気温の低い立春になった。それでも冬の青空は深く蒼い。娘が帰省して二晩泊まっていった。久しぶりに寒鱈の粗汁を親子で味わう。懐かしい味である。
立春の声を聞くと、昨日までとさして変わりない景色、空の色に春を感じ、心も明るくなる。高浜年尾の句も懐かしい。「春立つやそぞろ心の火桶抱く」
晩唐の詩人、羅隠の詩「人日立春」を鑑賞してみる。人日とは、旧暦の1月7日。この日が立春にあたったので詠まれた。
一二三四五六七
万木芽を生ずるは是れ今日
遠天の帰雁 雲を払って飛び
近水の遊漁 氷を迸って出づ
初句の一から七は珍しい並び。新年のなって数えて今日七日。立春の今日から万木の芽が生まれる。空には雁が、北へ帰って行く。小川では魚たちが、薄い氷を破って跳ねる。春のよみがえる生命の躍動の歌いあげた。こちらでは、今夜から寒波の襲来で大雪の警報となった。こんな日に春の歌を読んで、元気をもらうのはよいことだ。