おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

轟二郎

2006年07月04日 | 日記・エッセイ・コラム
久し振りに映画でも観ようと出かける事にした。

最近では映画館に足を運ぶようになったが、それまでは随分と遠ざかっていた。
「マトリックス」の前に観たのが「ザ・フライ」だからね。

「海猿か?ダ・ヴィンチか?それともトリック2かな?」

日曜の午後、ゆったりとした気持ちの中、車を走らせる。
聞き飽きたMDを止めて、FMラジオにチューニングを合わす。
車内はさながら“わたせせいぞう”のハートカクテルだ。

そんな気分で運転していると、目の前の車が妙に気になった。

「何人乗ってるの?」

てな具合に、ぎっしりと詰まっている。人影が何重にも見える。
クーラーガンガンの車内に居る僕が、暑苦しく思えるほどに。

「どこに行くのかな?」

そんな事を思っていると、懐かしい気分が甦ってきた。
先日のブログで外食の事をちょっと書いたが、
その外食に行く車内はちょうど、あの車のようだった。

家族7人。全員で外食行くのだが、車はセダンである。
内、子供が3人いるとしても、7人が乗るには結構な努力がいる。

運転席と助手席に1人ずつ。後部座席に3人。あと2人だ。

妹は小さかったので、オカンの膝の上に座る。あと1人だ。

6人が乗り込んだ所で、弟はわずかな“隙間”を探す。

助手席の足元、つまりオカンの足元に荷物のように身を屈めて潜り込む。
助手席に3人乗っている訳だ。その光景はまるで、

「びっくり日本新記録」

片道15分ほどの道のりをこの態勢のまま移動!
店に着くと、周りを見渡したあと、一瞬の内に車を降りる。
記録達成の瞬間だ。

今でも信号待ちをしている時なんかは、店の駐車場を注視して眺める事がある。
たまに、たまにと言っても最近では2年に1度見られるかどうかだが、

「おぉー、9人出てきた! 新記録! まるで玉手箱やぁぁぁ~!」

と、彦麿呂のモノマネで祝ってあげる家族づれに遭遇出来る事がある。

思えば、1人で乗っている方が効率が悪いと思えるが、
かといって、何もあそこまで詰め込む事はないとも思える。

1人ハートカクテルしながら、ゆったりドライブを楽しむ僕。
映画館に到着!と言った所で、サイフを忘れた事に気付いた。

「ちぇっ、あかんわ」

ブルーになる気持ちを必死で押さえていると、目の前の「満員車」は
静かに映画館の駐車場に消えていった。

「見たかったな、何人乗ってるか」

記録達成の瞬間を見る事無く、来た道をそのまま引き返した。










コメント
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