主演は前年1985年にデビューした石野陽子(後のいしのようこ)で、彼女の連続ドラマ初主演作となった。他に、C.C.ガールズ結成前の16歳時の藤原理恵、蓮舫、ちはる、竹内力、長州力、嶺川貴子などが出演していた。
 本作は漫画とのタイアップで、実際に少女漫画雑誌『ちゃお』に同タイトルで同時期に連載がされている。つづき春は実在の漫画家で、ドラマにそのまま名前が使われたが、メディアミックスや原作付きドラマというわけではなく、企画として同時進行させたもの。たとえば、漫画は1986年2月号(1月発売)から9月号まで続いたが、内容としてはあまりシンクロしていない。ドラマ内でも、ときおり実際の掲載誌やネーム(下書き)、生原稿などが見えるシーンがある程度。コミックスは、小学館から全2巻で発売された。
 ロケは、休み中の横浜市山手にあるインターナショナル・スクール、セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジの校舎を使って行われた(セット撮影は緑山スタジオ内)。最終話の出演者へのインタビューで、「撮影で最も苦労したことは?」の質問に「ロケが寒かった」との発言がある。同校は2000年に廃校となった。
 この番組を最後に、桜中学シリーズなどを輩出したTBS系列金曜20時台のドラマ枠は廃止。同枠はバラエティ枠へと転換され、『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』の放送が開始された。
 本作は、CSのTBSチャンネルにおけるリクエストドラマ作品で常に上位になっており、2007年4月から同チャンネルでの再放送が決定。同年6月にも再放送された。地上波放送においても、アナログ放送時代に2度再放送されている。」

 最初は「漫画などわいせつで、すけべで、芸術でない」と言っていた、小堺一機さん演じる美術の先生が、生徒の熱意に負けて、学校の教頭先生から生徒をかばい始めるというのが第一話での内容で、生徒たちの描いている漫画の雑誌への連載が決まるというのが第一話の最後でした。とにかく石野陽子さんの活発さ、豪胆さがすべて作品の中で生き生きと描かれていて、スピード感をもって、そしてまた楽しく苦難を乗り越えていく主人公らに完全に感情移入し、主題歌の素晴らしさもあって、何度か涙しそうになってしまいました。
 冒頭の部分でも書きましたが、とにかく傑作です。まだの方は是非ご覧ください。

増村保造監督『氾濫』

2021-07-23 01:45:00 | ノンジャンル
 増村保造監督の1959年作品『氾濫』をDVDで観ました。

 サイト「MOVIE WALKER PRESS」のあらすじに加筆修正させていただくと、

 真田佐平(佐分利信)は接着剤サンダイトを発明し、一躍、平技師から三立化学の重役になった。会社の株を贈られ、立派な家も買った。種村(川崎敬三)という若い学徒の研究論文を読まされたが、学界の雑誌に載せてもいいものだったので、英訳をすすめておいた。一方、真田の妻文子(沢村貞子)は急に生活が変ると派手ずきになった。娘のたか子(若尾文子)と同じに浮かれたように毎日を過ごす。
 突然、真田に西山幸子(左幸子)から連絡があった。戦争中、彼女は勤労動員つきの教師としてこの工場へ来て、空襲の夜、彼と結ばれた。今、彼女は子供を連れていて、あなたの子だといった。二人はまた元のようになり、旅館でたびたび会った。
 一方、種村は真田にもっと近づこうとした。大学の研究室の材料をごまかしたりする貧しい生活から抜け出すためだった。彼は従妹の京子(叶順子)と性的関係を持っていたが、彼女は真田たか子と同級生だった。種村は真田家のダンス・パーティに、京子と同行し、たか子と踊った。彼はダンスがうまかった。たか子は彼の論文の英訳を引き受けた。
 一週間後、二人は会い、映画を見に行った。暗闇で種村の手が動いた。寿司屋の小座敷で、彼は彼女を押し倒した。
 一方、サンダイトの売行きがのびなくなった。会社は真田の新しい防錆剤に期待した。彼の研究は失敗を続け、会社はドイツの商社との技術提携にふみきった。真田の友人・久我教授(中村伸郎)は学界のボスだが、真田に博士と教授の資格を売りに来た。情事の金に困っていたのだ。文子は娘のピアノ教師・板崎(船越英二)とホテルへ行き、高級な恋愛をしている気になった。が、彼は単なる色事師でしかなかった。
 京子は真田にたか子と種村のことを話した。真田は種村を呼び、娘と彼を結婚させ、京子には手切金を出すことにした。また、種村の論文のアイデアは会社がドイツから買った特許の不備な点を補えるかも知れぬと励ました。真田から断わられた久我が種村を手なづけ彼のアイデアを三立化学に売りつけ、自分の名を貸し名義料をとり、それを行きつけのバーのマダムに手切れ金として払った。
 真田は重役をやめ、平技師に戻った。妻の情事を知らされ、責めると、妻は彼の情事のことを言いたてた。たか子も種村から捨てられた。真田は家を出、幸子のもとへ行った。彼女は結婚申込みを受けつけなかった。金のない彼には用がない。子供も亡夫の連れ子だった。真田はまた家へ戻った。平技師としての地道な研究生活が待っていた。妻も娘も、また昔のつつましさに戻った。三立化学のホープとなった種村は社長の娘と結婚するのだった。

