常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雪のなかの散歩

2020年12月15日 | 日記
一日中雪が降った。最高気温も氷点下である。詩吟の教室があり、その後所要があって、散歩に出かけたのは日が落ちてからであった。雪は街灯の灯る路面へ音もなくあとからあとからと音もなく舞い落ちてくる。氷点下の気温ではあるが、歩くと意外に暖かい。汗をかくわけではないが、落葉にかわって雪を踏むのが楽しい。ただ、所々に滑るところがあって、転ばぬような注意が必要だ。積雪の情報を見ると、肘折で1m、先日訪れた尾花沢で85㌢、ここ山形では13㌢である。昨年の山形の一番降った雪が7㌢というから一日で上回ったことになる。

雪の中を歩くと、少年のころの北海道の冬を思い出す。学校への雪道は、深く子どもの足で漕ぎ歩くことはできない。除雪車などという便利なものがあるわけでない。父兄の家で馬を出し馬橇を引いてくれた。その踏み跡を歩くのは楽しいことであった。疲れてくると、馬橇に乗って学校へ着いた。教室にあるのは、傍に寄ると熱いほどの石炭ストーブ。カバンから持って行った弁当を出しストーブの側に置く。温められた弁当から、それぞれの家の食べ物の臭いが教室中に拡散していく。ストーブが消えた夜の家は寒い。頼みにするのはたったひとつの湯たんぽ。すっぽりもぐった蒲団の上は息が氷って張りついていた。

太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪ふりつむ (三好達治『測量船』)
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