もう、小便でもして寝るべぇー!って
階段を降りていくと、いつもと何かが違う。
霊感とは無縁の生活を送ってきたが、
ついに眠れる力が覚醒したと、
改めて自分の未知なる可能性に愕然とした。
突き止めてやる!
新たな力を得た今、僕に恐いものはない。
いや、むしろこの覚醒した力を
発揮しなくては、男児ではない。
小便のことなど忘れた俺は、
いつもと違う何かを探した。
見られている。
確かに視線を感じる。
これだぁ! 新しい力は。
そうだ、俺はバビルだ。
バビル何世になるんだ?まぁ、いい。
自分の強大な力と、未知なる物への不安を
感じながらも、一段一段階段を降りる。
あれだ!
視線を感じるはずだ。モノ・アイが光る。
モビルスーツ。ジオン軍のザクだ。
こちらを観察しているように、時折光る。
ふわぁ~と明るくなっては、また小さくなる。
その穏やかな灯りは、どうやらザクではない。
一段一段歩を進めた階段が終わり、
ガラス窓に映る光の前にたつ。
凝視する。
蛍だった。
近くに川はあるものの、緑は少ない。
コンクリで固められた用水路。
そんな環境の中、
窓ガラスに止まって光っている蛍を見つけ
少々テンションがあがり、ついつい口ずさんでしまった。
ほー、ほー、ほーたるこい
こっちの水は、アーマイオニー
はー、はー、はりぽったぁ!
うまい!
寝る直前の思考回路はこんなもんだ。
そんな停止状態寸前にもかかわらず、こんな鼻歌が歌えるとは。
改めて自分の才能が恐くなった。
が、よく思い出してみれば、ハリーポッターの友達は、
“ハーマイオニー”
だった。
間違えた。