二人で食事をしながら、NHKテレビ『歌謡コンサート』を見ていた。韓国ドラマの「冬のソナタ」の主題歌を聞いていたらどうしたわけか、涙が流れてきた。本当に近頃は涙腺が緩んでいる。ただ歌っているだけで、その背景にドラマの映像が流れていたとはいえ、そんなことで泣けるような場面ではなかったのに、恥ずかしい限りだ。
続いての歌は今晩初めて聴いた曲であった。「鮨屋で」(?)とかいう曲名で歌詞は、娘が離婚した両親に送る歌であった。鮨屋で娘が父親から「何でも好きなものを食べていいよ」と言われたが、それが父親との最後の日だった。父と母とがどうして別れることになったのか、わからないけれど、どちらが悪いというものではないことが今の自分にはわかる。その娘が結婚するので、鮨屋で父親に話がしたいというものだった。
歳を取ると涙もろくなると言うけれど、いろんな思いが頭の中を駆け巡るからなのかもしれない。そしてまた、意識してではないけれど自分の終末を感じるからだろう。「赤ちゃんを見ていると抱きたくなっちゃう。お年寄りに接していると何かしてあげたいと思う。人がこんなにもいとおしく思えるのは自分が歳を取ったからかしら」と言う人がいるが、そういう人は生まれながらに人に優しいのだろう。
中学2年の孫娘が職場体験で特別養護老人ホームへ出かけた。「それでどうだった?」と聞くと「うん、面白かったけど、疲れた」と言う。「どうして?」とさらに聞いてみた。「だってさ、おんなじことばっかり言うんだよ」「うんうん、それで?」「中には全然話が出来ない人もいるの。スタッフの人もわかっているのか、ほったらかしにしてるんだけど、何か納得できないよね。あれでいいの?」と逆に聞き返してくる。「あなたはどうしたかったの?」と聞き返してみる。「何かさ、もう少し話してあげたかったけど、全然話ができないの」「そうか、まあそれも体験だな」と私。
孫娘は「私はお年寄りと話すのは好き」と言う。「ヘンなおばあちゃんがね、あんたは勉強できるでしょう。私は女学校出ているのって、何度も何度も言うのよね。まいっちゃった」「昔の人で女学校を卒業している人は、今で言えば、女子大を出ているようなものだから、それがその人には誇りなのだろうね。『すごいですね』って言ってあげた?」「だってわからんし、何度も同じこと言ってくどいから、何にも言えんかった」と答える。
その孫娘が小さな声で「今日、課題テストの結果もらった。3番だった」とさらりと言う。学年で3番なんて、我が家では誰も取ったことのない順位だ。けれども、決して得意気にならずに言うところがにくい。「すごいね。14歳の母」とチャカして言うと、「そんなものにはならん。それに今妊娠したら、出産する時は14歳じゃなくて15歳になっとる」と冷静な答え。
そうか、そうか。人生はまだまだこれからだ。
続いての歌は今晩初めて聴いた曲であった。「鮨屋で」(?)とかいう曲名で歌詞は、娘が離婚した両親に送る歌であった。鮨屋で娘が父親から「何でも好きなものを食べていいよ」と言われたが、それが父親との最後の日だった。父と母とがどうして別れることになったのか、わからないけれど、どちらが悪いというものではないことが今の自分にはわかる。その娘が結婚するので、鮨屋で父親に話がしたいというものだった。
歳を取ると涙もろくなると言うけれど、いろんな思いが頭の中を駆け巡るからなのかもしれない。そしてまた、意識してではないけれど自分の終末を感じるからだろう。「赤ちゃんを見ていると抱きたくなっちゃう。お年寄りに接していると何かしてあげたいと思う。人がこんなにもいとおしく思えるのは自分が歳を取ったからかしら」と言う人がいるが、そういう人は生まれながらに人に優しいのだろう。
中学2年の孫娘が職場体験で特別養護老人ホームへ出かけた。「それでどうだった?」と聞くと「うん、面白かったけど、疲れた」と言う。「どうして?」とさらに聞いてみた。「だってさ、おんなじことばっかり言うんだよ」「うんうん、それで?」「中には全然話が出来ない人もいるの。スタッフの人もわかっているのか、ほったらかしにしてるんだけど、何か納得できないよね。あれでいいの?」と逆に聞き返してくる。「あなたはどうしたかったの?」と聞き返してみる。「何かさ、もう少し話してあげたかったけど、全然話ができないの」「そうか、まあそれも体験だな」と私。
孫娘は「私はお年寄りと話すのは好き」と言う。「ヘンなおばあちゃんがね、あんたは勉強できるでしょう。私は女学校出ているのって、何度も何度も言うのよね。まいっちゃった」「昔の人で女学校を卒業している人は、今で言えば、女子大を出ているようなものだから、それがその人には誇りなのだろうね。『すごいですね』って言ってあげた?」「だってわからんし、何度も同じこと言ってくどいから、何にも言えんかった」と答える。
その孫娘が小さな声で「今日、課題テストの結果もらった。3番だった」とさらりと言う。学年で3番なんて、我が家では誰も取ったことのない順位だ。けれども、決して得意気にならずに言うところがにくい。「すごいね。14歳の母」とチャカして言うと、「そんなものにはならん。それに今妊娠したら、出産する時は14歳じゃなくて15歳になっとる」と冷静な答え。
そうか、そうか。人生はまだまだこれからだ。