昨日、北陸で春一番が吹いたと報道された。昨年より13日早く吹いたとのことだ。立春から春分の間に、北日本で発達した低気圧に向かって吹きこむ南風を春一番という。昨日の空を見上げると、青空も見えたが、飛行機雲がくっきりと出た。空に水蒸気がたくさんある状態である。朝、朝焼けがきれいで、空気が澄んで山が近く見えたあとの気象現象である。強い風で、船で海上を行く漁師たちが、警戒したのもこの春一番である。
それにしても山形の昨日の気温は、2月の半ばであるのに、18℃を記録した。5月ころの気温だ。テレビのニュースでは、かき氷の店に行列ができ、Tシャツ姿の人も見かけられた。青空はきれいだが、乾燥した空気と、各地に頻発する火事。焼け跡から焼死体が見つかる惨事が続いている。青空を見ると、きれいな風景の向こうに、地球の異常事態の恐ろしさが見えてくる。残された日が少なくなった高齢者には、この夏に起こる高温や台風、大雨という過去に経験しない現象をつい心配してしまう。
昨日、空き地にオオイヌノフグリが花を咲かせていた。山形で、ウメの花が咲いたニュースが流れ、静岡の河津桜が満開のようだ。季節がどんどん早まり、白菜は巨大化している。季節の移りが変わって、花や野菜の旬もどんどん変わる。雪のない叢には、フキノトウも出ていて不思議ではない。陶淵明の『桃花源記』が思い起こされる。
「忽ち桃花の林に逢う。岸を挟みて数百歩、中に雑樹なく、芳しき草は鮮やかに美しく落つる英はひん紛たり。」