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日々の暮らしのなかで

暇つぶし

2008年09月01日 | 日記・エッセイ・コラム
暇だったんで、先日行った銭湯へ出掛けた。 
 
一人でのんびり。
そんなつもりで出掛けたが、
いざ行ってみると、なかなか落ち着くことが出来ない。
が、急いで出て行く理由も予定もなく、
しばらくの間、時間を潰すことにした。
 
さて、どうやって時間を潰すか?
 
そう迷いかけたとき、湯船に肩までつかった
クソガキが、こっちを見ているのが視界に入った。
目線が合う。
 
(何を睨んでおられるのですか?クソガキ)
 
お互いに視線ははずさない。
クソガキ相手に本気を出すことに躊躇いもあったんで、
微笑みを浮かべながらの対応に心掛けたが、
一向に治まる気配がない。
 
(お前は・・もしや、あの時の・・・・) 
 
と、思い当たる理由もない。
 
それ以上にらみ合っても仕方がないと、
己を悟った瞬間、いい事を思いついた。 
 
(よし、どっちが湯につかり続けられるか勝負だ!)
 
僕の決意が伝わったのか、
クソガキが一瞬、表情を和らげた気がした。 
 
(よし、スタートだ!) 
 
下半身に気合を込めて、いつ果てるともわからない
壮絶な我慢大会が始まったと思った瞬間、
すくっと立ち上がったクソガキは、そのまま露天風呂の方へ。
 
(勝ったぁ! 所詮、クソガキはクソガキ!)
 
一回戦を大勝した勢いを逃したくないオレは、
続いて二回戦の相手を物色。
高温湯の方へ入っていく、20代の若者を発見!
 
(よぉーし、次はお前だぁ!)
 
両者肩まで使ってスタート。
余裕の表情を見せる若者。
こっちは低温湯に続いての連戦。
少々不利だが、まだまだ若者には負けない。
 
が、我慢が出来ない。
 
特別ルール。
 
同時なら、オレの勝ち。
 
ずっと相手が立ち上がるのを待っていたが、
ヤツは立ち上がる事無く、泳ぐように移動。
 
(駄目だぁ!それはルール違反なのだぁ!)
 
朦朧とする意識の中、はっきりと審判長の声が聞こえた。
無事に二回戦を突破して、次はいよいよ大将戦。
百戦錬磨のご老人と対戦。
 
ご老体と侮ってはいけない。
風呂と言えば老人。老人と言えば長湯。
かなりの覚悟がなければ、ご老人と風呂対決をやろうなどとは
考えないものである。
しかしそこは、すでにお湯につかり始めて
1時間が経過している。
思考回路も、徐々に働かなくなっている。 
 
意を決して、対決の時。
場所はサウナ。
 
結構、息苦しい。苦手だ、本来は。
ただこれは男と男の勝負。いざ、対決。 
 
しかし、
 
おじいさん、動かない。
一向に出て行く気配がない。
生きてますよね?なんて、心配をしてしまうほど、
微動だにしない。
 
(おっ、もうこんな時間だ)
 
時計に目をやる。
約束の時間。5時からの約束に遅れるところだった。
 
(仕方がない、また、次回って事で)
 
ご老人に丁寧に頭を下げ、
出てきた。
 
こうやって、オレの時間潰しは滞りなく終了した。