『見えなくて見えてくるもの』が今回の題目だった。昨日は、大和塾の第11回市民講座。講師を引き受けてくださったのは、視覚障害者のラテンバンド「アンサンブル・アミー」の事務局長を務める山田弘さんだ。山田さんは小学校5年の時、網膜剥離で失明した。視覚障害の方の多くは針・灸・マッサージ師の道を歩むけれど、それがいやだった山田さんは大学に進んだ。学校の先生になりたかったが、当時は障害のある人を教員に採用する道は開けていなかったので、自宅で学習塾を開いた。
目が見えない、耳が聞こえない、そういう世界はどんなものなのか。視覚障害のある人や聴覚障害のある人とどのように接すればいいのか、戸惑うことが多い。講師をお願いに出かけた時、山田さんにそんな話をした。山田さんは「目が見えないことは不自由ではあるが、悲しいことではないし、身体全体からみれば単に一部でしかない」と言う。
「皆さん、目を閉じてください」と言うので、しばらく会場は皆さん耳だけを集中させて話を聞こうとする。「普段ならば聞こえているにもかかわらず、聞こうとしなかったものが聞こえてくることに気が付きませんか」。なるほど、目で追うので聞くことに集中できなかったが、気が付かないことが聞こえる。山田さんは言う「別のもう一つの世界が加わった。そう考えるようにしている」と。ポジティブに受け止められることは、新しい世界を広げることになる。山田さんは山登りが好きだ。視覚ハンディキャップテニスもするし、社交ダンスも楽しんでいる。スキーだって、ジョギングだってする。身体を鍛えているのは好きな歌を歌いたいからでもある。
「人は違いを優劣で考えようとする。速く走る人と遅い人、テストができる人とできない人。速く走れてもテストの成績は悪い人もいれば逆の人もいる。どっちが悪い、どっちが良いではなくて、個人差なのですね。個人差というものは才能だと考えればいい。笑顔が可愛いのも才能です。私は点字が読めますが、皆さんはどうですか、読めますか。読めないから劣っているわけではないでしょう」。そんなことを話して爆笑を誘った。そして、金子みすずの詩『私と小鳥と鈴と』を朗読し、これを「見えるあなたと見えない私」に置き換え、「みんな違って、みんないい」と結んだ。
講演の前の雑談で、「多くの人は目で見ての第一印象で、相手を判断しますが、山田さんはこの人はいい人か悪い人かをどうやって判断するのですか」と聞いた。山田さんは笑って「声と話し方ですね」と言う。「声と話し方はごまかしができませんから。でも中には最初の印象と違う人もいます」。「ええ、それは私たちも同じですね。長く付き合ってみて、わかることがありますから。でも、やはりインスピレーションというものは大事なのですね」と私。
山田さんを家まで送っていって、「声と話し方」でその人がわかると言ったことは正解だとわかった。山田さんの奥さんは美しいく控えめで穏やかな人だったからだ。
目が見えない、耳が聞こえない、そういう世界はどんなものなのか。視覚障害のある人や聴覚障害のある人とどのように接すればいいのか、戸惑うことが多い。講師をお願いに出かけた時、山田さんにそんな話をした。山田さんは「目が見えないことは不自由ではあるが、悲しいことではないし、身体全体からみれば単に一部でしかない」と言う。
「皆さん、目を閉じてください」と言うので、しばらく会場は皆さん耳だけを集中させて話を聞こうとする。「普段ならば聞こえているにもかかわらず、聞こうとしなかったものが聞こえてくることに気が付きませんか」。なるほど、目で追うので聞くことに集中できなかったが、気が付かないことが聞こえる。山田さんは言う「別のもう一つの世界が加わった。そう考えるようにしている」と。ポジティブに受け止められることは、新しい世界を広げることになる。山田さんは山登りが好きだ。視覚ハンディキャップテニスもするし、社交ダンスも楽しんでいる。スキーだって、ジョギングだってする。身体を鍛えているのは好きな歌を歌いたいからでもある。
「人は違いを優劣で考えようとする。速く走る人と遅い人、テストができる人とできない人。速く走れてもテストの成績は悪い人もいれば逆の人もいる。どっちが悪い、どっちが良いではなくて、個人差なのですね。個人差というものは才能だと考えればいい。笑顔が可愛いのも才能です。私は点字が読めますが、皆さんはどうですか、読めますか。読めないから劣っているわけではないでしょう」。そんなことを話して爆笑を誘った。そして、金子みすずの詩『私と小鳥と鈴と』を朗読し、これを「見えるあなたと見えない私」に置き換え、「みんな違って、みんないい」と結んだ。
講演の前の雑談で、「多くの人は目で見ての第一印象で、相手を判断しますが、山田さんはこの人はいい人か悪い人かをどうやって判断するのですか」と聞いた。山田さんは笑って「声と話し方ですね」と言う。「声と話し方はごまかしができませんから。でも中には最初の印象と違う人もいます」。「ええ、それは私たちも同じですね。長く付き合ってみて、わかることがありますから。でも、やはりインスピレーションというものは大事なのですね」と私。
山田さんを家まで送っていって、「声と話し方」でその人がわかると言ったことは正解だとわかった。山田さんの奥さんは美しいく控えめで穏やかな人だったからだ。