 男たちが皆不誠実な者ばかりで、彼らにもて遊ばせられる女性の悲劇が描かれていました。畳みかけるようなセリフ回しはここでも健在でした。

増村保造監督『最高殊勲夫人』

2021-07-22 06:46:00 | ノンジャンル
 増村保造監督の1959年作品『最高殊勲夫人』をDVDで観ました。

 サイト「映画ウォッチ」のあらすじを一部加筆修正させていただくと、

「今日はめでたい結婚式、しかもただの結婚式ではない。野々宮家と三原家で行われる結婚式はこれで二度目。先に長女と長男(船越英二)同士(三原商事社長と秘書)が、そして今回次男、次女(営業部長と秘書)同士の熱烈な恋愛の末、結婚と相成った訳だ。この二代続いた結婚に野々宮家の長女・桃子はいっそのこと三女・杏子(若尾文子)と三男・三郎(川口浩)同士も結婚させてしまおうと計画を立てる。さっそくお互いに話があると嘘をつき待ち合わせをさせて、二人を引き合わせる桃子だった。
 バーで落ち合った二人はお互いの話が噛み合ないのを不審に思い、これは桃子姉さんの陰謀だとピンとくる。きっと桃子姉さんは野々宮家、三原家共々を尻に敷こうとしているんだという結論に至り、そうはさせまいと二人は同盟を組むのだった。そもそも三郎には既にフィアンセがいるとのこと。杏子には恋人さえいなかったが、思わず恋人がいるわと嘘をついてしまう。そんなわけで、二人はお互いの恋人ときちんと結婚し、野々宮杏子と三原三郎は金輪際結婚しないよう誓って乾杯するのだった。
 恋人がいると言った手前、今度はあわてて恋人探しをする杏子。ちょうど桃子姉さんが三原商事の就職口を紹介してきたので、そこで社長秘書として働くことにする。働きながら、恋人探しも兼ねることにしたのだ。三郎と杏子は時折あって近況報告をしたり、作戦会議をしたりする。三郎は杏子に頼まれて、長男・長女夫婦の仲を取り持ったりもした。
 美人の杏子は社内でも話題になる。些細なことをきっかけに杏子がフリーだという事実が広まると、男性社員から交際の申し込みが殺到し、果てには三郎のフィアンセの兄貴にまで告白される。杏子は誰にでも応じ、はっきりした返事をしないまま大勢を保留にしておいた。女性社員からも最初敵視されていたが、上手に仲を取り持ってカップルを誕生させたりして、なかなか器用に振る舞い次第に周囲と打ち解けていく。しかし、まだ肝心の杏子の恋人は決まらないままだった。
 一方、桃子の夫は週末、バーの女性と鬼怒川温泉へとしゃれこんでいた。バーの女性は月に10万もらえれば愛人になりたいと言い出す。そこへ三郎が現われ、桃子も連れてきていると言い、桃子の夫を部屋から連れ出すが、三郎の部屋には桃子はいなかった。桃子の夫は三郎の結婚話を進めて、桃子に一杯くわしてやろうと三郎に言う。その間、バーの女性は別の男性に電話をかけ、翌日に熱海に連れていってほしいとねだる。
 杏子が社内でモテモテだという話を聞いて、三郎は気持ちが揺らぎだしフィアンセとの婚約を解消してしまう。一方、杏子は交際の申し込みをどんどん清算していき、ついに一人に絞る。あとはプローポーズを待つばかりとなった杏子。運命の夜、杏子はバーで待つが、それより先に三郎が現れ、好意を伝えてしまうのだった。結局、最初からお互いに惹かれあっていたと認めた二人は、その場で結婚を誓う。
 さあ、野々宮家と三原家で行われる結婚式はこれで三度目。参列者は祝辞を述べつつ、こうなると次に注目すべきは誰が最高殊勲夫人の栄誉に輝くのかということです、と冗談まじりに語る。「いまんとこは桃子姉さんよ。でもいつか私が輝いてみせるわ」と杏子はカメラに向かってポーズを決めるのだった。」

 増村監督の作品を特徴づける、たたみかけるようなセリフ回しがここでも活きていました。若尾さんが26歳の時の作品です。