土曜日の午前中、手押しプンプを据え付ける最後の仕上げを行なった。船頭が多くては、手際が悪くなる。私は一歩引いて、見ていた。庭には水鉢がいくつか置いてあるので、蚊が多い。蜂も飛んでくる。長袖のシャツを着ていたのに、右手の肘の辺りがチカッとして、しばらくすると痒くなった。シャツの上から蚊に刺されたのだろうかと思って、仕事が一段落した時にシャツを捲り上げて、痒い部分を見た。赤い斑点が無数にある。1箇所だけでなく、肘を中心に上にも下にも広がっている。
友だちが「何か虫に刺されたのかも知れないから、着ていたものを全部脱いで、シャワーで身体を洗った方がいい」と言う。早速、家に帰りシャワーを浴びる。よく見ると右足の太ももの内側や右のわき腹にも赤い斑点が無数にある。どうしてこんなところまで虫に刺されるのだろうか。右側半分に赤い湿疹が無数にあるのもおかしい。「帯状疱疹?」の言葉が浮んだ。インターネットで調べてみると私の症状にピッタリだった。
早期発見、早期治療と書いてある。しかし、今日は日曜日だ。今日の当番医はどこだろうかと広報を見ると、私が胃潰瘍で長い間お世話になった先生である。外科であるし、とにかく診てもらおうと出かけた。「虫刺されですね。草むらに入ったことはありませんか?」と言われる。えっ、でも、虫刺されでこんな症状になりますかと口にするけれど、「注射をして、薬を出しておきます」と全く取り合わない。胃潰瘍にならなくなって、病院へ通うことがなくなったからというので、適当な診断したのかと疑ってしまう。
しかし、医者が言うのだから間違いないだろうと、この先生は誤診が多いというウワサを忘れて、信じることにした。帯状疱疹よりも虫刺されの方が私には都合が良かった。病気の診断はそんなものかもしれない。深刻な診断を望む人も重い病気と診断される人も、きっと本人もそれを望んでいたのではないか。帯状疱疹と診断されたら、井戸掘りも花を見に行くこともひょっとしたら酒を飲むことも、控えなくてはならないかもしれない。それは困るなあーという私の気持ちが虫刺されという診断になったのかもしれない。
来週は雨が多い。火曜日に手押しポンプの取り付けを行なう予定だ。その時にもう1件、井戸掘りを頼まれている現場を見に行く計画でいる。雨降りが続くと、作業が遅れてしまう。少し遅れた方が年寄りにはちょうどよい休憩となるのだろうか。肉体労働の限界が右腕の湿疹となって表れた、あるいは脳卒中とか心筋梗塞とかの前触れとして湿疹ができた、そんな素人診断は今回は通用しなかった。いや待て、まだ結論は早すぎる。外科医の診断が間違っている可能性だってあるはずだ。頭の中でそんな馬鹿げた堂々巡りを行ないながら、再び赤い無数の斑点を眺めてみる。
友だちが「何か虫に刺されたのかも知れないから、着ていたものを全部脱いで、シャワーで身体を洗った方がいい」と言う。早速、家に帰りシャワーを浴びる。よく見ると右足の太ももの内側や右のわき腹にも赤い斑点が無数にある。どうしてこんなところまで虫に刺されるのだろうか。右側半分に赤い湿疹が無数にあるのもおかしい。「帯状疱疹?」の言葉が浮んだ。インターネットで調べてみると私の症状にピッタリだった。
早期発見、早期治療と書いてある。しかし、今日は日曜日だ。今日の当番医はどこだろうかと広報を見ると、私が胃潰瘍で長い間お世話になった先生である。外科であるし、とにかく診てもらおうと出かけた。「虫刺されですね。草むらに入ったことはありませんか?」と言われる。えっ、でも、虫刺されでこんな症状になりますかと口にするけれど、「注射をして、薬を出しておきます」と全く取り合わない。胃潰瘍にならなくなって、病院へ通うことがなくなったからというので、適当な診断したのかと疑ってしまう。
しかし、医者が言うのだから間違いないだろうと、この先生は誤診が多いというウワサを忘れて、信じることにした。帯状疱疹よりも虫刺されの方が私には都合が良かった。病気の診断はそんなものかもしれない。深刻な診断を望む人も重い病気と診断される人も、きっと本人もそれを望んでいたのではないか。帯状疱疹と診断されたら、井戸掘りも花を見に行くこともひょっとしたら酒を飲むことも、控えなくてはならないかもしれない。それは困るなあーという私の気持ちが虫刺されという診断になったのかもしれない。
来週は雨が多い。火曜日に手押しポンプの取り付けを行なう予定だ。その時にもう1件、井戸掘りを頼まれている現場を見に行く計画でいる。雨降りが続くと、作業が遅れてしまう。少し遅れた方が年寄りにはちょうどよい休憩となるのだろうか。肉体労働の限界が右腕の湿疹となって表れた、あるいは脳卒中とか心筋梗塞とかの前触れとして湿疹ができた、そんな素人診断は今回は通用しなかった。いや待て、まだ結論は早すぎる。外科医の診断が間違っている可能性だってあるはずだ。頭の中でそんな馬鹿げた堂々巡りを行ないながら、再び赤い無数の斑点を眺めてみる。